歌舞伎座3月公演(令和8年)は、通し狂言が2種類です。
昼の部は、「加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ」、
夜の部は「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ」。
どちらもダブルキャストで見どころも多いです。
その歌舞伎座三月大歌舞伎について、
演目やキャスト、スケジュール、さらには観劇後の感想までを
一気にまとめてお伝えします!

歌舞伎座3月大歌舞伎の演目、配役、簡単なあらすじは?
先にも書いたとおり、3月歌舞伎座公演は、
昼も夜も通し狂言が並びます。
こいつぁ春から・・・と言いたくなっちゃう
素敵なお芝居を楽しみたいです。
ではまず、昼の部から。
3月大歌舞伎昼の部の演目、配役、簡単なあらすじは?
1。通し狂言加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)
骨寄せの岩藤
河竹黙阿弥 作・加賀山直三 補綴
【配役】・・・ABダブルキャスト
岩藤の霊/鳥井又助 A:坂東巳之助
B:尾上松緑
二代目尾上 A:中村時蔵
B:中村萬壽
花房求女 中村 萬太郎
梅の方 坂東 新悟
花園姫 市川 男寅
安田の若党勝平 中村 虎之介
又助妹おつゆ 中村 莟玉
蟹江主税 中村 歌之助
又助弟志賀市 中村 種太郎
奥女中宮越 中村 歌女之丞
奥女中関屋 澤村 宗之助
蟹江一角 坂東 亀蔵
松浪主計 中村 松江
望月弾正 中村 芝翫
お柳の方 中村 扇雀
安田帯刀 中村 又五郎
多賀大領 7尾上菊五郎
【簡単なあらすじと見どころ】
発端 多賀家下館奥庭の場
岩藤によるお家乗っ取り騒動の終結から5年たち、
多賀家では総領の多賀大領は側室のお柳の方に入れ込み、
それを諌める忠臣花房元女は、大領の怒りをかいます。
さらに、家宝の香炉も盗まれてしまい、
それを取り返すために家を出てさすらいの身となっています。
序幕 浅野川々端多賀家下館塀外の場
浅野川々端の場
浅野川堤の場
求女の家来、鳥井又助は、
主人を助けるために、側室お柳の方を亡きものにしようと
企みます。
しかし、敵の方が一枚上手で、
又助は誤って、正室梅の方を殺めてしまいます。
実は、お柳の方とその兄の望月弾正が仕組んだ罠、
二人はお家乗っ取りを企んでいたのでした。
二幕目 八丁畷三昧の場
花の山の場
一方、岩藤を退治したことで
二代目として中老尾上の名を継いだお初は、
自害した尾上の祥月命日のお墓参りへ出かけます。
その帰りに、ふと、岩藤にも回向をと思い付き
念仏を唱えたところ、
恐ろしいことに土手に散らばっていた岩藤の白骨が寄せ集まり、
岩藤の亡霊が現れるのでした。
岩藤は、殺された無念を果たそうと
ふわふわ宙を飛んで去っていきます。
三幕目 多賀家奥殿草履打の場
多賀大領の娘の花園姫は病で床に臥しています。
尾上がその平癒祈願から戻ったところに、
望月弾正が上司としてやってきます。
病床の姫の代わりに
弾正に対応する尾上に対し、
お家に悪事を働く悪者と決めつけます。
その時
なぜか当たりが急に薄暗くなります。
そこに姿を現したのが岩藤の亡霊です。
岩藤は、尾上が手にした祈願には
姫の不幸の願うと書かれているのだと言い、
尾上を草履で打ちすえます。
しかし、尾上も負けてはいません。
鬼子母神像でその悪霊を追い払うのでした。
気づくと、また元の弾正がいる部屋
尾上には訳がわかりません。
四幕目 鳥井又助内切腹の場
鳥井又助の家には、主人の求女が身を寄せていました。
そこに家老の安田帯刀がやってきます。
帯刀の話から、
又助は、自分が謝って梅の方を手にかけたこと、
その咎が求女に向けられていることを知ります。
又助は弟の志賀一が弾く箏の音を聞きながら自害します。
又助には生き別れた妹がいて、
その妹に会えないことが心残りでした。
しかし、そこに現れたお柳の方が
自分こそが又助の妹であると告げ、
自分の悪事を後悔し、きっとなんとかすると
誓うのでした。
大詰 多賀家下館奥庭の場
事が進まない様子に焦った弾正は
自ら大領に刃を向けます。
しかし、そこにいたのはお柳。
行いを悔いたお柳が身を挺して大領を守ったのです。
弾正の悪巧みもついにここで尽きたのです。
しかし、まだ恨みを持つ岩藤の亡霊が残っています。
岩藤は尾上に襲いかかりますが、
大領が手にした鬼子母神像の力に勝てず
元の骸骨に戻ります。
悪党が成敗され、帰参のかなった求女、
花園姫の病も治り
多賀家は平和を取り戻すのでした。
このお芝居は、「鏡山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」の
後日談として書かれたものです。
今年の1月に、国立劇場で上演された
「鏡山」では、初代尾上を中村時蔵さん、
お初(2代目尾上)を8尾上菊五郎さんが
演じていました。
今月の「加賀見山再岩藤」では、
その中村時蔵さんがAプロで2代目尾上を演じます。
初役だそうで、Bプロの中村萬寿さんと親子競演という
なかなかに興味深い尾上対決が見られそうです。
3月大歌舞伎夜の部の演目、配役、簡単なあらすじは?
一、壽春鳳凰祭(いわうはるこびきのにぎわい)
今井豊茂 作
【配役】
帝 中村 梅玉
女御 中村 雀右衛門
大臣 坂東 彦三郎
大臣 中村 歌昇
女御 坂東 新悟
大臣 大谷 廣太郎
女御 中村 種之助
大臣 中村 橋之助
女御 市川 男寅
女御 市川 門之助
女御 市川 高麗蔵
大臣 河原崎 権十郎
女御 市村 萬次郎
大臣 大谷 友右衛門
女御 中村 魁春
【簡単なあらすじと見どころ】
歌舞伎座の文様としても使われている
鳳凰にちなん大舞踊劇。
平安時代の王朝の雰囲気を醸し出す
豪華で華やかな舞踊の世界を楽しみたいものです。
ここに、人間国宝の中村梅玉さんや、
中村雀右衛門さん、中村魁春さん、
期待の中堅役者が出揃っているのが
少しもったいない気もしています。
舞踊もいいけど、お芝居も見たいなあ
二、通し狂言三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)
河竹黙阿弥 作
【配役】・・・ABダブルキャスト
お嬢吉三 中村 時蔵
お坊吉三 中村 隼人
和尚吉三 A:尾上 松緑
B:坂東 巳之助
手代十三郎 市川 染五郎
伝吉娘おとせ 尾上 左近
釜屋武兵衛 市村 橘三郎
八百屋久兵衛 嵐 橘三郎
土左衛門伝吉 中村 歌六
堂守源氏坊 中村 吉之丞
長沼六郎 市川 男女蔵
【簡単なあらすじと見どころ】
序幕 大川端庚申塚の場
節分の夜、夜鷹のおとせは拾った100両を懐に
夜道を歩いていたところ
美しい娘に道を尋ねられます。
親切に案内していたところ
盗賊の本性を表した娘に金を奪われ川へ突き落とされます。
この娘こそお嬢吉三と呼ばれる盗人。
その様子を籠の中から見ていた
お坊吉三もやはり盗人で、
その100両の取り合いになります。
止めに入ったのが和尚吉三、
三人は同じ名を持つものとして義兄弟の契りを交わします。
二幕目 割下水伝吉内の場
本所お竹蔵の場
伝吉の家に、八百屋久兵衛に助けられたおとせが
帰ってきます。
そこには、久兵衛に助けられた十三郎がいました。
おとせが持っていた100両は
この床を共にした後に十三郎が忘れていったものでした。
伝吉は九兵衛の話から
十三郎はおとせの双子の兄だと気づきます。
しかし、恋したう二人を見て何も言うことができません。
そこへ和尚吉三は二人から預かった100両を
伝吉に渡そうとしますが、
ろくな金じゃない、と受け取ろうとしません。
和尚吉三だと思って投げ返したところ、
別の相手だったことに気づき、
伝吉はそのあとを追いかけます。
それを拾ったのは、釜屋武兵衛でした。
さらに、武兵衛からお坊吉三がその金を奪い取ってしまいます。
伝吉は、取り返そうとしますが、
お坊吉三は無慈悲にもその伝吉を斬り去っていきます。
三幕目 巣鴨吉祥院本堂の場
裏手墓地の場
元の本堂の場
吉祥院に住む和尚吉三にお坊吉三が会いにきました。
留守中の和尚吉三が戻って程なく、
捕手頭の六郎がやってきて、
お坊吉三とお嬢吉三を捕まえたら見逃してやる
と告げました。
六郎が帰ってから、お坊吉三の話を聞いていると
お坊吉三の短刀がないことに気が付きます。
その短刀は、伝吉を斬った時に落としたのです。
そこに、おとせが十三郎を伴ってやってきました。
斬り殺された伝吉の仇をとってほしいと
兄の和尚吉三に頼みにきたのです。
和尚吉三は詳しい話は裏の墓地で聞くと
二人を行かせ、後から向かいます。
和尚吉三はお坊吉三が父の伝吉を殺したことに気が付きました。
そして、おとせと十三郎は互いに知らず、
兄妹の関係で愛し合っていることにも気が付きました。
このままだと畜生道に落ちてしまうと思った和尚吉三は、
義兄弟であるお嬢吉三とお坊吉三を助けるため
首をくれと懇願するのでした。
一方、お堂にはお嬢吉三も隠れていました。
お坊吉三は、自分が手にかけたのは和尚吉三の父だと知り、
二人して自害すれば和尚吉三は見逃してもらえる
と互いに死ぬことにしました。
そこへ帰ってきた和尚吉三の手には
身代わりにするおとせと十三郎の首がありました。
和尚吉三は、二人にかたぎになって生き延びろと諭し、
お嬢吉三に久兵衛に渡すように100両を
お坊吉三にお嬢吉三の脇差を渡します。
実は、お嬢吉三こそ八百屋久兵衛の子であり、
お嬢の持っていた脇差こそ、お坊吉三のお家が断絶の元となった宝刀だったのです。
和尚吉三は首を持って六郎の元へ走ります。
大詰 本郷火の見櫓の場
浄瑠璃「初櫓噂高音」
火の見櫓の下では、
追い詰められたお嬢吉三とお坊吉三が
奮闘しています。
和尚吉三も首が偽物とバレたことで
同じように捕手に囲まれてしまいました。
一瞬の隙を見て逃げ出した時
八百屋久兵衛に会うことができ、
出来事の発端となった100両の金と
お坊吉三の家の刀を渡します。
そして、三人は雪の中捕手に向かって走っていくのでした。
昔のハリウッド映画「明日に向かって撃て」のラストシーン、
ブッチとサンダンスが敵の中に向かっていくところ、
それを思い出させる三人吉三のラストシーンです。
このお芝居は、白浪ものの一つで
三人の同じ名を持った盗人の絡みあう因果が切ない名作。
悪党が主人公なんだけど、
そうなってしまうあれこれに身悶えしてしまうお芝居です。
和尚吉三を尾上松緑さん、坂東巳之助さんのダブルキャストが
話題でもあります。
3月歌舞伎座公演のスケジュールは?
歌舞伎座の3月大歌舞伎公演は、
3月5日(木)が初日で26日(木)が千穐楽となります。
休演日が11日(水)と19日(木)です。
昼の部は学校団体が入る日がありますが、
昼夜ともに貸切公演はないようです。
しかし、注意しなければならないのは
この公演は昼夜共に主役がダブルキャストなことです。
こちらに表にしたので参考になさってください
| 演目 | 役名 | Aプロ | Bプロ |
| 昼の部「加賀見山再岩藤」 | 岩藤・鳥井又助役 | 坂東巳之助 | 尾上松緑 |
| 二代目尾上役 | 中村時蔵 | 中村萬壽 | |
| 夜の部「三人吉三巴白浪」 | 和尚吉三 | 尾上松緑 | 坂東巳之助 |
A,Bの日程については、こちら(歌舞伎美人より引用)をご覧ください。

歌舞伎美人HPより引用
そして、上演スケジュールはこちらです。
幕間の時間をうまく利用して、
歌舞伎座での観劇を楽しんでくださいね!
| 昼の部 | 11時開演 |
| 通し狂言:加賀見山再岩藤~骨寄せの岩藤 発端・序幕 | 11時~11時46分 (幕間20分) |
| 通し狂言:加賀見山再岩藤~骨寄せの岩藤 二幕 | 12時6分~12時31分(幕間20分) |
| 通し狂言:加賀見山再岩藤~骨寄せの岩藤 三幕 | 12時51分~13時18分(幕間35分) |
| 通し狂言:加賀見山再岩藤~骨寄せの岩藤 四幕・大詰 | 13時53分~15時20分 |
| 夜の部 | 16時30分開演 |
| 壽春鳳凰祭 | 16時30分~16時47分(幕間25分) |
| 通し狂言:三人吉三巴白浪 序幕・二幕 | 17時12分~18時30分(幕間35分) |
| 通し狂言:三人吉三巴白浪 三幕・大詰 | 19時5分~20時20分 |
歌舞伎座3月公演の観劇レビュー!
3月歌舞伎座の歌舞伎公演も、昼夜共に観劇します。
懐の都合上、A,B全てとはいかないのですが、
観劇した感想はこちらに書いていきます。
観劇予定の方は、ネタバレ注意です。
観劇未定の方、こちらを参考に劇場へ足をお運びいただけると嬉しいです。
3月大歌舞伎昼の部の感想
*観劇したら追記します。
3月大歌舞伎夜の部の感想
3月歌舞伎座公演(2026)の夜の部を、
初日の5日に観劇しました。
毎月初日は、特別な賑わいで
歌舞伎座も華やかになるのですが
開場前に並ぶことなく、
イヤフォンガイドもトイレも
すいすいと済ませることができました。
ふと、周りを見ると
3階席でも空席が目立ちます。
ルパンも曽根崎心中もある中だし、
いい演目、いい役者とはいえちょっと地味かも
こんなに客の入りが悪い初日って大丈夫かしらと
思ってしまいました。
では演目について感想を書いていきます!
三人吉三は長いので2つに分けます。
壽春鳳凰祭(いわうはるこびきのにぎわい)は・・・
1つ目の演目は「壽春鳳凰祭」、
たった17分と短い舞踊劇ですが
幹部クラスの大勢の役者さんの群舞ということで
期待していました。
結論から言うと、がっかりでした。
初日のせいというのもありますが、
バラバラ、チグハグという印象を覚えました。
振りもあっていないし、
気持ちも乗っていない感じがするし、
見た目は華やかで綺麗だけど
祝う気持ちも、恋の喜びや嬉しさも
ほぼ伝わってこなかったです。
誰がどう、、とは書きたくないのですが、
動きがギクシャクとロボットみたいな方もいらして
みていて不安になる場面もありました。
たったの17分だけど
こんなに密度の濃い17分を観られて幸せ
そんな気持ちにすることはできないのかなあ。
これは今月の構成の問題もあるかもしれませんが
ワクワクする気持ちが冷めていくような
そんな17分になってしまった気もしています。
ピンポイントで見ると
いいなあ、素敵だなあという場面もあったのですけど、
総体的には残念な気持ちの方が強かったな。
これが、千穐楽に向けて改善されることを祈ります。

松竹サイトより引用
三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)序幕・二幕の感想
三人吉三は、河竹黙阿弥の名作、
七五調のセリフや登場人物の描写など
見どころも多いのですが、
なんといっても入り組んだ「因果応報」を
エピソードを絡めて回収していくストーリー展開にも
大きな魅力がある演目だと私は思っています。
だから、そのお芝居を通しでやってくれるのは
すごく嬉しい!
私が観劇したのは、尾上松緑さんが和尚吉三を演じたAプログラムでした。
今回の配役は割と私好みです。
お坊がイケメン中村隼人さん、
お嬢が綺麗で凄みの出せる実力派女形時蔵さん、
土左衛門伝吉に脇ならなんでもお任せ人間国宝歌六さん、
悲劇のカップルおとせと十三郎に
めっぽう売り出し中の綺麗どころ、左近さんと染五郎さん。
面白くないはずがないという
私個人的には100点満点つけたいくらいの配役です。
花道から、おとせが出てきて、お嬢が声をかけて
お金をゆすりとって、お坊がそこに口を出して斬り合いとなり、
和尚の口添えから義兄弟の契りを交わす大川端!
流れるようにストーリーが進み、
「月は朧に白魚の。。。」の名セリフで
どっぷり芝居に引き込まれました。
この幕に出揃った登場人物は
ここでは明かされないし
本人たちもわかってないけど、
皆、親の因果を背負っての今を生きている人たちです。
歌舞伎は何回観ても面白いと思える理由の一つが、
毎回新たな発見があることです。
今回の私の発見は、彼らの背負う「因果」が
この後の芝居でその報いを受けていくのだということを
強く実感したということ。
お嬢吉三は八百屋お七の格好をしているけど
実は八百屋の息子だったとかね。
お坊は無茶な因縁をつける盗人だけど、
刀を試しているのかもとかね。
序幕だけで、これほどワクワクできてしまいました。
第二幕目は、伝吉の家、
ここは夜鷹の元締めでもあることを匂わせる
3人の夜鷹のやりとりが面白かったです。
三人吉三の大川端の斬り合いをパロったやりとり、
結構好きな尾上緑さん、と他のお二人で
陰惨な場面のまえに笑わせてくれてありがとうって感じです。
ここでは、三人吉三の意外なつながりが
伝吉と尋ねてくる八百屋久兵衛の間で交わされます。
序幕で川に突き落とされたおとせを助けたのが八百屋久兵衛、
その久兵衛の養子である十三郎を助けたのが伝吉、
そして二人は夜鷹と客として出会い
愛し合うようになってしまいます。
互いに知らぬことですが、実は十三郎は伝吉が昔捨てた息子、
つまり二人は兄妹なので、近親⚪︎⚪︎という恐ろしい関係。
また、伝吉は和尚吉三の父、
和尚が父のために渡そうとした金は因縁の100両です。
短い間に物語の主要な因縁がこの場に集まるのです。
ここで苦悩を見せるのが歌六さんの伝吉、
やっぱり独白がうまいなあ、、、
このお芝居、七五調のセリフが聞きどころなのですが、
全てが耳に心地よいとは言い難いです。
機械的に節を回しているようにも聞こえることがあり、
そうなると何を言いたいのかが入ってこないのです。
しかし、歌六さんのセリフは心の中にずんずん入ってきます。
そのお役としての言葉だから響くのだと思いました。
この幕切れは、
和尚だと思って投げつけた金を受け取ったのが別人と知って
伝吉が追いかけるのですが、
それをゆすりとったお坊吉三に無惨に殺されしまう場面です。
この時に、お坊が伝吉の人相から、
悪党の匂いを嗅ぎ取ったことで
容赦ない仕打ちともなってしまうのですが
その陰惨さが滲み出ていてドキドキしながら見ていました。
証拠となる小柄(こづか)が、おとせ、十三郎の手に渡る場面も
絡まった因縁がひとところに吸い寄せられる不気味さを
感じながら見ていました。
黙阿弥大先生すごいお芝居ですよ〜と
心の中で叫んでしまいました。

松竹サイトより引用
三人吉三巴白浪三幕・大詰の感想
三幕目からは、いよいよ悲劇のラストシーンへと突入していきます。
観客側で見ている私には、
なんとかも連れた糸を解いて、
皆が幸せになってくれないか、、と願うのですが、
この物語はそれを許してくれません。
どう足掻いても、最終場面に突き進むしかないのです。
吉祥堂に和尚を訪ねてきたお坊吉三、
須弥壇に隠れているところ、
同じく和尚吉三を尋ねてきたおとせと十三郎の話を聞いて
自分が手にかけた伝吉が和尚の父だったことに気づきます。
和尚も二人の話を聞いてそれに気づきますが、
さらに伝吉が昔お坊の父を殺し庚申丸を盗んだことで
お家断絶のきっかけを作ってしまったことや、
お嬢が盗んだ100両は十三郎のものであったことなど
因果の報いが一気に押し寄せていることにも
胸が張り裂ける思いでいるのです。
今まで何回かこのお芝居を見てきて、
今回はその因果の解消を一手に和尚が引き受けようとしていることを
より強く感じました。
そして、地蔵裏での殺戮になるのですが、
おとせと十三郎がお揃いのぶち模様の襦袢を身につけているのを見た時、
ゾワゾワと背筋に寒気が走りました。
ああ、伝吉が昔殺した犬の呪いか、、、、。
一方、その和尚の胸の内を知らないお坊とお嬢は、
自分たちがしでかしたことで
和尚の家族を不幸せにしてしまったと信じています。
そのため、二人で死のうとするのですが、
この二人のやりとりが、
男同士にも関わらず、
男女の心中のようにも見えるのが歌舞伎らしいと思いました。
時蔵さんのお嬢は、男が女装しているとわかってるのですが、
女形だけあって、女性のようにも見えるのです。
禁断の何かに足を踏み入れたような気にさせる
お坊とお嬢の対話も印象深い場面でした。
そして、互いに命を・・・というその時に
和尚が走り戻ってきます。
そうして、お嬢とお坊に死んではいけない、と
これまでの因果を語り、
堅気になって生き延びるように話すのです。
2人にはしなければならないことがあります。
お坊は、庚申丸を将軍家に返してお家の復興を願うこと、
お嬢は、十三郎が失った100両を義父(お嬢の父)の八百屋久兵衛に返すこと、
和尚の手にはおとせと十三郎の首がありました。
なんとも残酷な、、と思うところですが、
真実を知って嘆く姿を見るよりは
夫婦として死なせてあげたいという和尚の慈悲も
あったのだろうなあとただただ悲しい運命に涙です。
そして一気に雪のラストシーンへ。
木戸を挟んでお坊とお嬢と和尚が揃います。
八百屋久兵衛も現れ(なんたる偶然!できすぎだけど笑)、
三人の懸案は全て晴れました。
あとは命の終わりまで共に、というラストです。
三人の盗人、
だけどそうなったのも不幸な偶然が重なった結果、
その運命を丸ごと受け入れ潔く死に花を散らす
三人の吉三の姿はとても美しく気高く悲しみに満ちていました。
派手さはないお芝居でしたが、
見どころをしっかりと見せてくれました。
大満足の観劇でした。

松竹サイトより引用
お読みくださりありがとう存じまする。
-120x68.jpeg)
-120x68.jpeg)
コメント