映画「国宝」を観ました。
歌舞伎ファンならず、多くの人が映画館に足を運び
感動の声をあげています。
私も映画後半は泣きっぱなしで、
観終わった後、様々な思いが頭の中を駆け巡っていました。
誰がモデル?ロケ地はどこ?ってことも気になりますね。
この記事では、「国宝」のモデルやロケ地、あらすじに加え、
取り上げられた演目や評価も書いていきます。
もちろん私の感想も書いていますよ。
国宝(映画)のモデルはいる?
歌舞伎の女方で国宝で、、って
モデルは誰なの?って気になってる人多いようです。
名前が上がっている、坂東玉三郎さん。
この方は、ご実家が小料理屋で舞踊が好きだったことから
歌舞伎の道に入り、国宝にまでなられた方です。
坂東玉三郎さんは、
14歳という異例の若さで十四代目守田勘弥の芸養子となり、
五代目坂東玉三郎を襲名されました。
2012年、62歳で人間国宝として認定されています。
御曹司とは違い、一般家庭から歌舞伎役者を目指したこと、
映画の主人公喜久雄と同年代で国宝に認定されたことなどから候補に上がっているようです。
でも私は、これは違うと断言しておきましょう。
もう一人は、故中村歌右衛門さんです。
この方は昭和の大女方で、
「国宝」の李相日監督が、はじめに作りたいと思ったのが、
故中村歌右衛門さんをモデルにした歌舞伎役者の人生、
というところからそのお名前が上がっているようです。
どちらかというと田中泯さんが演じる万菊が、故中村歌右衛門さんを
彷彿とさせる存在だったなあと思います。
原作者の吉田修一さんは、歌舞伎役者の人生を本にしようと考え、
四代目中村鴈治郎さんのもとで雑用をこなしながら
歌舞伎界について取材し、その身をもって体験したそうです。
そこで見たこと、聞いた話、そんなことからこの人物像は作られたのではないか
と私は考えています。
数々の役者が芸を磨こうと精進しており、
それは梨園出身の御曹司に限らず、
一般家庭から歌舞伎界に入った人にも言えるでしょう。
過去には誰かを騙したり、陥れたりしたこともあったでしょう。
その中で、様々な人生模様があり、それらの中から生まれたのが
喜久雄であり俊介ではないかと思うのです。
誰がモデル?という見方も面白いとは思いますが、
あの二人の中に、誰のどんなエピソードがあったんだろう?
って見方も面白いと思います。
映画国宝のロケ地はどこ?
【京都】
・京都南座
京都の歌舞伎のお芝居シーンが撮影されていました。2階席のカーブのある手すりが特徴的です。
鴨川沿いの建物も少し映りましたね。
・ウェスティン都ホテル京都
俊介と喜久雄が再会したホテル。春江が男の子を遊ばせていたロビーもこちらです。
・先斗町歌舞練場
歌舞伎のシーンで使われていました。
おそらく、連獅子を見たのはここではないかと思います。
・今宮神社参道
襲名披露で、人力車に乗った半次郎と喜久雄が通る道です。
・レストラン百花園
どさ回りの途中で、喜久雄と彰子が立ち寄ったレストランです。
テレビに映し出された俊介と二人そーすとのギャップに物悲しさを感じた人も
多かったのではないでしょうか。
【滋賀県】
・滋賀県立総合病院
俊介が入院する病室の撮影が行われたそうです
・びわ湖大津館
日乃本座の外観、稽古場やロビーなど、の撮影が行われたそうです。
俊介と春江が手を取り出ていく場面が印象に残りますね。
映画『国宝』ロケ地
日乃本座の外観、ロビーなどが撮影された「びわこ大津館(旧琵琶湖ホテル)」歌舞伎座設計も手がけられた岡田信一郎氏による設計で1934年に建てられた。撮影2021年9月 #映画国宝 https://t.co/WX99fyXphD pic.twitter.com/TAE5mMoqzC— COLOR of CINEMA (@emanon23) June 15, 2025
【兵庫県】
・出石永楽館
近畿地区最古の芝居小屋。古くから芝居小屋として使われており、今でも現役です。
風情ある小屋の作りが目に焼き付いています。
映画『国宝』のロケ地として使用された近畿最古の芝居小屋、出石永楽館
奈落も看板も見応えがあった pic.twitter.com/xHiDmnwZkV
— ぱんくま (@clipnotebook) June 7, 2025
【東京都】
・国立劇場
客席や楽屋の一部に、建て替え構想が頓挫している国立劇場が使われています。
ああ懐かしい、と思う歌舞伎関係者はファンの声も多し。
国宝(映画)のネタバレあらすじ
長崎の任侠立花組の新年会の抗争で
一家の長男喜久雄の目の前で組長である父が殺害されます。
喜久雄は、敵討も叶わず、
新年会での喜久雄の芸に惚れ込んだ上方歌舞伎役者、沢井半次郎の家で
歌舞伎役者としての人生を歩き始めます。
半次郎には菊男と同い年の俊介という跡取りもおり、
二人は互いに切磋琢磨しながら
歌舞伎役者の階段を登っていきます。
ある時、半次郎が事故に遭い、
その代役として喜久雄が抜擢されます。
御曹司を差し置いて、部屋子の喜久雄が、、と
周囲には波風も立ちます。
平穏を装い、喜久雄を応援した俊介ですが、
本番の舞台での喜久雄の存在に圧倒され、
喜久雄の恋人春江を連れて歌舞伎界から去ってしまいます。
俊介の出奔から8年後、病で己の先に不安を感じた半次郎が、
喜久雄に3代目半次郎を襲名すると宣言します。
しかし、その舞台で半次郎は倒れ、程なく他界してしまいます。
父親もなく、師匠も亡くなった喜久雄には
後ろ盾がいません。
あっという間に3階役者へと落ちていきます。
それでも、なんとか這い上がりたいという目論見で
自分を慕う吾妻千五郎の娘彰子と関係を持ちます。
しかしそれがバレ、歌舞伎界を追われてしまいます。
どさ回りでなんとか生きていた二人ですがそれも破綻、
そんな喜久雄のもとに、竹野が現れ、小野川万菊の元に連れていきます。
再び、舞台に戻り、俊介と共に舞う「道成寺」の舞台で、
俊介が倒れてしまいます。
糖尿病を患う俊介の右足は壊疽しており、切断しなくてはならなかったのです。
片足でもまた舞台に立ちたいという俊介の願いを叶えようと喜久雄もまた奮闘します。
しかしその願いも虚しく・・・
それから17年後、喜久雄は異例の速さで歌舞伎界のトップへと上り詰め、
人間国宝の認定も決まります。
その舞台で喜久雄が見たものとは・・・。
映画は3時間の大作で、
喜久雄を中心に、それを取り巻く人々の人生を織り交ぜています。
その中で、象徴的に使われる歌舞伎演目が
物語とリンクしているのが印象深かったです。
次に、取り上げられていた演目について紹介します。
映画「国宝」の歌舞伎演目は?
映画、国宝では、5つの舞踊劇と1つのお芝居が登場します。
「関の扉」
天下を狙う悪人関兵衛(実は大伴黒主)と遊女墨染(実は小町桜の精)が織りなす舞踊劇
「連獅子」
中国は清涼山に住むという獅子の親子の伝説を舞踊劇で表す演目
*こちらの画像は2月の歌舞伎座公演より
「二人藤娘」
娘に扮した藤の精が恋に悩む女心を踊る舞踊劇
*こちらの画像は、五月の歌舞伎座三人道成寺です
「二人道成寺」
道成寺の鐘供養に現れた美しい白拍子が見せる奉納舞、しかしこの白拍子の正体は蛇であるという舞踊劇
「曽根崎心中」
友人に騙され面目を潰されて行き場をなくした徳兵衛と遊女お初が心中を果たす悲しいお芝居
「鷺娘」
人間に恋をしてしまった鷺の精が恋の嬉しさ、虚しさを踊るうちに、望みが絶たれその命も尽きてしまう舞踊劇
これらの演目を当たり役としているのは
確かに一流の歌舞伎女方であることから
どうしてもモデル探しになっちゃいますね。
映画国宝の評価はどうなの?
映画「国宝」は6月6日に封切られ、十日間で、
観客動員数85万人、興行収入11.9億円を突破したそうです。
この結果には、口コミが大きく影響したと見られています。
実際に、歌舞伎役者の市川團十郎さんが、
自身のSNSで観劇した事を報告、
その際、主演の二人の演技や歌舞伎描写の素晴らしさを
讃えていらっしゃいました。
また、私の周りの4〜60代のある程度影響力のある方達も
映画を観劇したことを公表していたことから、
その声に押されるように見に行く人が増えているという
現象を目の当たりにしました。
大人の鑑賞に耐え得る作品というのも高評価につながっているのではと考えられます。
初日のアンケート結果も97.2%の満足度となっており、
概ね、見た方の評価は高く、
わかりづらいとされている歌舞伎への取り組みが
またまた好評であることもその要因と思います。
今後、海外での封切もあるということなので、
ますますの盛り上がりに期待したいところです。
そして私としては
その盛り上がりのまま、歌舞伎の舞台への流入が
増えることを期待してしまいます。
国宝(映画)の感想
私は、6月13日に「国宝」を見てきました。
先に、本物の人間国宝を見に、歌舞伎座に行っちゃったんで、
映画の国宝は遅くなりました。笑
映画を見て強く印象に残ったことが3つあります。
1つは、歌舞伎役者の業と血です。
2つ目は、取り上げられている演目がストーリーにリンクしていたことです。
3つ目は、登場人物それぞれの描かれ方にリアリティが強く感じられたことです。
これらについては、また追記しますので、
よかったらまた読みにきてください。
『国宝』人間国宝役・田中泯の人間離れした存在感話題 「異次元」「恐ろしい凄み」 https://t.co/p7TMtpAYhD @cinematodayより
— MIN TANAKA☆田中泯★Madada Inc.★石原淋RIN ISHIHARA☆ (@MadadaDance) June 15, 2025
ここまでお読みくださり、
ありがとう存じまする。
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