若手歌舞伎役者の登竜門とも言われる「新春浅草歌舞伎」。
2026年も浅草公会堂で開催されます。
中村橋之助さん、中村莟玉さん中心に、
若手花形役者6名が、芸を凌ぎ合う姿にワクワクします。
令和8年の新春浅草歌舞伎について演目やあらすじ、上演スケジュール、
おすすめの座席と感想もまとめてお伝えします。
追:1月19日未明に出演者の中村鶴松さんが逮捕されると言うショッキングなニュースが入りました。そのため、一部出演者が変更していますことを申し添えます。
なお、それ以前に書いた記事については手直しをせずそのまま掲載しています。

新春浅草歌舞伎の演目・配役・簡単あらすじ
新春浅草歌舞伎は第一部と第二部に分かれていて
それぞれ演目が違います。
共通しているのが、
お芝居の前の「お年玉」と呼ばれる役者さんからのご挨拶。
日替わりなので、誰の挨拶が当たるかも楽しみなのです。
それでは、それぞれの部の演目と配役、
簡単なあらすじを紹介します。
新春浅草歌舞伎第一部の演目、配役、簡単なあらすじ
お年玉〈年始ご挨拶〉
*出演役者が日替わりで務めるご挨拶
個性が感じられる一言に興味がそそられます。
お年玉〈年始ご挨拶〉スケジュール
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第1部(午前11時開演)
2日 (金) 橋之助 初日
3日 (土) 莟 玉
4日 (日) 左 近
5日 (月) 鶴 松
6日 (火) 橋之助
7日 (水) 莟 玉
8日 (木) 左 近
9日 (金) - - 休演
10日 (土) 鶴 松
11日 (日) 橋之助
12日 (月・祝) 第1部休演
13日 (火) 莟 玉
14日 (水) 鶴 松
15日 (木) 左 近
16日 (金) 鶴 松
17日 (土) 橋之助
18日 (日) 莟 玉
19日 (月) - - 休演
20日 (火) 莟 玉
21日 (水) 橋之助
22日 (木) 左 近
23日 (金) 莟 玉
24日 (土) 左 近
25日 (日) 橋之助
26日 (月) 橋之助 千穐楽
一、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
鶴ヶ岡八幡社頭の場
〈配役〉
梶原平三景時 市川 染五郎
俣野五郎景久 市川 男寅
奴菊平 中村 鶴松
18日公演より中村 橋吾
囚人剣菱呑助 中村 吉兵衛
六郎太夫娘梢 尾上 左近
大庭三郎景親 中村 橋之助
青貝師六郎太夫 中村 又五郎
〈あらすじと見どころ〉
早春の鎌倉八幡宮に、源頼朝らを石橋山で破った
平家方の武将・大庭三郎景親(おおばさぶろうかげちか)と
俣野五郎(またののごろう)兄弟、
梶原平三景時(かじわらへいぞうかげとき)が参詣し語らっているところに
青貝師(螺鈿細工の職人)六郎太夫(ろくろだゆう)と
娘梢(こずえ)が訪ねて来て、大庭に家宝の刀を買ってほしいと頼みます。
大庭は梶原に刀の目利き(鑑定)を頼むと、
梶原は一目見て「天晴れ稀代の名剣」と賞賛します。
大庭は大喜びで買おうとしますが、
俣野が横からその真偽を疑い口を出すため、
二人重ねて一刀に斬る「二つ胴(ふたつどう)」を試すことになります。
しかし、試し斬りにできる死罪となった囚人は1人しかいないので
それは難しく刀の購入に渋い顔を見せる大庭。
すると六郎太夫は、刀の検分書があると娘を家に使いにやってから、
自ら犠牲になるから二ツ胴の試し斬りをしてくれと言います。
梶原が試し斬りをすることになり、
戻ってきた梢が驚き嘆く前で、梶原は呑助と六郎太夫を重ねて斬ります。
しかし、斬れたのは上の囚人のみ
大葉兄弟は偽の刀と嘲その場を立ち去ります。
しかしこれは、わざと失敗したように見せた梶原の策略でした。
梶原は父娘が刀を売るのは源頼朝再挙の軍資金調達のためだと見抜き、
二人に自分の本心は源氏方にあることを明かします。
そして刀が名剣である証拠に、
神前の手水鉢を一刀両断にして見せるのです。
喜ぶ父娘に刀を買い上げる約束をして、
連れだって屋敷へ帰って行くのでした。
*詳しくはこちらもお読みください

・・・・・・・・・・・・
このお芝居は、クライマックスの刀の試し斬りの型が
演じる役者によって違います。
吉右衛門型は客席に背を向け斜めから斬る、
羽左衛門型は井戸の向こう側に立ち正面を向いて斬った後、井戸を飛び越して前に出ます。
初役の市川染五郎さんにとって故中村吉右衛門さんは大叔父様でしたし、
六郎太夫役の中村又五郎さんは播磨屋なので、
吉右衛門型を継ぐのかなと思うところです。
また、父思いの梢を尾上左近さんがどう演じるのかも
楽しみなところです。
二、上、相生獅子(あいおいじし)・下、藤娘(ふじむすめ)
〈相生獅子 配役〉
姫 中村 鶴松
18日公演より市川 男寅
姫 尾上 左近
〈あらすじと見どころ〉
二人の姫が恋しく思う男を思い
恋心を舞って見せます。
その姫に獅子の精が乗り移り
毛を振り立てて激しく舞い踊ります。
・・・・・・・
獅子が出てくる舞踊のことを石橋物といいますが
この相生獅子はその中でも女性の姿で舞うという
珍しい演出となっています。
鶴松さんも左近さんも姫の美しさには定評があるところ、
どんな女獅子が見られるか興味津々です!
〈藤娘 配役〉
藤娘 中村莟玉
〈あらすじと見どころ〉
藤の花の精が若い女性の姿になり
恋心を舞い踊ります。
恋の始まりの浮かれ心
浮気男を責める心、恋しい男を引き留めたい心など
様々な様相を見せて舞うのです。
・・・・・・・・・
映画「国宝」で話題になった「藤娘」。
中村莟玉さんは、一般家庭から中村梅玉さんの
芸養子となり活躍が注目される歌舞伎役者さんです。
まさに「国宝」に合わせた配役?
しっとりとした莟玉さんの魅力を味わいたいものです。
新春浅草歌舞伎第二部の演目、配役、簡単なあらすじ
お年玉〈年始ご挨拶〉
*出演役者が日替わりで務めるご挨拶
個性が感じられる一言に興味がそそられます。
第2部(午後3時開演)
2日 (金)莟 玉 初日
3日 (土)男 寅
4日 (日) 染五郎
5日 (月) 左 近
6日 (火) 男 寅
7日 (水) 染五郎
8日 (木) 莟 玉
9日 (金) - - 休演
10日 (土)男 寅
11日 (日)染五郎
12日 (月・祝) 左 近
13日 (火) 休演
14日 (水) 男 寅
15日 (木) 染五郎
16日 (金) 男 寅
17日 (土) 莟 玉
18日 (日) 左 近
19日 (月) - - 休演
20日 (火) 左 近
21日 (水) 染五郎
22日 (木) 男 寅
23日 (金) 左 近
24日 (土) 染五郎
25日 (日) 莟 玉
26日 (月) 莟 玉 千穐楽
出演が決まったらお知らせします。
一、傾城反魂香(けいせいはんごんこう)
近松門左衛門 作 土佐将監閑居の場
〈配役〉
浮世又平後に土佐又平光起 中村 橋之助
女房おとく 中村 鶴松
18日公演より中村 莟玉
将監北の方 中村 歌女之丞
土佐将監光信 中村 橋吾
狩野雅楽之助 市川 染五郎
土佐修理之助 市川 男寅
〈あらすじと見どころ〉
大和絵の一派、土佐派の総帥である土佐将監光信の邸の近くで、
ある日、近隣の百姓たちが、土佐将監のところまで、
藪の中に虎が逃げ込んだと訴えにきます。
弟子の修理之介が
こんなところに虎などいるわけはないと
言うものの将監、北の方の命令で
近くの藪を探すことにします。
そこに現れた虎、
しかし、将監はそれを、実物ではなく
狩野元信が書いた虎の絵から抜け出した虎であろうと見破ります。
絵であれば、消して見せると修理之介が、見事に虎の姿を消すことに成功します。
そのことに感心した将監は、修理之介に土佐の名字を名乗ることを許すのでした。
日暮れごろ、修理之介の兄弟子である浮世又平が、
女房おとくとともに、将監の元を訪れ、
自分にも土佐の名字をと懇願します。
生まれつき吃りのある又平は、思いをうまく伝えられないものの、
おとくの助けも借り身振り手振りでその思いを伝えるのです。
しかし、将監は又平の願いをはねつけ、
又平夫婦は悲嘆の涙に暮れます。
そこに、狩野元信の弟子である雅楽之介が現われ、
元信の姫の窮地を知らせ、助けを求めます。
自分をその助けに、、とも懇願する又平ですが、
その願いもはねつけられ、
絶望した夫婦は死を覚悟するのです。
この世の名残に、手水鉢に自画像を残そうと、
渾身の筆を振るう又平。
別れの水杯をすくおうとしたおとくは、
手水鉢の裏に通り抜けた自画像を発見して驚きます。
又平の執念が、起こした奇跡、
それを見た将監は、ようやく又平に名字を名乗ることを許すのでした。
そして、姫救出の一因にも加えられることとなり、
新しい着物と大小の刀も譲り受けます。
喜ぶ又平、
おとくが打つ鼓に合わせて出発の舞を舞います。
すると、又平の言葉もスルスルと出てきます。
又平、おとく、ともに喜ぶ中、又平は出発するのでした。
*「傾城反魂香」について詳しくこちらにまとめたのでよかったらお読みください。

・・・・・・・
夫婦の情愛が心を打つ名作です。
中村橋之助さん、中村鶴松さんが
どんな夫婦像を見せてくれるのか
楽しみです。
2年前には、中村歌昇さん、中村種之助さんが
演じたばかりのお芝居なのですが、
お正月らしく最後はめでたい気分になれるところが
とてもいいですね。
二、男女道成寺(めおとどうじょうじ)
〈配役〉
白拍子桜子実は狂言師左近 尾上 左近
強力 中村 橋之助
強力 市川 染五郎
白拍子花子 中村 莟玉
〈あらすじと見どころ〉
桜満開の道成寺で鐘供養の行われる日のこと。
集まった所化たちのところに桜子、花子という
2人の白拍子がやって来て、
鐘を拝ませてほしいと頼みます。
女人禁制でしたが、鐘供養の奉納の舞を舞うなら許すと言われ、
さっそく2人は舞い始めます。
ところが、桜子の烏帽子が落ちてしまい、
実は左近という狂言師であるとわかります。
帰ろうとする左近でしたが、
踊りを所望する所化たちが引き留めます。
花子が恋に目覚めた娘心を手拭いを使いながらしっとりと踊ると、
左近も登場して男女の恋のもつれを描き出します。
続いて、鞨鼓や鈴太鼓を打ち鳴らしながら軽快な踊りを見せる2人でしたが、
テンポが急に速まったかと思うと鐘の中に飛び込み、
蛇体となってその本性を顕しました。
実は2人は、愛する安珍との恋が成就せず、
嫉妬の念から蛇体となり、
道成寺の鐘に巻き付いて中に身を潜める安珍を焼き殺し、
自らも息絶えた清姫の怨霊だったのでした。
・・・・・・・・
道成寺ものも人気の演目、
映画「国宝」では「京鹿子二人娘道成寺」が注目を浴びました。
この「男女道成寺」は
男性狂言師と白拍子花子のペアでの踊りです。
尾上左近さんが途中から男の踊りになるところ、
どうなるのかすごく興味あります。
最後は蛇ですが、華やかな踊り!
やっぱり見てみたいですよね。
藤娘も道成寺も中村莟玉さんが舞うので、
やっぱり国宝を意識してるんじゃないかと思っちゃいます。
新春浅草歌舞伎上演スケジュール
新春浅草歌舞伎は、午前の部と午後の部で出し物が変わります。
誰をみたい、何をみたいという
希望がある方は内容をチェックしてから行かれることを
おすすめします。
午前の部は11時開演、午後の部は15時開演です。
休憩も含め全体で、約3時間ほどです。
部ごとの上演時間は、こちらの表の通りです。

日程は、こちらを参考になさってください↓

新春浅草歌舞伎座席表、おすすめは?
新春浅草歌舞伎は、浅草公会堂で上演されます。
一般の劇場ですが、花道も鳥屋も設置されるので
歌舞伎らしい劇場の雰囲気を味わえます。
それほど広くないので1階は
後方席でもよく見えます。
ちょっと平坦なので前が見づらく感じることもあります。

二階三階は、ちょっと高めの手すりがあり
意外と最前列が見づらいこともあります。
二階は3列目のまえにも手すりがあるので要注意。
加えて、2階3階ともに両端は見づらいです。

とは言っても、全く見えないわけではありません。
どのお席も、歌舞伎座に比べるとお安いので
お値段が気になる方でも1階席を選べますよ。
座席表はこちらをご覧ください↓
新春浅草歌舞伎の感想
新春浅草歌舞伎は、歌舞伎のお芝居に加えて
浅草のお土産を購入したり、
ロビーから浅草の景色を眺めたりと
色々な楽しみ方があります。
私もお芝居と一緒に浅草見学を
毎年楽しんでいます。
それでは、部ごとに感想をまとめます。
新春浅草歌舞伎第一部の感想
初日の1月2日に第一部を観劇してきました。
一番初めに向かうのは、ロビーのこのお写真のところ。
ここで、私もこの椅子に座って記念撮影をしてきました。

開演は11時、
まず初めはお年玉と呼ばれる出演者の挨拶です。
この日は、中村橋之助さんがご担当。
お話は落ち着いたものでさすが座頭という感じでした。
中でも涙を誘ったのは、
第二部の「傾城反魂香」のお芝居に関するエピソード。
中学時代、浅草の平成中村座に橋五郎さんと鶴松さんも共に出演していらして、
その時に見た仁左衛門さんの又五郎、勘三郎さんのおとくが
素晴らしくて、いつかはこれを2人でやろうねと
話していたそうなんです。
それから15年経って、同じ浅草の地で、
橋之助さん、鶴松さん共に初役でこのお芝居を演じられて
夢が叶ったとおっしゃってました。
だから第二部も見てね、のCMもありましたけど笑
そして、この後のお芝居に僕が出演するので
その準備の時間のために新たな試みも行います!とのこと。
それは、読売の扮装をした役者が、
お芝居やお正月に関する話題を面白おかしく話すこと。
なかなか、いい試みだと思うのですが
時間が長くてちょっと話だけだと間が持たないなあと感じました。
次は「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」です。
これは市川染五郎さんが初役で梶原平蔵を演じます。
対する大場三郎景親を中村橋之助さん、
青貝師六郎太夫に中村又五郎さん、その娘梢に尾上左近さん
という顔合わせです。
短いお芝居ですが、源平の密かな戦い、
忠義と親子の情愛などが描かれていて
さらにクライマックスも印象的なので人気も高いです。
主人公の梶原は知勇に優れた武将として描かれていて
平家の家臣でありながら源氏に心を寄せるという
複雑な心情を持っています。
市川染五郎さんは、表情やセリフの言い回しで
その平蔵を高麗屋、播磨屋の型で
しっかりと務めていらっしゃいました。
大葉役の中村橋之助さんも梢役の尾上左近さんも
役所をつかんでのなかなかの好演で、
中村又五郎さんの六郎太夫が芝居をググッと引き締めていらっしゃいました。
なので、内容的には良いお芝居なのですが
私は途中うとうとしてしまいました。
肝心な場面は目を開けてみているのですが、
すーっと眠気が誘ってくる感じ、
よくできているけど面白みに欠けていたのかなと
あとから振り返っています。
ちょっと一本調子かなあ、、、
もっと踏み込んだ心情の描写が欲しかったところです。
初日なので、ここからもっとこなれていくと
印象は変わると思います。
続いては舞踊が2種類。
1つ目は「相生獅子」です。
2人のお姫様が舞っているうちに
獅子のせいに取り憑かれてしまうという舞踊で、
初めは可愛らしいお姫様が
最後には獅子の毛をつけて毛振りをします。
中村鶴松さんと尾上左近さんのお姫様が
まずは可愛い。
それを見ているだけで幸せな気持ちになれました。
私は、ここで後見にも注目してしまいました。
普段は舞台に出ている役者さんたちが
この2人の舞踊がスムーズに進むように
色々お手伝いをしているんです。
その後見さんの動きが素晴らしくて
彼らの働きで舞台が進んでいくなあって感じる場面もありました。
お姫さまの毛振りは期待以上に激しくて
お互い競っているかのようでした。
左近さんは、歌舞伎座の本興業で連獅子を務めているだけに
姫になってもブレずに踊れていました。
鶴松さんも中村座での経験がおありなので
姫でいながら獅子であるということを
その姿で見せてくれました。
私的には第一部で一番楽しめたのがこの舞踊でした。
2つ目の舞踊は「藤娘」。
映画「国宝」でも取り上げられた舞踊で、
それを一般家庭から歌舞伎役者となった中村莟玉さんが舞うというのが
めちゃくちゃ話題な一幕です。
これは、藤の精が人間の女性に姿を変えて
恋の切なさや美しい風景についてを
踊っていくものです。
綺麗で幸せな気持ちで見ていられるので
これはとても平和な気分になりました。
莟玉さんは、表情で訴えるのがお上手で
藤娘も踊りはそれほど派手ではないのに
キュンと胸を掴む場面がありました。
お正月にはぴったりの、
とても華やかで幸福感が得られる舞踊二種でした。
新春浅草歌舞伎第二部の感想
新春浅草歌舞伎、第二部は1月14日に観劇しました。
平日でしたが、客席は結構入っていましたね。
お年玉ご挨拶は、市川男寅さんでした。
浅草歌舞伎に30歳にして初参加の男寅さん、
前回のお年玉ご挨拶が人生イチ緊張したとかで、
何を話したか全く覚えていないということでした。
ただ、世界旅行が大好きで、
その中から東ティモールの話をしたら
それだけでいっぱいになっちゃって
その日からヒガティモ兄さんと呼ばれるようになったとか・・・
だから今日はリベンジで、とやっぱり東ティモールの話をされました。
新しい国で、自分よりも1歳年上、
まだ何の色にも染まっていない国なので、
自分もこれから男寅カラーを見つけたいと話されました。
なるほどー、それを話したかったのか!って
私はやっと腑に落ちました。笑
また、第二部で務める「傾城反魂香」の土佐修理之助役は、
一門でこの役を務めるのはなんと79年ぶりとのことでした。
私はその情報の方が、大事じゃないかと思うんですけどね。
なんか、ズレてるんですね、男寅さん。
そのズレにキュンとしました。
次のお芝居がその「傾城反魂香」です。
先にも書きましたが、
主演の中村橋之助さん、女房役の中村鶴松さんが
「15年間の夢だった!」舞台です。
私の感想の結論を一言で言うと
めちゃくちゃ心を揺さぶれる素晴らしい舞台でした。
とにかく、中村橋之助さん演じる又平と
中村鶴松さん演じるおとくの
心情描写に引き込まれました。
苗字が欲しい又平の、どもりながらの必死の訴え、
端正なお顔をぐしゃぐしゃにしての大熱演や、
筆を持ったままの又平の指を
さすりながら優しく放していくおとくの情愛、
涙なしでは見られませんでした。
又平は勘九郎さんから教わったと聞いてますが、
言葉が出ない分、表情と動作で感情豊かに演じるやり方が
似ているなとも思いました。
ヒガティモ兄さんの土佐修理之助も、
有能であり又平への情も感じさせるありようでした。
病気から復活の中村橋吾さん、ベテランの中村歌女之丞さんも
若手を支え、どっしりと舞台を落ち着けてくれていたと思います。
橋之助さんと鶴松さんのコンビを
歌舞伎座でもぜひ観たいと思います。
舞踊は男女道明寺、
白拍子花子と白拍子桜子が
道明寺の鐘供養で舞を奉納します。
が、二人の強力に、桜子の正体が狂言師左近という
男性であることが暴かれてしまいます。
それでも、
左近は左近、花子は花子で
舞をどんどん披露していって、
最後は大蛇の正体を表し鐘への恨みを見せる
という内容です。
通常の道明寺は、所化がずらりと登場して、
流れを説明するのですが
こちらの道明寺は
中村橋之助さん、市川染五郎さんが務める強力が
その役目を果たしているようでした。
私的には、道明寺は花子の踊りをじっくり観たいので
途中で切れちゃうのがもったいないなと思ったところです。
中村莟玉さん、この1〜2年ですごく腕を上げたなあと思います。
舞も品があり美しく、最後の大蛇の睨みは
かなり迫力がありました。
やはり私は、女形の舞踊が好きだなあと
つくづく思った男女道明寺でした。
新春浅草歌舞伎、昨年の世代交代から
1年で著しい成長が感じられました。
そして、ここを入り口に、若い人たちが
歌舞伎を観に来てくれたらいいなあって思いました。
ここまでお読みくださり、ありがとう存じまする。


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