5月大歌舞伎は「團菊祭」
3日に初日を迎えた、歌舞伎座公演「5月大歌舞伎」。
5月は、「團菊祭」と銘打ち、
近代歌舞伎の発展に貢献した
九代目市川團十郎と、五代目尾上菊五郎の功績を称え、
毎年この時期に行われている舞台です。
令和元年初の歌舞伎公演ということもあり、
歌舞伎座の大賑わいも予想されます。
その5月大歌舞伎についてお伝えします。
5月大歌舞伎の見所は?
「團菊祭」というだけあって、
音羽屋(七代目尾上菊五郎当主)と成田屋(十一代目市川海老蔵当主)に
ちなんだ演目が上演されます。
また、ちっちゃなスターの登場をお祝いするムードも高まっています。
https://kabukist.com/dangikusai1-413
尾上丑之助の襲名、二人の祖父菊五郎と吉右衛門
ポスターにもなった「絵本牛若丸」。
この舞台で、
七代目尾上丑之助を、
五代目尾上菊之助の長男である寺島和史くんが襲名します。
その所以と先日のテレビ出演については、
こちらの記事もご覧ください。
![](https://kabukist.com/wp-content/uploads/2019/05/スクリーンショット-2019-05-01-17.28.36.png)
若干5祭5ヶ月で、
歌舞伎の名門音羽屋の由緒ある名を受け継ぐ和史くん。
父、菊之助からバッチリお稽古をつけていただいている様子が、
先日放映された「徹子の部屋」で紹介されていました。
義太夫の竹本葵太夫さんのツイートに、
4月29日の顔寄せで一座へ挨拶された時の様子が
次のようにツイートされていました。
「七代目菊五郎丈が「大きな声で言えたね。」
と微笑んで見守られる二代目吉右衛門丈の目元と、
七代目丑之助状の目元はそっくり。」
繰り返して書きますが、
彼の祖父は、七代目尾上菊五郎と二代目中村吉右衛門。
名門両家の血を受け継いだ、生粋の御曹司です。
その血がプレッシャーにならぬといいなあ・・と
思いつつも、
歌舞伎が好きって話していた丑之助君の未来を応援したいと思うのです。
海老蔵、菊之助、松緑の勧進帳
襲名の陰に隠れているわけではないのでしょうが、
この演目も見逃せませんよ。
元平成の三之助による「勧進帳」。
平成の三之助についてはこちらもお読みください。
![](https://kabukist.com/wp-content/uploads/2019/04/IMG_2362.jpg)
この舞台に対し、十一代目市川海老蔵は次のように語っています。
「私にとって海老蔵として最後の團菊祭となります。
この團菊祭で『勧進帳』を
(尾上)松緑さん、(尾上)菊之助さんとさせていただきたいと、
ずっと心に決めていました。実現でき、ありがたく思います」
そうでしょう、と言うか、
私は見たかったです。
この3人での勧進帳。
彼らが若い頃(それこそ三之助の頃)、
観たっきりかなあ、勢揃いは。
当時は、キャーキャー、かっこいい~
と言いながら観ていましたが、
やはり、大御所の幸四郎(現白鴎)、吉右衛門の弁慶は、
迫力が段違いだったこともあり、
演技の記憶はあまりないのです。
だから、今回の3人のお芝居がとても楽しみです。
初日の海老蔵のブログ、
こんな感じでしたよ。
「5月ですが
やはり
あついです」
![](https://kabukist.com/wp-content/uploads/2019/05/IMG_9135-300x263.jpg)
海老蔵オフィシャルブログより
若手中心の配役に令和歌舞伎の行く末を見る
先に、丑之助襲名について書きました。
彼だけではなく、
最近の歌舞伎界は、2世、3世の活躍も目覚ましいです。
5月大歌舞伎でも、
尾上松緑の長男である、尾上左近くん
坂東彦三郎の長男である、坂東亀三郎くん、が出演されています。
この2人について紹介しましょう。
三代目尾上左近
本名:藤間 大河(ふじま たいが)
生年月日:2006年1月20日
家系 父:四代目尾上松緑、祖父:三代目尾上松緑
屋号:音羽屋
定紋:四つ輪に抱き柏
襲名 2009年「音羽嶽だんまり」の稚児音若役(歌舞伎座)で藤間大河 で初お目見え
2014年「蘭平物狂」一子繁蔵役(歌舞伎座)で三代目尾上左近を襲名
2019年2月大歌舞伎でも祖父の追善公演で立派な舞を披露しました。
https://kabukist.com/post-84-84
六代目坂東亀三郎
生年月日 2013年2月5日
身長 110cm
家系 祖父:初代坂東楽善、父:九代目坂東彦三郎
屋号 音羽屋
定紋 鶴の丸、結び八重片喰、九字菱直違
襲名 2017年「壽曽我対面」鬼王家臣亀丸役(歌舞伎座)で六代目坂東亀三郎を名のり初舞台。
![](https://kabukist.com/wp-content/uploads/2019/04/IMG_1364.jpg)
他にも、十代、二十代前半の若手が出演しています。
令和時代の歌舞伎はこの若者たちの飛躍にかかっているので、
しっかり応援していきたいものです。
5月大歌舞伎の演目と主な配役
5月大歌舞伎【昼の部】
一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
工藤祐経:尾上松緑
曽我十郎:中村梅枝
曽我五郎:中村萬太郎
大磯の虎:尾上右近
化粧坂少将:中村米吉
鬼王新左衛門:坂東亀蔵
近江小藤太:中村松江
二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶:市川海老蔵
源義経:尾上菊之助
富樫左衛門:尾上松緑
三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
め組の喧嘩 品川島崎楼より神明末社裏まで
め組辰五郎:尾上菊五郎
女房お仲:中村時蔵
尾花屋女房おくら:中村雀右衛門
柴井町藤松:尾上菊之助
おもちゃの文次:坂東彦三郎
焚出し喜三郎:中村歌六
江戸座喜太郎:坂東楽善
四ツ車大八:市川左團次
*山門の仙太役:尾上左近
辰五郎倅又八役:坂東亀三郎
5月大歌舞伎【夜の部】
一、鶴寿千歳(かくじゅせんざい)
女御後に雌鶴:中村時蔵
大臣後に雄鶴:尾上松緑
*宮中の男役で尾上左近他
二、絵本牛若丸(えほんうしわかまる)
七代目尾上丑之助初舞台
牛若丸:尾上丑之助
弁慶:尾上菊之助
お京:中村時蔵
鳴瀬:中村雀右衛門
山法師西蓮:尾上松緑
山法師東念:市川海老蔵
蓮忍阿闍梨:市川左團次
鬼一法眼:中村吉右衛門
鬼次郎:尾上菊五郎
三、京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
道行より鐘入りまで
白拍子花子:尾上菊之助
四、曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)
御所五郎蔵:尾上松也
御所五郎蔵:中村梅枝
星影土右衛門:坂東彦三郎
千秋楽は27日です。
観劇レポートはまた後日書くので楽しみにしていてくださいね。
今日も読んでくださり、ありがとう存じまする。
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