令和7年の歌舞伎座公演は、三代名作の通し上演シリーズ第3弾!
通し狂言「義経千本桜」です。
この作品は、私が最も好きなお芝居なので、とてもワクワクしています。
この10月歌舞伎座公演について、
義経千本桜の魅力や簡単なあらすじ、配役、上演スケジュール、
そして感想まで一気にまとめてお伝えします!
歌舞伎:義経千本桜とは?
義経千本桜は、1747年に大阪の竹本座で人形浄瑠璃の芝居として初演され、
それが歌舞伎化され、今でも人気の作品となっています。
原作は、二代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳の合作とされています。
全5段12場の長いお芝居です。
タイトルに義経とあるのは、あの源義経のことですが。
義経を主人公というよりも、
兄の頼朝に疎んじられ都を落ち、
吉野へ向かう義経と
滅ぼされた平家の残党に絡んだエピソード3遍から
構成されているお芝居です。
その3遍の中心的な人物が、
平知盛・いがみの権太・源九郎狐(狐忠信)です。
歴史物のお芝居ですが、
ダイナミックな場面、
悲劇に涙を誘われる場面、
ケレン味のある場面など
それぞれ、違う風合いで見どころも多いのです。
ストーリーも分かりやすいので初心者におすすめです。
詳しい内容やあらすじは、こちらもご覧くださいね。

10月歌舞伎座公演、演目、配役と簡単なあらすじ
歌舞伎座10月の公演は通し狂言「義経千本桜」です。
三部構成で、平知盛・いがみの権太・源九郎狐のストーリーを
劇的に見せてくれそうです。
また、それぞれをダブルキャストで演じるので
6通りのお芝居が楽しめる、というめっちゃ贅沢な企画公演でもあります。
ここから、その6通り分の配役も含めてお知らせします。
義経千本桜:第一部の配役、簡単なあらすじ
第一部は、義経と静との別れと、
平家の残党、平知盛らとの死闘がメインの筋立てです。
【鳥居前の配役】
〈Aプロ〉
佐藤忠信実は源九郎狐 市川 團子
静御前 市川 笑也
亀井六郎 大谷 桂三
片岡八郎 市川 男寅
伊勢三郎 中村 玉太郎
駿河次郎 中村 吉之丞
鵜の目鷹六 市川 青虎
武蔵坊弁慶 中村 橋之助
源九郎判官義経 坂東 巳之助
〈Bプロ〉
佐藤忠信実は源九郎狐 尾上 右近
静御前 尾上 左近
亀井六郎 大谷 桂三
片岡八郎 市川 男寅
伊勢三郎. 中村 玉太郎
駿河次郎. 中村 吉之丞
笹目忠太. 市村 橘太郎
武蔵坊弁慶 中村 橋之助
源九郎判官義経 中村 歌昇
第一部のキャストの見どころは、
市川團子さん、尾上右近さん、の忠信でしょう。
澤瀉屋、音羽屋の型の違いを見比べるのも楽しいですし、
静御前がベテランと若手というギャップも面白い。
第三部につながる大事な場なので、
ここでしっかりとそれぞれのキャラクターを
見せて欲しいと思います。
【鳥居前の簡単なあらすじ】
都落ちをする義経一行に
ついていきたいと願う静御前。
それを拒む義経は、
静御前に初音の鼓を持たせ、
桜の木に縛り付けて去っていきます。
笹目忠太が静を見つけて連れ去ろうとしますが、
そこに義経の家来佐藤忠信が現れ
静御前を救い出します。
義経も戻ってきて、静香を助けた褒美に
源九郎義経の名と鎧兜を手渡します。
そして、静の身柄を預け、
再び一行は旅立つのでした。
【渡海屋・大物浦の配役】
〈Aプロ〉
渡海屋銀平実は新中納言知盛 中村隼人
源九郎判官義経 坂東 巳之助
武蔵坊弁慶 中村 橋之助
銀平娘お安実は安徳帝 守田 緒兜(初お目見え)
亀井六郎 大谷 桂三
片岡八郎 市川 男寅
伊勢三郎 中村 玉太郎
駿河次郎 中村 吉之丞
入江丹蔵 尾上 松緑
相模五郎 坂東 亀蔵
お柳実は典侍の局 片岡 孝太郎
〈Bプロ〉
渡海屋銀平実は新中納言知盛 坂東 巳之助
源九郎判官義経 中村 歌昇
武蔵坊弁慶 中村 橋之助
亀井六郎 大谷 桂三
片岡八郎 市川 男寅
伊勢三郎 中村 玉太郎
駿河次郎 中村 吉之丞
入江丹蔵 坂東 亀蔵
相模五郎 尾上 松緑
お柳実は典侍の局 片岡 孝太郎
この場の注目は、なんと言っても、
平知盛を演じる2人の若手俳優です。
実は、「ナルト」で共演しているお二人です。
中村隼人さんは片岡仁左衛門さんに、
原レイコさんは尾上松緑さんに、
それぞれ教わるとのことなので
違いも見られるかもしれませんね。
そうして、安徳天皇役の守田緒兜くんは
坂東巳之助さんのご長男で、初お目見えです。
パパも義経として共演されるので
それも楽しみです。
【渡海屋・大物浦の簡単なあらすじ】
大物浦の廻船問屋渡海屋では
船を出すのを待つ義経一行を匿っています。
それを偵察にきたチンピラを
主人の銀平は簡単にあしらいます。
いよいよ、決行と決まった朝、
義経一行を送り出すと
銀平らは正体を表します。
銀平は源氏に滅ぼされた平家の武将平知盛で、
銀平の娘安子は安徳天皇、
女房のお柳は天皇に仕える典侍の局だったのです。
知盛は平家の恨みを晴らさんと出兵します。
その戦いを見守る局たちですが、
実は義経は知盛らの正体をとうに見抜いていました。
入江丹蔵により、知盛軍の敗戦を知った局らは
次々の入江に身を投げます。
典侍の局が天皇を抱えて自害しようとした時
義経一行らが現れ、天皇を守ると伝えます。
なおも抵抗を試みる知盛でしたが、
その温情を受け入れ天皇を託すと、
碇を背負って海に身を投げるのでした。
義経千本桜:第二部の配役、簡単なあらすじ
第二部は、大和国、下市村での
こ悪党権太と、その父母とのストーリー、
落ちゆく平家の若武者の奮闘など、
涙無くしては見られないストーリーです。
【木の実・小金吾討死・すし屋の配役】
〈Aプロ〉
いがみの権太 尾上 松緑
弥助実は三位中将維盛 中村 萬壽
若葉の内侍 中村 魁春
権太女房小せん 中村 種之助
主馬小金吾 坂東 新悟
娘お里 尾上 左近
六代君 中村 種太郎
善太郎 中村 秀乃介
猪熊大之進 中村 松江
弥左衛門女房おくら 市川 斎入
梶原平三景時 中村 又五郎
鮓屋弥左衛門 市村 橘太郎
〈Bプロ〉
いがみの権太 片岡 仁左衛門
弥助実は三位中将維盛 中村 萬寿
若葉の内侍 市川 門之助
権太女房小せん 片岡 孝太郎
主馬小金吾 尾上 左近
娘お里 中村 米吉
六代君 中村 陽喜
善太郎 中村 夏幹
猪熊大之進 片岡 松之助
弥左衛門女房お米 中村 梅花
梶原平三景時 中村 芝翫
鮓屋弥左衛門 中村 歌六
この部の配役の注目ポイントは
なんと言っても片岡仁左衛門さんの権太でしょう!
この権太は情感がとっても豊か、
悪いやつなんだけど憎めない愛らしいヤクザものです。
この感情をたっぷりと味わって欲しいです。
尾上松緑さんの権太は、感情を内に込めている感じがします。
どちらも最後のぶっかえりでは泣かせてくれますよ。
そして、AプロとBプロでは、
役名が変わるキャラがいます。
同じ弥左衛門の女房なんだけど
AはおくらでBはお米、
面白いですよね。
衣装もちょっとだけ違いがあります。
見比べるの面白いですよ。
もう一つ(本当はもっとあるが)、
Aの子役ペアが播磨屋兄弟(父は中村歌昇さん)、
Bの子役ペアが萬屋兄弟(父は中村獅童さん)、というのも
見どころかもしれません。
【木の実・小金吾討死・すし屋の簡単なあらすじ】
大和国の下市村の茶屋で
一休みしていた若葉の内侍の一行は
土地の厄介者権太のゆすりにあってしまいます。
悔しながらその場を去る一行。
その茶屋は、権太の妻こせんが営んでいて、
一人息子の善太郎は権太にとっても
目の中に入れても痛くないほどのかわいがりようです。
一方、敵に見つかった若葉の内侍と六代君を
逃がそうと奮闘する小金吾ですが、
他勢に無勢でとうとう討ち取られてしまいます。
道に倒れた小金吾の死体に
暗がりの中つまづいたのが鮨屋の弥左衛門。
弥左衛門は、考え事をしていたのですが、
小金吾の死体を見て何かを思いついた様子です。
首を打ち取り、持って帰ります。
鮨屋では弥左衛門の留守に、
娘のお里が使用人の弥助にあれこれと
話しかけます。
お里は弥助と祝言をあげることになっていて
それが嬉しくて仕方ないのです。
そこへ権太がやってきて
母親に用があるからと二人を部屋から追い出します。
権太はお金を無心にきていて
嘘泣きの作り話で母親を簡単に騙しお金を手に入れます。
帰ろうとした時に、弥左衛門が帰ってきたので
手近にある寿司桶にそのお金を入れて部屋の奥へと隠れます。
弥左衛門は、抱えてきた首を人に見られぬように
寿司桶の中に隠すと弥助と話を始めます。
実は弥助は、平重盛の息子の三位中将維盛だったのです。
村の詮議で維盛の居場所を探していることがわかり、
弥左衛門は見つかる前に維盛を逃がしたいと考えていました。
そこへお里が戻ってきて弥左衛門が奥に行ったので、
夫婦の真似事を始めます。
しかし弥助(維盛)は、自分は妻子ある身であることから
お里の思いに応えることはできません。
お里が布団に入った後、
家の戸を叩く人がいます。
なんと、維盛の妻子、若葉の内侍と六代君でした。
再会を喜ぶ3人、それをこっそり聞いていたお里は、
維盛たちを逃がそうとします。
しかし、権太がそれまでの出来事を全て見ていて、
維盛が隠れていることを注進して手柄にしようとします。
皆が止めるのも聞かず、
お金を入れた寿司桶を抱え出ていくのでした。
そのことを知った弥左衛門が追いかけようと外に出ると
梶原景時らが維盛を捕まえにきます。
弥左衛門が隠した首を出そうとしたその時に
権太が維盛一行を捕まえたと
若葉の内侍、六代君を縄にし、桶を担いで戻ってきます。
そして景時に彼らを引き渡します。
機嫌よく褒美を約束して帰る梶原の景時たち
怒りが収まらない弥左衛門はなんと権太に斬りかかります。
深傷を負った権太は苦しい息の中から、
桶の首はこの家から持ち帰ったもので、
若葉の内侍たちと見えたのは自分の女房と息子だと
白状するのです。
虫の息の権太を前に嘆く弥左衛門親子。
そこに、逃がした維盛が戻ってきます。
そして、梶原景時が残した褒美の中に真実が現れ、
出家を決意した維盛らが家を去り、
権太もその生涯を終えるのでした。
義経千本桜:第三部の配役、簡単なあらすじ
第三部は、鼓を預かった静に付き沿う佐藤忠信が
主人公となります。
澤瀉屋型と音羽屋型との違いを楽しみたいです。
ちなみに、Aプロの澤瀉屋型は市川團子さんの宙乗りが
行われるとのことです。
【吉野山・川連法眼館の配役】
〈Aプロ〉
*川連法眼館』は三代猿之助四十八撰の内 市川團子宙乗り狐六法相勤め申し候
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐 市川 團子
静御前 坂東 新悟
逸見藤太 市川 猿弥
亀井六郎 市川 青虎
駿河次郎 市川 右近
川連法眼 市川 寿猿
飛鳥 中村 東蔵
源九郎判官義経 中村 梅玉
【Bプロ】
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐 尾上 右近
静御前 中村 米吉
逸見藤太 中村 種之助
亀井六郎 坂東 巳之助
駿河次郎 中村 隼人
川連法眼 嵐 橘三郎
飛鳥 中村 歌女之丞
源九郎判官義経 中村 梅玉
この部の注目ポイントは、
Aプロの澤瀉屋の型を若き市川團子さんが
演じるということです。
澤瀉屋型は最後、源九郎狐は鼓を携え踊るように
宙を飛んでいくのです。
ああ、また桜の花びらは散るのでしょうか・・・
Bプロは尾上右近さんの音羽屋型です。
こちらも情感たっぷりに見せてくれると思います。
【吉野山・川連法眼館の簡単なあらすじ】
吉野にいるという義経を訪ねて
静と忠信は旅をしています。
時折姿が見えなくなる忠信は
静が鼓を打つと戻ってくるのです。
静に横恋慕する逸見籐太を交わし、
二人は義経の思い出話をしながら
また、新たに道を進んでいきます。
川連法眼の館には義経が匿われています。
そこに、佐藤忠信がやってきますが、
預けたはずの静のことを知らないと言います。
怪しむ義経ですが、
そこに忠信を伴った静がきたことが知らされます。
義経は、静にそ忠信の不思議を伝え、その詮議を任せます。
鼓を打つと現れる忠信、
実は忠信のすがたに化けた狐でした。
鼓の皮は狐の両親の皮でできているため、
親を慕って現れたのです。
狐の話に心打たれた義経は、鼓を与えます。
喜んだ狐は、今夜中に法眼の館に敵が襲ってくることを伝えます。
そして、妖術を使って敵の目をくらますと
鼓を携えて山へと帰っていくのでした。
10月歌舞伎座公演の上演スケジュール
10月歌舞伎座公演は、ダブルキャストの三部制という
全部見るとしたら6通りのチケットを取らなければならないので
頭がクラクラしてしまいます。
初日は10月1日(水)でAプログラムからのスタートです。
休演日は10月10日(金)、
第三部だけ10月11日(土)からスタートし
第一部と第二部は10月12日からのスタート、
そして千穐楽は10月21日(火)となっています。
普段よりも早い幕引きとなりますね。
上演予定時間は、
【Aプロ】
第一部 は11時〜午後2時10分頃
第二部 は午後3時〜午後5時55分頃
第三部 は午後6時40分〜午後9時10分頃
【Bプロ】
第一部 は11時〜午後2時15分頃
第二部は午後3時〜 午後5時45分頃
第三部は午後6時40分〜 午後9時15分頃
となっています。
もう少し詳しいスケジュールは発表されたら追記しますね。
10月歌舞伎座公演:通し狂言義経千本桜の感想
10月歌舞伎公演も、できるだけ観にいくつもりで
チケットをとっております。
観劇したら、感想を書いていくので
ぜひお読みいただけると嬉しいです。
それでは、ここまでお読みくださりありがとう存じまする。
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