即位礼正殿の儀に際し、安倍首相主催による晩餐会(10月23日開催)で、
野村萬斎(狂言)、吉田玉男(文楽)と共に、
市川海老蔵が三番叟を披露しました。
伝統芸能で各国のお客さまをおもてなし
この晩餐会は、内閣総理大臣夫妻が、
即位礼正殿の儀に参列するために来日された、
各国の元首・使節などの皆様のために、
主催したものだそうです。
会場は、ホテルニューオータニ東京。
趣旨は、主に2つあって、
1つは、日本の伝統文化を披露することでその理解を深めていただくこと、
もう1つは、来日への感謝とお礼の意味ということ、だそうです。
前回、平成2年に行われたときも、
伝統文化芸能を鑑賞していただいたようで、
そのときは歌舞伎「根源草摺引(こんげんくさすりびき)」を
坂東玉三郎と十八代目中村勘三郎(当時勘九郎)が、
能「石橋(しゃっきょう)」を喜多六平太、塩津哲生が、
披露していました。
令和の晩餐会では、
狂言の野村萬斎が総合アドバイザーを務め、
日本の伝統芸能について2つのコンセプトから、
2つの演目を披露することになったそうです。
市川海老蔵が、歌舞伎界から選ばれて舞を披露しました。
動画を拝見しましたが、
超かっこよかったです。
また、初めは何故にコラボ?
とも思ったのですが、
野村萬斎が掲げたコンセプトが非常にわかりやすく、
ちょっと感動もしました。
全体的に若い(といっても40代以上だよな)演者が、
大舞台で活躍するというのも
伝統芸能の未来のために、素敵なことだと思いました。
*30年前の玉三郎と勘九郎も若かったわね。
伝統芸能でおもてなし 安倍首相夫妻晩餐会https://t.co/pgFInDdfIp
晩餐会ではマツタケや伊勢エビなど日本古来の食材だけではなく、洋の食材も取り入れた「和洋折衷」の料理がふるまわれた。東日本大震災の被災地の岩手県産の雑穀米や福島県産の日本酒も用意されました。 pic.twitter.com/BtmrEAdunu
— 産経ニュース (@Sankei_news) October 23, 2019
「#即位礼正殿の儀」に出席した外国元首らをもてなす安倍晋三首相夫妻主催の夕食会が開かれました。食事の前には狂言師の野村萬斎さん、歌舞伎役者の市川海老蔵さん、文楽人形浄瑠璃の人形遣い吉田玉男さんが五穀豊穣を願う演目「#三番叟」で共演しました。
写真特集で→ https://t.co/PmmNYR7dqM pic.twitter.com/X0jN1Ac0GM— 毎日新聞写真部 (@mainichiphoto) October 23, 2019
野村萬斎(総合アドバイザー)のコンセプトによる「三番叟」と「石橋」
今回、野村萬斎が総合アドバイザーとしてコンセプトをまとめ、
それによって、2つの演目が披露されました。
そのコンセプトと、披露された演目について紹介します。
野村萬斎(総合アドバイザー)のコンセプトとは?
主にコンセプトは2つありました。
1つは、時代を超えて共存する日本の伝統文化の特徴を背景として、
その歴史的流れを表現することです。
これについては、狂言、歌舞伎、文楽で演じられている
「三番叟(さんばそう)」を、それぞれの特徴を生かしながら共演します。
ここには、先発の文化を追って生まれた後発の文化が、
それぞれの特徴を持ちお互いに発展していく重層性に
大きな特徴があるということでした。
もう1つは、親から子へ継承される日本の伝統文化の特徴を背景として、
親子の演者による共演を披露する。
ここでは獅子の親子を描いた「石橋(しゃっきょう)」を披露します。
獅子を扱った演目は日本に多いのですが、
それは仏教では霊獣と見做されています。
特に、2頭の親子獅子を親子で演じることで、
日本の伝統芸能が親から子へと継承されていく様を
見ていただきたいということでした。
即位晩餐会、萬斎氏が演出 「能を分かりやすく」と起用:朝日新聞デジタル https://t.co/UH49QZNPLn
— kabukist (@kabukist1) October 24, 2019
「三番叟(さんばそう)」とはどんな演目?
それでは、「三番叟」について紹介します。
三番叟とは、日本の伝統芸能。
式三番(能の翁)で、翁の舞に続いて舞う役、あるいはその舞事。
能楽では狂言役者が演ずる。
by Wikipedia
簡単に言ってしまうと、
五穀豊穣を祈って奉じられていた演目です。
序盤は、足を踏み鳴らし、快活で力強い舞を披露します。
後半は、鈴を振りながらちょっと厳かな感じで始まり、
徐々に速い舞へとなっていきます。
野村萬斎は、祈りと祝福の舞と称していました。
それは、大地を踏みしめ、地の霊を鎮める表現、
鈴を鳴らし、種を蒔くことで豊かな実りを願う表現が
見られるからということのようです。
「石橋(しゃっきょう)」とはどんな演目?
能の石橋とは、獅子口(獅子の顔をした能面)をつけた後ジテの豪壮な舞が見物、
囃子方の緊迫感と迫力を兼ね備えた秘曲が聞き物である
byWikipedia
仏教の聖地である清涼山の麓が舞台です。
文殊菩薩の地へとかかる石橋のたもとにきた法師。
渡ろうとしたところ、
一人の少年が現れ、この橋は、
神仏の修行を積んだものしか渡れないと伝えます。
そのうちに奇瑞を見ることができるとも言われ、
待っていると、
文殊菩薩の使いである獅子がやってきます。
2頭の獅子のうち白い頭は親、赤い頭は仔、
満開の牡丹の花と戯れて舞う姿がみられます。
この演目では、
2頭が舞う姿に太平の世への祈りも込めているということ。
能においてもおめでたい場面で披露される演目のようです。
主な出演者のプロフィール
二世野村萬斎(狂言)のプロフィール
野村萬斎:本名 野村 武司〈のむら たけし〉
生年月日 1966年4月5日
家族 父:二世野村万作、母:詩人阪本若葉子、長男:野村裕基
*野村萬斎は、能楽狂言方和泉流野村万蔵家の名跡。
芸歴
1969年『靱猿』の子ザル役で初舞台
1994年 二世野村萬斎を襲名
映画、舞台等、現代劇でも大活躍。
今回は、この行事に関して総合アドバイザーも務める。
市川海老蔵(歌舞伎)のプロフィール
十一代目市川海老蔵のプロフィール
十一代目市川海老蔵:本名 堀越 寶世(ほりこし たかとし)
*2015年に 孝俊から改名
生年月日 1977年12月6日(射手座)
身長 身長176cm / 体重80kg
血液型 AB型
最終学歴 堀越高等学校
家系:祖父:十一代目市川團十郎、父:十二代目市川團十郎
叔母:市川紅梅、妹:三代目市川ぼたん(ともに日本舞踊市川流)
屋号:成田屋
定紋:三升、替紋は杏葉牡丹
襲名:
1983年 「源氏物語」春宮役(歌舞伎座)初お目見え
1985年 「外郎売」貴天坊役(歌舞伎座)七代目市川新之助襲名
2004年 「助六由縁江戸桜」花川戸助六役、「暫」鎌倉権五郎役(歌舞伎座)十一代目市川海老蔵を襲名
2020年 十三代目市川團十郎白猿を襲名することが発表
当たり役 「鳴神」鳴神上人
「源氏物語」 光源氏
「助六由縁江戸桜」花川戸助六実は曽我五郎時致
2000年ごろから、尾上松之助(現松緑)、尾上菊之助らと、
平成の三之助ブームを巻き起こし、人気スターとなる。
若い頃は豪放磊落な態度で、
ワイドショーを賑わすことも度々ありました。
「隠し子」「暴行事件」で検索すると、
当時の記事もかなり出てきます(ここでは書きません)。
2010年に、フリーキャスターの小林麻央さんと結婚。
2011年に、長女麗禾(れいか)ちゃんが誕生。
2012年に、父十二代目市川團十郎が肺炎のため死去(涙涙)。
2013年に、長男勸玄(かんげん)くんが誕生。
2017年に、妻の麻央さんが乳癌のため死去(涙涙)。
この時は、「人生で一番泣いた日です」というブログの記事が世をわかせました。
麻央さんの闘病と、海老蔵や子どもたちとのふれあいは、
当時本当にたくさんの人に励ましを与えたと記憶しています。
2019年に、自身が「十三代目市川團十郎 白猿」、勸玄君が「八代目市川新之助」
と共に襲名することが発表されます。
*いっぱいあってすみません。もっと知りたい方は、こちらの記事を読んでいただけると嬉しいです。
二代目吉田玉男(文楽)のプロフィール
吉田 玉男 よしだ たまお
生年月日 1953年10月6日
出生地 大阪府八尾市
文楽(人形浄瑠璃)の人形遣い
1968年、中学校3年で初代吉田玉男に弟子入り
1969年 『菅原伝授手習鑑』「寺子屋の段」の菅秀才役で『吉田玉女』(よしだ・たまめ)を名乗って初舞台
2015年 『一谷嫰軍記・熊谷陣屋の段』熊谷直実役で、二代目吉田玉男を襲名
観世清和(能)のプロフィール
観世 清和 かんぜ きよかず
生年月日 1959年5月21日
家族 父:観世元正、息子:観世三郎太
出身地 東京都
1964年「鞍馬天狗」花見で初舞台
1990年9月家元継承。
シテ方観世流能楽師。二十六世観世宗家で当代
観世三郎太(能)のプロフィール
観世三郎太
生年月日 1999年(月日まではわからなかった・・)
出身地 東京都
家族 父:観世清和
2004年「鞍馬天狗」で初舞台
現在は、立教大学に在籍し、学業と能楽師を両立中
晩餐会の様子を動画で拝見しましたが、
とてもすごい人数でした。
こうやって見ると、日本の伝統芸能は独特なものがあります。
歌舞伎だけでもその奥深さを実感しているところ、
こんなに大盛りだくさんの芸能を鑑賞できる機会は、
貴重だったなあと思いました。
ちなみに、海老蔵はこの日もオイディプスの公演を終え、
家に帰って子どもたちと過ごしてからこの場に臨んでいました。
超人的なスケジュールだなあ・・・
読んでくださり、ありがとう存じまする。
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