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ショウマストゴーオン三谷歌舞伎のあらすじ、感想!歌舞伎絶対続魂は爆笑確定!

観劇レポート
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歌舞伎座11月公演夜の部は、三谷幸喜さん脚本・演出の

「歌舞伎絶対続魂〜ショウマストゴーオン、幕を閉めるな〜」です。

名前からしてどんなだ?って演目ですが、

11月4日に観劇しおなかがよじれるほど笑ってきました。

ここでは、「歌舞伎絶対続魂〜ショウマストゴーオン、幕を閉めるな〜」の

あらすじと感想をまとめます。

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ショウマストゴーオンの意味は?

ショウ・マスト・ゴー・オンは演劇界で用いられる英語の慣用句のようなもので、

一度芝居を始めたら絶対にそれをやめてはいけない、

という意味があるようです。

それを、ショウと舞台をひっかけて

お芝居を作っちゃったのが三谷幸喜さんです。

(海外でも同じようにお芝居化されているようです)

1991年に三谷さんが、自身の劇団でもあった「東京サンシャインボーイズ」に書き下ろしたのが初演。

こちらは伝説的なコメディーと言われているようです。

2022年には三谷さんが作・演出を務めた

「ショウ・マスト・ゴー・オン〜幕を閉めるな〜」が

博多、京都、東京など各地で上演され、

東京公演では三谷さんが鈴木京香さんの代役を務める

といったことも話題になりました。

今回の歌舞伎版は、

「歌舞伎絶対続魂」という外題もついていて、

「義経千本桜」を初演する舞台裏のはちゃめちゃを描く

コメディー歌舞伎となっています。

三谷さん曰く、原作はあるけど

歌舞伎版はほぼ書き下ろしであったそうです。

これって歌舞伎かなあというお声もあったほどで

私も「これって歌舞伎かなあ」と思いながら見ていたのですが

まあ、とにかく笑って笑って笑いまくった楽しい舞台でした。

こうなっちゃ、歌舞伎だろうと違おうと

幕は絶対下ろしちゃダメです!笑

では、続いてその歌舞伎版のあらすじも紹介しますね。

 

ショウマストゴーオン三谷歌舞伎のあらすじを簡単に紹介

歌舞伎座11月顔見世大歌舞伎の夜の部に上演される

「歌舞伎絶対続魂(ショウマストゴーオン)〜幕を閉めるな〜」

のあらすじを紹介します。

全体で約2時間のお芝居で、途中休憩はありません。

ノンストップの120分余、楽しめますよ。

伊勢の芝居小屋「蓬莱座」では、

座元の藤川半蔵が、

大阪の人形浄瑠璃で話題の演目「義経千本桜」を

上演する準備をしています。

その初日に、なんと大阪から「義経千本桜」の戯作者

竹田出雲が観にくるというから大慌て。

半蔵は、自分の名で勝手に上演しようとしていたのです。

 

懸案事項はそれだけではありません。

・クライマックスで使う背景が壊された

・出番をカットされた役者を納得させなければならない

・主演の役者が泥酔で舞台に立つのもおぼつかない

・2枚目役者が愛人を舞台に出せと連れてくる

・静御前役の女方の顎が外れる

・この役は自分の柄じゃないから変えて欲しいという役者

・最後の場面で新たな音楽を試したいという附師

などなど、始まる前から騒ぎは大きくなるばかり。

 

それでも、幕が空いたら芝居をしなきゃならないのです。

狂言作者の花桐冬五郎は頭取嵐三保右衛門に頼りつつ

弟子の番吉に手伝わせつつで芝居を進めます。

そんな中、竹田出雲が弟子と共に到着、

自身は桟敷席で観劇し

弟子は舞台裏で見学することになりました。

芝居が始まると

またもや事件が沸き起こります。

千鳥足で登場した山本小平次演じる佐藤忠信を

詮議する義経の部下亀井六郎が2人登場したのです。

化粧し直すにも時間がない、

急遽舞台では亀井が分身の術で2人登場するストーリーに

書き換えられました。

 

さらに、詮議に使う初音の鼓の代わりに

枕を渡してしまい、

しかも小道具の鼓は壊れている。

静は顎が外れっぱなしで舞台に立っている有様。

骨継ぎ師の玄福が現れたのをいいことに、

腰元のふりをして静に近づき、

治療を鼓の入れ替えを頼みました。

しかし、囃子方の鼓を渡してしまったため、

静が鼓を打った時に音を出せません。

仕方なく、囃子方の新二郎はタイミングを見ながら

口で鼓の音を出すことに・・・

 

静を治療した玄福も膝関節を痛め

舞台から戻ってこられず、

若手女方の五十鈴に静御前の代役をさせることになりました。

それだけじゃありません。

小平次は狐になるのを嫌がるので、

なんと冬五郎が狐役の代役として舞台に出ることに・・・

その騒ぎを見ていた竹田出雲の弟子が、

こんな芝居は見る価値がないと言い出しました。

実は、この弟子こそが本物の竹田出雲だったのです。

しかし、半蔵は言うのです。

「決して幕は閉めない、最後までやり遂げる」と。

劇団員はその言葉に奮起して四の切りの大詰めへと

進んでいきます。

 

舞台の上では、多少強引に静御前の入れ替わりを済ませ、

冬五郎演じる狐が登場し、、

というところに小平次も狐になって登場!

狐二匹と静御前のやり取りで舞台が進んでいきました。

そして、最後は附師のきもいりの新作で

幕が降りたのです。

あれやこれやとトラブル続きの芝居でしたが

なんとか一幕終えられました。

そして、何の問題も解決してないけど

また次の舞台のために準備をする座員たちなのでした。

 

↑こんな内容です。

ストーリーと言い難い、ドタバタの連続で

役者さんたちは大熱演、

歌舞伎座中から笑いが聞こえる楽しいお芝居でした。

そして、実は義経千本桜の歌舞伎初演を踏まえて

作られているところは

ちゃんと歌舞伎が生きているお芝居でもありました。

その熱演した役者さんたち、配役を紹介します。

 

歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)の配役は?

ここで、そのドタバタ歌舞伎を演じる

誠に役者魂の熱い皆様を紹介します。

狂言作者花桐冬五郎  松本 幸四郎

座元藤川半蔵     片岡 愛之助

山本小平次      中村 獅童

油屋遊女お久     坂東 新悟

浅尾天太郎      中村 橋之助

篠塚五十鈴      中村 莟玉

市山赤福       中村 歌之助

坂田虎尾/

狂言作者見習花桐番吉 市川染五郎

竹田出雲弟子半二   中村 鶴松

附打芝助       片岡 千太郎

囃子方五郷新二郎   大谷 廣太郎

附師鍛冶屋為右衛門  澤村 宗之助

大道具方儀右衛門   阿南 健治

骨つぎ玄福      浅野 和之

竹田出雲       市川 男女蔵

榊山あやめ      市川 高麗蔵

竹島いせ菊      坂東 彌十郎

頭取嵐三保右衛門   中村 鴈治郎

叶琴左衛門      松本 白鸚

本当に芸達者な皆さまでした。

松本白鸚さんもコメディセンスを発揮されての怪演!

この役者さんあって、

ドタバタなお芝居も120分の演劇にまとめ上げているんだなと思いました。

次に、その感想を書いていきます。

ショウマストゴーオン三谷歌舞伎の感想

とにかく、大笑い!

よくこれだけ笑わせてくれました、歌舞伎座で!と言いたいほど

よく笑ってきました。

実は、冒頭は役者さんたちのオーバーアクションと

キーキー声がちょっとやな感じに触れて

どんなもんなんだろうと斜に構えて見てしまったところもありました。

しかしながら、見ていくうちに、面白さが爆裂し

気づいたら身体を揺らして大笑いしていました。

その笑いへのスイッチは、

実際の歌舞伎「義経千本桜:川連法眼館」を知っているが故の

パロディぶりに歌舞伎オマージュを感じたこともあったからかもしれません。

では、面白いお芝居の中でも特に笑えた事件を5つほど紹介します。

感想①がんじろはんは主役級の存在感

中村鴈治郎さんは、三谷さんと初めて一緒にお芝居をされたそうです。

三谷さん曰く、「こんなに面白い生き物がいたなんて・・」と。

三谷歌舞伎の常連だった市川猿之助さんは

かねてから中村鴈治郎さんとお芝居を共にすることがあり、

その才はそこでも発揮されていたと思います。

今回、猿之助さんのご出演は叶いませんでしたが、

鴈治郎さんがその役をそのお役以上に見せてくれたように思いました。

鴈治郎さんが演じた三保右衛門は、

食えない親父のようで、

実は一番頼りになる男でした。

ツケを打ったり、着到を告げたり、

次々と襲いかかる危機にアドバイスしたりと

とても万能な頼れる親父。

それが、頼りになるヒーローではなくて

団子を食べてる隠居に見せるところに

鴈治郎さんの演技の凄さがあると感じました。

 

感想②想定以上!彌十郎の静御前

坂東彌十郎さんは通常は立役として舞台に立たれています。

身体も大きいし、声もがらっぽいし、

女方のイメージとは最も遠い存在です。

それが、このお芝居では女方の役者、

しかも静御前を演じるのですから仰天しました。

その女方には問題が1つあり、

それがすぐに顎が外れる、というもの。

二重にも三重にも癖のあるお役を

さすがはやじゅさん、見事に演じていらっしゃいました。

舞台上で、鼓を持って舞いながら

顎が外れるお役は

本当に見るのが辛いというか笑いが止まらないというか

いやあ本当に役者ってすごいなと感じました。

感想③浅野和之、阿南健治の三谷役者もすごい

浅野和之さんは三谷歌舞伎や

市川猿之助さんのスーパー歌舞伎ではご常連。

演技もさることながら、

そのお役になってしまうカメレオンのような方と

いつも見ています。

今回は、阿南健治さんもご出演で、

私は歌舞伎の舞台で拝見するのは初めてでした。

まあ、このお二人も縦横無尽のご活躍。

きっちり笑いのツボを抑えていらして、

大事な場面でコケてくれるのです。

阿南さんは、大道具の親分で、

仕事熱心なんですけどいちいち面白い。

浅野さんは、これも怪演です。

骨つぎ師で白髪のおじいさんとして登場、

途中から腰元の役になって、

川連法眼館の見せ場で、

膝を挫いて舞台にちょんと残ってる姿は

唖然としか言えませんでした。

そして、ちゃっかり二人狐に混じって

踊っちゃったりね。

三谷さんの芝居のツボが染みついているだけでなく

歌舞伎の間もよくわかってるからこそ

この舞台に立っても何の遜色もない、

むしろいるだけでOKなんですごいと思いました。

感想④役者さんが適材適所!若手も大活躍

主人公のことを全く書いてなくて

主役のことも全く書いてないんだけど

本当にみなさんのお役が適材適所にハマっていて

お芝居をリアルに体験できたのが何よりも印象に残りました。

オロオロする作者で途中から役者になっちゃう幸四郎さん、

頼りないけど見栄を張りたい座元に愛之助さん、

酔っ払ってどうしょーもない男の獅童さん、

そして縦横無尽の前述、鴈治郎さん。

そして、若手もすごい。

市川染五郎さんは二役を演じ分け成長著しく、

坂東新悟さんは可憐な遊女と女方役者とわけのわからない存在、

中村橋之助、歌之助兄弟は、映画「国宝」のような関係の2人で

二人亀井六郎の存在感がまさに分身レベル。

中村莟玉さんは、最も私が感心したのですが、

女方の役者という男の姿としっかり者の性格と

最後は憧れの静御前になってご満悦なお顔を

見事にシームレスに演じられていました。

新悟さん莟玉さん、コメディエンヌズ結成できそうです。

白鸚さんのご登場も嬉しいし、

なんだかんだ文句言いつつ最後はいいとこ取りの高麗蔵さん、

みなさんとても自然に生かされていると感じました。

これも三谷さんへの信頼感、そしてここでの座頭の松本幸四郎さんの信頼感も

あったんじゃないかなって思うのです。

感想⑤パロディでも義経千本桜!

「歌舞伎絶対続魂」は「義経千本桜:川連法眼館」を

初演する伊勢の芝居小屋が舞台です。

このお芝居の役どころや場面が散りばめられている中で

滑稽な事件やそれに翻弄されながら芝居を続けようとする

役者、スタッフの姿が描かれます。

笑いっぱなしのストーリーですが、

これはかなり大真面目な場面でもあると思いました。

劇中座本の半蔵が言います。

「芝居は最後までやる!幕を閉めるな」と。

それこそが、芝居に取り憑かれた人たちに共通の思い、

歌舞伎役者だっておんなじです。

まさか、こんなにふざけた事件は起きないでしょうが、

歌舞伎が好きだからこそのエピソードばかり、

そして「川連法眼館」に関わるエピソードが満載。

かな〜りふざけてますが

私はそこに歌舞伎へのオマージュを感じました。

さらにいうとね、

ここにはいらっしゃらない四代目市川猿之助さんに対してもね。

だって、義経千本桜、狐忠信は猿之助さんの代表作でもあるから・・・。

 

三谷幸喜さん、楽しいお芝居をありがとうございます。

以上、本当はもっと色々語りたいエピソードはありますが

この辺で幕を閉めます。

お読みくださり、ありがとう存じまする。

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