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市川猿之助の「黒塚」、やっぱりいい!!4月大歌舞伎、一幕見観劇レポート

観劇レポート
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4月の歌舞伎座、一番観たかったのが、

「黒塚」です。

今日は、一幕見席で、「黒塚」観てきました。

先に言います。

これは、観て間違いない、いい舞台です。

26日(金)が千秋楽です。

気になる方のために、観劇レポートをお届けします。



 

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幕見席で観る歌舞伎のよさ

幕見席というのは、歌舞伎座特有のサービスで、

歌舞伎の一幕だけを観たいための人のスペースです。

演目により料金は違いますが、

だいたい600円~1800円くらいです。

歌舞伎座のチケットは5種類あります。

価格が高い順に、

・1階桟敷席:20000円

・1等席:  18000円

・2等席:  14000円

・3階A席:  6000円

・3階B席:  4000円

となります。

これは、昼の部、夜の部、それぞれの演目を

全て観られる席なので、

一番安価な3階B席でも幕見席よりは高くなります。

1部につき、3~4演目あり4時間30分ほどかかるので、

観たいものだけ手軽に観るには、

幕見席は便利なのです。

ただし、チケットは当日しか買えないので、

並ぶ余裕があるかも条件になります。

混んでいる場合だと、立ち見になることもあるので、

自分の好みと予定に合わせて選ぶのがいいかと思います。

ちなみに「黒塚」は1400円でした。

短い演目なのに、この価格、

やっぱり人気の演目なんですね。

もう一つの魅力は、大向こうさんかな。

芝居のいいところで、

「○○屋」と声をかける人たちです。

この方々も幕見にいることが多いので、

その掛け声を間近に聞くことができます。

ただし、好みにもよりますけどね。

今日の演目は、盛んに声がかかっていました。

「澤瀉屋」「萬屋」が多かったなあ。

幕見席については、こちらの記事も参考にどうぞ。

【最新版】歌舞伎座一幕見席のチケットの料金と買い方、見え方、気軽に歌舞伎を楽しむコツ!2023年6月バージョン
歌舞伎座で手軽に歌舞伎を見る方法として、幕見席のチケットを買って見るというものがあります。 初心者でも大丈夫、実際に行くと外国の方や観光客も多いです。 コロナで中断していた幕見席が、 2023年6月からリニューアルして再開されることが決まり...

 



 

「黒塚」とはどんな演目か?

「黒塚」は、謡曲の「黒塚(安達ヶ原)」を素材にして、

仕立てられた舞踊劇です。

自らが犯した罪業を悔やむ老女岩手が、

高僧である阿闍梨祐慶の

「罪障も仏法によって消滅する」という言葉に希望を見出し、

喜ぶのもつかの間、信頼を裏切られた悲しみと怒りのため、

鬼女の本性を顕すという哲学的なストーリーとなっています。

この演目は、3つの場面で構成されています。

まず第1景は、安達ヶ原の老女岩手の家に、

一夜の宿を借りにきた高僧の祐慶と岩手とのやりとりが

静かでゆっくりとしたテンポで進んで行きます。

三味線と唄に合わせて糸繰りをするくだりでは、

岩手の心情をじっくりと語り、

祐慶との問答によって変化する様子を描きます。

祐慶の言葉に希望を見出し、もてなしのために外に出る岩手、

寝屋を見てはならぬという言いつけに背いた、

強力が部屋一面の死骸を発見して大騒ぎになるところで場が変わります。

続く第2景は、私としては一番の見どころです。

薪を拾う岩手、月の光を浴びながら、

高僧の言葉に高揚する気持ちを隠せず、

踊り出します。

最初は、小さな手振りと身振り、

それがだんだんと大きくなり表情も柔和になって行きます。

この場面は三味線に加えて、尺八や琴、鼓もはいり、

音楽的にも楽しませてくれます。

ここでは、初代の猿翁が取り入れた、

ロシアンバレエの技法が有名です。

加えて、夜の闇の中、スポットライトで岩手の姿を際立たせたり、

月灯りが作った影と無邪気に遊ぶ岩手を描いたりと、

灯りを生かした演出が心憎いと感じました。

さらに見どころは、

強力が登場し、秘密がバレたと知った時の、

岩手の変容です。

怒りと悲しみに、鬼女の本性を現し、

強力に襲いかかります。

セリフではなく、表情と振りで両者の心のうちが、

ダイナミックに描かれる場面です。

鬼としての恐ろしさを見せる猿之助の演技、

命からがら逃げまくる一見滑稽な猿弥の演技、

両者ともに迫真の演技、

思わす見入ってしまう迫力がありました。

そして、第3景では、

黒塚から鬼女となった岩手が姿を現します。

祐慶とお供の山伏が、

数珠を押し揉み、念仏を唱えながら対峙します。

荒れ狂う岩手との緊張感ある対決も、

やがて治り、

岩手は姿を消していきました。

岩手に市川猿之助、祐慶に中村錦之助、

強力に市川猿弥、

山伏に中村種之助、中村鷹之資(両名共初役)を配し、

静と動、の明確なドラマティックな舞台でした。

中村鷹之資についてはこちらもお読みください。

中村鷹之資の家系図、父、母は誰?大学は?踊り上手な若手歌舞伎役者のプロフィール
初代中村鷹之資、舞台でひときわ存在感を見せる踊り手の名前です。 調べたら、なんと五代目中村富十郎の長男とあるじゃないですか。 ああ、あの子か、こんなに立派な役者になって・・・と感慨もひとしお。 父亡き後、真摯にお役を務め、日に日に成長が感じ

 



市川猿之助と「黒塚」の関係は?

この「黒塚」は猿翁十八番の一つです。

初演が初代猿翁と書きましたが、

そこから、岩手役はずっと猿翁、猿之助という澤瀉屋の役者が

務めてきました。

特に、2代目猿之助(現猿翁)の当たり役として、

昭和39年から平成13年まで演じ続けています。

その後、市川右近(現右團次)が2回ほど演じていますが、

それからは4代目猿之助が自らの役として育ててきています。

私は、平成12年7月の歌舞伎座で、

3代目猿之助の岩手、2代目亀治郎の讃岐坊を

観ています。

資料を探したのですが、いまは見当たらず・・・。

見つけたら、そちらも公開したいと思っています。

今回が6度目となる4代目猿之助の岩手、

かなり自分の役にしてきたなあと感心しきりの演技力でした。

ご自身も、子どもの頃から大好きで、ずっと演じたい役をおっしゃっています。

毎回、新たな工夫をされるそうです。

一幕だけでも、十分に堪能できた演目でした。

ぜひ、猿之助の「黒塚」ご覧いただくといいと思います。

4月大歌舞伎は、26日までです。

読んでくださり、ありがとう存じまする。

4月大歌舞伎についてはこちらもお読みくださいね。

4月も歌舞伎座へ行こう!平成最後の大歌舞伎の見所は?演目と主な役者、公演時間など
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