PR

三人吉三巴白浪(国立劇場令和2年12月歌舞伎公演)の感想!

観劇レポート
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

国立劇場令和2年12月公演の「三人吉三巴白浪」を観てきました。

11時開演、途中30分間の幕間を挟んで13時20分終演、

正味1時間50分の公演でした。

「月は朧に白魚の・・」で始まる有名な歌舞伎演目、

さて、その感想は???




スポンサーリンク

「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」の配役と簡単あらすじ

本公演の配役は次の通りです。

〈配役〉

お嬢吉三   中村 時蔵

お坊吉三   尾上 松緑

堂守源次坊  坂東 亀蔵

伝吉娘おとせ 坂東 新悟

手代十三郎  中村 萬太郎

捕手頭長沼六郎 中村 松江

和尚吉三   中村 芝翫

時蔵さんのお嬢吉三!?

ちょっと珍しいんじゃない?

と配役を知った時に、そこに関心を持ちました。

お坊の松緑さんと和尚の芝翫さんは同世代だけど、

時蔵さんは結構な大御所だから、、、

まあ、その年の差も気にしないのが歌舞伎なんですけどね。

今回の公演では、全4幕のうち、

2幕目を除いた3幕5場で構成されていました。

こんな感じです。

場ごとにあらすじをかいつまんで説明しますね。



〈簡単なあらすじ〉

序幕     大川端庚申塚の場

節分の夜大川端で、夜鷹のおとせから100両奪ったお嬢吉三(以下お嬢)。

そこに居合わせたお坊吉三(以下お坊)と金の取り合いになりますが、

間に入った和尚吉三(以下和尚)のとりなしで、

3人義兄弟の契りを交わします。

二幕目 第一場 巣鴨在吉祥院本堂の場

和尚吉三が身を寄せている巣鴨の吉祥院にお坊が現れます。

和尚は、捕手よりお嬢とお坊を突き出せば、

身を助けると言われ、それを承服します。

しかし、それは、2人を逃すための方便。

そこに、妹のおとせが婚約者の十三郎と訪れ、

父が殺されたことを話します。

その犯人はお坊でした、

それに気づいた和尚は黙って2人を裏の墓場に行かせます。

陰で話を聞いていたお坊は、自分が和尚の父を殺したことを知り、

同じく身を隠していたお嬢とその場で死のうとします。

二幕目 第二場  同    裏手墓地の場

おとせと十三郎は実は双子の兄妹、

それを知らずに夫婦になったことを憐れみ、

和尚は2人を殺し、お坊とお嬢の身代わり首を仕立てます。

二幕目 第三場  同    元の本堂の場

和尚は、死のうとする2人を止め、事の真相を明かします。

和尚の父はお坊の父の仇である事、

お嬢がとった百両は、父に渡したのでその先の責任はない事。

そして、お坊には家の再興を、お嬢には実父に百両を届けるように言い、

2人を逃すのでした。

大詰め 本郷火の見櫓の場

身代わりがバレて、和尚、お坊、お嬢はいよいよ追い詰められます。

3人は、ここが最後と追っ手に立ち向かって行くのでした。

あまりにもざっくりすぎるので、もう少し知りたい方はこちらをお読みくださいね。

「三人吉三巴白波(さんにんきちさともえのしらなみ)」演目紹介:主な登場人物、あらすじ、見どころを紹介
歌舞伎の人気演目「三人吉三巴白波(さんにんきちさともえのしらなみ)」を 紹介します。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 「三人吉三巴白波(さんにんきちさともえのしらなみ)」...



「三人吉三巴白浪」の感想~令和2年国立劇場12月歌舞伎公演~

このお芝居は、河竹黙阿弥の原作で、七五調のセリフも聴きどころです。

最も有名なのは、序幕の大川端でお嬢吉三が

お金を取った後に言うセリフ。

「月は朧に白魚の・・・」

中村時蔵さんは、さすが年季の入ったセリフ回し。

その季節や情景を想像しながら聴き入りました。

この場面は、お嬢、お坊が和尚と出会って義兄弟の契りを結ぶ、

このお芝居の中でも見どころの場です。

お坊は尾上松緑さん、不良だけど元はいい身分、

だからどこか品も感じられるのですが、

江戸っ子口調に、ちょっと持ち崩した悪さ感を漂わせていました。

和尚は中村芝翫さん。

3人の中では親分肌、度胸もいいし、話もうまい。

悪らしからぬ情けもあるイメージを

とてもリアルに演じていました。

序幕では、語られませんが、

実は3人には複雑に絡み合った因縁があるのです。

それを知らずに出会いを喜ぶ3人、

2幕目以降はその因縁から発する運命の波に翻弄されていくことになります。

なので、このお芝居は、ストーリーや登場人物の背景をを丁寧に追っていかないと、

途中でわけがわからなくなってしまいます。

今回カットされている2幕目に、

和尚の父が引き起こした悪行が語られているのですが、

そこがないので、

大川端からいきなり吉祥院で因縁が明らかになるのですが、

背景を知らない人にとっては、

運命の糸が見えないので、

和尚が血を吐くように絞る一言

「悪いことはできねえなあ」に込められた心情を

理解するのは難しいだろうなと思いました。

実の弟妹を殺す理由も、彼らが絡みとられている因果も

セリフの説明だけでは、ちょっと物足りない気がします。

鍵を握る伝吉が出てこないのも説得力に欠ける感じです。

時間の都合により、こういう構成になったのでしょうが、

やっぱりそこはもったいないなあ。

それでも、役者さんたちの熱演で

登場人物の悲壮な運命が、ひしひしと迫ってくる思いがしました。

3人の吉三以外では、

坂東新悟さんが演じるおとせと、中村萬太郎さんが演じる十三郎がよかったです。

健気で哀れな2人は運命が作り出した被害者と言ってもいい、

このお芝居で最も涙を誘う存在でもあります。

本人たちは知らないけど、実は双子という設定、

だからなのか、お二人の雰囲気がとてもよく似ているように見えました。

声のトーンや身の振る舞い、表情まで似てると感じました。

これも型なのかもしれないけれど、

演じる役者が、お芝居を豊かに膨らませている、

歌舞伎の魅力でもありますね。

そうそう、芝翫さんの和尚には、ちょっと勘三郎さんの匂いもしたな。

伝統って、人の中にも受け継がれていくのですね。

国立劇場12月歌舞伎公演は、12月26日(土)が千穐楽です。

読んでくださり、ありがとう存じまする。

2019年10月歌舞伎座の「三人吉三」の感想もよかったらお読みください

10月歌舞伎座芸術祭大歌舞、夜の部あらすじ、感想、見どころ、幕見席情報も
10月歌舞伎座芸術祭大歌舞,夜の部を観てきました。 役者一人一人の持ち味が生かされた、 充実のお芝居で、楽しめました。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 歌舞伎座芸術祭大歌...



コメント

タイトルとURLをコピーしました