2019年12月に上演された、
新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」。
大きな話題と感動を呼んだ舞台でした。
その舞台裏と尾上菊之助に迫るドキュメンタリー番組が、
1月4日にテレビ朝日局で放映されます。
「密着3000日!尾上菊之助 新たなる挑戦~ナウシカ歌舞伎の壮絶舞台裏~」
テレビ朝日局 1月4日(土)10:30 ~ 11:30
「密着3000日!尾上菊之助 新たなる挑戦~ナウシカ歌舞伎の壮絶舞台裏~」とはどういう番組なのか?
テレビ朝日のサイトによると、
このドキュメンタリー番組は、
尾上菊之助に10年間密着取材をしたもののようです。
「風の谷のナウシカ」は、
構想から5年越しで実現された舞台でした。
その様子まで、報道されるのかな?
って思うと期待が上がります。
番組サイトには次のように紹介されています。
◇番組内容
2019年12月25日まで上演された、新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」。
歌舞伎界の新たなる地平に挑んだこの作品の発案者であり、
主人公ナウシカを演じる尾上菊之助に足掛け10年、
3000日にわたり完全密着!
ナウシカ歌舞伎の壮絶な舞台裏に迫るとともに、
最も人気・実力を兼ね備えた歌舞伎俳優・尾上菊之助の魅力や知られざる素顔に迫る。
歌舞伎役者尾上菊之助について
ここで尾上菊之助の情報をざっくりお伝えします。
五代目尾上菊之助のプロフィール
尾上菊之助:本名 寺嶋 和康(てらしま かずやす)
生年月日 1977年8月1日
学歴 青山学院大学文学部中退
血液型 B型
祖父:六代目尾上菊五郎、父:七代目尾上菊五郎、母:富司純子、姉:寺島しのぶ
屋号:音羽屋
定紋:重ね扇に抱き柏、替紋は四つ輪
襲名:
1984年 「絵本牛若丸」牛若丸役(歌舞伎座)六代目尾上丑之助襲名・初舞台
1996年 「弁天娘女男白浪」弁天小僧菊之助役ほか(歌舞伎座)五代目尾上菊之助襲名
当たり役 「弁天娘女男白浪」弁天小僧菊之助
「鏡獅子」の小姓弥生
「京鹿子娘二人道成寺」の白拍子花子
若い頃は、市川海老蔵(当時:新之助)、尾上松緑(当時:松之助)とともに、
平成の三之助と若い女性を中心に大フィーバーを巻き起こしました。
音羽屋の芸の通り、現在は女形中心ですが、
最近は、立役での出演も目立ってきました。
昨年放映されていたドラマ「グランメゾン東京」では、
木村拓哉演じる尾花夏樹のライバルシェフ、丹後学役として、
お茶の間でも注目を浴びていました。
詳しくはこちらをご覧くださいね。
新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」について
2019年12月6日(金)~25日(水)にかけて
新橋演舞場で上演されていました。
新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」は、
宮崎駿監督のライフワークともいえる大作。
原作全7巻のストーリーを、
昼夜かけて歌舞伎舞台に仕上げたことが
大きなニュースになっていました。
歌舞伎ファンの中では、
毎日この舞台に関する情報が出ない日がなかったくらい。
ナウシカ演じる尾上菊之助の熱演に加え、
歌舞伎の様式を踏まえつつ、原作を忠実に再現した
キャラクター、舞台美術、音楽も
素晴らしい出来と賞賛の声も高かったです。
私も見にいきました!
その感想はこちらに書いていますので、よかったら読んでみてください。
尾上菊之助、「骨はついた!!」公演中の怪我の回復は順調!!
公演中の12月8日に驚くべくニュース!
尾上菊之助が昼の部の公演で、舞台から転落し、
左肘骨折という怪我を負ったということでした。
その日の夜の部は急遽、休演。
すぐに病院に行き、診察と治療を受けたところで、
翌日からは演出を変更し、公演を続行しました。
その怪我の状況について、
1月3日の国立劇場の鏡開きで、
司会者から新年の挨拶(あいさつ)を求めらると壇上から降り、
集まった観客らと同じ目線になって、休演したことを改めて謝罪したとのこと。
「一部、演出を変更しましたが、途中からだいぶ回復して演出も元通りとなり、
千秋楽まで務められましたこと、皆さま方のおかげと心より御礼申し上げます」
と感謝も述べました。
ケガの様子については、
「千秋楽が終わってから病院に行きましたところ、骨も無事についておりました。
あとはリハビリをして、ちゃんと動くように、
これからじっくりリハビリを心がけて参りたいと思います」
と報告があったそうです。
これを聞いて、安心安心。
その怪我の状況まで、このドキュメンタリーは映しているそうです。
「密着3000日!尾上菊之助 新たなる挑戦~ナウシカ歌舞伎の壮絶舞台裏~」1/4放映
放映された番組から、印象に残ったことを
紹介します。
なぜ、ナウシカを歌舞伎化?
大作「風の谷のナウシカ」を
歌舞伎化しようと思ったきっかけは、
江戸時代の人が「風の谷のナウシカ」を
歌舞伎化するならどのようにするんだろう?
という思いから、歌舞伎化への道が始まったそうです。
特に衣装、道具、音楽などは、
ジブリの世界感がありますが、
それらを歌舞伎に寄り添わせたらどうなるのか。
古典の表現方法をジブリに寄り添わせ、
歌舞伎として表現したいという思いが感じられました。
2018年6月から、
舞台制作に関する打ち合わせがスタートし、
それぞれの担当が話し合い、
納得がいくまで考え、工夫して、
ナウシカの世界を作り上げる様子も描かれていました。
メンバーは歌舞伎の世界を知り尽くしている方々、
再現性が高いと評判の「風の谷のナウシカ」。
それは、これらのチームが一丸となり、
可能性を追求してきた結果なのだとわかりました。
幕を開け、評判も上々という3日目に、
菊之助は左肘を骨折するというアクシデントに見舞われます。
私からしたら、
舞台中の大怪我は大変なことなのですが、
菊之助は、トリウマの人に怪我がなかったことや、
自分も顔やその他の両手足に怪我がなかったことを
幸いと捉えているようでびっくりしました。
左腕を固定しながらの舞台続行、
千秋楽までやり遂げた菊之助の気力、技術に
改めて感動しました。
尾上菊之助、歌舞伎での挑戦が続く
尾上菊五郎を父に、尾上梅幸を祖父に持つ、
音羽屋の芸を受け継ぐスーパースターです。
音羽屋の芸は、女形も立ち役もこなす芸です。
特に、世話物と言われる、
江戸時代の人々の日常を描く芝居の演目を
得意としているお家です。
尾上菊五郎から学ぶ「髪結新三」
世話物といえば、尾上菊五郎。
そう、菊之助の父親であり人間国宝の名役者です。
菊之助も、菊五郎の指導を受けながら、
立ち役に挑戦する芝居がありました。
その芝居「髪結新三」の
舞台稽古の様子も見ることができました。
新三が橋の上で忠七を蹴倒す場面、
菊五郎の厳しい指導が入ります。
時代が買った台詞回しの意味や、
口調の強さも、口頭でやってみせ、
違いをわからせていました。
菊之助は、世話物は難しいと、
人物描写に苦労する様子がうかがえました。
菊五郎の新三は、やはり素晴らしい、
台詞一語でもその世界が変わるところが
芸の力なんだと感じました。
中村吉右衛門から学ぶ「平知盛」
菊之助というと、美しい女形のイメージなのですが、
碇知盛で知られる平知盛にも挑戦しています。
それを教えるのが、人間国宝の中村吉右衛門。
菊之助の義父でもあります。
台詞や所作を口伝えで教えたり、
舞台に立って教えたりと、
こちらも熱心な指導が見られました。
吉右衛門という後ろ支えを得たことは、
菊之助が役者として大成するのに
とても心強いことだと思います。
長男和史くんが丑之助を襲名するまで
2013年に耀子さんとご結婚。
そのお式にもカメラは密着します。
そしてそこから、長男和史くんが、
七代目尾上丑之助を襲名するまでの道のりも
追っていました。
1歳の時に舞台に登りたがった和史くん、
2歳のお目見えでは、手を振ったものの挨拶ができなかった和史くん、
4歳の初舞台では、堂々と台詞を言って舞台をわかせた和史くん、
祖父吉右衛門と親子役を演じた和史くん。
少しずつ舞台への距離が近づき、
2019年5月に七代目尾上丑之助を襲名しました。
これからは、一人の役者として、
舞台に立っていくのでしょうね。
そして年が明けて1月1日。
尾上菊之助今年の抱負に対し、
「今年もひと公演ひと公演、歌舞伎を大切にして、
ひと公演ひと公演、成長できるように、
情熱を注いで舞台をつとめたい。」
と述べていました。
令和2年は、国立劇場からのスタートです。
歌舞伎役者尾上菊之助の挑戦は、
今年も続きそうですね。
読んでくださり、ありがとう存じまする。
「密着3000日!尾上菊之助 新たなる挑戦~ナウシカ歌舞伎の壮絶舞台裏~」
テレビ朝日局 1月4日(土)10:30 ~ 11:30
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