歌舞伎「風の谷のナウシカ」感動のあらすじと感想、千穐楽はカーテンコール2回!!

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」が、

12月25日、千穐楽を迎えました。

5年越しの構想、

今年一番の話題作とも言えるでしょう。

途中、尾上菊之助の怪我により、

若干演出が変更となったものの、

多くの人に感動を与える舞台だったと思います。

記憶が飛ぶ前に、あらすじと感想をまとめました(長文です)。



風の谷のナウシカのちょっと詳しいあらすじ

【昼の部】序幕から3幕まで

序幕「青き衣の者、金色の野に立つ」

口上(尾上右近)により、

タペストリー幕に沿って物語のスタートが告げられる。

この物語は、今から約1000年後、

文明発展を背景に、止まることを知らぬ人間の欲が、

世界を焼き、多くの人たちの命を奪ったこと。

その後大地が有毒な瘴気を発する腐海に覆われ、

巨大な蟲たちの住処となっている。

それでも、争いを止めることなく、

人々は滅びに向かっているが、

古の言い伝えにある救世主の訪れを

信じてもいる。

腐海に近い小国風の谷には、

ナウシカ(尾上菊之助)という姫がいる。

ナウシカは虫愛づる姫と言われるほど、

腐海にもそこに住む虫たちとも心を通わせている。

ある日、腐海にペジテ市の船が落ち、

王女ラステルから、ペジテ市が大国トルメキアに

滅ぼされたことを聞く。

ラステルは、ナウシカに、

「兄アスベルに秘石を渡してほしい」と頼み、息絶える。

その頃、風の谷に、

腐海を旅する剣士のユパ・ミラルダ(尾上松屋)が

訪ねてくる。

ナウシカが父であり族長のジル(河原崎権十郎)とユパに

ペジテ市の滅亡を話している時、

トルメキアの皇女クシャナ(中村七之助)が現れ、

逃亡者を出すようナウシカらに迫る。

刀を交えようとするナウシカをユパが止め、

争いを防ぐが、

何かを思うクシャナは、

ナウシカに土鬼(ドルク)諸侯連合国(以下土鬼国)を攻める軍に

加わるよう要請し、

ナウシカはミト(中村橘太郎)とともに加わることになる。

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ユパは城の奥深くにあるナウシカの実験室で、

腐海の植物は、地底の底のきれいな水と土で育てると、

巨大にもならず毒も出さないことを告げる。

汚れているのは土であると

ナウシカは突き止めているのだ。

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出陣したナウシカは、ペジテ市のガンシップが、

腐海に落ちるのを目撃し、メーヴェに乗り追いかける。

腐海では、王子アスベルが蟲に追われており、

ナウシカは王子を連れ森の奥底へと逃げていく。

腐海の奥底で、ナウシカは王蟲の声を聞く。

小さき者へ、、、と語りかける王蟲は、

南へ行くと告げて去って行く。

アスベルに秘石を渡し、

2人はメーヴェに乗って腐海から脱出する。

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酸の海近くではクシャナが陣を張っている。

クシャナはトルメキアの皇女であるが、

3人の皇子に疎まれ、

土鬼国との戦争でも、兵を取り上げられ、

戦線から離れたところで別行動を強いられている。

ここに参謀のクロトワ(片岡亀蔵)がやってきて、

何としても秘石を手に入れるようにという

ゔ王(中村歌六)の言葉を伝える。

軍に従っていたミトは、クシャナの許しを得て、

ナウシカを探しに行く。

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腐海を脱したナウシカとアスベルは、

土鬼のマニ族の船に捕まっている。

マニ族も戦争で国を焼かれて帰る国がない。

ケチャ(中村米吉)に案内され、

マニ僧正(中村又五郎)と会ったナウシカは、

土鬼国が、クシャナの軍を王蟲の幼虫を囮にすることで、

怒った王蟲を利用し、軍を全滅させようとしていることを聞く。

蟲を戦争の道具にすることを許せないナウシカは、

助けに来たミトと共にクシャナのところへ向かう。

しかし、時遅くすでにクシャナの陣地は、

怒りに煽られた王蟲によって押し潰されていた。

クシャナは、兄たちが仕掛けた罠と悔しがりながら、

落ち延びて行く。

王蟲の幼虫を助けたナウシカは、

王蟲の精と心を通わせる。

傷を自分のもののように痛むナウシカに、

王蟲の怒りは解けていく。

王蟲の地により衣を青く染めたナウシカへ、

王蟲の金色の触手が伸びて行く。

それを見た者たちは、

古の言い伝え、

「青き衣の者、金色の野に降り立つ」を思い、

ナウシカを救世主と崇めるのであった。



第2幕「悪魔の法の復活」

セムの街へ立ち寄ったユパ、

酒屋の娘から君が悪い者から守って欲しいと告げられる。

そこへ現れたのが蟲使い、

彼らは酒を買って出て行くが、

その支払いが土鬼の金貨であることに疑念を感じたユパは、

あとをつけて行く。

蟲使いの村では、

土鬼が王蟲の培養に手を染めていた。

その方法こそ、

旧世界の悪魔の法と呼ばれ、

封印されていたものだったが、

戦争に利用するために神聖皇帝が封印を破ったのだった。

その場では、マニ族の僧正をはじめ諸部族の僧が集まり、

次の戦に向けた会議をしていた。

神聖な王蟲を争いの道具に使うことを否定するマニ僧正と、

他の僧たちとが言い争う中、

現れたユパは、王蟲が培養されている水槽を次々に壊して行く。

そこに土鬼兵に扮したアスベルも加わり、

2人はこの企てを封じるのだった。

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マニ族僧正が、ユパ、アスベルらを逃がしたところへ、

土鬼の神聖皇弟ミラルパ(坂東巳之助)と僧官チャルカ(中村錦之助)がやってくる。

ミラルパは、超能力をあやつるため、

兄を差し置いて皇帝の座につき、

100歳を超える身体を培養の技術で保っていた。

僧正は、ミラルパの企てに、

王蟲が押し寄せる大海嘯を誘発し、

人々が滅ぶと訴えるが、

ミラルパは耳を貸さず僧正を殺す。

僧正が生き絶える前に言った、

救世主の話が気になったミラルパは、

生き霊となってナウシカを滅ぼそうとするが、

マニ僧正の魂によってナウシカは守られる。

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一方アスベルは、

ペジテが滅ぼされたのは、

巨神兵を操る秘石が見つかったためとユパに告げ、

ユパは、トルメキアがそれを手に入れる前に、

土鬼は悪魔の法を復活させても

戦に勝ちたいのではと想像する。



3幕目「白き魔女、血の道を行く」

クシャナは、土鬼のサパタ都城にいる、

元部下達である第3部隊と合流を図る。

ナウシカは、王蟲が南に行くという言葉を胸に、

クシャナと行動を共にしている。

クシャナは、クロトワが皇子たちの回し者と感づいており、

殺そうとするが、

クロトワは寝返りを申し出る。

その上、ヴ王こそが命を狙っていることも告げる。

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トルメキア軍に反撃を開始した土鬼軍。

撤退を始めているが、サパタ都城は、

取り残され、

この城を攻めるための攻城砲まで、

準備が進んでいる。

攻撃が開始されようとする中、

クシャナたちが城に到着する。

軍を率いる将軍は自分だけ逃げようとしていた。

第3部隊は、クシャナの登場を喜び、

共に戦いを挑むことを決意する。

捕虜を助けるようにクシャナに願い出るナウシカに、

自分の手も血で汚せばその願いを叶えると告げる。

戦を嫌うナウシカであるが、

クシャナ軍として戦うことを承諾する。

激しい戦いの中、多くの犠牲を出しながら、

クシャナ軍は勝利する。

祖国を目指し王位に就こうとするクシャナ、

王蟲を追い南へ向かうナウシカ、

2人は互いにそれぞれの道を行くのであった。



【夜の部】第4幕から大詰めまで

4幕目「大海嘯」

幕開け、道化の語り。

そして各登場人物たちの名乗り。

南へ向かうナウシカは、

砂漠の中のオアシスを見つけ休むことにする。

そこに現れたチククという子により、

御堂の上人のところへ案内される。

土着の神を御堂で祀っているという上人は、

「人々が滅びに向かう時、青い衣をまとい、白い翼を持った救世主が現れ、

人々を青き清浄の地に導く」という言い伝えを教える。

チククは、ナウシカがその救世主だと思っていた。

上人は、土鬼が悪魔の法を解き、

王蟲を戦争の道具に使おうとしているが、

それにより大海嘯が起き、人々が滅びると告げる。

大海嘯を止めるためナウシカはチククと共に出発する。

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ミラルパが乗る戦艦で、

兵器として開発された粘菌が運ばれている。

これは大地に落とすと広がって腐海にしてしまう

恐ろしい武器だった。

自国が腐海に覆われても、

戦争を終わらせるというミラルパに対し、

チャルカは民のことを考えていた。

急に、粘菌が突然変異を起こして

瘴気を発し蟲たちをおびき寄せる。

蟲が戦艦に群がっているのを見つけたナウシカは、

そこに乗り込む。

そして、生き霊となりナウシカを追うミラルパも現れる。

激しく戦う2人だったが、

チククの助けでミラルパは手傷を追い

生き霊は去って行く。

手に負えなくなった粘菌を焼くために、

チャルカは戦艦を自爆させるが、

生き残った粘菌は地上に落ち、

土鬼の大地に広がってしまう。

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土鬼の聖都シュワでは、

培養槽の中でミラルパが臥せり、

身体の回復に努めている。

そこへ、兄ナムリス(坂東巳之助)が現れ、

ミラルパを毒殺する。

ナムリスは超能力はないが、

複製技術を多用して100歳を超えてもなお、

若々しく身体を保っていた。

ナムリスは、不死身の人造人間ヒドラを使い、

逆らう者たちを殺して即位する。

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粘菌が広がり土鬼の大地は回復不能な不毛の地となりつつある。

頭をかかえるチャルカへナウシカは、

このままだと粘菌が集まった場所に無数の王蟲が突き進み、

大海嘯が起きると話し、王蟲の群れを説得しに向かう。

そんなチャルカの元に、

ミラルパ崩御とナムリス即位の知らせが入る。

全軍あげてトルメキアを攻めよというナムリスの命令であるが、

今は、民を救う時と考えたチャルカは、

生き残った民の元へ向かうのだった。

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一方クシャナ達は、

サパタにいる第3軍をトルメキア本土へ帰還させるための、

船を奪いに、トルメキア軍の基地へとやってくる。

船を奪ったものの、第3皇子に取り囲まれるクシャナ。

皇子は、おびただしい蟲の大群がやって来たことから、

クシャナを置き去りにして飛び立つが、

乗った船が蟲と衝突して墜落してしまう。

憎んでいた兄はあっけなく死に、

呆然とするクシャナ。

そこへ、蟲の大群が押し寄せるが、

空虚になったクシャナには目もくれず、

やり過ごすのだった。

蟲達が去った後、

ユパ、アスベル、ケチャがやってくる。

突然現れたヒドラに、

クシャナがさらわれるが、

その時、轟音が響き、

無数の王蟲達が押し寄せて来て、

ついに大海嘯が発生してしまうのだった。

注)大海嘯とは?

王蟲の群れが目の前のありとあらゆるものをぶち壊して進み続ける。やがて、飢餓で果てると、その身体を苗床にして、胞子が根を張り、腐海が発生するという現象のこと。



5幕目「浄化の森」

王蟲達が集まり大海嘯となった。

ナウシカは、

人間が開発した粘菌のために王蟲や多くのものの命を失ったこと、

それを止めることができなかったことなどから、

生きる希望を失ってしまう。

一人闇の中にいるナウシカを、

死んで魂となったミラルパが襲うが、

森の人セルム(中村歌昇)により、

救われる。

セルムはナウシカに、

腐海の秘密を見せる。

それは、腐海が1000年かけて、

大地の毒を浄化すると砂になっていき、

やがて土になり大地が蘇ること。

腐海や大海嘯は、

人間が汚した大地を浄化するためにあるということ。

希望を取り戻したナウシカは現実の世界へ

戻っていくのだった。

胞子が王蟲の遺骸から発芽し、

新たな腐海を作っている。

チャルカとチククに迎えられたナウシカは、

戦争を止めるためにナムリスのところへ向かう。

6幕目「巨神兵の覚醒」

トルメキアの王都トラスでは、

国王のヴ王が、

逃げ帰って来た第一皇子と第二皇子を叱責する。

ヴ王は、巨神兵を操って土鬼を滅ぼし、

シュワの墓所に隠された秘密を手に入れて、

永久にこの世を支配する企みであった。

その野望を果たすため、

自ら出陣しシュワへと向かう。

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一方土鬼国では、

ナムリスが巨神兵を復活させ、

残った民を引き連れてトルメキアへ攻め入ろうとしていた。

民たちの元へナウシカが現れ、

苦しくとも残された土地で身を寄せ合って生きるべきと、

諭す。

チククは実は神聖皇帝に滅ぼされたドルク王の末裔で、

ナウシカと同じ道を歩むと告げる。

チャルカもそれに同意し、

ケチャとアスベルも、

マニ族はナウシカに従うと宣言する。

多くの民が賛同する中、

アスベルはナウシカに秘石を託し、

ナウシカは争いを止めるために出発する。

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都にいるナムリスは、

ヒドラに捕らえさせたクシャナに結婚を迫る。

トルメキアと土鬼の二重帝国を作り、

君臨するためである。

第3戦隊を助けることを条件に、

クシャナが承諾すると、

門出の主賓として巨神兵が届けられる。

ナウシカも現れ、ナムリスと戦うところに、

ユパも現れる。

ナウシカが持つ秘石が光り、

ナウシカと巨神兵は心を通わせる。

ナムリスは、巨神兵の一撃で吹き飛ばされる。

蘇った巨神兵は、ナウシカを母と慕い、

ナウシカもオーマ(無垢の意味)という名をつけ、

ともに、秘密が隠されているシュワの墓所へ、

向かう。



大詰め「シュワの墓所の秘密」

長老に率いられて土鬼の民が集まっている山地を、

クシャナとユパが訪れ、

ナムリスの遺体を葬って欲しいと告げる。

クシャナへの憎しみは晴れず、

マニ族の女が隠し持った爆弾を投げつける。

それを掴み取ったユパの腕が吹き飛ばされ、

クシャナは自ら憎しみの刃を受けようとするが、

ユパがその盾となる。

あたりが騒然となった時、

マニ僧正の魂がユパに乗り移り、

恨みを捨てるように民を諭す。

静かになった民を前に、

ユパはクシャナに王になれと言い残して

死んでいくのであった。

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オーマとともに墓所を目指すナウシカ、

オーマが発する毒の光で

体が弱ってしまう。

テトも死に、悲しむナウシカに、

庭の主が現れ休息をさせる。

しかしその正体は不死身のヒドラで、

ナウシカを墓所に行かせないように

言葉巧みに操ろうとする。

そこにセルムの魂が現れるが、

逆に腐海の真実を語っていないと

責められてしまう。

実は、腐海が浄化した後の毒のない世界では、

今の人間たちは生きることができないということだった。

それを聞いたナウシカは、

人間が人間を意図的に作り変えたのではないかと気づき、

その秘密が墓所にあると確信するのだった。

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ヴ王は土鬼の聖都を占領し、

墓所へ入る入口を探している。

ナウシカよりも先に到着したオーマは、

聖都を攻撃し、

墓所を残して崩れさってしまう。

焼け野原から這い出たヴ王と道化は、

神官により墓の中へと招き入れられる。

墓の主とは、夏至と冬至に一行ずつ

文字が現れる頭脳のような生命体であった。

その時ナウシカが現れ、

墓の主との問答になる。

墓の主は、1000年かけて世界を浄化するために

作られた仕組みであった。

浄化後の世界で新たに人間を生み出すために、

黄昏の世界の人間は作り変えられ、

浄化とともに滅びるよう定められていたのだった。

世界の真実を明らかにしたナウシカは、

墓のせいを滅ぼすためにオーマを呼ぶ。

オーマの精(尾上右近)と墓の主の精(中村歌昇)が激しく戦い、

ともに倒れていく。

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浄化後に世界を作り変える仕組みは

破壊された。

黄昏の時代を生きる人々に、

ナウシカは、

命は地球の運命に託し、苦しくても精一杯に生きるべき、

と言うのだった。

朝日が昇る大地、皆はそれぞれ自分の道へと歩き出すのだった。



風の谷のナウシカの感想ベスト5

様々思うことは多いのですが、

それらから5つに絞って紹介します。

ベスト5とはいえ、順位はつけられませんでした。

その1:役者たちがキャラクターにぴったりはまっていた

主人公のナウシカを演じた尾上菊之助を始め、

登場するキャラクターたちに、

役者がぴったりマッチしていて、

臨場感が高まりました。

圧倒的に人気が高かったのは、

クシャナ(中村七之助)でしょう。

氷のような鋭さと、炎のような情熱を併せ持ち、

カリスマ性ある皇女を、

品良く、そしてかっこよく演じていました。

ユパの尾上松也は、抑えた演技が

より存在感を高めていましたし、

アスベルの尾上右近は、血気盛んな若者、

といった感じ。

食えないキャラのクワトロは片岡亀蔵以外に考えられないし、

絶対悪のミラルパ・ナムリスを毒々しさを醸し出した坂東巳之助、

仮面を使い分ける策略家としても狂言回しとしても、異彩を放った道化の中村種之助、

清涼感を待とう不思議な魅力を持ったセルムの中村歌昇などなど。

本当にぴったりでびっくりしました。

忘れてはならないのが、

庭の主などを演じた中村芝のぶです。

表情と声音だけで、全く違う2役を演じ分ける、

まさに怪演とでもいいたい役者でした。

*ナウシカを演じた尾上菊之助とは?こちらをお読みください。

五代目尾上菊之助は、歌舞伎の名門音羽屋の御曹司です。 女形(女性やく)も立役(男性やく)もオーラーがにじみ出る素敵な役者さんなんですよ...

*配役についてはこちらの記事について書いてありますので、よかったらお読みくださいね。

歌舞伎「風の谷のナウシカ」の初日が明けました。 12月6日(金)~25日(水)にかけて上演されます。 気になる作品の配役、 ...

その2:世界観をイメージさせる舞台美術が素晴らしい

王蟲を始め、蟲たちの表現も含め、

ナウシカの世界をイメージさせる舞台美術にも

感動させられました。

腐海の森の底深さ、殺伐とした戦場、

都や墓所など、

場面転換がめまぐるしかったのですが、

その転換も含めて全てその世界に浸ることができました。

王蟲の大群も圧巻でしたし、

うって変わって金色の野になるシーンは、

美しく神々しくさえありました。

こんな素晴らしい舞台セットを

一回しか使わないなんてもったいないですよ!



その3:壮大なメッセージが伝わってきた

全7巻にもわたる壮大なストーリー、

私は原作をほんの一部しか読んでいないので、

あまり予備知識なく舞台を観ました。

ストーリーを追うのは大変でしたが、

作品が持つ、荘厳なメッセージは、

ひしひしと伝わってきたと思います。

滅びゆく中、争い続けることの愚かさ、

人は人であり、髪ではないということ、

互いに寄り添い、「今」を生きることの大切さ、

全てググッと胸に迫ってきました。

この作品は本当に多くのことを語っていると思いますが、

歌舞伎の舞台からも、

それらをしっかりと捉えることができました。

その4:怪我を負いながらも演じきった菊之助に感謝

12月8日、驚くべきニュースに、

心が穏やかではいられませんでした。

「舞台上演中に、尾上菊之助が負傷したらしい。」

その時の様子や舞台がどう終わったのか、

関係者の動きなど、SNSから伝わってきて、

どうなっちゃうんだろうと

心配になりました。

当日の夜の部は休演になってしまいましたが、

治療をして翌日から舞台復帰へ。

菊之助の並々ならぬ熱意と根性と責任感に、

圧倒される思いでした。

骨折した肘を固定しながらの演技、

演出が変わってしまったのは仕方ないけれど、

その分を違う表現で補い、

舞台に立ち続けたその姿には、

感謝しかありません。

休んでください、って思っていたファンはたくさんいたし、

現にそういう声も上がっていましたが、

ご自身はそれを知りつつこれが役者の道、

と黙って演じ続けられました。

本当に素敵な舞台をありがとうございました。

*菊之助の怪我と舞台休演についてはこちらに詳しく書きましたので、よかったらお読みくださいね。

12月6日に幕を明け、大きな話題となっていた 「風の谷のナウシカ」。 12月8日(日)の昼の部公演において、 ナウシカ役の...



その5:歌舞伎の様式が随所に見られた

菊之助が「後世につながる新しい古典」と

考えたことは、

まさに、歌舞伎演目として確立させることでも

あると思います。

歌舞伎として成り立たせるためには、

この作品のエッセンスを歌舞伎の脚本、構成、演出にするために、

かなりの時間と労力があったのではないかと、

この舞台を見て改めて感じました。

それほど、「歌舞伎」になっていました。

例を挙げると、

情景や感情描写の場面で舞踊を用いていたこと。

5幕目は、無力さを憂い、腐海をさまようナウシカを

「道成寺」や「鷺娘」の舞踊を通じて表現していました。

言葉で説明するより、

音楽と舞で表現することで、

心のうちの深い思いを効果的に表していたと思いました。

場面転換では、

廻り舞台、スッポン、せりなど、歌舞伎の舞台構造を生かした、

転換法が有効であったと思います。

戦闘シーンでの立ち回りや、見得、本水を使った演出とうとうも、

歌舞伎ではお馴染みの演出です。

昼の部の開始は口上から、夜の部は名乗りから、

これがあることで、

お芝居の流れや登場人物の役割がわかりやすくなりましたが、

これも、歌舞伎の通し狂言ではよく見られる手法です。

このように、原作を歌舞伎として表現する、

そういう舞台に仕上がっていたと感じました。

歌舞伎を見慣れない方には、

不思議に感じるシーンもあったと思いますが、

これも面白いと思えるなら、

歌舞伎を楽しめたということになりますよ。

これは私見ですけど、

これだけ壮大な、深く思いメッセージが込められた作品を

劇化するのなら、歌舞伎の手法を使うしかない、

ということもあったのかなあと思います。

歌舞伎の演目は元々そういうものを、

庶民にもわかりやすくエンタメ化したもの

と言えますから。

新しい物語でしたが、

歌舞伎ファンにとっても受け入れられたのも

さもありなんというところです。



この作品の歌舞伎化にあたって、

尾上菊之助は、

「新しい古典として後世に残せる作品にしたい」

と語っていました。

そのためには、

さらなるブラッシュアップも必要かと思うので、

絶対に再演もあるだろうと期待しています。

千穐楽はカーテンコールが2回もあったとか、

それだけ観客に愛された舞台だったということですね。

映画もいいけど、やはり舞台で観たいものです。

まずは、関わった全ての皆様に

お疲れさまとありがとうございました。

皆さまにも、読んでくださり、ありがとう存じまする。

*ディレイビューイングも見てきました!

2019年12月、 超話題になった新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」が、 ディレイビューイングとして、全国の映画館で 上演が始...