赤胴鈴之助は、1957年に映画化されて人気を博した漫画です。
歌舞伎役者の尾上松也さんが自主公演「挑む」ファイナルで選んだ演目、
そのあらすじや登場人物について紹介します。
必殺技、真空切りはどう描かれるのかも注目ですね。
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— 挑む -尾上松也 歌舞伎自主公演- (@idomukabuki) July 12, 2021
赤胴鈴之助は映画、ラジオ、アニメの作品にもなった名作
赤胴鈴之助、私はアニメをかろうじて知っている年代です。
「剣をとっては日本一の、 夢は大きな少年剣士~」
という歌い出しもまだ覚えています。
原作は、武内つなよしさんという方が描いた漫画作品です。
はじめに発表されたのが1954年、第1作は福井英一さんという方の手によるようです。
1957年には映画化され、58年までに9作も作られたそうです。
以下に人気があったかを忍ばせますね。
同じ頃(1957年~59年)、テレビドラマにもなっているんです。
KRテレビという局で全55話、スタジオでの生放送だったんですって。
この時に、主演の鈴之助を演じたのが尾上緑也さんです。
そう、のちの尾上松助さん、尾上松也さんのお父様です。
この作品の出演者が結構豪華でして、
吉永小百合さんにとってもテレビ初出演番組だったとか、
他にも五月みどりさん、野沢雅子さんなどがご出演だったということです。
この時代が、赤胴鈴之助の第一次ブームと言えそうですね。
この後1972年からアニメ化され、1973年まで全52話放送されます。
私が見ていたのはこれですね。
その時のキャストが次の通りです。
赤胴 鈴之助(声 – 山本圭子)
さゆり(声 – 小鳩くるみ)
龍巻 雷之進(声 – 兼本新吾)
波野 十蔵、骸骨鬼(声 – 永井一郎)
波野 大助(声 – 桂玲子)
柳生 市太郎(声 – 井上真樹夫)
この顔ぶれも、すごい声優さんたちだなあと思います。
そして、2021年には歌舞伎でも上演されています。
映画、ラジオドラマ、テレビドラマ、アニメと
形を変え、多くの人に親しまれた作品なんですね。
では、その魅力はなんなのでしょうか。
あらすじを見てみましょう。
赤胴鈴之助(歌舞伎)のあらすじは
赤胴鈴之助のあらすじは、ざっくり説明すると次のようになります。
剣技に優れた少年鈴之助は、父の形見である赤い胴着を身につけ、
赤胴鈴之助と周りの人から言われています。
さらに剣の腕を磨くために、江戸の剣の達人であり父の友人でもある千葉周作に弟子入りします。
修行を通じて、技と心を磨き成長する鈴之助、
その過程では兄弟子である竜巻雷之進との確執や、
千葉周作の娘、さゆりとのほのかな思いを経験します。
そして、倒幕を目論む鬼面党との対決や様々な悪人が起こす事件にも
颯爽と立ち向かい、正義と剣の道を貫いて行きます。
ざっくりとしたストーリーはこんな感じですが、
50話以上あるドラマやアニメでは細々とした事件が描かれます。
【公演レポート】尾上松也と生田斗真の“夢”が実現、歌舞伎自主公演「挑む」ファイナル開幕(コメントあり) https://t.co/7weuxF4v30
— kabukist (@kabukist1) August 17, 2021
歌舞伎「赤胴鈴之助」のネタバレあらすじ
下総国の山中をさまよう金野鉄之助、
悪鬼との戦いに備え、剣の秘技「真空斬り」を会得しようと
真空谷をめざしていました。
そこへ、桜の花に囚われたという遊女が現れます。
その話に同情した鉄之助の隙に、遊女は首に簪を突き立てます。
この女は、朝廷に敗れて恨みながら死んだ平将門の娘滝夜叉姫でした。
鬼の頭領、銀髪鬼とともに、将門の霊を呼び覚まし、
鉄之助の身体に取り憑かせるのでした。
蘇った将門は、この世を魔界にすると不気味な声を響かせます。
10年後、箱根の山中で、金野鈴之助は
親友竜巻雷之進と共に剣術の稽古に明け暮れています。
ある日、悪夢にうなされた鈴之助、
その夢では武者行列に伴われた王が現われたのです。
顔は見ずともその名を聞いたと
「平将門」の名を口にした途端、
話を聞いていた雷之進は胸を抑えて苦しみます。
快方の末正気を取り戻した雷之進と共に、
鈴之助は江戸一番の剣の達人、千葉周作の門に入ることを決意、
江戸を目指して出立します。
江戸の千葉道場で、入門がかなった二人は
毎日剣の稽古に励みます。
周作の娘さおりとも心を通わせ充実の日々、
鈴之助は、周作の「人を生かす剣の奥義」に心を打たれ、
雷之進は、真剣により命をかける剣の道に心酔していきます。
その頃、江戸では物価が上がり、
庶民の生活も苦しくなっていました。
その苦難に乗じて現われたのが、
鬼の面をつけた鬼面党です。
鬼面党は、強欲な商人や役人を襲い、
義賊として町の人たちに崇められるようになっていました。
それを知った鈴之助は、盗賊は義賊ではないと憤るのでした。
鈴之助の母おすずも、鈴之助の消息を尋ね
周作のもとを訪れます。
周作とおすずの夫、鉄之助は親友だったのです。
真空斬りを会得するために旅に出たまま戻らない鉄之助、
下総では将門が蘇ったという噂があることを
おすずは周作に告げます。
それを聞き、周作は鉄之助は将門に討たれたのではないかと
推測します。
修行の邪魔になってはと、おすずは鈴之助に会わず去ります。
その頃江戸では、陽炎座という芝居小屋が大人気、
妖艶な陽炎大夫とその座元は実は
滝夜叉姫と銀髪鬼の仮の姿、
将門の血を受け継いだ者を探していたのでした。
そこへ、さゆりに連れられ、鈴之助と雷之進が訪れます。
芝居の最中、喧嘩を始めた侍を押しとどめた鈴之助と雷之進を
陽炎太夫がお礼にと一席設けます。
ガラスのグラスで指を切る雷之進、
その指を口に含んだ滝夜叉姫は、彼こそが血族と確信します。
そこに、鬼面党が現われた、、という声が、、。
鈴之助と雷之進は、その現場へと向かうのでした。
そして目にしたのは、鬼の面を被った庶民が、
暴虐の限りを尽くす現場でした。
止めようとして逆に襲われた鈴之助を守り、
雷之進の剣が一人の男の命を奪います。
人を斬るとはと恍惚の表情を浮かべる雷之進、
銀髪鬼も俺が対峙すると息巻いて出て行きます。
後を追おうとした鈴之助を止めたのは周作です。
周作は、鬼面党の背後には蘇った平将門がいることを
鈴之助に伝えるのでした。
銀髪鬼を追って行った雷之進、
逆に追い詰められ胸の痛みに苦しみます。
血の秘密を教えると陽炎座に連れていかれた雷之進は、
蘇った将門から、自分が一子良門であることを告げられます。
血の因縁に苦悩する雷之進ですが、
その稲妻斬りの秘技を与えられ、
運命を受け入れることにします。
そして、鬼と化した雷之進は、
千葉周作を斬れという命に従い、
周作を探しに出て行きます。
周作を見つけた雷之進は躊躇なく斬りつけます。
さすがの達人、簡単にはやられません。
しかし、稲妻斬りをしかけられ深手を負ってしまいます。
助けにやってきた鈴之助、
雷之進の前に命を投げ出し、周作を救おうとします。
刀を振り上げた雷之進ですが、
それを下すことができません。
鬼である雷之進を何かが押しとどめたのです。
周作の息はありますが、このままでは命が危うい。
さゆりも現れ、鈴之助に、周作をある家に連れて行くように指示をすると、
自分は「繋ぎ馬の赤旗」を取りに家に戻り、
そこから身を隠すと告げます。
心配するものの、これでも武士の娘とさゆりはその場を去ります。
周作とともに支持された場所へ行く鈴之助、
そこには母おすずの姿がありました。
周作の命を救おうと必死の看病をする母おすず、
その甲斐あって命を取り留めます。
そして、鈴之助は、平将門こそ父の仇であることと、
真空斬りを会得するためには、真空の鏡が必要なことを聞きます。
そして、平賀源内を訪ねよと言われます。
平賀源内を訪ねた鈴之助は、そこでさゆりと再会します。
源内から鏡を受け取った鈴之助は、
さゆりとともに真空谷をめざします。
さらに、源内からは、鉄之助から預かった
赤胴を鈴之助に渡し、これからは赤胴鈴之助と名乗ると良いと言われます。
襲ってきた鬼面党から2人を逃し、源内は知恵の限りを尽くして
鬼面党を追い払います。
真空谷に辿り着いた鈴之助は、
やっとその秘技を手にします。
そして、鬼の住処に向かうのです。
そこで出迎えた雷之進と鈴之助は再び対決します。
鈴之助は、鬼になった雷之進の瞳の奥に、
人間の心を見たのです。
それを信じ、人を生かす秘技「真空斬り」で
雷之進に向かって行きます。
稲妻斬りと真空斬りが交錯し、雷之進が倒れます。
そして、人の心をまた取り戻すのです。
鈴之助と雷之進は、鬼に立ち向かいます。
そして、最後に残った将門が姿を現し、
2人に向かってきます。
圧倒的な強さで迫る将門、鈴之助大ピンチです。
しかし、その時将門に乗っ取られた鉄之助が目を覚まします。
そして、自分が将門をとどめている間に倒せと命じます。
父の助けを借りて将門を倒した鈴之助、
将門は鬼達共々冥府に送り返されたのでした。
赤胴鈴之助(歌舞伎)の登場人物は?
赤胴鈴之助には、主人公鈴之助のほか、
師匠の千葉周三、その娘さゆり、ライバルの竜巻雷之進などの
人物が登場します。
歌舞伎での登場人物や配役はこちらになります。
赤胴鈴之助、平将門、金野鉄之助:尾上松也
さゆり:中村莟玉
瀧夜叉姫:市川蔦之助
母おすず:尾上徳松
凸山凹之助:尾上隆松
凹田凸衛門:尾上まつ虫
銀髪鬼:尾上菊次
千葉周作、平賀源内:澤村國矢
竜巻雷之進:生田斗真
そして、キャストではありませんが、
演出や振り付けは、舞踊家の尾上菊之丞さんが務めています。
尾上菊之丞さんといえば、
新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」も手がけたお方です。
同じ尾上ですが、松也さんとの血縁関係はありません。
さらに、脚本は戸部和久さんです。
歌舞伎の舞台の脚本を多く手がけ、
最近印象的な作品としては図夢歌舞伎の忠臣蔵があります。
力強いお二人の力を得て、歌舞伎赤胴鈴之助はどんな作品になるのか楽しみです。
赤胴鈴之助(歌舞伎)は尾上松也と生田斗真の同級生コンビ
歌舞伎「赤胴鈴之助」は、尾上松也さんの自主公演「挑む」のファイナル版として上演されます。
この舞台で、尾上さんは兼ねてからの夢であった、
親友生田斗真さんとの共演を果たしています。
チケットが取れなかったのは、そのせいもありそうです。
このことについて尾上さんは次のように語っています。
「斗真さんとは中学時代から現在に至るまで、全てを共有してきた数少ない友人です。その盟友と学生時代から共に語り合っていたのが、歌舞伎作品でいつか一緒に舞台に立ちたいという夢でした。
それが何十年越しに叶い、皆様にご覧いただけることはこの上ない喜びです。一筋縄ではいかなかった公演ですが、我々二人と共演者、そしてスタッフの熱い思いを裏から表まで堪能していただけましたら幸いです。」
10年以上かけてかなえた夢だけに、大きな喜びが感じられますね。
対する斗真さんも次のように語っています。
「いつか一緒に舞台やろう」高校時代、教室の隅で松也くんと交わした約束が、時を経てこんなにも大きなプロジェクトになるなんて、あの頃の僕達に教えてあげても信じてもらえないだろうな。」
一緒の舞台が歌舞伎、一般の俳優さんが歌舞伎の舞台を踏むことは
滅多にないことです。
それだけに、この舞台にかける意気込みも感じられます。
生田斗真さんは、2ヶ月半前から鬘合わせ、セリフあわせ、立ち回りも合わせた稽古を積み、
公演の日を迎えていらっしゃいます。
これらのプロセスを含めたドキュメンタリーが、
Netflixで放映されることにもなり、
高校の同級生の長年の夢は、大きな形で人々に届けられることになりそうです。
いや、もちろん私は、生を観ますよ!
生田斗真、盟友・尾上松也と新作歌舞伎で悲願の共演 挑戦の日々を追うNetflixドキュメンタリー、22年春配信 : 映画ニュース – 映画.com https://t.co/PU0bZoZHQI
— 挑む -尾上松也 歌舞伎自主公演- (@idomukabuki) August 13, 2021
赤胴鈴之助の必殺技は真空斬り
赤胴鈴之助、少年剣士ですが、その腕前は大人顔負けです。
師匠の千葉周作の紹介で弟子入りした飛鳥流から教わった
秘技「真空斬り」は鈴之助の必殺技です。
どんな技かといいますと、こんなもののようです。
鈴之助が自身の手前で腕をクロスし、一回転させた後斜めに振り下ろし、真空の渦を作り出す。その中で鈴之助自身が上空まで飛び上がり手刀を切ることで渦を二つに裂き、敵をその中に巻き込ませて倒す技。応用技に渦の中で手刀を十文字に切る十文字真空斬りがある。
~必殺技辞典より引用~
そういえば、アニメのシーンで、
鈴之助が高く飛び上がって、シュンシュンと手刀を切ると、
巻き起こった渦がバサッと切れて相手が倒れている、、
そんなシーンを覚えています。
ただの剣技ではないんですね。
真空の渦を作り出すって現実にはどうするんでしょうね。
ドラマや映画では効果が使われていたんじゃないかと推測しますが、
歌舞伎の舞台ではそれは難しいですよね。
謎です。
舞台では、特殊効果で光が渦と稲妻を描き、
その中で鈴之助が手刀を振るうという描き方でした。
この時は、剣は使っていませんでした。
人を斬らない剣の秘技、表現は難しいけれど
そこに込められた意味は深いと感じました。
赤胴鈴之助(歌舞伎)の感想
さて、尾上松也さんと生田斗真さんがダブル主演の赤胴鈴之助。
他にも中村莟玉さん、澤村国也さん、市川蔦之助さんと
歌舞伎界ではおなじみの役者さんも活躍する歌舞伎のお芝居です。
だいたい3時間弱の舞台でした。
私が観劇したのは、八月十九日(木)でした。
本来ならば休演日です。
しかし、急遽上演日程追加ということでチケットが販売され、
幸運なことにすぐ購入することができました。
行ってみたら、客席のど真ん中に収録用の機材があり、
その空いている座席が販売されたようでした。
諦めていた私からみたら、行けてラッキー!
しかも、客席の約半分が機器に使われていたので、
密を気にせずゆったり観られてなおラッキー!って感じでした。
本多劇場は、歌舞伎座とは比べものにならない小さな劇場です。
下北沢は演劇の聖地と言われ、この地から数々の名舞台や役者が
輩出されています。
この劇場を、自主公演「挑む」の完結舞台に選んだのは
演劇に対する松也さんの熱い思いがあったことがうかがえます。
先述しましたが、
「赤胴鈴之助」は漫画が原作、そこから映画やテレビドラマにもなり
歌舞伎としても人気を博した作品だそうです。
松也さんのお父様、故尾上松助さんが
テレビドラマの主役を務めていたという縁があるんですね。
でも、それらの作品や写真などは、残っていないこともあり、
松也さんは目にしていないのだそうです。
また、歌舞伎の人気が低落して風前の灯火になった時に、
「赤胴鈴之助」だけは、人が入って、歌舞伎人気を盛り返した、
ということもあったそうです。
この作品に込める思いも感じられます。
もう一つ、その強い思いがうかがえるのが、
高校の同級生の生田斗真さんとの共演です。
その件についても、先述していますね。
公演パンフレットを読んで知ったのですが、
生田さんは、松助さんに可愛がってもらった思い出があったそうです。
松助さんの告別式で、号泣したというエピソードが掲載されていました。
つまり、生田さん、松也さん、
両者とも「赤胴鈴之助」に対する思い入れが強いのです。
だからこそかな~~
このお芝居を観て一番強く感じたのは、
「チームワーク」です。
松也さんと生田さんの強い絆もですが、
松也さんとお弟子さんたちとの絆や
自主公演にずっと出演していらした澤村國矢さんや市川蔦之助さんなどの役者さんたちとの絆。
小さな舞台ですが、そこを縦横無尽に使う演出、
これを可能にしたのは裏方スタッフさんの力もあると思います。
後半、対決のシーンを盛り上げたのは、
和太鼓奏者の上田秀一郎さんと小泉謙一郎さん、
三味線、義太夫、附け打ちと、どれ一つ欠けても成り立たない
そんなエンターテイメント作品だったと思います。
だから、「チームワーク」。
尾上松也さん中心に一つにまとまった感が
完成度の高さを感じさせました。
私は、ストーリーを全く知らなかったので
とても楽しめました。
そして、役者さんがとても近くで見られたことにも
観劇しました。
小さな劇場空間がみんなおんなじ仲間のような
共通意識を持って過ごした時間という気がしています。
お芝居の中で印象に残ったことを3つあげます。
ひとつめは、生田斗真さんの歌舞伎とは異質の存在感です。
手足が長く、顔が小さく、顔立ちがくっきりしている生田さん、
見た目も歌舞伎役者とはちょっと違うんです。
隈取りなくても、目鼻立ち目立つなあって
ぼやあと見惚れていました。
でも動きはキビキビとしていて、
歌舞伎の動きにも遜色なかったです。
ジャニーズで鍛えたからかなって思ってましたが、
尾上菊之丞さんの元で、日本舞踊もお稽古しているそうなんです。
飛び六方で退場する場面があるのですが、
勇んでいる様子がわかる跳びっぷりでした。
口跡もよく、聞き取りやすい声ですが、
ここもちょっと違うなって思ったのは発声法の違いなんだろうな。
だからと言って、舞台には馴染んでいたし、
主演以上の存在感で劇場を支配していたと思うので、
一流はやはりすごいなあということを感じました。
おそらく、生田斗真さんをこんなに間近に見る機会は
もうないかもしれませんね。
貴重な体験でした。
2つめは、歌舞伎座の本公演では、お役が少ない役者さんが、
大きな役割で舞台に貢献していたことです。
この人って、こういう芝居をするんだなあって
とても興味深く見ることができました。
特に、滝夜叉姫と銀髪鬼は出番も見所も多く、
重要な役どころです。
滝夜叉姫は、人を惑わせるに足る妖艶さを
醸し出していました。
銀髪鬼は、なんだかいい人っぽく見えました。
特に座元役がそう感じたのかもしれませんが、
堅実なサラリーマンといった印象でした。
3つめは、尾上松也さんの芸の幅の広さです。
ミュージカルも映画も現代劇もこなす役者さん、
歌舞伎でも華があり見栄えする役者さんと思っています。
鈴之助は主演ですが、真面目すぎて、清廉すぎて、
ちょっとつまらない人物に見えてしまいます。
あれだけ、濃い悪キャラが出ていると、
素朴な好青年は存在感薄くなっちゃいますよね。
それだけに、早替わりで演じ分けた、
鉄之助、将門は一瞬でもギラリと光る強さを感じました。
なぜなのか、鈴之助以外の演者が
癖のある演技が目立ってました。
澤村國矢さんの平賀源内はぶっ飛んでいたし、
中村莟玉さん演じるさゆりは、
もっと大人しいいい子かと思ったら、
結構なお転婆で悪ノリもしてましたね。
鈴之助、一人生真面目だったなあ~~
と、そういう意味で逆目立ちって演出だったのかしらね。
歌も、音楽も、演技も、立ち回りも、、、
様々な要素が詰め込まれ、
しかも運命のように役者が演じているこのお芝居、
とても見所のある充実したお芝居でした。
22日(日)が千穐楽、
そして、Netflixでは動画配信があるそうです。
お芝居の長さは、
前半1時間40分くらいで休憩20分、後半が1時間10分くらいです。
終演後は、座席順に案内されての退場でした。
読んでくださり、ありがとう存じまする。
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