歌舞伎座6月大歌舞伎、初日は台風です。
そんな嵐を呼ぶ興行となるのでしょうか?
歌舞伎のお家で萬屋、播磨屋という一門があります。
その当主や幹部の皆さまは縁続きで小川さんと言いますが
その小川の名がつく役者が揃うことも話題の6月です。
6月歌舞伎座で開催される歌舞伎公演の情報や感想をまとめてお伝えしていきます。

6月歌舞伎公演に出演する小川さんとは?
6月歌舞伎公演は、小川の姓の方がめっちゃ多いです。
特に昼の部は小川さんがほとんどだし、
夜の部は演目から「おがわの賑わい」。
誰が小川なのか気になりますよね?
ということで、メインの役者さんの中で小川さんを抜き出してみました。
【萬屋】の小川さん
中村萬壽:小川光晴
中村時蔵:小川義晴
中村萬太郎:小川 嵩晴
中村梅枝:小川晴大
小川加奈絵:本名同じ
*以上 中村萬壽家
中村錦之助:小川信二郎
中村隼人:小川隼人
*以上 中村錦之助家
中村獅童:小川幹弘
中村陽喜:小川陽喜
中村夏幹:小川夏幹
*以上 中村獅童家
【播磨屋】の小川さん
中村歌六:小川進一
中村米吉:小川修平
*以上 中村歌六家
中村又五郎:小川光照
中村歌昇:小川 雄朗
中村種之助:小川 暁久
中村種太郎:小川綜真
中村秀乃介:小川悠真
*以上 中村又五郎家
とまあ、こんな感じに小川さんが一堂に集まります。
同じ血筋でも
役者さんの個性はそれぞれ違うので
そこは楽しく見比べていただけると
いいのではないかなって思います。
6月大歌舞伎2026の演目・配役・あらすじは?
歌舞伎座の6月公演は昼の部と夜の部があります。
昼の部は萬屋祭りと言いたくなるほどに
ほぼ小川さんです。
6月大歌舞伎2026の昼の部の演目・配役・あらすじ
一、祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)金閣寺
【配役】
将監息女雪姫 中村 時蔵
此下東吉後に真柴筑前守久吉
中村 隼人
松永大膳久秀 中村 獅童
狩野之介直信 中村 米吉
松永鬼藤太 中村種之助
十河軍平実は佐藤正清
中村 歌昇
慶寿院尼 中村 錦之助
この幕のメインキャストはみんな小川さんです!
特に見所は、歌舞伎の三姫の一人である
雪姫に中村時蔵さんが挑むところです。
個人的に、中村錦之助さんの女方も
見てみたいです。
【簡単なあらすじ】
戦国時代、天下を狙う松永大膳は
将軍の母である慶寿院尼を金閣寺に幽閉し
美しい時姫に自分の意に沿うよう迫っています。
そんな大膳の前に現れた此下藤吉は
奉公させてほしいと申し出ます。
一方、桜の木に縛り付けられた雪姫は
一面に散る桜の花びらを見て
縄を噛み切るネズミを絵に描こうと試みるのでした。
わかりやすい悪役と
颯爽とした正義の味方、
そして芯の強いお姫様、と
3人のキャラクター描写とストーリーを楽しめる
人気の演目です。
二、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
【配役】
吾妻の与四郎実は真柴久吉
中村 萬壽
禿たより 中村 梅枝
浪花の次郎作実は石川五右衛門
中村 萬太郎
*中村萬壽一族三人の息のあった
舞踊が見られそうです。
【簡単なあらすじ】
菜の花と満開の桜が咲き誇る、京の郊外・紫野。
浪花の次郎作と吾妻の与四郎が
駕籠を下ろしてひと休みするところ、
互いのお国自慢を始めます。
さらには駕籠の中にいる禿のたよりを呼び出し、
次郎作は大坂新町、与四郎は江戸吉原、
禿たよりは京の島原と、それぞれの廓話で盛り上がります。
やがて、次郎作と与四郎の互いの素性が明らかになり、
さあ大変!
実は敵同士の2人ですが、素性を隠すと
ただの旅の道連れ、
それが正体が明らかになったらどうなる?
ところまで楽しめるのもポイントです。
三、子連れ狼(こづれおおかみ)
小池一夫 原作・小島剛夕 作画
市村 光 脚本・井上昌典 演出
中村獅童 演出
【配役】
拝一刀 中村 獅童
拝大五郎 中村 夏幹
杉戸監物 中村 勘九郎
お浜 中村 七之助
柳生軍兵衛 尾上 松也
お千 中村 米吉
振杖外記 澤村 清四郎
松木十内 市川 門之助
巴屋庄衛門 市村 萬次郎
柳生烈堂 中村 錦之助
【簡単なあらすじ】
幕府の公儀介錯人・拝一刀は、
宿敵・柳生烈堂の罠にはまり、
汚名を着せられて公儀介錯人の地位を追われた挙句、
妻を殺されてしまいます。
息子・大五郎と共に、復讐の旅にでる拝一刀。
とある宿屋の塀に牛頭馬頭の図が張り出されます。
それは、拝一刀に依頼をしたいという合図です。
それをみた一刀が宿屋で会ったのがお浜という素武家の女。
お浜は、自分の両親と夫を殺した
町の権力者杉戸堅物への仇を打って欲しいと頼みます。
引き受けた一刀ですが、
それは密偵により堅物の耳に入ってしまいます。
逆に一刀らを始末するよう、
堅物は家来たちに指図します。
悲しい身の上のお浜と大五郎のいっ時の心の通じあいや、
堅物の屋敷での大立ち回り、
そして一刀をつけ狙う柳生軍兵衛との対決など、
盛りだくさんなストーリーです。
昭和48年から51年にかけて放映された
人気テレビ時代劇の歌舞伎版です。
ドラマで主演を務めていたのが、
中村獅童さん、中村錦之助さんらの大叔父に当たる萬屋錦之介さん。
当時、歌舞伎座でも上演されていた本作を
中村獅童さんが主演と演出を務めます。
そういう顔合わせの楽しみなところです。
6月大歌舞伎2026の夜の部の演目・配役・あらすじ
一、華舞於河賑(はながまうおがわのにぎわい)俄獅子
【配役】
鳶頭 中村 歌六
芸者 中村 萬壽
鳶頭 中村又五郎・中村錦之助・中村獅童
芸者 中村 時蔵
鳶 中村歌昇・中村萬太郎・中村種之助
芸者 中村 米吉
鳶 中村 隼人
手古舞 中村梅枝・中村種太郎・中村秀乃介・中村陽喜・中村夏幹・小川加奈絵
芸者 尾上 辰之助
鳶頭 尾上 松緑
鳶頭 中村 梅玉
マッサに小川一族勢揃いですね〜
その中で気を吐く、音羽屋と高砂屋!
当初は、7代目尾上菊五郎さんがご出演予定でしたが
体調不良のため急遽休演となりました。
そっちもだいぶ心配です・・・涙
【簡単なあらすじ】
江戸時代の吉原では「俄(にわか)」と呼ばれる年中行事がありました。
それを彷彿とさせるのがこの舞台。
多くの人々で賑わう江戸の吉原。
祭囃子で幕が開くと、鳶頭と芸者が手獅子を持ち登場。
吉原の様子を描いた洒落た歌詞に合わせ、
粋でいなせな鳶頭、華やかな芸者が踊って見せます。
いい男といい女が揃っている小川一族。
お子様軍団も楽しみです。
ちなみに小川加奈絵ちゃんは中村萬太郎さんのお嬢さんです。
二、通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)
四世鶴屋南北 作・郡司正勝 補綴・演出
織田紘二 演出
序幕:佃沖新地鼻の場・深川大和町の場
二幕目:二軒茶屋の場・五人切の場
大詰 :四谷鬼横町の場・愛染院門前の場
【配役】
薩摩源五兵衛 中村 勘九郎(A)
尾上 松也 (B)
笹野屋三五郎 尾上 松也(A)
中村 勘九郎(B)
芸者小万 中村 七之助
六七八右衛門 中村 歌昇
お先の伊之助 坂東 巳之助
芸者菊野 坂東 新悟
内びん虎蔵 中村 種之助
出石宅兵衛 澤村 清四郎
ごろつき五平 中村 吉之丞
廻し男幸八 澤村 宗之助
里親おくろ 上村 吉弥
ごろつき勘九郎 坂東 亀蔵
家主弥助 坂東 彦三郎
了心 河原崎 権十郎
富森助右衛門 中村 又五郎
メインキャラクターを、中村勘九郎さんと尾上松也さんが
ダブルキャストで務めます。
松也さんは、なんと9ヶ月ぶりの歌舞伎だそうです。
(エリザベート、お疲れ様でした)
【簡単なあらすじ】
鶴屋南北が、「東海道四谷怪談」の続編として
書いた戯曲です。
裏忠臣蔵の一面もあり、歌舞伎ならではの様式美を堪能できる
通し狂言です。
浪人の薩摩源五兵衛は、
芸者の小万に入れ込んでいますが、
小万には笹野屋三五郎という夫がいます。
源五兵衛は塩冶家の浪士で、
伯父・富森助右衛門が討入りのために
調達した100両を三五郎の罠により騙し取られてしまいます。
自分が騙されたと知った源五兵衛は、
その晩、三五郎の仲間5人を惨殺。
三五郎と小万はなんとか難を逃れます。
実は、三五郎夫婦が源五兵衛から巻き上げた100両は…。
というカラクリに現世の理不尽を感じさせるお芝居です。
6月大歌舞伎(2026)の上演スケジュールは?
6月の歌舞伎座公演は3日(水)が初日で
25日(木)が千穐楽です。
休演日が10日(水)と18日(木)です。
第3部の「盟三五大切」がABの両プロで
中村勘九郎さん、尾上松也さんがダブルキャストで出演しています。
そこだけ注意が必要かなあ
ちなみに
Aプロは、3,5,6,9,11,14,15,19,20,23,24日
Bプロは、4,7,8,12,13,16,17,21,22,25日
1日の上演スケジュールは、
こちらの画像をご確認ください。

歌舞伎座6月公演の感想は?
歌舞伎座6月大歌舞伎も昼の部、夜の部、どちらも観劇してきます。
歌舞伎座6月大歌舞伎昼の部感想
6月歌舞伎座公演を6月8日に観劇してきました。
演目ごとに感想をまとめます。
金閣寺(祇園祭礼信仰記)も小川家で完結?
このお芝居での見どころの一つが
3人の主要人物です。
まずはヒロインの雪姫。
囚われの雪姫は、夫を助けるため敵である大膳に
身を任せようと苦渋の決断や、
親の仇と知り打ちかかるも捉えられる場、
身を縛る縄を足先で描いたネズミに噛み切らせる画術など
美しさ艶めかしさの中に強い芯を感じさせる姫です。
次に松永大膳、このお芝居を支配する悪役で
天下をねらって、将軍の母慶寿院尼を人質に取り、
美しい雪姫をも我がものにしようと企んでいます。
そして、颯爽としたこのお芝居でのヒーローが
此下藤吉、実は真柴久吉です。
前半は大膳に仕官を願い、その懐に入っていくのですが、
後半は主人小田春長の命で慶寿院尼を助けにきた本性を表します。
時代物のお芝居なので、
この時代の状況や人物が持つ背景や性格が
ストーリーに影響してきます。
それらを知らない、義太夫のセリフがわからない
という人もいると思うのですが
そういう人もお芝居を楽しめるのはこの人物描写が
大きいんじゃないかなあと思います。
そういう意味で、3人を演じる役者の力量も
このお芝居の良さをどこまで引き上げられるかということになります。
中村時蔵さん演じる雪姫が、圧倒的に世界観を作っていると感じました。
父を殺され、夫と共に理不尽な理由で幽閉され
その相手に無理な命令と自分のものになれと迫られる。
悔しい、悲しい、尊厳を傷つけられても
夫を救うために我が身を犠牲にしようと一旦は決意します。
しかし、相手が父の仇であったことを知ると
その決意を翻し仇をうとうと立ち上がります。
それを封じられ、桜の木に縛り付けられても
自分の画術を使って危機を脱し、
かつ正体を表した久吉の助けを経て
夫の下へと向かうのです。
今回私は雪姫中心にお芝居を観たので
その行動を後押しする感情の流れがとても自然に丁寧に
描かれているなあと引き込まれるようでした。
その流れに対する悪人大膳を中村獅童さんが
スケール感を大きく演じ、
ヒーロー久吉を中村隼人さんがかっこよく見せてくれました。
見どころが多いんだけど、
時代物は設定や言葉遣いがわからないと
なかなか入ってこないので
人物で見るというのはいい見方だと思っています。
私の中では、時蔵雪姫絶賛!というお芝居でした。
戻駕色相肩は3代共演が微笑ましい
戻駕色相肩は舞踊劇です。
登場人物は3人、駕(かご)の中には
廓からお使いの戻りの可愛い禿。
中村梅枝さんが演じます。
子どもなんだけど、ちょっと色気も感じられるように
なってきたなあと思います。
その駕を担ぐのが
吾妻の与四郎、実は真柴久吉、中村萬寿さんが演じます。
2つの演目続いて真柴久吉が出るのも
大河ドラマの影響か?って思っちゃいました。
もう一人が
浪花の次郎作、実は石川五右衛門で
演じるのは中村萬太郎さんです。
この顔ぶれだけで、
小川家3代と思うと胸熱になっちゃいました。
短い舞踊劇ですが、
前半は駕かきが互いの廓話をするという
たわいない流れで
後半はお互い敵同士とわかって緊張感が走ります。
歌舞伎としてはよくあるパターンですが
廓のお使い道中をドラマティックに見せる
お客様へのサービス満点の一幕と思います。
子連れ狼、昭和の時代劇を歌舞伎座で楽しむ!
子連れ狼は、歌舞伎というよりも
昭和の時代の人気時代劇「子連れ狼」を
歌舞伎座で再現したお芝居でした。
なぜそれを歌舞伎座でというと、
この「子連れ狼」をヒットさせた主役が萬屋錦之介で、
小川一族の一人であったからでしょう。
今回、拝一刀を演じるのは甥にあたる中村獅童さん。
敵役の柳生烈堂を演じる中村錦之助さんも甥であり、
お千役の中村米吉にとっても大叔父に当たります。
獅童さんは演出も務められ、
このヒット作の歌舞伎座上演にかなり力を入れていたと感じます。
そんな背景からこのお芝居を観たので
私は昭和の時代劇をリアルに楽しめたなーと思いました。
ただ、音楽もその通りだったので、
少しうるさいかなって気持ちもありました。
そして改めて、テレビドラマは「わかりやすい」ということも
よくわかりました。
夜の部の「盟三五大切」が理解し難いお芝居であったことも
私にとっては比較対象で、
難しく考えることもなく、
役者さんの熱演に感情を揺さぶられ、
最後は悪がやっつけられるという展開で
おもしろかったー、あっぱれーって感じで
観られたのがよかったです。
拝一刀は刺客でありどっちかというとアンチヒーロー、
勘九郎さんが演じた堅物はわかりやすいベタな悪役、
七之助さん演じるお浜は哀れなヒロイン、
庶民が好きなのって
こういうストーリー、設定なんだな
ってことも私的には納得なのです。
昼の部は、時代物、舞踊、エンタメと
3種類のお芝居を楽しむことができました。
歌舞伎座6月大歌舞伎夜の部感想
夜の部は、6月4日に観劇しました。
「盟三五大切」のAプロの日です。
色々思うところがありすぎる観劇でしたが、
演目ごとに感想をまとめます。
華舞於河賑・俄獅子の感想!ほんとに華が舞った舞台で顔がニマニマ
小川一族勢揃いの舞踊で、
観ていて顔がニマニマ、とても幸せな気持ちになれました。
今回、7代目尾上菊五郎親分が休演となりましたが、
中村梅玉さんが場を締めるお役目を果たしていらして
大親分の存在はやっぱり大事だなって思いました。
それでも、小川一族だけで
鳶頭、芸者、鳶、手古舞を全てあつらえることができる
ってすごい一族であることは変わりない。
鳶頭の粋な踊りや
芸者の艶やかな舞、
勢いのある獅子舞に
可愛い手古舞と
顔合わせは色々と変わりながらも
ああ、この子はこの人の・・とか
この2人の関係は・・とか
ついついバックグラウンドも見てしまいながらの
観劇でした。
特に、初出場の小川加奈絵ちゃんは
中村萬太郎さんのお嬢さん、
7歳ということですが、
万感迫るものがあったんじゃないかなあと
私的には思いましたよ。
若手の中には
俺も早く子ども欲しいなあって
思った方もいるのでは?
今後、結婚・出産ラッシュのきっかけにも
なってしまいそうな愛でたくて嬉しい舞踊でした。
盟三五大切は後味が悪くて胸に杭が刺さったようです
盟三五大切は、鶴屋南北の作品で、
東海道四谷怪談に続く、裏仮名手本忠臣蔵と
言われる作品です。
AプロBプロともに、大絶賛なのですが、
私はどうも受け付けない、後味の悪さが残りました。
それも作品の強さなのだと思っています。
長いので、作品編と役者編に分けて感想を書きます。
「盟三五大切」は名作か?
この作品が初演された1825年は、
「東海道四谷怪談」が大ヒットして、
その後に続く作品として上演されたらしいのですが、
客入りは芳しくなかったといいます。
南北の作品ですが、その後1976年に上演されたのをきっかけに
人気作品の仲間入りをしたものです。
つまり、書かれた時代には「大傑作!」という人もいたけど
多くの人からは受け入れられなかった作品です。
実は、私も観終わった後、
「すごく良い」と手放しで言えませんでした。
どちらかというと「後味が悪い」です。
もしかしたら、当時の人もそう思ったのかもしれません。
でも、現代ではかなり高く評価されています。
それが「鶴屋南北」が描く人間の深部を描くドラマ
ということではないかと思います。
すなわち、人間の業・深い闇と一般的な善行が表面に同時に現れ、
そこに理解不能なギャップが生まれるストーリー。
どうしようもない因果の絡み合いに巻き込まれる人の姿。
そういうところに、魅力を感じるのではないでしょうか。
当時の事件や世相も反映しつつ、
他の芝居の場面も取り入れ、
いわゆるないまぜで独特の世界を作り上げているところも
「南北」らしい、と観た人が納得するようにも思います。
私が釈然としなかったのは
最後、源五兵衛が本来の不破数右衛門に戻り、
悲願の討ち入りに参加するという最後です。
私にとって、源五兵衛の所業は到底許せるものではなく、
なぜ、彼の願いが報いられるのか、というところ、
しかもそれが仇討ちの義士と言われる武士にとっては栄誉なこと
だからかなあと思います。
早野勘平は、自分の所業を恥じて切腹したのにー
(これは本人の誤解で悪いことはしてなかったのに)
と、同じ義士なのに、これほどまでに凄惨な殺人をした人が
その行為を正当化されてしまうのかが納得できなかったんだな。
それこそが、南北の思う壺かもしれない、
と自分を顧みて思いますけどね。
役者は熱演!でも、、、
私が観劇したAプログラムは、
主役の薩摩源五兵衛、実は不破数右衛門を中村勘九郎さんが演じました。
帰参を願うものの、その金の工面に頭を悩ます浪人。
芸者小万に惚れ込み、相思相愛と思い込み、
せっかく手に入った100両を身請けのためにと騙し取られ、
それを知って復讐に走る。
忠義の家臣に罪を被ってもらうものの
正気には立ち戻れず、憎い女を惨殺する。
その行為は猟奇的でサイコパス!
以前の家臣から100両を工面されるがそれはもともと騙し取られた金であったことがわかり、
結果として義士の仲間に組み込まれる。
そういう複雑な状況に陥り、境遇も人柄も激しく変化する様子を見せてくれました。
先に、この人の行為や考え方が私には受け入れられなかった
と書いたのですが、
そもそも歌舞伎は「ありえない」設定が多くて
でもそれを、役者と芝居の力で納得させられることが多いと
私は思っています。
でも、この源五兵衛は最後まで理性的に評価してしまいました。
つまり、この世界に入り込めなかったんですよね。
源五兵衛を騙す小万と三五郎、
この2人の方がよっぽどリアリティを感じました。
許せない非道な悪党だけど、
そこに理由があり、小物としての狡賢さや臆病さも垣間見える、
まあ、浅はかで嫌な奴らですが人間味は感じられました。
また、源五兵衛の叔父の冨森助右衛門の実直さや
最後まで主人を庇って自ら殺人の罪を負う六七八右衛門には
その想いに泣かされました。
一番心を動かされたのが、
八右衛門が源五兵衛に本懐を遂げてもらうために
自らを犠牲にした場面、
それを知りつつもそれを受け入れざるをえなかった、
おそらく自らを恥じた源五兵衛とのやりとりの場面でした。
ここは、「ありえない」芝居の世界でも
ものすごく人の心の通い愛を感じて
一緒に泣いちゃったんですよね。
八右衛門の中村歌昇さんは大当たり!素晴らしかったです。
なので、私的には「ありえない」「許せない」源五兵衛の行為も
致し方ないと思える部分があれば
切ない、悲しい、不条理、で感動できたと思うのです。
中村勘九郎さん、中村七之助さん、尾上松也さんは
大好きな役者さんたちです。
だからか?
この後味の悪さがとても悲しいところなんですよね。
と、このはっきりしない感想から
観終わって数日経っても
心の中に引っ掻き傷が残っているような私の心情、
お察しいただければ幸いです。
ここまでお読みくださり
ありがとう存じまする。

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