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新・水滸伝(歌舞伎)の簡単なあらすじと登場人物、見どころも

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「新・水滸伝」は3代目市川猿之助さんが、

スーパー歌舞伎のスタッフと共に新たに考案し、

「3代目猿之助四十八撰」にも選ばれた人気作です。

「新・水滸伝」を見るのが楽しくなる、

あらすじ、登場人物、見どころなどをまるっと紹介します!




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新・水滸伝とは?原作、由来は?

「新・水滸伝」は、中国が生んだエンターテイメント性に富んだ長編小説を原作に、

3代目市川猿之助さんとスーパー歌舞伎を作ったスタッフが

総力を上げて作り上げた新感覚の歌舞伎です。

原作は、中国のエンターテイメント小説「水滸伝」です。

これは、「西遊記」などと共に4大奇書と言われています。

ちなみに、「水滸伝」というタイトルの由来は、

「水のほとりの物語」という意味からきています。

悪党の住処となる「梁山泊」、

この泊とは、湖や池の意味で、

「梁山泊」はぐるりと湖水に囲まれた山のことで、

悪党たちの住処となっています。

非常に長い物語で、

100回本、120回本などがあるんだそうですよ。

原作では、

北宋の末期、汚職や不正が蔓延る世の中で

封印された108の魔の星が解放されて下界におり、

その生まれ変わりの108人が様々な道を辿って

梁山泊に集結し、

天下を舞台に大暴れし、

最後は滅んでいくというお話です。

この中国の奇書を「歌舞伎」にしようと考えたのが

3代目市川猿之助さんです。

2008年に遡りますが、

当時、21世紀歌舞伎組という澤瀉屋の若手役者を中心に構成された一座のために

横内謙介さんとタッグを組んで作られた作品でした。

初演の演者は、

主人公の林冲に市川右近(現市川右團次)さん、

美しい女剣士・扈三娘(青虎) を市川笑也さん、女傑・顧大嫂(虎姫)を市川笑三郎さん、

孫二娘(お夜叉)を市川春猿さんが演じました。

また、扈三娘(青虎)に思いを寄せる女にもてない小悪党・王英を市川猿弥さん、

天性のコソ泥・時遷を市川弘太郎(現青虎)さんが演じていました。

2023年には歌舞伎座、南座で

澤瀉屋中心に若手役者を配して上演されています。



新・水滸伝(歌舞伎)の登場人物は?

こちらは2023年の役名で紹介します。

林冲   本作の主人公、元は軍人であったが悪人に陥れられ牢に繋がれ、梁山泊の一員となる

晁蓋   梁山泊の首領、林中を助ける

公孫勝  梁山泊の一員、道術使いの道士

姫虎   梁山泊の一員、晁蓋の右腕のような存在

お夜叉  梁山泊の一員、セクシーな女盗賊

李逵   梁山泊の一員、二丁斧の使い手

燕青   梁山泊の一員

時遷   梁山泊の一員、コソ泥

王英   梁山泊の一員、元盗賊、青華に恋する

高俅   朝廷軍の高官、林中を陥れた張本人で、梁山泊を攻撃する

張進   朝廷軍、高俅の手下

彭玘   朝廷軍、林冲の教え子

祝彪   独龍岡の跡取り

青華   祝彪の許嫁、女剣士

魯智深  林冲の兄貴分、怪力の僧

それぞれ個性的なキャラクターばかりです。



歌舞伎:新・水滸伝の簡単なあらすじ

12世紀の中国は宋の国。

かつては兵学校の教官でもありながら

多くの罪を重ねた林冲は

牢に繋がれています。

役人たちの不正による国の乱れに憤りを持つ晁蓋は

梁山泊に立てこもり、悪党らを率いています。

林冲の噂を聞きつけた晁蓋は、

林冲を牢から救い出します。

しかし、梁山泊の者たちとそりが合わない林冲は

酒浸りの毎日。

そんな折、隣町の独龍岡の若き跡取りが

梁山泊に戦いを仕掛けます。

彼らの背後には

高俅が率いる朝廷群がいるのでした。

かつて、林冲の教え子で、今は朝廷軍兵士の彭玘(ほうき)が

授けられた「替天行道(たいてんぎょうどう)」の書を献じるも

邪険に追い払います。

梁山泊を攻める朝廷群、

実は高俅のねらいは林冲にあったのです。

一方、湖畔で美しい女性に一目惚れする王英、

彼女青華は独龍岡の祝彪の許嫁でした。

しかし、祝彪は、

彼女を女性とは認めていませんでした。

お夜叉はそんな王英を気の毒に思い、

青華との仲を取り持とうとします。

しかし、

梁山泊と独龍岡とは敵同士、

まんまと捕虜になってしまいます。

梁山泊のもとに、

2人の捕虜と引き換えに林冲を差し出せという祝彪。

その誘いに乗って林冲は捉えられます、

しかし卑怯な祝彪は、

王英たちを返そうとしません。



 

高俅の狙いは林冲を殺すこと。

高俅は、自分が出世するために

軍用金の着服をしていました。

それを知った林冲が横領がバレるのを恐れて

林冲に悪人の汚名を着せ、軍を追放したのです。

生き延びるために、林冲はやむなく悪事を働くことになってしまったのです。

その林冲を逃すわけにはいかないのです。

その頃、梁山泊では

カシラの晁蓋が留守のため

梁山泊を見捨てて逃げるか、

敵と戦うかで意見が分かれていました。

しかし、

林冲と王英、お夜叉をこのまま見捨てるわけにはいかないと

決起を望む声が大きくなります。

折しも、晁蓋が戻り、

梁山泊は力を合わせて3人を救い出しに行くこととなりました。



 

〈第二部〉

王英とお夜叉が囚われている牢へ

青華がやってきて二人を逃そうとします。

しかし、

林冲を置いていけないと2人は牢から出てきません。

そんな2人に、

林冲は、高俅の悪事を知っている自分が狙いであること、

そのために2人は利用されたことを伝えます。

それを聞いた二人は、ますます牢から出ようとしません。

そして、その話を彭玘が聞いていました。

自分が信じた林冲はやはり正しかったのだと

いう彭玘。

そこへ、祝彪が現れ、

2人を逃がそうとした青華に暴力を振るいます。

そして、青華も牢に繋がれてしまうのでした。



 

そんな騒ぎの中、

梁山泊が攻め込んできたとの知らせが入ります。

姫虎らの手により

牢から脱出した3人、

しかし王英は青華を助けに行くと騒ぎの中に飛び込みます。

林冲は、屋敷に火を放つから、

敵が出てきたところを待ち伏せして討つようにいいます。

祝彪と高俅を追い詰めた林冲ですが、

高俅は自分を逃せば梁山泊には手を出さないと

命乞いをします。

見逃した林冲を襲う矢、放ったのは高俅の配下の張進でした。

なおもとどめを刺そうとする張進の刀の前に

彭玘が飛び込みます。

彭玘は、張進に事実を伝え、高俅こそが

悪事の中心であると訴えます。

しかし、それを聞こうとしない張進、

深傷を負った林冲と戦いの末に散って行きます。

自分の命を顧みず、林冲を助けた彭玘は

「替天行道」の旗をわたして息絶えます。



 

〈第三幕〉

梁山泊では

王英に助けられた青華がやっと元気になりました。

王英の花嫁という言葉には

強く反抗した青華ですが、

幸せに生きてほしいと強く訴える王英の言葉に

心を打たれます。

傷を負った、林冲も養生し

少しずつ体調を取り戻しています。

林冲に梁山泊の軍師になってほしいと頼む姫虎たち。

しかし、そう簡単にはいきません。

朝廷軍の罠により悪事を働いたとはいえ、

国を倒す気持ちになれない林冲に

それは頼めないと晁蓋は言うのです。

そして、

大仕事に出かけようと仲間を連れて旅立ちます。

そんな時、

新しい仲間になった子供、新々が蔵から食べ物を盗むと言う事件が起きます。

新々を諭す林冲は、

この国の堕落を止めなければならないと言い、

梁山泊の仲間に入る決意をします。

 



そんな時、

晁蓋たちが罠にかけられていると聞き、

林冲は大凧飛龍に乗って助けに行きます。

晁蓋たちを罠から救い、

宿敵高俅を倒した林冲。

仲間と一緒に勝鬨をあげるのでした。

梁山泊に戻った、晁蓋、林冲らのところに、

林冲の兄貴分の魯智深もやってきます。

朝廷軍を見限り梁山泊へとやってきた

林冲のかつての教え子より、

妻が最後まで林冲を信じていたことを聞かされ

涙する林冲でした。

そして、

梁山泊こそ「替天行動」を行う基地としようと

皆で心を一つに合わせるのでした。

一方、湖畔で美しい女性に一目惚れする王英、

彼女青華は独龍岡の祝彪の許嫁でした。

しかし、祝彪は、

彼女を女性とは認めていませんでした。

お夜叉はそんな王英を気の毒に思い、

青華との仲を取り持とうとします。

しかし、

梁山泊と独龍岡とは敵同士、

まんまと捕虜になってしまいます。

梁山泊のもとに、

2人の捕虜と引き換えに林冲を差し出せという祝彪。

その誘いに乗って林冲は捉えられます、

しかし卑怯な祝彪は、

王英たちを返そうとしません。

その扱いに不満を感じた青華は、

2人を逃がそうとしますが、

反対に牢に入れられてしまいます。

高俅が現れます。

高俅は、自分の横領がバレるのを恐れて

林冲を陥れたのです。

それを知った彭玘は自分の命を顧みず、

林冲を助けます。

そして

「替天行道」の旗を私て息絶えます。

梁山泊では

傷を負った青華、林冲が養生しています。

林冲に梁山泊の軍師になってほしいと頼む姫虎たち。

しかし、そう簡単にはいきません。

朝廷軍は、再び梁山泊を攻めようとします。



新・水滸伝の見どころ3つ!ここは見て〜

新・水滸伝の見どころ、たくさんありますが、

やはりテンポよく楽しめるエンターテイメントである

と言うところがいちばんの魅力かなと思います。

そして、ベテランの役者の胸を借り、

若手の役者が大活躍するところも見逃せません。

なんといっても

若手役者のために書かれたお芝居です。

立ち回りも派手だし、場面転換もめっちゃ早い。

ストーリーはシンプルなので

歌舞伎初めての人にもわかりやすいです。

と言うところからの3つの見どころを紹介します。



見どころその1:3人の女形が魅力的

このお芝居には、多くの女形が登場します。

その中でも

ストーリーの芯となる3人の役があります。

それが、梁山泊の女親分姫虎、女剣士青華、おきゃんな殺し屋お夜叉です。

姫虎は、晁蓋と義兄弟の契りを結んだ

女だてらに悪党を仕切る親分肌の姉御です。

梁山泊の悪人も

姫虎の言うことには逆らえません。

悪党だけど、正義の気持ちは人一倍強く、

人情も熱く、何よりも梁山泊を愛する

胸熱な大姉御です。

2人めの青華は、元々は祝彪の許嫁です。

しかし、幼い頃の病気が元で、

纒足をしていないことから

祝彪からは女ではないとあざわられる悲しい立場でした。

しかし、その美しさを見抜いた王英により、

少しずつ心を開いていくのです。

とにかく正義感が強く、

許嫁の悪事も許せないとする青華、

最後はとっても女性らしく可愛らしく

恋する女になっちゃうところが見逃せません。

3人めのお夜叉は、言動が奔放ですが

仲間思いの可愛い女悪党です。

王英のために気働きをするのですが、

捕まってしまい、

そこで林冲の真実を知り、心を動かされるのです。

後半は、大きな出番はありませんが、

可愛いけど悪いんです、

て感じのあざとさが憎めないお夜叉です。

 



見どころその2:実は人間ドラマである

新・水滸伝は、悪党と朝廷との喧嘩(?)を描いた

歌舞伎のお芝居です。

テーマとしては、正義を貫く、というものがありますが、

そこに登場人物の人間ドラマが描かれていて

それが見る人の心を打つのです。

代表的なのが、

王英と青華のちょっと不器用なラブストーリー。

青華に一目惚れした、醜男代表のような王英が、

自らの危険も顧みずに青華のことを思い、幸せになってほしいと語る場面は

ググッと胸が打たれます。

その後の、2人で月を見ながら語り合う場面はとても微笑ましいので、ぜひ見てください。

もう一つは、

林冲と元教え子の彭玘のドラマです。

尊敬する師が悪人とは信じられない彭玘は、

林冲の近くでその真相を明らかにしようとしています。

そして、本来の姿を取り戻してほしいとも訴えます。

ここはめっちゃ熱い場面です。

林冲の危機一髪を身をもって助けた彭玘は、

最後まで信じて良かった、

これが自分の「替天行動」といって幸せそうに息絶えます。

この場面はこのお芝居で最大のお涙シーンです。

澤瀉屋の芸である別れの場面は

何度見ても心を打たれます。



 

見どころその3:立ち回りが派手でかっこいい

このお芝居では、数々の立ち回りの場面があります。

大勢対大勢の戦いだったり、

一騎打ちの戦いだったり、

場面と状況は違っても

とにかく動きがスピーディーで無駄がなく

役者さんの身体能力に惚れ惚れするかっこよさです。

ここは、頭空っぽにして

とにかく楽しい〜って思える場面なので

是非是非ご覧いただきたいと思います。

お読みくださりありがとう存じまする。

 



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