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「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」あらすじ・見どころ・登場人物を簡単に説明

歌舞伎演目
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歌舞伎演目、「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」の

あらすじ、見どころ、登場人物をサクッと説明いたします。

この作品は、「石切梶原」の外題もあり、繰り返し上演される人気の作品です。

その見どころは、何と言っても、梶原平三景時を演じる役者の芸につきます。

では、「「梶原平三誉石切」について説明していきますね。




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歌舞伎「梶原平三誉石切」の簡単なあらすじ

場面は、鎌倉の鶴岡八幡宮の社頭です。

平家の武将、梶原平三景時、大庭景親に付き従う大名が弓の稽古をしています。

そこへ、青貝師の六郎太夫が娘梢を伴い、やってきて、

家宝の名刀を買って欲しいと大庭に申し出る。

刀の鑑定を頼まれた景時が見定めると、

確かに名刀であると保証する。

大葉は、言い値の300両で買い上げようとするが、

俣野が念のため試し斬りをするように勧める。

周りの大名との協議の結果、

死罪の決まった罪人を2人重ねて胴を切る

「二つ胴」をすることになる。

しかし、牢には罪人が1人しかいないということがわかり、

六郎太夫は、梢に家に折紙(鑑定書のこと)を取りに行かせる間に、

自分が試し斬りにと願い出る。

折紙は家にはなく、そのため、梢を立ち去らせてから、

自ら斬られることにしたのである。

罪人と六郎太夫を重ねて、俣野が試し斬りをしようとした時、

景時は鑑定した自分が斬るといい、

2人に向かって刀を振り下ろす。

しかし、斬られたのは罪人のみで、六郎太夫は無事だった。

大庭をはじめ、大名たちは、悪口を言いながらその場を去る。

誰もいなくなってから、景時は、

六郎太夫親子が刀を売るのは、

源氏再興の資金集めと見抜いたことを告げ、

自らも源氏への思いを持つことを伝える。

その上で、名刀の証に、神前の手水鉢を一刀両断にして見せる。

刀は自分が買うといい、六郎太夫親子は大喜びをする

(上演時間は、約1時間20分)



歌舞伎「梶原平三誉石切」の登場人物紹介

梶原平三景時(かじわらへいぞうかげとき)

平家の武将。実は、源頼朝の命を助けたこともあり、本心では源氏再興を願っている。

大庭三郎景親(おおばのさぶろうかげちか)

平家の武将。梶原とは反りが合わない

俣野五郎景久(またののごろうかげひさ)

平家の武将、大庭の弟。荒若衆と言われ、血気盛んな若者。

青貝師六郎太夫(あおがいしろくろうだゆう)

青貝師の老人。娘の夫のためにお金を用立てたく、家宝の宝を売ろうとする。

奴萬平(やっこまんぺい)

伊東祐親に仕え、大庭に書状を届ける。

梢(こずえ)

六郎太夫の娘。夫のためにお金を工面しようとするが、そのため父が試し斬りにあうと知り嘆く。



梶原平三景時とはどんな人物?実在したの?

主人公の梶原平三景時は、

歌舞伎の他の演目でも度々登場します。

しかし、敵(平家)方の敵役としての登場が多いのです。

それは、梶原平三景時は、源頼朝に義経のあることないことを吹き込み、

兄弟不和のきっかけを作った人物として描かれているからなんですね。

歌舞伎の他の演目では、「寿曽我対面」「すし屋(義経千本桜)」などに

登場します。

歴史上に実在した人物でもあります。

調べてみると、元々は源氏に仕えていたものの源義朝の死により、

平家に従うことになったということです。

しかし、源頼朝と出会い、危機を助けたことから、

頼朝に仕えるようになります。

頼朝には、その武勇と実務能力を高く買われ重宝されるのですが、

源義経と対立してしまいます。

壇ノ浦の戦いで、その戦いぶりを「功に誇って傲慢である」

と報告したことが、いわゆる「梶原の讒言」と言われているものということです。

それをきっかけに、兄弟不破が起こったということです。

鎌倉の寵臣として、権勢を振るいますが、

頼朝の死後は追放され、一族は滅ぼされたのだそうです。

なかなか波乱万丈な武将ですね。

この物語では、平家に帰属しながら源氏の再興を願う、

知性と武力に秀でた武将として描かれています。

歌舞伎は、お芝居によって同じ人物が違う角度から描かれることもあります。

梶原平三景時もその一人です。

名優と言われる大御所の役者さんが演じる役でもあり、

その描かれ方を楽しみに見たいものです。



歌舞伎「梶原平三誉石切」の見どころは?

歴史物のお芝居として人気が高いこの作品の見どころを3つ紹介します。

梶原平三景時が刀の検分をする場面

お芝居の前半の山場が、梶原平三景時が、

刀を見定める場面です。

ここには、武将の品も現れるよう、

切っ先、物打ち、はばき元と順に目を凝らしていく様子や、

息がかからないように加えた懐紙をはらりと落とし、

その素晴らしさを表現する場面に、

役者の心情表現の技がうかがえるのです。

息をつめ、一緒に目利きをしている気分で見たい場面です。

うまい役者さんは、その目線やわずかな表情の動きだけで、

観客の目を釘付けにする魅力もあるのです。

二つ胴・手水桶を斬る場面

試し斬りとして、二つ胴と手水桶を斬る場面。

二つ胴の方は、実は、2人目の縄目で刀を止めるという

ものすごい技が使われます。

それだけの剣の使い手であるという緊迫したシーンは

目を引きつけます。

手水桶は、まさに一刀両断、パカっと割れる小気味よさ、

晴れ晴れとした気持ちを一緒に楽しめると思います。

家によって芸が違う

歌舞伎の芝居は、家によって伝わる演じ方が違うのも特徴です。

この演目の場合、手水桶を斬るシーンも2つの方法があるそうです。

一つは、吉右衛門型です。

こちらは、観客に背を向けて手水桶に向かい刀を振り下ろします。

背中で演技する一つの方法です。

もう一つは、羽左衛門型です。

これは、手水桶の向こう側に立ち、客席に正面を向いて斬る方法。

これだと、ぱかっと両断される手水桶と、

その間に立つ景時が、まるで桃太郎の誕生のように見える、

と言います。

いずれも、役者が持つ芸風によるものなので、

両方を見比べると面白いなあと思っています。



まとめ

・「梶原平三誉石切」は、平家方で源氏の敵役と描かれることが多い、梶原平三景時を主人公にした人気狂言です。

・平家方でありながら、景時の源氏再興の思いを、試し切りや、六郎太夫親子への関わりなどから、描く心情描写などもみどころです。

 

度々上演される人気演目です。

ぜひ、一度ご覧くださいね。

読んでくださり、ありがとう存じまする。



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