仮名手本忠臣蔵といえば、歌舞伎三大名作の1つで
江戸時代から「独参湯(どくじんとう)」という漢方をなぞらえられるほど
大人気のお芝居です。
歌舞伎では大序から第十一段までの長いお芝居であり、
様々なエピソードを盛り込んでいるため、
登場人物が誰なのか?どんな人なのか?が
わかりづらいとも言えます。
そこで、「仮名手本忠臣蔵」に登場する主要な人物を
一覧と相関図にまとめたので、ぜひ参考になさってください。
*なおあらすじは、こちらにまとめてありますので、一緒にどうぞ。

仮名手本忠臣蔵は実話?いつの時代?
「仮名手本忠臣蔵」は、元禄5年(1702年)に実際に起きた
仇討ち事件である「赤穂事件」を題材に、
舞台を足利尊氏の室町時代に移し、登場人物の名前を変えて上演されているお芝居です。
ですから、実話といえば実話ですが、
人の名前や時代が変わったり
実際にあったのかどうかわからないエピソードも組み込まれているので、
実話を元にしたフィクションと捉えた方が楽しめると思います。
おそらく、実話では、もっと過酷な事実やエピソードがあるのではないでしょうか?
「仮名手本忠臣蔵」は、事件から46年後の寛延元年(1748年)に、
人形浄瑠璃のお芝居として初演、当時大人気となったそうです。
同年、歌舞伎の演目にも取りあげられました。
この時代は、武家社会で起きたことを演劇などに取り上げることは禁止されていたため、
時代を室町に、登場人物の役職や名前を変えて上演したそうです。
無慈悲な大名や公正に欠く処分に対して、正道を通し主人の仇をとった浪人たちの活躍は、
江戸の庶民にとってはヒーローであり、
胸がすくストーリーだったのでしょうね。
このお芝居を出せば、不入りの劇場にも人が押し寄せることから、
よく効く気付け薬として名高い「独参湯(どくじんとう)」とも言われていました。
それでは、次に主な登場人物の関係を、相関図から見ていきましょう。
仮名手本忠臣蔵、登場人物相関図
仮名手本忠臣蔵には、たくさんの人物が登場します。
なんと言っても、最後の内入りは47士ですからね。
とは言え、全部は書ききれないので
主な人物だけに絞った相関図を作りました。
誰の関係者かがわかるように色分けをしています。
メインとなる塩冶家の家臣は水色で分けました。
この党首は塩冶判官ですが、刃傷事件により切腹を命じられお家断絶となります。
その恨みを背負って、家臣団が相手方の高師直に仇討ちをするのですが
そのまとめ役となるリーダーが大星由良之助です。
塩冶判官の家臣でありながら、
責務を果たせなかったことによりドロップアウトした早野勘平も
五段目で忠義を果たしたことが認められて、家臣団の一員となっています。
この勘平と夫婦になったおかるの家族、後に義士の一員となる兄の寺岡平右衛門も、塩冶藩チームとしています。
憎い相手方は高師直、こちらは人数少ないのですが
注目は裏切って高家の家臣となった斧九太夫ですかね。
その息子、斧定九郎は誰の仲間にもならずセリフ一言の登場なので、
一人だけ違う色にしています。
塩冶判官が高師直に斬りかかった時、抱き止めたのが加古川本蔵でした。
この人は、塩冶判官と同じ役目を担っていた大名の桃井若狭之助の家臣です。
お芝居では、加古川本蔵の娘と大星由良之助の息子が許嫁ということで、桃井チームに入っています。
だいたいこの3つの家の関係がわかっていれば、お芝居を見るには問題ないかなと思います。
では、次に、登場人物の詳細について説明していきますね。
仮名手本忠臣蔵登場人物一覧、主役は誰?
仮名手本忠臣蔵には、多くの人物が登場するのですが、
肝心な主役は誰なの?と疑問に思う方もいるようです。
やはり、主君の遺言を聞き、仇討ちを実行するリーダーである大星由良之助が主役と言えるでしょう。
ただし、歌舞伎は、一場面だけの上演も多く行われています。
その場面での主役というのもいるのですね。
例えば、三段目の松の廊下の場面では塩冶判官、
五段目の勘平切腹は早野勘平、などですね。
このように一場のストーリーだけでも、見応えがあふにも
「仮名手本忠臣蔵」の魅力と言えるでしょう。
では、登場人物は、相関図のカテゴリーに合わせて紹介していきます。
仮名手本忠臣蔵登場人物一覧:塩冶判官家内
塩冶判官高定(えんやはんがんたかさだ)
伯耆国の大名。普段は温厚で家臣思いの忠君。
足利直義の饗応役(もてなし担当)を命じられ、桃井若狭之助と共に職務についていたが、
高師直の嫌がらせに耐えきれず、刃傷事件を起こし、切腹を命じられる。
かおよ御前(かおよごぜん)
塩冶判官の正室、美しく聡明な女性。
宮中に仕えたこともあるため、兜改を任される。
高師直から横恋慕されるがバッサリ突き放したことも、塩冶判官へのいじめの原因となる。
大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)
塩冶家の家老、国許で勤めていたが塩冶半眼切腹の知らせを聞き江戸に上り、最後の遺言を聞く。
世間や高家の目を騙しながら、裏では仇討ちのための画策を行い、四十七士を伴い見事本懐を遂げる。
大星力弥(おおぼしりきや)
大星由良之助とお石の息子。小浪の許嫁。
塩冶判官の近くに勤めていた。四十七士の一人として、父と共に仇討ちを決行する。
お石
大星由良之助の妻。お家断絶後も陰で由良助を支える
原郷右衛門/千崎弥五郎/冨森助右衛門/赤垣源蔵/矢間重太郎/大鷲文吾/竹森喜多八/勝田新左衛門/佐藤与茂七
塩冶家の家臣、世間を偽りながら、由良助と共に仇討ちの計画に加わり、実行する
仮名手本忠臣蔵登場人物一覧:与一兵衛家内
早野勘平(はやのかんぺい)
元は塩冶家の奴だったが、刃傷事件の折に、恋人のおかると会っていて、半眼を止めることができなかった。
そのことを悔いて、おかるの実家に逃げ、漁師として暮らすが、塩冶家のうち入りの話を聞き、その一員になるために軍資金を用意しようとする。
おかる
かおよ御前の腰元、勘平とは恋仲で、刃傷事件の後実家へ勘平を連れて逃げる。
勘平の軍資金を用立てるため、京都の遊郭一文字屋に身を売り、遊女となる。
与一兵衛(よいちべえ)
おかるの父、山城国山崎で猟師を営んでいる。
おかるの身売り話をまとめた後、山中で斧定九郎に惨殺され金を盗まれる。
おかや
与一兵衛の妻で、おかるの母。
与一兵衛が勘平に殺されたと思い、取り乱す。
寺岡平右衛門(てらおかへいえもん)
与一兵衛の息子、おかるの兄。
塩冶家の足軽であったが、仇討ちの一味に加わりたいと願い、大星由良之助に直談判する。
おかるに、勘平や父の最後を伝え、由良助の裁量でおかるとともに父の仇をとる。
斧定九郎(おのさだくろう)
斧九太夫の息子、浪人。
山崎の山中でお金を持った与一兵衛を殺して、お金を奪うが、猪と間違えられて勘平に撃たれ絶命する。
セリフ時はたった一言「50両」だが、インパクトの強い端役。
一文字屋お才(いちもんじやおさい)
京都の遊郭、一文字屋の女将。
おかるを連れに、与一兵衛の家を訪れ、その際、与一兵衛の帰りを心配するおかやらに、財布の話をする。
仮名手本忠臣蔵登場人物一覧:高家内
高師直(こうのもろなお)
足利家の執事を務める大名。足利直義が鎌倉に下向する際の饗応を取りまとめる役。
傲慢でねちっこく、かおよ御前に横恋慕するがふられ、塩冶判官をいじめて刃傷事件のきっかけを作る。
鷺坂坂内(さぎさかばんない)
高家の家臣、歌舞伎では道化役として登場。
おかるに横恋慕する。
斧九太夫(おのくだゆう)
元は、塩冶家の家臣だったが、裏切って高家の家臣となる。
大星由良之助らの、仇討ち計画の証拠を掴もうと由良助にまとわりつく。
小林平八郎(こばやしへいはちろう)
高家の家臣。
剣豪であり、高師直近くで護衛をしている
仮名手本忠臣蔵登場人物一覧:足利家
足利尊氏(あしかがたかうじ)
室町幕府将軍、京に在住。弟の直義を鎌倉に遣わす。
(実際のお芝居には登場せず)
足利直義(あしかがただよし)
将軍、足利尊氏の弟。兄の命で鎌倉へ下向し、鶴岡八幡宮に詣でる。
石堂馬之丞(いしどううまのじょう)/薬師寺次郎左衛門(やくしじじろうざえもん)
上使として塩冶判官の元を訪れる
以上、主要な登場人物をまとめて紹介しました。
人気のあるお役については、エピソードもあるので
別記事にて紹介していきます。
仮名手本忠臣蔵人物相関図と一覧まとめ
仮名手本忠臣蔵は、江戸時代に作られた歌舞伎の名作です。
その登場人物は、魅力的なキャラが多く、
大きく分けると、塩冶家、高家、桃井家、足利家に
の関係者として分けることができます。
個々のキャラがどんな役なのかを知っておくと、
お芝居を見るのがさらに楽しくなりますよ。
私は、仮名手本忠臣蔵が大好き、やはり塩冶家の面々を応援したいと思ってますが、
悪役高師直のいやらしさがあるからお芝居が引き立つ、というところもあります。
この記事では登場人物と、その関係をお伝えしました。
読んでくださりありがとう存じまする。
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