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猿若祭二月大歌舞伎昼の部(2025)の感想!上演時間や演目、配役、ネタバレも

観劇レポート
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猿若祭二月大歌舞伎、「きらら浮世伝」が話題です。

昼の部は2月13日に観劇してきました。

短い演目が2つときらら、夜の部に比べるとちょっと地味かなって思いましたが、

見どころはしっかりチェックして充実の観劇となりました。

猿若祭二月大歌舞伎の昼の部について感想をメインに演目やキャスト紹介などもしていきます。

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猿若祭二月大歌舞伎昼の部の演目と配役

一、鞘當(さやあて) 其俤対編笠

不破伴左衛門  坂東 巳之助

茶屋女房    中村 児太郎

名古屋山三   中村 隼人

二、醍醐の花見(だいごのはなみ) 今井豊茂 脚本

豊臣秀吉    中村 梅玉

利家正室まつ  中村 雀右衛門

淀殿      中村 福助

福島正則    坂東 亀蔵

大野治房    尾上 左近

豊臣秀頼    中村 秀乃助

曽呂利新左衛門 中村 歌昇

加藤清正    坂東 彦三郎

前田利家    中村 又右衛門

北の政所    中村 魁春

三、きらら浮世伝(きららうきよでん)

版元 蔦屋重三郎 魁申し候

横内謙介 脚本・演出

蔦屋重三郎    中村 勘九郎

遊女お篠     中村 七之助

遊女お菊     中村 米吉

喜多川歌麿    中村 隼人

山東京伝     中村 橋之助

滝沢馬琴     中村 福之助

葛飾北斎     中村 歌之助

十返舎一九    中村 鶴松

女衒の六     市村 橘太郎

彫り師の親方彫達 嵐 橘三郎

摺り師の親方摺松 中村 松江

西村屋与八郎   市村 萬次郎

初鹿野河内守信興 中村 錦之助

恋川春町     中村 芝翫

*きらら浮世絵伝のあらすじはこちらに紹介しているのでお読みくださいね。

きらら浮世絵伝のあらすじ、歌舞伎座で勘三郎から勘九郎が蔦重を演じる!ネタバレ感想も!
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猿若祭二月大歌舞伎昼の部の上演時間

昼の部は、先の2つの演目が短く、きらら浮世絵伝がちょっと長めのため、

なんと幕間が3回もありましたよ。

この時間上手に使って、歌舞伎座探索やお食事を楽しんでくださいね。

一、鞘當(さやあて) 其俤対編笠

11時〜11時23分

〜〜幕間25分間〜〜

二、醍醐の花見(だいごのはなみ)

11時48分〜12時16分

〜〜幕間35分間〜〜

三、きらら浮世伝(きららうきよでん) 第1部

12時51分〜13時55分

〜〜幕間20分間〜〜

三、きらら浮世伝(きららうきよでん) 第2部

14時15分〜15時19分

終演



猿若祭二月大歌舞伎昼の部のネタバレ感想

それでは感想を書いていきます。

2月13日に観劇しました。

一、鞘當(さやあて) 其俤対編笠の感想

吉原の豪華な背景をセットに、

全く性格が違う二人の剣豪が鞘が当たったことをきっかけに

争うやり取りを、舞を交えて美しく見せます。

花魁掛橋を取り合ってもいる二人ですが、

実は、不破伴左衛門は名古屋山三の仇でもありました。

この争いを止めに入る中村児太郎さんもかっこいいです。

短すぎて正直どこをどう見ればいいのかなって感じです。

様式美を見せる演目だろうと思うのですが

そこはまだちょっと頼りない印象を受けました。

3名とも見た目は綺麗なので

もうちっと存在感というか、キャラの迫力が欲しかったと思います。

二、醍醐の花見(だいごのはなみ)の感想

これは、豊臣秀吉が開催した歴史的イベント「醍醐の花見」をモチーフにした舞踊劇です。

秀吉を取り巻く女性陣や家臣たちが

次々と舞を披露していきます。

最後に、秀頼を連れた淀殿も登場。

豪華絢爛といわれた醍醐のお花見だけあって

みなさんとても華やかで美しかったです。

だけど何もストーリーらしきものはないので

途中ちょっとだけ寝ちゃいました。

中村梅玉さんの豊臣秀吉は、人のいいおっちゃんタイプ、

この時代はすでに太閤閣下と呼ばれる人物ですが、

北政所とも仲睦まじく

家臣たちにも包容力を持って接する器の大きさを感じました。

このお芝居は、今月の演目の中で唯一の

ベテラン役者さんが多く出演している演目です。

梅玉さんの秀吉もですが、

北政所の中村魁春さん、マツの中村雀右衛門さん、

淀殿の中村福助さん、

三人の女性は説明がなくてもそれぞれの地位と性格を

立ち姿と振る舞いで表していると感じました。

福助さんの淀殿は光り輝く美しさと魅力があります。

動きが不自由なことを感じさせない存在感の演技だなあと思いました。

その分、家臣の方達の個性が乏しかったように見えました。

舞踊だから仕方ないところもありますが、

もう少しアクの強さが欲しいような感じ。

ビジュアルでは綺麗なので、もったりしている印象がもったいないなあと思いました。



三、きらら浮世伝(きららうきよでん) の感想

昼の部の目玉が37年ぶりの上演となった「きらら浮世絵伝」。

大河ドラマ「べらぼう」の主人公、蔦屋重三郎がこのお芝居でも主人公

故18世中村勘三郎さんが31歳の時に演じたお芝居ということで、

若い役者さんたちのエネルギー量高いお芝居を期待して席につきました。

私でも名前を知っている絵師さんや作家さんが蔦重の周りにこんなに集まっているんだ

ってことを知って大いに驚きました。

江戸のメディア王は、芸術家たちのハブでもあったのですね。

第1部は、若き頃の蔦重が版元を目指すエピソードでした。

まだ何者でもない若かりし、歌麿、京伝、北斎らが

己を生かせず葛藤する場面に心を掻きむしられるようでした。

自分の画才を見抜いた蔦重の目を確かめようとする歌麿との駆け引きは、

それぞれが自分の才能を固く信じているからこそ成り立つ場面です。

ヒロイン篠竹が陰ながら蔦重を支える姿にもホロリとさせられます。

第2部は、日本橋に耕書堂を開いた蔦重、

錦絵や黄表紙、風刺本で大きく当てた蔦重やその仲間たちに

幕府の迫害が影を落とす中、

活路を見出そうとする蔦重たちの活躍が描かれました。

なんかねえ、この第2部を見ていて、今の日本の閉塞感に似たものを感じちゃいました。

出る杭は打たれる的な、

何かを見せしめにして社会全体で叩きまくる

それを幕府の方針として行なっているところに

一般大衆の哀れさを感じたものです。

ちょうど、元の国立劇場の改装計画が頓挫して、

日本の伝統芸能の聖地といわれた場所が土足で踏み躙られているような扱いを受けているのでね、

これも政府のエンタメに対する見せしめなんかいって思っちゃったわけです。

これは私的な感想なのでお芝居とは別物です、けど言いたくなっちゃったので書きました。



第2部は第1部の溌剌さが一掃され

本当に重苦しい空気の中、

京伝が手鎖、蔦重が財産の半分を没収、

さらに出版物や絵にも何重もの規制をかけられるわけです。

いつも見守ってくれた恋川春町は

幕府の命に背いたことにされ自害させられます。

もうこれで終わり、、とどん底の蔦重でしたが

実は蔦重の周りには、

蔦重が作る書や絵を通じてたくさんの仲間がいたんです。

お芝居では、刷り師や彫り師は黒子として舞台に出ていたのですが、

途中から顔も名もない彼らが顔を持ったんですよ。

堂々と表に出てきて皆でチームとして機器を挽回しようとするのです。

この場面では、胸が熱くなりました。

大衆を下に見るなよ、馬鹿にするなよ!

今でも脈々と受け継がれている文化は江戸の昔から、

一般大衆が支えてきたんだよって声を上げたくなりました。

そして写楽が登場するのです。

それも、幕府は許さないのだけど

最後の最後、

写楽を捨ててもまた新しいものを作ればいいと

仲間たちに希望を見せる蔦重の言葉がとても響きました。

あの言葉があったからこそ、

統制の中でも名作が生まれ、文化は絶えず生き残ったのです。

歴史の中で一人の人間の行為が

後の世界に影響を与えることがよくあります。

この蔦屋重三郎もまさにその一人、

しかも私たちと同じ一般人だったんです。

そんな可能性も見させてくれた、胸熱のお芝居でした。

実は、専門家の方の劇評はあまり芳しくないんです。

歌舞伎としてみたら足りない部分はたくさんあるんだと思います。

だけど「反骨」を描いたところ、それを演じた役者が歌舞伎役者という点では

紛れもなく歌舞伎なんです。

確かに物足りなさも感じるのですが、だからこそ今見ておいた方がいい作品だと思います。

以上、猿若歳二月第歌舞伎昼の部の感想でした。

ここまでお読みくださりありがとう存じまする。

夜の部の感想はこちらからお読みいただけます

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