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夏祭浪花鑑:歌舞伎のあらすじと登場人物、見どころは泥場って何?

歌舞伎演目
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「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」は上方の任客たちの

義理人情とそこから発する悲劇を描いた作品です。

文楽でも歌舞伎でも、人気の演目です。

七段目「長町裏」の、主人公団七による舅殺しの一幕は、

通称泥場と言われ、本水を使った立ち回りが見どころになっています。



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夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)の読み方は?どういう演目?

夏祭浪花鑑の読み方は、「なつまつりなにわかがみ」です。

ちょっと読みにくいタイトルですよね。

1745年に創作され7月に人形浄瑠璃で、8月に歌舞伎で初演されています。

1698年に大阪の長町裏で起きた、魚屋による殺人事件を基に

創作されたとのことです。

原作は全9段ですが、現在上演されるのはそのうちの

三段目「住吉鳥居前」・六段目「釣船三婦内」・七段目「長町裏」です。

これらを通すことで通し狂言と言うことが多いです。

義侠心に熱い主人公の団七九郎兵衛が、

恩義のある人を助けるために、やむなく舅を手にかける「長町裏」は、

祭りの下座音楽と立ち回りの様式美がなんともいえない味わいがあります。

そういえば、2020年秋の連続テレビ小説「おちょやん」では、

15代目片岡仁左衛門さん監修の下、

この泥場が放映され、大きな話題となりましたね。

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夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)のあらすじは?

それでは、夏祭浪花鑑のあらすじを紹介していきます。

現在上演されている三段目「住吉鳥居前」・六段目「釣船三婦内」・七段目「長町裏」を中心に書いていきます。

一段目「お鯛茶屋」/二段目「玉島兵太夫内」

泉州浜田家家臣玉島兵太夫の息子、磯之丞は、傾城琴浦に入れあげ、

横恋慕する佐賀右衛門の悪事によって危難に陥ります。

それを救おうとした魚売りの団七は謝って人を殺め入牢となります。

団七の妻であるお梶は、徳兵衛の助けを借り、磯之丞を諭します。

その甲斐なく、磯之丞は家を出されるのですが、

お梶の嘆願が実って、団七は放免されることになります。

三段目:住吉鳥居前(通称鳥居前)

団七が放免される日。

女房のお梶が息子市松を連れ、老任客の釣船の三婦に付き添われて

住吉神社の鳥居前まで迎えにやってきます。

そこに、駕籠に乗って磯之丞も表れますが、

駕籠代のことで喧嘩となり、三婦がその仲を納めます。

そこへ、髪も髭も伸び放題の団七が、

役人に伴われてやってきます。

まずは、身支度と、髪結床へいき、

小ざっぱりとした身なりへと新ためました。

その後団七は、

磯之丞の恋人でもある傾城の琴浦は、佐賀右衛門の命を受けた

チンピラたちに捕らえられそうになっているところに出くわし、

琴浦を助けるために、徳兵衛たちと大げんかになります。

止めに入るお梶、

そのお梶を見て、徳兵衛は自分を救ってくれた恩人と気づくのでした。

よくよく話を聞くと、お梶は昔玉島兵太夫の家に奉公していたのですが、

徳兵衛もまたその家臣であったということ。

お梶が団七の女房と知った徳兵衛は、

不備を謝り、団七と義兄弟の契りを交わすのでした。



四段目「内本道具屋」/五段目「安居の森(道行妹背の走書)」

磯之丞は勘当され、清七と名を変えて道具屋の手代となります。

しかし、ここでも娘のお中と恋仲になってしまい、

横恋慕する先輩と団七の舅義平次の計略によって

殺人を起こしてしまうのです。

徳兵衛と団七らの助けで三婦の家に匿われることになります。

六段目「釣船三婦内」

七月の暑い、高津神社の宵宮の晩のこと。

磯之丞、琴浦が匿われている三婦の家に、徳兵衛の女房お辰が訪ねてきます。

徳兵衛とともに里に帰る挨拶であったのですが、

それを聞いた三婦の女房おつぎは、

磯之丞を連れて行ってくれるように頼みます。

快く引き受けるお辰ですが、三婦が納得しません。

その理由は、お辰の女っぷりにありました。

磯之丞と恋仲になってしまったら、、、という不安を聞くと

そんなことはないとお辰は言い張ります。

しかし、納得しない三婦を見て、お辰はそばにあった焼ごてを手に取り、

自分の顔に押し当ててしまいます。

美しい顔に大火傷を負ってまで、自分の義を通そうとするお辰に

徳兵衛は感心し、磯之丞をお辰に預け送り出します。

そこへ、琴浦を連れ去ろうと佐賀右衛門の手の者がやってきます。

追い払おうと三婦が出かけた隙に、

義平次が、団七に頼まれたと琴浦を駕籠に乗せて連れて行きました。

しばらくして団七がやってきて、

義平次が佐賀右衛門の企みに乗って琴浦を連れ去ったことに気づきます。

焦った団七は、舅の後を追うのでした。



七段目「長町裏(泥場)」

義平次に追いついた団七は、駕籠を返すように懇願します。

懐に石を入れ、さもお金があるように見せかけると、

欲に目が眩んだ義平次は団七のいう通りに駕籠を返します。

しかし、それが嘘と知れると、打って変わって団七に悪態をつき、

草履で額を打ちすえます。

額を割られても、散々なじられても我慢していた団七ですが、

とうとう刀に手をかけてしまいます。

それを見るや否や、親を殺すのか、、とさらにヒートアップする義平次、

「わしを切ってみろ」と挑発し、刀の奪い合いになります。

必死に止める団七ですが、とうとうはずみで義平次の肩先を斬りつけてしまいます。

「人殺しー」とさらに声を荒げる義平次、

覚悟を決めた団七は、義平次を斬り殺し泥田に沈めます。

だんじりの音に紛れ、人に見つからないよう団七はその場を去るのでした。

 

八段目「田島町団七内(蚕とり場)」/九段目「玉島徳兵衛内」

団七の家に、徳兵衛が暇乞いに来て、義平次の殺害現場で拾った団七の草履を見せます。

団七の身代わりになろうとする徳兵衛ですが、団七は相手にしません。

そこで徳兵衛は、お梶に不義を仕掛け、三婦の計らいでお梶は団七と離縁することになります。

離縁したら、舅殺しではなくなります。

徳兵衛は、団七を縄をかけ捉えると見せかけると、逃亡用の金子をわたし

逃げるように促すのでした。

その後佐賀右衛門の悪事が露見し、磯之丞の勘当も解け、玉島兵太夫により団七の罪も減刑されます。

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歌舞伎と文楽では若干違うところもありますが、だいたいのあらすじは以上です。

七段目の「長町裏」が人気の場面なのですが、

だんじりの音が響く中、夏の夜の蒸し暑さ、そこで起きる殺人という

凄惨な場面なのですが、

歌舞伎にするとまるで音楽付きの絵のようで引き込まれてしまいます。



夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)の登場人物は?

それでは、夏祭浪花鑑に登場する、主な人物についても紹介しますね。

団七九郎兵衛(だんしちくろべえ)

元の名は団七、任侠に憧れ、団七九郎兵衛を名乗る。孤児で育ち、義平次に拾われて魚屋となる。義平次の娘お梶と結婚する。玉島兵太夫の息子磯之丞を助けようとして、舅を手にかけることになる。

お梶(おかじ)

団七の女房で、義平次の娘。団七との間に、市松という息子をもうける。元は、玉島家に腰元として奉公していた。

三河屋義平次(みかわやぎへいじ)

お梶の父、孤児の団七を拾って魚売りにする。欲深く、金のためにはなんでもする

玉島磯之丞(たましまいそのじょう)

玉島兵太夫の息子、放蕩が過ぎて勘当される。琴浦と恋仲。

琴浦(ことうら)

傾城で磯之丞に身請けされる

一寸徳兵衛(いっすんとくべえ)

一度引き受けたら後には引かないことから、名前に一寸がついている。玉島兵太夫に恩を受けたもの同士として、団七と義兄弟になる。

お辰(おたつ)

徳兵衛の女房。三婦の家に挨拶に行き、色気をもとに務めを果たせない意地を通すために自らの顔に傷をつける

釣船三婦(つりぶねのさぶ)

団七が世話になっている老任客。喧嘩をしないと近い、数珠をぶら下げている。団七たちを助けるために働く

大鳥佐賀右衛門(おおとりさがえもん)

玉島家の家臣の一人。琴浦に横恋慕し、手に入れるために悪事を画策する

玉島兵太夫(たましまひょうだゆう)

泉州浜田家の武士。団七が魚屋として出入りしていた主人でもあり、恩人でもある。お梶や徳兵衛が以前奉公をしていた家の主人。息子磯之丞の放蕩に悩まされている

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歌舞伎や文楽を見るときは、ある程度のストーリーと登場人物がわかっていた方が見やすい!

というのは私の持論です。

特に、義平次への恩義を感じている団七が、

義侠心のため止むに止まれぬ決断をする過程の葛藤を知るためにも、

この人間関係は知っておくといいと思います。



夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)の見どころは団七泥場の立ち回り!?

夏祭浪花鑑は、見所の多い演目です。

その中でも、随一であるのは、七段目の「長町裏」、通称泥場です。

祭りの声や通行人はあるのですが、

ほぼ、義平次と団七の一対一のやりとりです。

義平次になんとか駕籠を返してもらいたい一心の団七が

金があると嘘をつくと、欲深い義平次は猫なで声を出して寄ってきます。

嘘だと知れると、手を返したように、団七を罵倒します。

暴力だって奮います。

それでも、黙って我慢しているのは、「舅」であり、

孤児であった自分を救ってくれたから。

団七にとって大切な義理を欠くわけにはいかないのです。

それでも、しつっこい義平次は、団七が刀に手をかけたのを見るや否や、

その刀で斬ってみろ~と無茶振りいうんですよね。

まるで駄々っ子です。

いい歳した親父がですよ。

これがめっちゃ憎たらしいからこそ、

舅に手をかけてしまう団七へ観客は共感するわけなんです。

だって、ストーリーからしたらあり得ない展開ですもの。

そのやり取りの最後、思い余って舅殺しへと入っていくのですが、

そこまでがとにっかく暑苦しい、息苦しい・・・

感情のぶつかり合いが見せる濃い場面は、

見ているものに息苦しさまで与えるんですよね。

泥田の中の取っ組み合いもそれに拍車をかけています。

噂によると、義平次役の役者は、いかに憎らしく演じるかに心を砕くそうです。

そして、泥だらけになっちゃうので、後で落とすのに苦労するんだそうです。

そんな役者の熱演が、ぐいぐい見入っちゃう場面を作るんでしょう。

殺しの後の団七のセリフがまた印象に残るんです。

「悪い人でも、舅は親じゃ。。。なまんだぶなまんだぶ。親父どん、堪忍してくだせい・・」

真夏に見たい芝居「夏祭浪花鑑」です。

大阪独特の風習や、任侠の世界も、お芝居に厚みを添えています。

一度ご覧になって見てはいかがですか?

2020年後半の連ドラ「おちょやん」でも、この芝居はカッコよかったです!

読んでくださり、ありがとう存じまする。



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