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仮名手本忠臣蔵は歌舞伎の名作、簡単あらすじ、登場人物、見どころ。史実との関係は?

歌舞伎演目
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「仮名手本忠臣蔵」は、歌舞伎3大名作の1作とされています。

その見どころや、あらすじ(わかりやすい!)、登場人物など紹介します。

寛永元年(1748年)に人形浄瑠璃の作品として初演、

その後歌舞伎でも上演されるようになり、

一時期上演中止もあったそうですが、約270年間にわたり、

愛されてきたお芝居です。

ぜひ一度は観ていただきたい作品です。



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仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)は江戸時代の事件を基にした歌舞伎のお芝居

「仮名手本忠臣蔵」は史実と関係あるけど少し違う

仮名手本忠臣蔵の元になった出来事がありました。

みなさん、よーくご存知の赤穂浪士(あこうろうし)の討ち入り事件です。

ザクっと説明すると、

江戸城松の廊下で、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が吉良上野介(きらこうずけのすけ)に斬りつけた刃傷(にんじょう)事件。

それが原因で、浅野内匠頭は切腹、お家は取り潰しとなりました。

内匠頭の家来である大石内蔵助(おおいしくらのすけ)ら47人が、

主君の仇討ちとして、吉良家に討ち入り、討ち取ったとする事件です。

当時は、センセーショナルな事件として世を賑わせたことが

想像できますね。

実際に起きたのは、1701~3年にかけてです。

今でも、事件の再現ドラマや再現映画が

作られて人気を呼んでいますよね。

あんな感じで、

芝居化されたんだと思います。

しかし、このあと紹介する役名をご覧になるとおわかりでしょうが、

足利直義(あしかがただよし)とか、塩谷判官(えんやはんがん)とか

という名前が登場し、肝心の大石内蔵助は出てきません。

これは、歌舞伎ではおなじみのことでして、

史実を扱う場合は、時代や人の名を変えて、創作することで、

幕府からのお咎めを避けるようにしていたのです。

江戸時代の出来事を室町時代の出来事に置き換えた芝居は、

他にもあるので、見つけてみてくださいね。

仮名手本忠臣蔵は、なぜ仮名手本がつくの?

この物語は「忠臣蔵」という名で有名ですよね。

ドラマや映画でもかず多く取り上げられています。

この名も、「仮名手本忠臣蔵」からとった名前ということです。

忠臣たちが蔵にいる吉良を討った、ということや

忠臣と大石内蔵助の「蔵」からとったという説があります。

仮名手本というのは、

四十七士からきているそうです。

いろはにほへと・・・のかなは、全部で47音あります。

そこから、仮名、武士の手本、ときて忠臣蔵。

この芝居が上演された当初は、

主のために命をかけて仇を討つ大石らはヒーローだったのでしょうね。

そんな、当時の人々の思いも、

このタイトルからうかがうことができるんです。

私は、そういうことを知るたびに、

歌舞伎ってすごいなあって思います。

300年以上の年を超えて、

その時代に生きた人の思いを知ることができるんですよ~~



仮名手本忠臣蔵の主な登場人物

では、仮名手本忠臣蔵に登場する主な人物の紹介をします。

足利左兵衛督直義(あしかがさひょうえのかみただよし) : 室町幕府将軍足利尊氏の弟。尊氏の代理として、京から鎌倉へと下向し鶴岡八幡宮に参詣する。

塩冶判官高定(えんやはんがんたかさだ) : 伯耆国(ほうきのくに)の大名。桃井若狭之助と同じく直義の饗応役となる。普段は冷静沈着な性格。浅野内匠頭がモデル

顔世御前(かおよごぜん) : 塩冶判官の正室。もとは宮中に仕えた内侍。浅野内匠頭の正室阿久利がモデル。

大星由良助(おおぼしゆらのすけ) : 塩冶家の国家老。判官の思いを汲み取り、同志の要となり討ち入りを果たす。大石内蔵助がモデル

大星力弥(おおぼしりきや) : 由良助の息子。塩冶判官のそば近くに仕える。大石主税(ちから)がモデル。

早の勘平重氏(はやのかんぺいしげうじ) : 塩冶家の譜代の家臣。

寺岡平右衛門(てらおかへいえもん) : 塩冶家に仕える足軽。おかるの兄。

大鷲文吾(おおわしぶんご) : 塩冶家家臣。

おかる : 顔世御前に仕える腰元。早の勘平とは恋人どうしで、のちに夫婦となる。寺岡平右衛門の妹。

お石(おいし) : 由良助の妻。

高武蔵守師直(こうのむさしのかみもろのう) : 大名。鎌倉に在住する尊氏の執事職。傲慢な性格で、塩谷判官の妻である顔世御前に横恋慕する。鬱憤ばらしに塩谷判官をいじめ、事件のきっかけを作る。吉良上野介がモデル。

桃井若狭之助安近(もものいわかさのすけやすちか) : 大名。桃井播磨守の弟。鎌倉に下向した直義の饗応役となる。

加古川本蔵行国(かこがわほんぞうゆきくに) : 桃井若狭之助の家の家老。判官を抱きとめたため、無念を果たせなかったことを公開している。

戸無瀬(となせ) : 加古川本蔵の妻。後妻。

小浪(こなみ) : 加古川本蔵の先妻の娘。大星由良助の息子力弥とはいいなづけの約束を交わしている。

鷺坂伴内(さぎさかばんない) : 師直の家来。おかるに横恋慕する。

斧九太夫(おのくだゆう) : 塩冶家の家老だったが、寝返って吉良方につく。

斧定九郎(おのさだくろう) : 斧九太夫の息子。斧九大夫も呆れる悪人。

与市兵衛(よいちべえ) : 寺岡平右衛門とおかるの父親。山城国山崎に百姓をして暮らしている。

一文字屋お才(いちもんじやおさい) : 京の祇園にある女郎屋の主人。

天河屋義平(あまがわやぎへい) : 塩冶家に出入りしていた廻船問屋。摂津国堺に店を持ち商売をしている。

 

色々な立場の方がいっぱい出てくるんです。

それが芝居の魅力を、より引き立てると思っています。



仮名手本忠臣蔵のかんたんなあらすじ

通しで上演すると十一段ある大作です。

できるだけ、わかりやすく簡単に説明しますね。

大序鶴ヶ岡社頭兜改め

暦応元年(1338)二月下旬、征夷大将軍の位についた足利尊氏の命により、

弟直義が鎌倉鶴岡八幡宮に新田義貞の兜を奉納することとなった。

兜鑑定の役として、塩冶判官(えんやはんがん)の妻顔世御前(かおよごぜん)が呼び出される。

以前から彼女の美しさに目を付け、横恋慕していた

足利家の重役高師直(こうのもろのう)は、顔世を引き止めて言い寄る。

権力をひけらかし、強引に口説くのを、

その場に来合わせた桃井若狭之助(もものいわかさのすけ)が顔世を逃がす。

腹いせとばかり、侮辱する師直に、

若狭之助はカッとなり、斬りかかろうとするところを、塩冶判官が止める。

*事件の前に、こんな出来事もあったんですね。

師直のいやらしさがこれでもかと描かれます。

何と言っても悪役、悪けりゃ悪い方が芝居は盛り上がります。

二段目 桃井館力弥使者/松切り

翌日、桃井若狭之助の館では、

鶴岡八幡宮で主人が高師直に恥辱を受けた噂でもちきりになっている。

桃井家の執権職加古川本蔵(かこがわほんぞう)はそれを咎めるものの、

本蔵の妻の戸無瀬と娘の小浪も案じている。

そこへ塩冶判官からの使者として大星力弥が訪ねて来る。

本蔵と戸無瀬は力弥の許婚である娘小浪に対応を任せる。

若狭之助は加古川本蔵を呼び、

明日登城したら師直を斬るつもりだと固い決意を打ち明ける。

本蔵は黙って主人の脇差しで庭前の松をすっぱと切り

「まずこの通りに」と安心させておいて、密かに師直のもとへ馬を走らせる。

*この幕はあまり上演されることがないそうです。

三段目 足利館門前進物/足利館松の間刃傷/足利館裏門

本蔵は未明の足利館の門前で登城する師直に追いつくと、

若狭之助からと告げて多くの賄賂を贈る。

その甲斐あって、師直は若狭之助を見るなり平身低頭して謝るので、

さすがの若狭之助も拍子抜けしてしまう。

謝りはしたもの、内心面白くない師直、

遅れてきた塩谷判官にその怒りをぶつけ、なじり始める。

加えて、顔世御前からと手渡された手紙には、

横恋慕を拒絶する文章が・・・。

怒りは、ますますヒートアップ、判官への罵詈雑言はエスカレートしていく一方。

さすが温和な判官も堪忍袋の尾が切れ、

殿中(でんちゅう)で刀を抜けば家は断絶、身は切腹という掟を知りつつ師直に斬りつけた。

しかし主人を案じて潜んでいた加古川本蔵に背後から抱き止められ、

とどめをさせぬまま取り押さえられる。

*憎まれっ子世にはばかる、とばかりに悪口を並び立てる師直、

判官の怒りがかえって清々しく映るほどです。

この場のできごとが、判官と本蔵そしておかると勘平の

悲劇をも呼びよせるのです。



四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹/扇ヶ谷表門城明渡し

屋敷に戻された判官は、上使を待つ。

足利の館より下された裁きは、判官の切腹と領地の没収であった。

あまりにも重い裁きであるが、判官は粛々と受け入れる。

国家老の大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)の到着を待ちわびつつも、武士らしく切腹する判官。

そこに、必死で駆けつけた由良之助に無念の想いを伝え、腹切り刀を形見に託して絶命する。

「敵は高師直ただ一人……」由良之助は、師直を討つ決意を胸に秘める。

血気に逸る若侍たちは、今こそ仇を討とうとする彼らに、

形見の刀を見せ、時節を待つように伝えると、館を明け渡し、静かに立ち去るのであった。

*「無念」「この九寸五分は汝の形見」この言葉を聞き、全てを悟る由良之助。

この芝居の名場面でもあります。

道行旅路の花聟

一方、おかると逢い引きしていて主人の大事に立ち会えなかった勘平、

屋敷に戻ることもできず、切腹しようとする。

しかし、おかるに止められ、ひとまずおかるの実家まで落ち延びることにする。

おかるの実家まで落ち延びるのであった。

五段目 山崎街道鉄砲渡し/ 山崎街道二つ玉

おかるの実家に身を寄せ、夫婦となった寛平は、

猟師となり生計を立てていた。

数か月経った夏の夜、猟の途中で塩谷判官の家臣であった

千崎弥五郎(せんざきやごろう)に再会する。

主君の仇討ちの噂を聞いた勘平は、

弥五郎に一味に加えてもらえるよう頼むが、

それは秘密の話、表向きには否定しながらも、

亡君の石碑建立の資金を集めていると聞く。

勘平は、暮らしは貧しいが、義父の与市兵衛(よいちべえ)に頼もうと、

お金を用立てることを約束し、別れる。

一方、その与市兵衛(よいちべえ)は、

おかるが夫勘平のために祇園の花街に遊女として

身を売った代金の半額50両という大金を持って、

家路を急いでいた。

ところが山崎街道で、山賊の斧定九郎(おのさだくろう)に

大切な50両を財布ごと奪われ、殺されてしまう。

そこへ、雨夜の暗がりの中で猪を追って来た勘平が、

撃った銃の弾が定九郎の胸を撃ち抜く。

猪と過って人を撃ってしまったと気づいた勘平は動転するが、

倒れた男を介抱しようして、大金の入った財布に気づく。

仇討ちのためのお金が必要な勘平は、

天の助けとばかり、相手を確認せずに財布を持ち去り、

家へ戻る。

*亡き主君を思う勘平と勘平を思うおかると

若夫婦を思う与市兵衛、そこに絡む定九郎。

ここにも一つの悲劇が生まれます。



六段目 与市兵衛内勘平腹切

翌日勘平が帰宅すると、

祇園の一文字やのお才とその供がおかるを連れて行こうと

しているところであった。

勘平はおかるが自分のために身を売ったことを初めて知る。

そしてお才の話から、

昨夜撃ち殺した50両の持ち主は舅与市兵衛だったと思い込む。

 おかるが連れて行かれたあと、

猟師仲間が与市兵衛の死骸を運んでくる。

驚いた姑おかやは、勘平が与市兵衛の血のついた財布を持っているのを目にし、

舅を殺したといって責め立てる。

そこへ、弥五郎が仲間の不破数右衛門と現れる。

勘平が差し出したお金を、

由良之助が不忠不義の家臣からは受け取れないとことづかり、

返しにきたところだったのだ。

二人はおかやから、勘平が敵討ちの資金に拠出した50両が

舅を殺して奪った金だったと聞くと、呆れて立ち去ろうとする。

勘平は必死で二人を引き止め、苦しい胸の内を語ると、腹に刀を突き立てた。

苦衷の告白に心を動かされた弥五郎が与市兵衛の死骸を調べると、

傷口は刀でえぐられたもので勘平の仕業ではなかった。

道中、見つけた定九郎の死骸が、勘平が鉄砲で撃った相手と判明する。

つまりは、舅を殺したのは定九郎で、

勘平はその敵をうったということだったのだ。

2人の計らいで、勘平は晴れて敵討ちの連判状に加えられ、姑に見守られて息絶える。

*行き違いから、勘平は死を選ぶことになるのですが、

それが忠義とみなされ、仇討ちの仲間に名を連ねる、

運命のいたずらとしか言えないエピソードも見どころです。

七段目 祇園一力茶屋

京都祇園の一力茶屋では、

大星由良之助が敵討ちのことなど忘れたかのように

連日酒を呑み、遊興の限りを尽くしている。

塩谷の浪士たちも、あしらわれ、

腹を立ててその場を立ち去る始末。

おかるの兄・寺岡平右衛門(てらおかへいえもん)は、

敵討ち参加を願いに訪ねて来たものの、相手にもされない。

酔いつぶれて寝ている由良之助の元に、

力弥が現れ密書を手渡す。

一方、元は塩冶家の家老だった斧九太夫(おのくだゆう)も現れる。

いまでは師直側に寝返り、由良之助の本心を探ろう、

内匠頭の月命日なのに、酒や魚肉を由良之助にすすめる。

勧められるままに食す由良之助に、

仇討ちの意がないと思いつつも、

力弥の密書知りたさに、床下に隠れて様子をうかがうことにする。

酒席から戻ってきた由良之助が、

密書を読み始めると、

二階で酔い覚ましをしていた遊女おかるが覗きみる。

それに気付いた由良之助はおかるを手元に呼び、

密書を読んだか確かめる。

読まれたことを知ると、

身請けして自由の身にしてやると言って、身代金を払いに奥へ入る。

おかるが喜んでいると兄・平右衛門に出会う。

平右衛門は、由良之助がおかるを身請けする真意は、

密書を読まれた口封じに殺すためだと気付く。

そして妹に、どうせ殺されるなら兄の手にかかって死んでくれ、

敵討ちに参加するために兄に手柄を立てさせてくれと頼む。 

平右衛門から、父与市兵衛と夫勘平の最期を知ったおかるが

自ら命を差し出そうとしたその時、

兄妹の一途な心を見届けた由良之助が止めて、平右衛門に敵討ちへの参加を許す。

そしておかるに刀をもたせ、手をそえて床下に潜んでいた九太夫を刺殺させる。

おかるに裏切り者を討たせて、亡き勘平の代わりに功を立てさせたのであった。

*このお芝居の中でも、最も人気が高く、

上演回数が多いのがこの一力茶屋の場です。



八段目 道行旅路の嫁入

晩秋の東海道を、加古川本蔵の娘小浪(こなみ)と

まだうら若い継母の戸無瀬(となせ)が連れだって、

京都山科の大星由良之助のもとへと急いでいた。

許婚だった大星力弥との約束も、

今では、塩谷の家が取り潰しとなり、消えかかっていた。

 義理の仲でも戸無瀬は母。

血が繋がっていないからこそ、

娘の想いを叶えてやろうと旅路を急ぐのであった。

*道行というと歌舞伎では、主に男女が旅をする

舞踊劇で表現されます。

この段は母娘ではありますが、恋の成就を目指す旅路

というところですね。

九段目 山科閑居

戸無瀬と小浪は、出迎えた由良之助の妻お石(いし)から、嫁入りを拒絶される。

戸無瀬は夫への申しわけに死のうと思い詰め、小浪も操を守って死ぬ決意をする。

戸無瀬が小浪を斬ろうと刀をふりあげると、門の外から虚無僧の吹く尺八が聞こえてくる。

そこへお石が「御無用」と声をかけて現れ、嫁入りを許す代わりに本蔵の首をもらいたいという。

主君塩冶判官が殿中で師直を討ち漏らしたのは、本蔵が抱き留めたためだから、

思いを果たせず切腹した主君の家臣として、その娘をもらうには、

それ相応の代償をということ。

驚く母娘の前に先ほどの虚無僧が入ってくる、天蓋をとると本蔵その人だった。

本蔵がお石を踏みつけ、由良之助を罵るところに、力弥が飛び出して槍で突く。

とどめを刺そうというときに、由良之助が現れ、本蔵がわざと刺されたと見抜く。

そして、小浪の嫁入りを許す。

判官を止めた申し訳に、婿にこの首を差し出す、と語る本蔵に、

由良之助は、雪で作った五輪塔を見せる。

それは、由良之助と力弥の墓石を意味していた。

敵討ちの本懐をとげて死ぬ覚悟を知った本蔵は、

引き出物として、師直邸の絵図面を手渡す。

由良之助は、力弥と小浪に一夜の契りを許して、いよいよ仇討へと旅立っていく。

あとに残った本蔵も、戸無瀬と小浪にみとられて、あの世へと旅立って行くのだった。

*この場も単独で演じられることが多いお芝居です。

小浪と力弥、この二人もこのお芝居では悲劇のカップルとして

描かれています。

十一段目 高家表門討入/ 高家奥庭泉水/高家炭部屋本懐/両国橋引揚

とうとう敵討ち当日がやって来る。

高家の門前に集合した塩冶浪人たちは、一人一人姓名を名乗り、

「天」と「河」の合言葉を確認する。

由良之助の合図で屋敷の中になだれ込んだ浪士たち、

目指すは、高師直ただ一人である。

激しい争闘ののち、夜明けも近づいたころ、

浪士たちは炭を保管する小さな小屋に隠れていた師直を見つけ出す。

由良之助は判官形見の短刀で、敵師直の首を取った。

判官の位牌の前に、師直の首と短刀を捧げ、

敵をうったと報告する浪士たち。

無事目的を達成した浪士たちはエイエイオーと勝鬨をあげ、

両国橋をわたって主人塩冶判官の眠る泉岳寺へと向かうのだった。

*クライマックス、討ち入りの場面です。

迫力のある立ち回りや、

最後の本懐を遂げるシーンは感動します。

そして、最後まで吉良はやな奴です。



歌舞伎仮名手本忠臣蔵の見所は?

平成10年3月の歌舞伎座筋書き

見どころその1:口上に人形身、始まりを見逃すな

通し舞台で行われるときは、

上演前に口上が入ります。

とざいとーざいと、人形が述べる口上。

そして、幕開けには、四十七士にちなんで、47回のツケうち。

さらには、人形身と呼ばれるオープニングもあります。

これは、原型でもある人形浄瑠璃への敬意を示しているらしいです。

竹本の語りが始まると、足利直義、師直、若狭之助、塩谷判官の順に

顔を上げていきます。

これは人形に命が宿った、、という表現でもあるらしいです。

私は、こういう様式的な美しさに、

歌舞伎の魅力を感じます。

いつも開演ギリギリに行く私でさえ、

余裕を持って座るぞ、、って思うくらいの幕開けなんですよ。

見どころその2:由良之助、おかる、斧九大夫の3ショット

七段目の一力茶屋の一場面。

由良之助が、灯りに手紙をかざして読む場面があります。

巻物の手紙がそろそろと床に落ちていくと、

その先には床下から覗き込む斧九大夫。

そして由良之助の右斜め上からは、

ちょっと高めに掲げた手鏡に手紙を写して読もうとするおかる。

私は、この3ショットに、

なんとも言えない調和の美しさを感じるんです。

酔い覚ましをするしどけないおかるの姿が

特にゾクゾクってきます。

見どころその3:登場人物のエピソード

仮名手本忠臣蔵には、多くの人物が登場します。

私は、全十一段は、仇討ちを縦に、

横糸には、それぞれの人物のドラマが織り上げられていると

思うんです。

おかると勘平の物語もそうですし、

力弥と小浪の物語もそう。

私は、その人物ドラマを見るのが

とても好きです。

結末を知っていながらも、

ドキドキしたり、悲しくて涙したりしてしまいます。

人物の描き方が魅力的だからこと、

お芝居も生き生きと楽しめるのだなと思います。

だから、誰が何役を演じるのかって

私にとってはとっても大事なんです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

仮名手本忠臣蔵について紹介してきました。

通しで上演されることはなかなかありませんが、

見所のある一幕を独立させて上演することは多いです。

初めて歌舞伎を観る方にも、

沼にはまっている方にも、

超オススメの演目ですよ。

読んでくださり、ありがとう存じまする。



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