銀座百点というミニ冊子があります。
その第800号に片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの対談が掲載されています。
早速手に入れたので、その内容を少し紹介します。
銀座百点とは
「銀座百点」とは1955年に創刊された小冊子です。
銀座の情報と文化を読む人に伝えようと、
冊子の中には質の高いエッセイや著名人の対談などが
掲載されています。
百点の百は、創刊当時のパートナーでもあった、
銀座にあった100軒の専門店です。
当時からの会員店は、38軒ということなので、
時の流れ、移り変わりをしみじみと感じてしまいます。
約66年に渡る歴史の中では、
向田邦子さんの「父の詫び状」や池波正太郎さんの「銀座日記」などが
連載から書籍化されたということです。
侮れない小冊子ですね。
銀座百点の加盟店の店先に、
何気なく置いてあって手にしたことも何回かあります。
でも、これだけ目を見開いて、
お店を探したことはないかも・・・だって、
第800号は特別記念として、
歌舞伎役者の片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの特別対談が
掲載されているということなのです。
必死に探し、結局は歌舞伎座で手に入れるという1冊。
堪能させていただきました。
銀座百点800号記念特別対談片岡仁左衛門&坂東玉三郎
銀座百点第800号には、特別記念として
片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの特別対談が掲載されています。
カラー写真2枚と対談が8ページもあります。
これは、ファンには鼻血もののお宝です。
7月号でもあるそうなので、
今ならまだ入手可能です。
その入手方法は次に書くとして、
ここでは対談の内容を少しだけ紹介します。
対談では、出会った頃のことやお互いの関係性、
コロナ禍での葛藤、そして変わりゆく歌舞伎について
お二人の美しい言葉によって語られていました。
印象に残ったことをいくつか紹介しますね。
1つは、若き日の孝玉(たかたま)
お二人の出会いは、1964年、
坂東玉三郎さんが14歳でその名を襲名した時だそうです。
当時は、孝夫を名乗っていらした仁左衛門さんの楽屋へ
挨拶に伺ったのが初対面。
お二人は6つ違いということなので、
当時の孝夫さんは20歳ですね。
仁左衛門さんは、素敵な子役が出てきたなあって
思ったんだそうです。
仁左衛門さんの松嶋屋と玉三郎さんの養父守田勘弥さんは
親しかったということなのです。
少年時代の6つ違いは大きいから、
この子は・・って言っちゃったけど、
っていう仁左衛門さんの言葉に温かい笑みが感じられました。
その後1968年に初共演を果たしたとのこと、
舞踊作品だったために、
楽屋の次の間で一生懸命お稽古をされたそうです。
親同士の関係もあり、
そこから2人の共演が増えていったとのことなんです。
なんて素敵なんでしょう。
このお二人の共演は神レベル、
その機会が生まれたことに感謝しかありません。
玉三郎さん21歳、仁左衛門さん27歳の時に
お二人は、「お染の七役」で初役で共演したそうです。
その時のエピソードも素敵でした。
仁左衛門さんは、自分が痩せていることから、
尻端折り(しりっぱしょり)や片肌を脱ぐ、ということが
嫌でしょうがなかったということ。
この舞台で観ていた観客から
「孝玉」「T&T」というコンビ名が呼ばれるようになり、
そこからこの2人で「桜姫東文章を観たい」という投書もされるようになり、
2人のコンビとしての活躍が見られるようになった
ということも書いてありました。
なんて素敵なファンの方達なんだろうって感激です。
その後、お二人がビッグになっていくに従って、
共演の機会も減っていったそうなんです。
それが再びフィーバーを巻き起こしたのは、
今年4月の「桜姫東文章」でしょう。
36年ぶりの共演は本当に心を打つ素晴らしい舞台でした。
この舞台の初日、花道から出ていくときに
仁左衛門さんが小声で
「ぼくな、緊張してんねん」っておっしゃったんですって。
それに玉三郎さんは
「え、あんた緊張してんの?」って返したとか。
それについても、仁左衛門さんが玉三郎さんに対して、
「あんたは動じないからね」って。笑笑
玉三郎さんからすると、
女方は立役のフォローという思いがあるから、
2人そろって緊張したらいけないってことだったらしいです。
本当に素敵な関係だなあって思いました。
もう一つ印象に残ったのは、
歌舞伎を取り巻く時代の変化について語っていたことです。
玉三郎さんは、演目でも今の時代には封建的、差別的と捉えられ、
上演できないものもあるだろうと語っていました。
仁左衛門さんは、なんで女が出てはいけないのだ、という人が出てくるだろうとも。
お二人はともに70歳を超えていますが、
時代や環境の変化に対して敏感だなと感じました。
そして、そういう時代、環境であっても、
役者はお客様を違う世界へ連れていく役割、
という姿勢に強くうなずいてしまいました。
そうなんですよね~
歌舞伎は本当に虚構の世界と感じます。
絶対あり得へん、おかしい、と思うことも
芝居場ではちゃんと現実として演じられ、
観ている方もそれが当然と思います。
幕が降りると、
そんなの変だわ、、って世界に戻るんですけどね。
でも、そこが歌舞伎の魅力だとも思っています。
仁左衛門さんは、劇場にいらした老夫婦を楽屋のモニターから見て、
人間にとって娯楽が必要だと強く思ったということです。
本当にそう思います。
コロナによる緊急事態宣言で、
歌舞伎やエンタメは不要不急ではないとされましたが、
不急でなくても要であるという思いを持った方は
たくさんいらしたと思います。
だからこそ、不便を乗り越えて、今でも歌舞伎の舞台を開いてくれていることに
感謝してしまいます。
お二人の対談はもっともっと続きますので、
ぜひ、銀座百点第800号をお読みになっていただきたいです。
*片岡仁左衛門さんについてはこちらにも書いています
*坂東玉三郎さんについてはこちらにも書いています
銀座百点800号の入手方法は?
では、その銀座百点はどうすれば手に入るのか?
私も調べました。
方法は2つあるそうです。
1つは、銀座百点の加盟店でいただく方法。
店内で無料配布しているとのことです。
加盟店は飲食店だけではなく洋品店、雑貨店、ライフ関係品点など様々です。
歌舞伎座もその一つとは知りませんでした。
もう1つは、銀座百点の編集部に問い合わせて購入する方法です。
送料含めて400円以内で済むので、
遠方の方はこちらを利用するといいと思います。
お金の支払いも確か切手でした。
今時珍しいアナログだなあって感じながらも、
そこが銀座の粋ってものかなっておもいました。
詳細は、こちらのサイトにもありますのでご確認ください。
とても素敵な冊子で、
お二人の対談以外にも楽しい読み物がありましたよ。
読んでくださり、ありがとう存じまする。
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