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桜姫東文章 歌舞伎座6月公演の感想 玉三郎と仁左衛門にクラクラ〜

観劇レポート
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歌舞伎座6月公演は、桜姫東文章下の巻が上演されます。

初日に観劇するので、観たらその感想を紹介します。

生きててよかった、観られて眼福、

そんな幸せ感(お芝居自体はドロドロですけど)でいっぱいです。

 

 



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桜姫東文章歌舞伎座6月公演について

桜姫東文章は、人気の歌舞伎演目です。

昨年3月、明治座の花形歌舞伎で上演されるはずでしたがコロナで中止となり、

その時とは違う座組で4月に上の巻、6月に下の巻が上演されることになりました。

歌舞伎座バージョンは、なんと永遠の美カップル、

片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの共演です。

これは、36年ぶりという奇跡のような顔合わせなんですね。

前置きが長くなりましたので、公演について補足しておきます。

6月歌舞伎座公演は、

6月3日(木)~28日(月)の期間上演されます。

(全期間幕が開くことを祈ります)

7日(月)と17日(木)は休演です。

上演時間は、14時10分から15分間の休憩をはさんで16時40分までです。

チケットは、発売日当日に売り切れとなってしまい、

当日券が出るのかな?というところです。

リセールやツイッターをチェックすると、売りに出している方も時折見かけますので、そちらを利用してもいいかもしれませんね。

配役やあらすじは以下の通りです。

吉田松若役の片岡千之助さんがコロナウイルス感染により休演となりました。

筋書にはお名前があるので、今後復活ということもあるかもしれません。

1.桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)下の巻配役とあらすじ

清玄・釣鐘権助 片岡 仁左衛門

粟津七郎    中村 錦之助

葛飾のお十   片岡 孝太郎

奴軍助     中村 福之助

吉田松若    片岡 千之助

舞台番     片岡 千次郎

判人勘六    嵐 橘三郎

長浦      中村 吉弥

残月      中村 歌六

桜姫      坂東 玉三郎

*あらすじはこちらにまとめてあります。

桜姫東文章 歌舞伎:あらすじ・登場人物・見どころについて
「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」は、 4世鶴屋南北の手による歌舞伎の人気演目です。 美しい桜姫にまつわる輪廻の糸、悪党との恋から転落人生など、 見所の多い作品です。 登場人物の関係性も複雑なので、これを把握して観劇することをお勧...

 

*4月公演の感想はこちらに書きましたので参考にどうぞ。

桜姫で仁左衛門と玉三郎の歌舞伎の耽美に酔う:感想(4月歌舞伎座公演)
超話題の4月歌舞伎公演第三部「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」の感想です。 36年ぶりという坂東玉三郎と片岡仁左衛門(当時は孝夫)の共演、 今、脂がのりきった人間国宝コンビの演技は、 当時よりも若々しく、美しく、そして芸の深みがあ...

 

歌舞伎座6月、桜姫東文章グッズが買える!

歌舞伎座の地下にある「顔見世」で、

ポスターはじめ、桜姫東文章に関するグッズが販売されていました。

歌舞伎座タワーの5階の売店「楽座」でも購入可能とのこと。

ぜひこちらもお買い求めいただけるといいんじゃないかな。

ポスター 3000円

チケットホルダー 1500円

クリアファイル  1000円

ポストカード   300円

 



桜姫東文章下の巻(歌舞伎座6月公演)の感想

では、桜姫東文章を観た感想を書いていきます。

私は、初日に観劇しました。

伝説になるであろう舞台の初日、、、うう。

歌舞伎のお芝居は、日が進むうちに変化していくこともあるので、

この日の観劇はとても貴重だと思っています。

・・・・・・・・・

イヤホンガイドさんの特別サービスということで、

開演前と幕間のそれぞれ5分間ほど、

坂東玉三郎さんと片岡仁左衛門さんのインタビュー音声を

聞くことができます。

お二人の海外公演での思い出や、

36年経って演じる桜姫、清玄/権助についての思いを

語っていらっしゃいます。

この音声と舞台上での声が同一人物とは思い難いのです、

それってお二人の役者の技量の凄さだと思います。

仁左衛門さんも玉三郎さんも見た目麗しい役者さんです。

そして、一度役に入ると、そのお役になりきってしまわれます。

この「桜姫東文章」の場合、片岡仁左衛門さんは、清玄と権助であり、

坂東玉三郎さんは桜姫となります。

お芝居の醍醐味は、作り物の世界の中で、

いかにその登場人物があたかも実在するかのように、

言葉や動き、表情などで見せるかというところにあると思います。

作り物、つまり虚の世界ですよね。

だから、実在するわけないのに、

実にリアリティ高くその人物を描き出すことで、

その人物たちが紡ぐストーリーを間近に感じ、心を揺さぶられる時、

いいお芝居を観たなあって思えるのです。

劇作家の脚本はもちろんですが、

演出家、背景や道具などの担当者や

歌を聴かせる下座音楽、そして役者、

全てのチームが結集して作り上げるからこそ

歌舞伎は総合芸術と言われると思うところです。

と、大きな話をしてしまいましたのは、

「桜姫東文章」は、その総合力が非常に高い傑作だと思ったからです。

印象に残ったシーンや感想を3つに絞って書いていきます。



 

桜姫東文章下の巻感想:姫という圧倒的な存在感を見せる玉三郎

桜姫は、前世は清玄と道ならぬ恋に落ち命を絶った稚児白菊丸です。

愛のために身を捧げる強さと情熱は、

生まれ落ちた時から備わっていたものと考えられます。

そこに「姫」という生まれが加わります。

これは気高く強く、お家のためが骨身に染み付いているということも想像できます。

見た目が美しく、世間知らずに見える姫ですが、

実は情も芯も強くて、いざとなったら大きな決断ができる女性であるということ、

品格がありそれはどんな状況になっても褪せることがないということでもあります。

そういう存在で桜姫を見ていくと、

なんでそんなことするの???って言動も腑に落ちるのです。

悪党と知りつつ、権助に惹かれ、身を滅ぼしてもついていこうとする行動も、

意中ではない清玄を断固としてはねのける強さも、

そして、最後、敵と知った相手も

情に溺れることなく姫の正義を貫いて仇をとるところも

姫だからの行為なんだと思えます。

それは玉三郎さんが演じることによって、

どんな境遇に置かれても姫であるという存在の強さが光ったと思います。

この姫の場面で特に印象に残ったところを2つあげます。

1つは、恋しい権助の口車に乗せられ女郎屋に出向くシーン。

恋しい権助の身を立てるために、その女として生きていくために、

自らその運命に身を任せようとする意思を見せるのです。

「毒を食らわば、、」って有名なセリフを言う場面

それまでの、ふわふわしたお姫さまから、

ここで意思を持つ強いお姫様の顔へと変わった気がしました。

もう1つは、女郎屋から返されてきた場面です。

枕元に幽霊が出る、という理由でお客がつかなくなり、

権助の元に戻された桜姫。

はすっぱな言葉を使うのですが、

ところどころに元々のお姫様気質が伺える言葉や所作が見られるのです。

これは上流階級の言葉と庶民の言葉がちゃんぽんに入ってくるので、

なんか違和感があるのですが、

桜姫が言うと納得できちゃうんです。

現実とは逸脱した世界を生きているお姫様らしい言葉遣いです。

「自らは・・」と言ったり、

「消えなよ、帰りなよ、ええい、聞き分けの悪い。。」って言ったり、

桜姫の状況はかなり凄惨なのですが、

そんなことも超越していると感じさせられる場面でした。

初めは、綺麗~~と喜んで見ていたお芝居でした。

その内容を知ると、ただの綺麗~だけじゃなく、

姫の本懐を身体を張って見せられた気がしています。

共感はできないけれど、魅力あるお姫様だと思いました。

 

桜姫東文章下の巻感想:異なる人物を演じ分ける仁左衛門の神技

桜姫に絡む僧清玄と悪党釣鐘権助(別名信夫の惣太)、

全く違う人格だけど、根底ではつながっている2人を

片岡仁左衛門さんが早替わりで演じ分けます。

白粉顔の清玄と茶色い顔の権助との演じ分けに神業を感じました。

まず、清玄は、元を正すとこの物語の因果を作った張本人でもあります。

上の巻では、高僧から密通を働いた罪で寺を追い出され、

下の巻では、桜姫(白菊丸か?)恋しさに病みおとろえ、殺されかけて、

それでも桜姫につきまとい、幽霊になってもつきまとい、、、と

己の欲に堕落し切る哀れな男に成り下がっていました。

下の巻では、みすぼらしく、哀れとしか言いようのないお姿で、

普段のかっこいい仁左衛門さんここまで汚すか、、、と愕然としました。

結果として、この幽霊が真実を姫に悟らせるので、

堕落し切っても、なお桜姫を思う心を残していたのだと妙に感心するところもありました。

釣鐘権助も、姫の悲劇を引き起こした当人なのです。

桜姫がメロメロになってしまうほどに、いい男。

全編通じて悪党です。

ちっともいい人ではありません。

それでも、姫が惹きつけられる魅力は溢れる、仁左衛門さんの権助です。

悪の限りをし尽くしている権助は、

そもそもの悲劇の引き金であり、桜姫の仇でもあるのです。

そして、実は実はでいうと、清玄と兄弟だった、、、という

信じられない出自まで明らかになります。

全く違う2人の人物を全く違うように演じ分けつつも、

根っこは繋がっていた、、、なるほどそうかと思わせる

仁左衛門さんの演技は神とした言いようがありません。

桜姫東文章下の巻感想:因果がめぐるストーリー

4世鶴屋南北の作であるこの物語。

2つの物語が合致してできたものということです。

突飛な展開や一風過激な描写も所々に入ります。

それでも、1つのストーリーとして見られるところに

このお芝居自体の力を感じることができます。

そのポイントになるのが「因果」というもの。

これは、原因と結果のことなんですけどね、

お芝居の登場人物の惨憺たる結果は

全て自らが起こした原因によるものだとなっているのです。

それがあまりにもドラマティック過ぎて、

因果というのを強く感じたというわけです。

身を滅ぼし果てた清玄は、過去に起こした心中未遂の因果と言えます。

桜姫によって仇を討たれる権助も、過去の悪事の因果ですし、

寺を追い出された残月や長浦も、自分たちの欲から起こした因果です。

そう見ると桜姫はどうなのか?ってなりますね。

桜姫の場合は、前世の業を背負って生まれてしまったのですが、

その原因を断ち切ることによって、真の姫になったとも読み取れます。

今ある自分には、過去の原因が関係しているという因果を

繰り返し見せられたように思いました。

そういうのを分析するのも面白い見方だなあと自分的には思ったところです。



全体的には、暗い物語展開で、

辛いなあと思う場面もありました。

しかし、一貫したストーリーと桜姫の存在が、

このお芝居の世界を成り立たせているように感じました。

そうそう、

下の巻ということで、上の巻の説明が、はじめにありました。

これらの複雑なストーリーを把握する助けにもなったと思います。

そして、最後の最後、チョンで

虚から実の世界へ一気に引き戻されました。

そのギャップがあまりにも大きかったため、余計余韻が残りました。

こういう終わりかたもあるんだなあと思いつつ、

変に想いを残さずキリをつけられたという感もしています。

一言では語れないけど、一言で言うと「すごい」お芝居でした。

益々、歌舞伎の力に惹きつけられました。

これからご覧になる方は、

人それぞれ感動のポイントが違うと思います。

ぜひ、ご自身なりに楽しんて観ていただきたいなあと思います。

ちなみに、チケットは完売だそうです。

観られてよかった~~

読んでくださり、ありがとう存じまする。

 

 





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