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一条大蔵譚【歌舞伎演目】のあらすじ、モデルは誰?志村けんのバカ殿との関係は?

歌舞伎演目
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歌舞伎の一条大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)の主人公、大蔵卿は、志村けんさんのバカ殿さま、そのモデルと言われています。

私は、故18代目中村勘三郎と2代目中村吉右衛門の大蔵卿を見ていますが、

阿呆と聡明さの演じ分けの見事さに、心を奪われたお芝居です。

最近は、あまり上演の機会はありませんが、初心者にもわかりやすいので

オススメの演目です。

では、歌舞伎「一条大蔵譚」について、あらすじや志村けんさんとの関わりを紹介します。




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歌舞伎「一条大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり」)とはどういう演目

この演目は、「鬼一方眼三略巻(きいちほうがんさんりゃくのまき)」という、

通し狂言の4段目にあたるお芝居です。

見どころは、本心を見せないよう阿呆のふりをして平家を欺く

大蔵卿と常盤御前の演じ分けにあります。

「鬼一方眼三略巻(きいちほうがんさんりゃくのまき)という通し狂言のうち、

3段目が「菊畑」です。

近年は通しではなく、この3、4段目が人気で単独で上演されることが多いものです。

全体のストーリーは、

源平の時代の物語で、

初段と2段目は、鬼若丸(のちの武蔵坊弁慶)の出生から幼年期を描き、

3段目では、鬼一方眼が持つ兵法の奥義書である「「六韜三略」(りくとうさんりゃく)のうちの

虎の巻をめぐる鬼一法眼と牛若丸・鬼三太とのやりとりと、

それを奪われた鬼一が自害する場を描いています。

4段目が、この一条大蔵卿と常盤御前の本心を描く「一条大蔵譚」で、

5段目が、弁慶と牛若丸との出会いを描きます。

平家打倒に向けた源氏の影のエピソードともいえるストーリーですね。



歌舞伎「一条大蔵譚」のあらすじと登場人物

それでは、簡単なあらすじと登場人物を紹介しますね。

歌舞伎「一条大蔵譚」のあらすじ

牛若丸の母である常盤御前は、夫の義朝が討たれたのちは、

子どもたちの命を守るために、平清盛の愛妾となっていた。

しかし、それも今は、公家の一条大蔵卿に下げ渡されています。

この大蔵卿は、世間では阿呆という評判、

連日連夜、能だ狂言だと大騒ぎをしているのです。

そんなある日、大蔵卿の屋敷を訪れたのが、吉岡鬼次郎とお京の夫婦。

2人は、源氏に忠義を尽くしており、常盤御前に源氏再興の意思があるのかを

密かに確かめに来たのです。

家老の勘解由の妻、鳴瀬のとりなしにより、

お京は女狂言師として召し抱えられることになりました。

2人の目からは、大蔵卿は噂通りの阿呆者として映りました。

夜更け、常盤御前の部屋に忍び込む、鬼次郎とお京。

そこで見たのは、楊弓遊びに興じる常盤御前の姿です。

怒りを覚えた鬼次郎が常盤御前から弓を取り上げ打ち据えると、

なんと「あっぱれ」と褒め称えられます。

常盤御前の矢が命中した的の下から清盛の絵姿が現れ、

2人は本心を知るのでした。

しかし、それを覗き見た勘解由は、

そのことを平家へ注進すると言い出します。

鬼次郎と争う勘解由を、薙刀で一刀のもと斬り捨てたのは、

阿呆と覚えし大蔵卿でした。

源氏の血筋として、その再興を願う本心を隠すため、

大蔵卿は作り阿呆で、平家の目を欺いて来たのでした。

鬼次郎、お京に源氏の重宝を与えると、

また、阿呆に戻って二人が去るのを見送るのでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

敵を欺くには、まず味方から。

結構な阿呆っぷりなので、まさかこんな計略を巡らせているとは

誰しも気づかないという、作り阿呆とはガラリと変わって聡明な本性、

この2つを小気味いいくらいに演じ分けられる役者の芸に

惚れ惚れするお芝居です。

私的には、ベストは18代目中村勘三郎と2代目中村吉右衛門です。

阿呆っぷりが上手い役者が最高に芝居を面白く見せてくれます。

歌舞伎「一条大蔵譚」の主な登場人物

一条大蔵長成(いちじょうおおくらながなり)

公家で、毎日遊んでばかりの都一番の大阿呆と言われている。実はそれは仮の姿で、源氏の再興を見届けるために、平家全盛の世の中を阿呆のふりをして泳ぎ渡ろうという魂胆。

常盤御前(ときわごぜん)

義朝の愛妾で牛若丸の実母。義朝の反乱が平清盛にとって鎮圧された後、捉えられ子どもの命を救うために清盛の側室となる。その後いちじょう大蔵卿に下げ渡された。

吉岡鬼次郎幸胤(よしおかきじろうさちたね)

鬼一方眼の弟、山賊となったものの源氏への忠義は厚い。常盤御前の本心を探ろうとする。

お京(おきょう)

鬼次郎の妻で、弁慶の姉。夫とともに常盤御前に近づくため、女狂言師として、いちじょう大蔵卿に近づく。

八剣勘解由(やつるぎかげゆ)

大蔵卿の家臣であるが、平家方の重臣播磨大掾広盛(はりまのだいじょうひろもり)と内通し、大蔵卿の本心を知らせようとする。

 



歌舞伎一条大蔵卿にはモデルがいた?

一条大蔵卿には、歴史上に実在のモデルがいたそうです。

それが、平安時代後期の貴族、一条長成(いちじょうながなり)というお方です。

藤原北家中関白家、参議でもある藤原忠能の次男で、

官位もあって、正四位下・大蔵卿というもの。

お屋敷が、一条大路沿いにあったことから、

一条大蔵卿と言われていたそうです。

実際、常盤御前を妻としていたようで、

義経が欧州の藤原家を頼って逃げるのを

手助けした人物とも言われているらしいです。

義経も養子となっていたみたいです。

常盤御前との間には、一男一女をもうけています。

息子が一条能成といい、後に義経の側近として、

晩年は従三位のくらいにまで上り詰めたそうです。

実際の人物だったというのにはびっくりしました。

阿呆のふりをしていたかどうかはわかりませんが、

知略に長けた人のようにも思えました。



 

 

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バカ殿様収録1日目#ももいろクローバーZ

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一条大蔵卿が志村けんのバカ殿のモデルだった!?

一条大蔵卿は、故志村けんさんが演じるバカ殿さまのモデルだという噂があります。

バカ殿さまの派手な衣装と白塗りの顔は、確かに大蔵卿と言えなくもありませんね。

6月20日の婦人画報には、歌舞伎役者市川染五郎が、

市川染五郎の芝居絵日記で僕が尊敬してやまない人として、

志村けんさんを紹介しています。

その絵が、まさにバカ殿さま。

志村さんは、歌舞伎をよくご覧になっていて造形が深かったと言われています。

故中村勘三郎、松本幸四郎、市川猿之助など、

多くの歌舞伎役者との親交もありました。

志村さんのコントには、歌舞伎を彷彿とさせる場面が

多く登場します。

バカ殿さまはその最たるものではないかと思います。

実際に、モデルとしていたのかは

ご本人がおっしゃった声が残っていないのでわかりません。

それでも参考になさったのではないかと伺えますね。

この件を調べていくと、

喜劇人、伊東四朗さんのインタビュー記事を発見しました。

そこには、歌舞伎のパロディは否定してはいませんが、

サイレントからトーキーに変わる時の映画界に

元祖バカ殿さまと言える俳優さんがいらっしゃったそうです。

高勢実乗(たかせみのる)さんという方で、

髷を高く結わえて、口ひげをつけていらしたそうですよ。

それも似ていそうですね。

何が事実かはわからないのですが、

私は、バカ殿さまを見るたびに、

勘三郎や吉右衛門が演じた一条大蔵卿を思い出していました。

 

一条大蔵譚は、若手の中では松本幸四郎も演じています。

今後、どんな方が演じるのでしょうかね。

勘九郎ももうちょっと貫禄がついたらできそうに思えます。

笑って、グッときて、最後はじい~んと胸に響く、

そんな素敵なお芝居です。

また舞台で観たいです。

読んでくださり、ありがとう存じまする。



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