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牡丹燈籠(歌舞伎)のあらすじ、結末、作者、落語との違いは?

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夏になると、怪談もののお芝居が見たくなりますよね。

歌舞伎の怪談ものでも有名なのが

「牡丹灯籠(ぼたんどうろう)」です。

幽霊が恋しい人を訪ねる、、あのお話。

ほとんどの人は、その幽霊登場場面しか

ご存知ないかもしれませんが、

その先の、人間の業を描いたストーリーが

また面白いのですよ。

怪談牡丹灯籠(歌舞伎)について、

あらすじから、作者、落語との違いまでを

お伝えします。

https://twitter.com/mog8603/status/1170221902394036224



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歌舞伎:怪談牡丹灯籠(かいだんぼたんどうろう)とは

歌舞伎の場合、「幽霊よりも怖い、人間の業」

という副題がついています。

これは明治時代の落語家三遊亭圓朝がヒットさせた怪談噺です。

それを、3世河竹新七が歌舞伎に書き直して上演し、

大当たりとなった演目だそうです。

そのせいか、

語り口調は現代語に近く、

内容を理解しやすいです。

牡丹灯籠というと、

浪人新三郎に恋した挙句死んでしまったお露が、

幽霊になって、新三郎をとり殺す、という筋が有名ですね。

これは、このお話の序盤の部分で、

この後に続く残った人々のストーリーが

因果応報的な結末へとなだれ込む

業を背負った人間たちのドラマとして

楽しむこともできます。

私が初めてこのお芝居を見たのが

実はシネマ歌舞伎でした。

シネマでしたけど、

臨場感ある演技にハラハラしながら

ストーリーを追いました。

シネマでも、リアルでも、

ぜひご覧いただきたい名作です。



歌舞伎牡丹灯籠の主な登場人物

伴蔵:新三郎の下男、お峰の夫

お国:平左衛門の妾、源次郎と密通する

飯島平左衛門:旗本、お露の父

宮野辺源次郎:平左衛門の隣家の次男、阿国と密通して平左衛門を殺す

萩原新三郎:浪人、医師山本志丈の付き人

お露:旗本飯島平左衛門の娘、新三郎に恋がれ死する

お米:お露の侍女

馬子久蔵:馬子、お峰に使いを頼まれる

女中お竹:平左衛門の家の女中

酌婦お梅:お竹の妹

伴蔵女房お峰:伴象の女房



牡丹灯籠(歌舞伎)のネタバレあらすじ

【第一幕】

旗本の飯島平左衛門は妻を亡くし、

下女のお国を後妻にしていました。

しかし、平左衛門の娘・お露はお国と折り合いが悪いため、

乳母のお米と共に柳島の寮に住んでいいました。

お露は飯島家に出入りしていた医師・山本志丈の付き人・萩原新三郎に

一目惚れをしてしまいます。

一途に慕うあまり、恋の病にかかり床に臥せってしまうのです。

気晴らしにと、お露とお米と志丈は大川に出てで舟遊びを楽しみます。

そこへ、お国と宮野辺源次郎を乗せた舟もやってきます。

しかし、その後、お露は病が悪化し、死んでしまいます。

乳母のお米もお露の後をおって自害してしまいます。

その知らせを聞いた新三郎が盆に回向の準備をしていると、

牡丹燈籠を下げたお露とお米があらわれます。

新三郎はお露との再会を喜び、

お米に勧められるまま、枕を交わしてしまいます。

そこに、飯島家に出入りしている医師の山本志丈と、

新三郎の世話をして生計を立てている伴蔵が

新三郎の様子を見にきます。

伴蔵は骸骨に抱かれる新三郎の姿を目撃して腰を抜かします。

お露とお米は、幽霊となり、新三郎に会いに来たのでした。

一方、お国は夫である平左衛門を殺して

源次郎を養子に迎えようと画策していました。

しかし、二人の不義密偵を平左衛門に気づかれてしまいます。

源左衛門は、平左衛門を討ち果たし、

さらに、女中のお竹までも口封じのために手にかけてしまいます。



その頃、牡丹燈籠を手に自分のもとへ現れるお露とお米が

幽霊だと知った新三郎は部屋の中にお札を張り巡らせ、

二人が近寄れないようにしていました。

困ったお露は伴蔵のもとを訪れ

「お札をはがしたうえで海音如来の尊像を隠してほしい」と懇願します。

最初は断っていた伴蔵でしたが、

百両の報酬金に目がくら見ます。

欲に目が眩んだ女房のお峰のすすめもあり、

翌日、伴蔵は、新三郎の家から

海音如来の尊像を持ち出し百両の金を受け取ると、

部屋の札をすべて剥がしとってしまいました。

その夜、嬉しそうに新三郎の家の中に入っていくお露は、

久しぶりに対面を果たした新三郎をとり殺してしまいます。



【第二幕】

一年後。伴蔵とお峰夫婦は伴蔵の郷里の栗橋に移り、

お露から得た報酬金の百両を元手に、関口屋という荒物屋を営んでいました。

一方、源次郎は栗橋土手で物乞いををして生計を立て、

お国は笹屋という料理屋で酌婦奉公をし、

開いた時間で源次郎のもとを訪れる日々を送っていました。

関口屋で店番をしているお峰は馬子の久蔵をもてなしながら、

伴蔵が入れあげている笹屋の酌婦について探っています。

その夜、酌婦のお国とお梅に送られて上機嫌で帰宅した伴蔵は

全てを知っているお峰に驚きながらも、

もう酌婦のお国とは会わないと約束をします。

幸手堤に通りかかったお国と土手に潜む源次郎は

笹屋の酌婦お梅が平左衛門とともに手かけた女中のお竹の妹だと知って驚きます。

そして、何者かに誘われるように虫の群れを追い、

転んだ源次郎は自らの刀でお国を殺してしまうのです。

伴蔵はお峰に尽くし、引っ越しをしてやり直そうと言います。

喜ぶお峰と、海音如来を埋めた幸手堤までやってきます。

急に黒雲が湧き上がり、雷鳴が轟きます。

激しい雨が降る中、お峰に刀を向ける伴蔵。

何者かに憑かれたように刀を振り回す伴蔵。

ふと我に帰り、己がしたことを悔い泣き叫ぶのでした。



牡丹灯籠の結末は?最後はどうなる?

牡丹灯籠の結末、

歌舞伎版で言うとあらすじの通りに、

伴蔵がお峰を手にかけるシーンで終わります。

お峰はなんだかんだ言っても

伴蔵のことを愛していたんですよね。

だから、一緒に逃げることができて

幸せだったのに。

新三郎から盗み出した海音如来の尊像を埋めた堤で

伴蔵が気が触れたように殺意を見せたのは、

何かの祟りだったのでしょうか。

欲にくらんだ人間の業が織りなすドラマは、

おかしくもあり愚かでもあり、

そして悲しい結末に涙もありました。



牡丹灯籠の作者は誰?

牡丹灯籠は、明治時代の落語家三遊亭圓朝が作った噺を

明治時代に、河竹新七が歌舞伎化した作品です。

現在見られる筋立ては、

平成元年の大西信行氏の脚本だそうです。

さらに元を辿ると、

明治以前、江戸時代(1666年)に

仮名草子作家の浅井了意が書いた

怪奇物語集「御伽婢子(おとぎぼうこ」の中の

一作であるということです。

これは、中国明の時代の怪奇小説集「剪灯新話(せんとうしんわ)」に

収録された一作で、

このお話は、若い女の幽霊が男性と逢瀬を重ねたものの、

幽霊封じをされたため、その男性を恨んで殺す、

という恐ろしい話です。

この物語にヒントを得た圓朝が、

仇討ちや殺人、離れ離れになっていた母子の再会などを

織り交ぜて

複雑に絡み合う骨太なドラマに仕立てたのだそうです。

元が落語だけに、クスッと笑える場面もあります。

私も、不謹慎かな?って思いつつも

お腹を抱えて笑った場面がありました。

現代版の手が入ったとはいえ、

江戸、さらには民の時代にまで遡るということは

人間の業は時が経とうと変わらない深さがあるのだ

とも考えられますよね〜。



歌舞伎:怪談牡丹灯籠、落語との違いは?

それでは、最後に、

歌舞伎と落語の「牡丹灯籠」の大きな違いを

説明しますね。

歌舞伎では、省かれている前段とその後段があります。

それに伴い、歌舞伎には出てこない主要な登場人物がいます。

それが黒川孝助です。

孝助は、それと知らずに父を殺した平左衛門に

奉公することになります。

そして、源右衛門、お国に、主人を殺された仇を

取ろうとするのです。

しかし、後半判明する、孝助の母おりえと再会し、

お国は母の再婚相手の連れ子であったことから

母が逃がそうとすることを知ります。

そのことを告げておりえが自害した後、

孝助が本懐を遂げるところまでを

ストーリーとして描いています。

この黒川孝助にまつわるストーリーは

歌舞伎の中では描かれてはいませんでした。

また、新三郎が付人をしていた医師の山本志丈や、

お峰を手にかけた後の伴蔵のストーリーも

歌舞伎では描かれてはいません。

第1部では、お露と新三郎、

第2部では伴蔵とお峰、のストーリーが

中心となっており

そこに、お国と源右衛門が絡んでいくという構成になっています。

2019年にNHKがドラマ化した作品は、

ほぼこの落語の流れに忠実に作られていたと思います。

落語作品の歌舞伎化は珍しいものではありません。

どちらも、そのエンタメの持つ良さを活かした

作品になっていると思います。

ぜひ、歌舞伎の「怪談牡丹灯籠」も機会があれば

見ていただけるといいなあって思います。

読んでくださり、ありがとう存じまする。

*京都南座で上演された「怪談牡丹燈籠」の感想はこちらからお読みいただけます。

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