寿曽我対面のあらすじを簡単に!見どころはこれ!人気の理由も教えます

寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)は、とっても人気のある歌舞伎演目です。

なんで人気か?というと、歌舞伎のいいところがたくさん込められた演目だからだと私は思っています。

あらすじや見所、人気の秘密を教えちゃいます。

毎年どこかで上演されているほどの人気演目なので、

ぜひぜひ参考にしてくださいね。



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寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)とはどんな歌舞伎演目?

寿曽我対面、これは「ことぶきそがのたいめん」と呼びます。

漢字のタイトル、難しそうって思いますね。

でも、ストーリーは至って簡単なんです。

仇討ちを志す若い兄弟が、その相手と対面し、

仇討ちの機会を与えられて、その場を去る

単純にこれだけなんですよ。

それでも、10代の若い兄弟が当時の権力者を討った史実は

後々の人たちに愛され、上演回数も相当多かったです

その後、河竹黙阿弥がそれらを整理してまとめた、

と言われるシナリオが現在上演されているものだそうです。

仇討ちに関するストーリーは、

他にも「鶴岡石段の場」や「鬼王貧家の場」などがあったようですが、

最近は上演されることがないようです。

歌舞伎十八番でおなじみの「助六」「外郎売」も

曽我狂言として知られています。

あとでもう少し詳しく書きますが、

歌舞伎の様式といわれる、登場人物のパターンや演じ方などを

一幕で見られるため、セレモニー的な演目とも言われています。

時間的にも短くて、上演時間は大体1時間ほどです。

現在でもとても多く上演されていて

私は、初めてこの演目を見たときに、

正直よくわかりませんでした。

色々な人がズラ~と並んで、

代わりばんこにたいそうなセリフを喋る劇なのか・・・

とか、

一人だけ滑稽な人がいるな~

とか・・・

そんな感想だったんですけど、

最近は、どんな役者さんが揃うのかを楽しみに

観るようになりました。

ストーリーを知るというよりも

登場人物を見て目で楽しむところから始めたらいいのかなって思っています。



寿曽我対面のあらすじを簡単に説明します

寿曽我対面の、ストーリーはあまりない、と書きましたが、

一応はあるので、簡単に説明しますね。

このお芝居のあらすじは、ざっくり言うと3つのパートを理解すれば大丈夫です。

パート1:工藤さんが重職に就いたお祝いにゆかりの有名人たちが集まった

パート2:工藤さんに恨みを持つ兄弟が仇をうとうと現れた

パート3:重職を全うしたら討たれようと約束をして別れる

へ?それがストーリー?

て驚かれそうですね。

ではこれらをもうちょっとだけ詳しく書きますね。

パート1:工藤さんが重職に就いたお祝いにゆかりの有名人たちが集まった

源頼朝が権勢を誇る時代、

頼朝からの信任が厚い、工藤祐成は大名の中でも筆頭となる重役

一臘職(いちろうしょく)を承り、

富士山の裾野で行われる巻狩の総責任者としての仕事も仰せつかります。

これは、とてもおめでたいことと

お祝いの宴に他の大名や大磯の廓の人気遊女などが集まり

口々にお祝いの言葉を述べていきます。

パート2:工藤さんに恨みを持つ兄弟が仇をうとうと現れた

皆が祝う中に、小林朝比奈が工藤祐経に

紹介したい人がいると目通りを願い出ます。

了解を得て現れたのは若い兄弟でした。

彼らの名は曽我十郎祐成(兄)と曽我五郎時致(弟)、

彼らの父は工藤に殺されており、

その仇討ちを志しやっとこの場で対面がかなったのです。

それに感づいたのかそうでないのか、工藤は、誰かに似ていると二人に言います。

兄弟は、曽我というのは母の後添えの名であること、

本名は河津といい、以前工藤によって命を絶たれ、

その仇を打とうとやってきたのだと述べます。

血気に逸る弟の五郎とそれを諌める兄の十郎。

周囲は、そんな彼らを興味深げに眺めています。

何と言っても相手は、大大名の工藤祐経、

迫力が全く違います。

パート3:重職を全うしたら討たれようと約束をして別れる

工藤は、彼らに今は仇討ちは無理だと言います。

なぜなら、紛失した宝剣「友切丸」の詮議がまだあるから、、、

そういうところに、

曽我の忠臣鬼王新左衛門が友切丸が手に入ったと持参します。

それを確かめた工藤は、

まだ巻狩の総奉行という大任が控えていることから、

「時節を待て」と二人に告げます。

そして、狩場の手形を与えるのです。

そこには、役目を終えたら、改めて二人に会おうという意味が込められていました。

兄弟は、それを手に、狩場での再会を約束してその場を去るのでした。

あらすじ、大体わかっていただけましたか?

では、この演目の見どころを、パートごとに紹介しますね



寿曽我対面の見所はこれ!見逃さないよう要注意

寿曽我対面の一番の見所は、

歌舞伎という芸能が持つ様式を一つの舞台に盛り込んだところにあると思います。

特に、各登場人物が歌舞伎の特徴ある役をそれぞれ備えていて、

ここに出てくる人たちを見るだけで、

歌舞伎の役の多くを見ることができるというものです。

その役の特徴は、配役・登場人物の項で確認してくださいね。

パート1の見どころは一同勢ぞろいの錦絵

ここでは、工藤祐経が大役を仰せつかったことへの

祝いの言葉が、登場人物たちから述べられます。

このように、登場人物の台詞を借りて、

お芝居の背景や状況を説明するのは、歌舞伎にはよくある方法です。

そしてこれらの人物たちが、様々な役を表すもので、

役者の任にあった役が割り振られることが多いです。

つまりは、ここれどの役を演じているかを見ることで、

その役者の適性がわかるというものなのです。

工藤は、敵役ですが座頭が演じることが多く善人の立役という位置付けになります。

小林朝比奈は、道化役。隈取りや衣装にその特徴が見られます。

他にも男性は八幡は立役、梶原景時が叔父敵、鬼王新左衛門が実事という典型になります。

美しい遊女が二人、これも大磯の虎が立女形、化粧坂の少将を若女形が勤めています。

これら役の典型が、一つの舞台にずらりと並ぶしがたは壮観で、

台詞回しや化粧や衣装などから、

歌舞伎の役の種類を見ることもできる贅沢な一場です。

私は女形が好きなのですが、

同じ遊女でも役の格が違うのでそれらを見比べて喜んでいます。

パート2の見どころは性格の違う二人の兄弟

ここでは、曽我兄弟が登場します。

先ほどの役の典型でいうと、

兄の十郎は和事といい、上方のはんなりとした色男風に描かれます。

それに対して、弟の五郎が荒事という江戸歌舞伎の象徴のような役で、

血の気の多さが隈に現れています。

一般的に、工藤が座頭とすると、この五郎が主役と見られます。

性格が正反対の兄弟の描かれ方や、

今にも敵を討とうとする五朗の勢いは

この芝居の一番の見どころとも言えると思います。

与えられた盃を手に取るが、それを投げ捨てての見得が決まると

観ている方もスカッとする気持ち良さがあります。

バランスよく整った静止画の中に

一点、活力のある五郎の所作や台詞回しは

錦絵をバーンと打ち破るかのようなインパクトもあります。

様式通りのセリフや型が決まるとやったーと手を叩きたくなります。

誠に歌舞伎らしい場面が見られるので、

ここはぜひお見逃しなく!!

パート3の見どころは敵役工藤のスケールの大きさ

工藤祐経は、曽我兄弟にとっては仇ですが、

この物語では、権力のある大名であり、

大きな役職を任された、才能豊かな男でもあります。

その工藤が、兄弟たちに

最後に手形を投げる場面があります。

これは何かというと、

狩り場への通行証、

つまり、自分のいる場所を仇に知らせ、

来ることを許しているということ。

裏を返すと、仕事が終われば仇を討っていいよと

言っているようなものです。

実際に、工藤は曽我兄弟によって討たれるのですが、

こんなやりとりがあったかどうかはわかりません。

それでも、こういう芝居に残っているということは、

それだけ懐の大きな大名、武士であったと推測します。

だからこそ、この舞台での工藤は

誰よりも風格があり大きな存在として君臨できる役者が演じるわけです。

その存在感も見所ではないかと思います。

あと付け加えますと、

幕切れの見得ですが、

舞台全体を絵に見立ててもいるのです。

高座に立つ工藤が鶴、五郎、十郎、朝比奈の三人が富士山、平伏する鬼王が亀、

とそれぞれを表し、鶴亀と富士山でめでたさを表現していると言われています。

お正月の演目に多いのもそのせいなのかな~



寿曽我対面の配役(登場人物)はこんなにいるよ

それでは寿曽我対面の登場人物を紹介します

工藤左衛門祐経【くどうさえもんすけつね】(立役)

大名の中でも筆頭と言われる一臈職につく。曽我兄弟の父を射ったため、兄弟からは仇と狙われている。

曽我十郎祐成【そがのじゅうろうすけなり】(和事)

曾我兄弟の兄、冷静で思慮深い性格。駆動を前にしても堂々と自己紹介し、挨拶として盃を受け取る

曽我五郎時致【そがのごろうときむね】(荒事)

曾我兄弟の弟、血気盛んで仇を討たんとする気持ちを抑えられない。その勢いで盃を投げ三方を踏み潰す

小林朝比奈【こばやしのあさひな】(道化)

関東の豪族の一人で、曽我兄弟得道を仲介する。どちらかの見方をするわけでもなく中立の立場。

小林舞鶴【こばやしのまいづる】(女武道)

朝比奈の妹で、女性ではあるが並ならぬ強さも備えた武闘系女子

大磯の虎【おおいそのとら】(立女形)

大磯の廓の遊女。実は十郎とは恋仲にあり、工藤へ対面を願い出ることもある

化粧坂少将【けわいざかのしょうしょう】(若女形)

大磯の廓の遊女。実は五郎と恋仲でもある

近江小藤太成家【おうみのことうたなりいえ】(敵役)

工藤の側近ではあるが、お家の乗っ取りを密かに企んでいる

八幡三郎行氏【やわたのさぶろうゆきうじ】(立役)

工藤の側近、忠実な家来

梶原平三景時【かじわらへいぞうかげとき】(叔父仇)

源頼朝の信任を得ている大名の一人。工藤に取り入るため宴席に参加する。悪人として描かれることも多い

梶原平次景高【かじわらへいじかげたか】(端敵)

景時の三男、悪賢い。

鬼王新左衛門【おにおうしんざえもん】(実事)

曾我家の家来、忠誠心に富み、兄弟が探している宝剣友切丸を探し出すため奔走する

河津三郎祐泰【かわづのさぶろうすけやす】

芝居には登場しない、曽我兄弟の実の父親、工藤に暗殺される

さあ、どのお役が好みでしょうか?

ぜひ、舞台で確認してみてくださいね。



寿曽我対面の人気の秘密は?

最後になりましたが、寿曽我対面の人気について補足します。

とても短いお芝居なのですが、毎年のようにどこかの劇場で上演されている

歌舞伎の人気演目です。

先にも書きましたけど、曽我兄弟は、

自分たちよりも格上の筆頭大名を父の仇とつけ狙い、

18年余りかかって、命を引き換えに討ち取ったということです。

その戦いで、兄は討ち死にをし、弟は捕らえられて斬首になったということです。

弱いものが、義を重んじてその念願を果たし、

権力を持つものに一矢報いるというストーリーが

江戸時代の大衆にはたまらなく魅力的だったのでしょうね。

そういう意味からも、

この一幕に歌舞伎の良さをぎっしりと詰め込んでいることが

人気となった理由ではないでしょうか。

私も、このお芝居の背景や役柄の意味がわかってから、

見るのが俄然楽しくなりました。

これから始めて、寿曽我対面をご覧になる方が、

このブログを読んで、お芝居を楽しんでいただけたら嬉しいです。

もちろん、対面好きの人にも喜んでいただけたら最高です!!

読んでくださり、ありがとう存じまする。