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文七元結、歌舞伎座10月公演、寺島しのぶ・中村獅童共演舞台の感想

観劇レポート
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歌舞伎座の10月公演は、寺島しのぶさんの出演が

大きな話題になりました。

私はこの「文七元結」というお芝居が大好きで、

特に尾上菊五郎さんの長兵衛がめっちゃ好きなんです。

そのお芝居をお嬢様のしのぶさんが演じられることに嬉しさも感じます。




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文七元結、山田洋次監督が脚本と演出を担当!

文七元結は、落語を原作とした人情噺、

歌舞伎演目では、世話物の部類に入り、

尾上菊五郎さん、18世中村勘三郎さんが得意とした演目です。

その演目を山田洋次監督が脚本演出を手がけ

10月の歌舞伎座公演で上演されることになりました。

山田洋次監督のインタビューを

Webメディアで読みました。

そこには、18世中村勘三郎さんと映画化をしたいね、

と話したまま叶えられなかった悲しさが感じられました。

その演目を10月に歌舞伎座で

寺島しのぶさん、中村獅童さんコンビで上演されることは

大きな喜びと語っていらっしゃいましたよ。

2人が同世代で、若い時からの仲良しということも

山田監督にとってはぴったりの配役だったみたいですね。

私は観劇してきましたが、

今まで持っていた「文七元結」のイメージとは

違うお芝居になっていました。

原作は同じでも

演出や役者が違うとこうも変わるんだなあと

新鮮な気持ちで見ることができました。

歌舞伎と思わず見た方が

すんなり受け入れられると思います。

極上に人間愛に溢れたヒューマンドラマ

みたいなイメージでした。

では、感想へと続きますね。

https://x.com/shochiku_stage/status/1709123898217029955?s=20



文七元結:歌舞伎座10月公演の感想

私は、10月3日に観劇してきました。

先述のように、歌舞伎というイメージよりも

人情芝居のイメージの方が強いです。

それでも、歌舞伎の良さは随所にある

心温まる素敵なお芝居でした。

 

文七元結:寺島しのぶと中村獅童コンビの息がぴったり!

長兵衛は中村獅童さん。

長兵衛というお役は、腕のいい左官屋なんだけど、

お酒と博打で身を持ち崩して、借金まみれになっちゃったアホな男。

だけど、娘は大事にしているんだよね。

獅童さんは、職人気質はちょっと薄い、

どっちかというとコメディータッチ。

女房のおカネは寺島しのぶさん。

私のイメージだと、もうちょっとカドカドしていて、

貧乏長屋の女房なんです。

あんなに綺麗じゃないし、

もっと口は悪くて

旦那と取っ組み合いもしかねない

たくましいおばちゃん。

私が抱いていたイメージと

このお芝居の長兵衛とおカネは

だいぶズレています。

でも、そもそも脚本も演出も違うから、

描き方がズレるのもありだよなって

素直に見ることができました。

違っていたからこそそう思えたんですね。

そして、

このお芝居の二人は、情が温かくて細やかです。

何よりも、娘お久のことをいちばんに考えています。

それはお久がめちゃくちゃ健気で寂しげだったから

余計に親子の情愛が強く伝わってきたようにも感じます。

お久が連れ子というのも、

初めて知った気がする、

だからこそ母に孝行をしたいという気持ちも

あれほどに強いのか、、と納得感もある。

そのお久を真ん中に置くことで、

長兵衛とおカネ夫婦は素敵な三角形を作っていたんだなあとも思う。

獅童さんとしのぶさんは、

仲良しということもあって

お互いの空気感がピッタリでした。

初め、花道から出てきたしのぶさんの声を聞いて、

獅童さんは涙が出そうだったんだって。

しのぶさんにとっても、獅童さんにとっても

この「文七元結」というお芝居は特別なものらしい。

役者さんが、どれだけその芝居に没入しているのか、

それは観客にも伝わってくる。

私は、二人の掛け合いを見ながら、

何度か涙がこぼれました。

「文七元結」は好きだけど、

こんなに泣いたことはなかったな・・・。

そのくらい、

二人が作る情愛が温かくて優しくて。

本当に素晴らしい場面に立ち会えたってことだと思うのです。



文七元結:歌舞伎役者の良さを生かしたキャラクターに惚れ惚れ

山田洋次監督脚本・演出の「文七元結」は、

他の歌舞伎役者さんの良さも

すごく上手く引き出して

芝居をまとめ上げているという印象を受けました。

筆頭は、片岡孝太郎さん。

角海老の女将でやり手のお駒を

強くてテンポの良い口調と、

時折見せる熱い熱とで

リアリティある存在に演じていました。

先述のお久は中村玉太郎さん。

この役は、彼の代表作になるんじゃないかというくらい、

めっちゃハマっていました。

線の細さといい、影の薄さといい、

健気さを目や手を使って表し、

本当に抱きしめたくなる女の子のように

描いていました。

お駒とお久がめっちゃ対象的なので、

それぞれの役の持ち味も生きていたなあと思います。

文七を演じたのは、坂東新吾さん。

普段はお淑やかな女性を演じる女方の役者さんです。

この文七もよかったな〜〜

お店のお金をなくして

川から身投げようとしていたのを

通りすがりの長兵衛が助けるんだけど、

哀れなだけじゃなくて

逆ギレチックな様子も見せることで、

暗くなりがちなシーンをふわっと笑いで

包んでくれました。

獅童さんがコミカルだから余計にかもしれないけど、

長兵衛と文七のやり取りは、

お久のおかげで手にした大事な大事なお金を

あげてしまうに至る流れを

自然に作ったのではないかしら。

なかなかに、いい男さんだったしね、

最後にわかる、実はちょっとおっちょこちょい、

ていうところも滲み出ていて好感が持てました。

大家さんの片岡亀蔵さん、大店の主人に坂東彌十郎さん、

この2人も長屋での長兵衛との絡みが

面白かったですね。

そういえば、お二人とも、

17世中村勘三郎さんとご一緒していたんじゃないかな〜。

あの、空気感、山田監督の作る場に

これ以上なくハマっていたのも

そのご経験からかもしれないなって思いました。

どの役者さんもお役にピッタリで、

しかもその役の性質を

とても情感高く描かれていると感じました。



文七元結:舞台設営が独特でちょっとファンタジー感

文七元結の幕が開いた時、

実はすごくびっくりしたんです。

今までの歌舞伎は、

貧乏長屋がスタートだったから、

吉原の赤い店先のセットに

圧倒される思いがしたのです。

ネタバレになっちゃうけど、

お久が角海老に自分の身を売りにくるところから

お芝居はスタートするのです。

でも、あまりにもお久が見窄らしいから、

初めはゴミのような扱い、

これも歌舞伎とはちょっと違いました。

あ、ずれた。

舞台設営について書こうとしていました。

歌舞伎の舞台背景は、

丁寧にリアルにお部屋を作り込んで見せるのですが、

今回のお芝居では、

印象が伝わるように誇張したセットで

リアリティ感は薄かったです。

でも、照明の色や強さ、

そして、雰囲気でどの場というのがわかる、

そんなセットでした。

お芝居は、世話物だから

江戸の市民の生活に沿った内容なんだけど、

セットを抽象的にすることで、

虚の世界観を見せてくれたのかしらって思ったところです。

本当のところはよくわかりませんけどね。

ちょっと調べてみようと思います。

文七元結物語:歌舞伎座10月公演の配役

左官長兵衛   中村 獅童

長兵衛女房お兼 寺島 しのぶ

近江屋手代文七 坂東 新悟

長兵衛娘お久  中村 玉太郎

角海老使用人  澤村 國矢

家主甚八    片岡 亀蔵

角海老女房お駒 片岡 孝太郎

みなさん、素敵な演技でした。

あらすじはこちらに書いてあるのでよかったらお読みくださいね。

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読んでくださり、ありがとう存じまする。



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