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歌舞伎座8月花形歌舞伎2020第3部「吉野山」の感想、猿之助・七之助・猿弥が魅せます!

観劇レポート
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歌舞伎座8月花形歌舞伎2020は、4部制の公演です。

第3部の「吉野山」を観劇したのでその感想を

書いていきます。

猿之助の狐忠信は、絶品だなあと思います。

現時点でのベスト1だと思っています。

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歌舞伎座8月花形歌舞伎2020第3部「吉野山」の感想、レポート

では初めに、第3部「吉野山」のあらすじと配役です。

この演目は、通し狂言「義経千本桜」の一幕で、

舞踊劇となっています。

役者のセリフは少なく、

義太夫の語りと踊りによって場面や人物の様子が描かれます。

歌舞伎座8月花形歌舞伎2020第3部「吉野山」のあらすじと配役

〈吉野山のあらすじ〉

桜が満開の吉野の山中を、

静御前は義経のもとへと向かっています。

しかし、お供の忠信の姿が見えません。

そこで静が初音の鼓を打つと、どこからともなく現れ、

遅参を詫びます。

忠信が義経から形見に与えられた着長を取り出し、

そこに静が鼓を添える。

義経を思う静に、

忠信は、屋島の合戦の様子を語り始めます。

さらに、忠信の兄の佐藤継信が、

平家の能登守平教経が放った矢を、

義経の前に立ち、受け、命を落とした様子を語ると、

2人は非業の涙にくれるのです。

そうしているところへ、

逸見藤太が現れ、手勢とともに襲い掛かりますが、

散々に打ち負かされます。

やがて、身支度を整え、その場を発つ2人。

しかし、忠信の様子が変わります。

実は、忠信は狐なのでした。

本性を現した忠信は静の後を追いその場を去るのです。

〈吉野山の配役〉

佐藤忠信実は源九郎狐 市川 猿之助

逸見藤太   市川 猿弥

静御前    中村 七之助

花四天 澤五郎・段一郎・彌風・彌紋・喜楽・笑猿

「義経千本桜」についてはこちらが詳しいです。

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歌舞伎座8月花形歌舞伎2020第3部「吉野山」の感想ベスト3

繰り返しますが、私の現時点での、狐忠信ベストは猿之助です。

そして美しいと思う女形のベストは七之助、

芸達者な道化といえば猿弥、というところなので、

まずは、最強トリオの吉野山だったと言えます。

その上で、よかったベスト3を発表します。

ベスト3:市川猿弥の軽妙な道化役と花四天の立ち回り

忠信と静の道行を邪魔するのが

追っ手の逸見藤太とその手勢です。

2人の舞踊で舞台に美しい画が描かれたところに

やってくるのが彼らなのです。

見るからに滑稽で、お芝居のツマ的存在というのが

一目でわかる衣装と隈取りが特徴です。

静を奪って手柄を立てたいところなのですが、

不思議な術も併せ持つ侍には歯が立たないという設定。

立ち回りも、なんとなく距離感を保っている様子、

歌舞伎の場合は、様式で見せてしまえるので、

そんなに絡まなくても、

争う様子がわかります。

ちょっと感激したのが、四天のとんぼです。

久しぶりだなあ、歌舞伎だなあと

そういう実感が湧いてきました。

猿弥が喋る藤太のセリフの中に、

世相をいじる言葉も含まれていて、

笑いもあちこちから湧いていました。

舞踊の中心ではないのですが、

なくてはならないホッと息がつけてなごみました。



ベスト2:中村七之助は、そこにいるだけでオーラが出る

立っているだけで、そこに目が惹きつけられる。

そんなオーラが、中村七之助からはにじみ出ていました。

昨年の納涼歌舞伎では、「伽羅先代萩」の政岡。

あの芝居でも、堂々とした演技が印象的でしたが、

見るたびに艶が増し、輝きが増し、

存在感が高まっていることを感じます。

目を引きつける磁力のようなものが

全身から発せられているようでした。

とにかく綺麗、

見ているだけで、うっとりする、

でも七之助のお姫様は、

見た目は綺麗だけど芯は強そうよねって思えるものもあります。

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ベスト1:市川猿之助の顔芸が見事、狐であり人でもある忠信

しつこいですが、猿之助の狐忠信はやっぱりいいなって思いました。

人の顔と狐の顔、仕草も交えて、

その違いを使い分け、その時々の心の移り様を

繊細に演じ分けていたと思います。

鼓を見ると、小狐の気持ちが表情に出てきちゃうのよね~。

でも、今は侍の姿をしてなきゃ怪しまれちゃうわ~。

そんな心の声が聞こえてくるような

演じ分けに見入りました。

この夏の猿之助は、ドラマ「半沢直樹」での顔芸が

大きな話題となっています。

元々、歌舞伎は表情豊かに心情を表す芝居が型として

あるものです。

それを十二分に発揮してのその評価ですね。

狐忠信に戻りますが、

立ち姿や、舞踊、立ち回りでのさばきも、

洗練されたかっこよさがありました。

最後、狐の本性を現す場面は圧巻です。

この「ぶっかえり」と言われる変わり身は、

伝統的な手法です。

人から狐へ、

姿を変えた忠信が、

静の後を追い立ち去る姿、最後まで目に焼き付けたい一幕でした。

この日も、

大向こう、かけ声は禁止でしたが、

劇場を包む万雷の拍手はいつまでも鳴り止みませんでした。

個人的には、カーテンコールも見たかったな。

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全体的に、華やかで起承転結がわかりやすい舞踊劇

ベスト3とは違いますが、

この「吉野山」だけをじっくり見ると、

舞踊劇だけど、起承転結がわかりやすい構成だなということと、

清元、竹本などの音楽と語りが欠かせない要素であることを、

実感する一幕なんだと感じました。

この演目を、選んで上演するって、企画した方はすごいなあ。

歌舞伎の歌と舞と技の全てが詰まった、

印象に残る素敵な舞台でした。

そうそう、

私が見た日の開演前アナウンスは猿之助さんでした。

あの、伊佐山部長の話っぷりとは全く違う、

丁寧て品が良くて、優しい言葉遣いに、

聞いていてメロメロになりそうでした。

第3部は、猿之助さん→七之助さん→猿弥さんの

順で回っているようです。

全員の声を聞いてみたいなって思いました。

花形歌舞伎の初日と第4部の感想はこちらに書いています。

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読んでくださり、ありがとう存じまする。



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