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マハーバーラタ戦記歌舞伎のあらすじと感想、配役も〜11月歌舞伎座公演昼の部〜

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極付印度伝:マハーバーラタ戦記歌舞伎が、6年ぶりに歌舞伎座に帰ってきました。

令和5年11月吉例顔見世大歌舞伎の昼の部、

全編通して3時間39分の大作です。

しばらく休養されていた尾上菊五郎さんの

舞台復帰も発表され、

私にとっては、めでたい気分の観劇です!

とはいえ、ストーリーがわからないと楽しめないので、

こちらでは、マハーバーラタ戦記歌舞伎のあらすじ、配役も

感想と併せて紹介しますね。

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マハーバーラタ戦記歌舞伎のあらすじを簡単に説明!

マハーバーラタ戦記は、先述のように

通しで3時間39分の大作です。

11月歌舞伎座公演では3幕に分けて上演するので

幕ごとに紹介します。

マハーバーラタ戦記 序幕:神々の場所のあらすじ

神々の世界では、

争いに明け暮れる人間界を見下ろし、

その愚かさにため息をついています。

しかし、人間界にも救いの手をと訴える太陽神の呼びかけで、

象の国の汲手(クンティ)姫に子を授け、

その子に世を収めさせようとします。

しかしそれに意を唱えたのが帝釈天、

戦いの神である帝釈天は

武力を持って収めさせるべきと主張します。

那羅延天がその間をとりもち、

初めに太陽神、次に帝釈天の子と

順に子を授けることにします。

人間界の象の国では

汲手姫に太陽神が子を授けます。

しかし、急に子を産んでしまった汲手姫は

怖くなって、川にその子を流してしまいます。

その後帝釈天から子を授けられた姫は

今度も男の子を産み落とします。

その子は阿龍樹雷(アルジュラ)と名づけられました。

一方、年月は流れ、

川の下流に住む亜照楽多(アディラダ)と羅陀(ラーダ)夫妻に拾われ

育てられ迦楼奈(カルナ)と名付けられた青年は

16年後弓の名手として成長していました。

ある日、太陽神のお告げにより、

自分が人間界の救世主であることを知った迦楼奈が

弓の修行のために都へと旅立ちます。

都では汲手姫は王妃になっており、

その5人の子供たち

阿龍樹雷王子・風韋摩王子(びーまおうじ)・百合守良王子(ゆりしゅらおうじ)・納倉王子(なくらおうじ)・沙羽出葉王子(さはでばおうじ)と、

従兄弟に当たる鶴妖朶王女(づるようだおうじょ)と道不奢早無王子(どうふしゃさなおうじ)が

王亡きあとの、継承者争いをしていました。

そこで、仙人久理修那(クリシュナ)の助言に従い

武芸大会でその優勝者を決めることになりました。

そこに、迦楼奈も現れ、

鶴妖朶の手助けで武芸大会に参加することに・・・。

鶴妖朶は、阿龍樹雷王子が王位につくと

武力を行使するという言葉を信じ、

それを阻止しようとしていたのでした。

武芸大会は、迦楼奈と阿龍樹雷王子が

最後まで競うものの決着がつかないまま終わります。

鶴妖朶と同盟を結んだ迦楼奈。

しばらくして

鶴妖朶は離宮に5人の王子を招いてもてなします。

酒に酔い、いい気分でいる5人の王子、

しかし、その宮殿は蝋でできていたのでした。

何か変だと気づいた時はもう遅く、

火の手に屋敷ごと呑まれてしまいました。

そこに駆けつけた迦楼奈、

鶴妖朶が仕掛けた罠とは気づかず

呆然と屋敷を眺めるのでした。



 

マハーバーラタ戦記 二幕目のあらすじ

殺されたと思っていた5人の王子は

なんと生き延びていました。

そして絶世の美女と言われる弗機美姫と阿龍樹雷王子の

婚礼が決まります。

婚礼のお祝いに、賭博のお祝いを催す

鶴妖朶と道不奢早無王子。

道不奢早無王子は、実は賭博のイカサマ師でもありました。

そうとは知らず

5人の王子たちは負け続け、

ついには、全てを手放すことになってしまいます。

あまりのことに、

両陣営が一触即発!!

となったときに久理修那と汲手姫が現れ、

鶴妖朶に譲歩を申し入れます。

鶴妖朶は、それを聞き入れ、

12年間森の中を彷徨い、1年は町人として暮らすことを条件に

全てを取り上げることはなしとします。

そこで、王子たちは森を彷徨います。

しかし、鶴妖朶は本心では、

5人の王子の命を奪う策略を立てているのでした。

森の中で、風韋摩王子は森鬼飛(しきんび)と出会って

恋に落ちます。

森鬼飛(しきんび)の兄は森鬼獏(しきんば)という

人喰い鬼でした。

それを退治した風韋摩王子と森鬼飛は

絆を強めます。

森を出られない森鬼飛に風韋摩王子は、

必ず戻ってくるといい去っていきます。

象の国は、鶴妖朶の支配下になり、

その悪政に庶民からは

次第に不満の声が上がっていくのです。

一方迦楼奈は、ガンジス川のほとりで

旅の僧侶に会います。

僧侶から、耳飾りを譲って欲しいと言われた迦楼奈。

生まれた時から耳についていたものでしたが、

それを与えてしまいます。

実は僧侶は帝釈天の仮の姿、

迦楼奈の心根に感動した帝釈天は

なんでも倒せる無敵の力「シャクティ」を授けます。

それを得た迦楼奈は

自分の中に強い思いが生まれてくるのを感じます。



 

マハーバーラタ戦記:大詰めのあらすじ

5人の王子が街を去ってから13年目、

いよいよ明日は、

鶴妖朶と道不奢早無が

5人の王子たちと決戦をすることになっています。

しかし、戦力的には

多くの戦士を従えた王子軍が優勢です。

そこで、道不奢早無が

夜討ちを提案するものの迦楼奈を待つ鶴妖朶は

うんと言いません。

そこへ、迦楼奈も戻ります。

いよいよ、それぞれの命運を賭けた決戦が始まりました。

なのに、阿龍樹雷は戦意を喪失しています。

そこへ仙人久理修那が現れます。

そして、勝利をめざして戦うのは愚かなことと説き、

ブラフマーの叡智を授けます。

それまで、武力で国を統べようと考えていた阿龍樹雷も

そうではない、自分の使命に目覚めるのでした。

 

迦楼奈の元には汲手王女が訪れ

戦いをやめるように言いますが

迦楼奈はそれを断ります。

王女は、阿龍樹雷が迦楼奈の弟であること、

生まれてすぐにガンジス川へ流したことを話します。

迦楼奈は、どちらかの息子が残る、

と意味深なことを伝え王女と別れます。

 

決戦は両軍乱れての様相、

道不奢早無王子は納倉王子と沙羽出葉王子に

倒されます。

風韋摩王子は鶴妖朶との一騎打ち、

見事に倒し、鶴妖朶は息絶えるのでした。

さらに風韋摩王子は迦楼奈へも

戦いを挑みます。

そこに現れたのが風韋摩王子と森鬼飛の息子の我斗風鬼写(がとうきちゃ)。

マントラを用いて迦楼奈を追い詰めます。

絶体絶命のピンチ、迦楼奈はついにシャクティを使って

その場を脱します。

戦いは王子軍の勝利、

迦楼奈と阿龍樹雷の一騎打ちも

ついに決着がつき阿龍樹雷が迦楼奈を討ちます。

迦楼奈は阿龍樹雷が武力をいかし平安な世を収めるという

使命を聞いて

自分の身をもって戦を収めさせたのでした。

王位には、百合守良王子がつくことになり、

象の国には平和が訪れました。

それを見ていた神々も

人間たちを滅ぼすことをやめ

しばらく様子を見守ることにしたのです。

おしまい

・・・・・・・・・・・

こうやって文字起こしをしても

なんかよくわからない展開があります!

さすが、インド活劇!

辻褄が合わなくても

楽しければOKな感じなんですね。

 

極付印度外伝マハーバーラタ戦記(11月歌舞伎公演)のキャスト

令和五年11月歌舞伎座顔見世大歌舞伎の

マハーバーラタ戦記のキャストは以下の通りです。

久しぶりの尾上菊五郎さんの登場が

楽しみです。

尾上菊之助さん、尾上丑之助さんと

3代揃っての舞台になりますね。

とにかく登場人物の名前が

読みづらいのでそこは難点って思います。

迦楼奈(かるな)/シヴァ神(しん)  尾上 菊之助

太陽神(たいようしん)      坂東 彌十郎

仙人久理修那(せんにんくりしゅな) 中村 錦之助

帝釈天(たいしゃくてん)     坂東 彦三郎

百合守良王子(ゆりしゅらおうじ) 坂東 亀蔵

風韋摩王子(びーまおうじ)    中村 萬太郎

汲手姫(くんてぃひめ)      中村 米吉

阿龍樹雷王子(あるじゅらおうじ)/梵天(ぼんてん) 中村 隼人

納倉王子(なくらおうじ)     中村 鷹之資

我斗風鬼写(がとうきちゃ)/ガネーシャ 尾上 丑之助

鶴妖朶王女(づるようだおうじょ)/ラクシュミー 中村芝のぶ

沙羽出葉王子(さはでばおうじ)  上村 吉太郎

森鬼獏(しきんば)        尾上 菊一郎

森鬼飛(しきんび)        上村 吉弥

道不奢早無王子(どうふしゃさなおうじ) 市川 猿弥

亜照楽多(あでぃらた)      河原崎 権十郎

羅陀(らーだー)         市村 萬次郎

多聞天(たもんてん)       市川 團蔵

大黒天(だいこくてん)      坂東 楽善

那羅延天(ならえんてん)     尾上 菊五郎

マハーバーラタ戦記歌舞伎2023(11月歌舞伎座公演)の感想

マハーバーラタ戦記の感想です。

11月7日(火)に観劇してきました。

11時開演から15時34分終演まで

幕間を入れても3時間29分の大作です。

にもかかわらず最後まで飽きることなく

楽しく観ることができました。

あらすじを確認していったから

ストーリーを追うことはできました。

これからご覧になる方はあらすじをチェックしてから

行った方がわかりやすいかと思います。

さて、観劇した感想です。

幕開きも幕閉めも神様の場、

もう、キンキラキンでご利益たくさんありそうな感じ!

なかなか舞台に出てこられない坂東楽善さん、

お久しぶりの尾上菊五郎さんのお姿を拝めたことが

眼福でした。

お声にも張りがあり、眼力も健在でよかったなーー。

ただ、立つ時は補助の方がついていらしたので

立つ演技は難しいのでしょうね・・。

では、内容についてですが

ダラダラ書くとわかりづらいと思うので

観点を絞って3つ紹介します。

マハーバーラタ戦記2023の感想①荒唐無稽なストーリー

一つ目は、荒唐無稽なストーリーに

終始理屈をすっ飛ばして楽しみました。

だって、若い女子がいきなり神様から子供を授かっちゃうんですよ。

その女子が16年の間に王女になって5人の王子(若い双子は母が違うらしい)を育ててる。

王には盲目の兄がいてその兄には100人の子供がいる。

この設定だけで、私は口アングリでした。

いや、こういうことをきちんと辻褄合わせようとすると

苦しくなるからやめよう!

出てきたものを出てきた通りに楽しもう!

といきなり思考を変えたのでした。

序幕は、ストーリー全体の背景や結末へ向けた

伏線がどっさり詰め込まれて

ボリューミーな内容でした。

なぜ迦楼奈がこの世に正を受けたのか?

どんな宿命を背負っているのか?など

ラストで明らかにされるのですが、それをドラマティックに彩るのが

この序幕での数々のエピソードです。

荒唐無稽なんだけど、そういう筋立てはしっかりできているんですよね。

迦楼奈が鶴妖朶に恩義を感じ、永遠の友情を誓います。

この約束迦楼奈が最後まで守り通すのです。

世間の評判や出来事の良し悪しに流されず、

その誓いを貫く迦楼奈の真っ直ぐさ、誠実さには

現代社会に生き、周囲の目に振り回されるおばさんにとって

とても眩しく見えました。

神様がたびたび現れるのも

他のお芝居にはない面白さです。

太陽神と帝釈天が迦楼奈の前に折りにふれて現れ、

その使命を実行せんことを告げるんです。

元々、人間界の争いを慈愛によって収めるのが迦楼奈のお役目、

それを邪魔せんと鶴妖朶や5人の王子の小競り合いが起きます。

その度に、何か申し訳をつけて

争いを回避せんとしていたのですね。

そういう見方をすると、なんで迦楼奈が鶴妖朶のそばにいたのかも

想像できそうだなと思いました。

それから

荒唐無稽なエピソードといえば、

離宮で5人の王子を亡き者にしようとした企み、

蝋でできた屋敷に閉じ込めるって想像し難い・・・

相手の力を奪うために

婚礼の祝いとして賭博をけしかける、

さらには森を彷徨うことで和睦を図ろうというのも

面白い発想だなあと仰天しました。

最終的なテーマに結びつけるためには

なんでもこじつけちゃうのね、ってことかな。

それも、そういうものかと素直にみられるのは

お芝居の魅力、役者の力かもしれません。

マハーバーラタ戦記2023の感想②役者の配役が絶妙

マハーバーラタ戦記、登場人物も多彩でした。

初めに出てくるキラキラの神様は

大御所に中心人物である

菊之助シヴァ神、隼人梵天、芝のぶラクシュミーが

一際輝いています。

はい、今回の舞台で最も注目されている役者が

中村芝のぶさんでしょう。

中村芝のぶさんは、国立劇場養成所出身の歌舞伎役者さん。

一般のお家の出なので、梨園の役者さんたちのように

大きな役にはついていません。

でも、その存在感で人気はあるんですね。

今回、この芝のぶさんが、中心的な鶴妖朶役に抜擢されたことも

大きな注目を浴びていたんです。

というように、役者さんのキャスティングが

絶妙だなあと思っています。

阿龍樹雷王子には中村隼人さん。

隼人さんも最近は大きな役を演じることが多く、

その実力もうなぎ登りの俳優です。

菊之助さんと隼人さん、並ぶと見た目も麗しいので、

おばさんワクワクしています。

太陽神には坂東彌十郎さん、これもまさにはまり役!と言いたくなります。

温かいお人柄がキャラにも反映されています。

対する帝釈天には坂東彦三郎さん、イケボで有名な役者さんですが、

ちょっと冷たい口ぶりが戦いの神らしいです。

5人の王子の中では、2番目の赤っつら

中村萬太郎さんの風韋摩王子もインパクトありました。

怪力で単純、わっかりやすいキャラなんですよね。

それを萬太郎さんが演じる、ってところに

面白みを感じていました。

あと、ぜひ見ていただきたいのが森鬼飛役の上村吉弥さん。

おいくつでしたか??と言いたくなるくらい

若々しく怪しい女化け物を好演していらっしゃいましたね。

最年少の尾上丑之助さんも快演!

言葉の意味をつかんだ上でセリフを言ってるなって

思える末恐ろしいお子さん役者です。

最後に、やっぱり推しておきたい!

この舞台を総まとめされているのが

尾上菊五郎さんでしょう。

声にも姿にも威厳がありすぎ!

きんきらきんの親父様を見られてとっても幸せでした。

 

マハーバーラタ戦記2023の感想③生音楽が嬉しい

私がとっても感激したのが、生音楽!

通常歌舞伎は、邦楽の生演奏が入ります。

音楽に加えて効果音も生の楽器が演奏します。

だから、義太夫でも清元でも長唄でも

音楽が舞台に並ぶのは

当たり前のことだし、両方あってセットのように

思っていることもあるのです。

でも、新作の時って、

邦楽以外の音楽は録音を使っていることが多いんですよね。

でも、マハーバーラタ戦記は、

なんと、インド系?エスニック系?の

生音楽バンドが入っていて感激したんです。

普段、義太夫が座っている場所

あそこに、太鼓やビブラフォン、マラカスもどきなど

鳴物が待機していて音楽を鳴らしてくれました。

生音楽はいいですよね〜

舞台の臨場感が増すなあと思って聞いていました。

これも嬉しかったことの一つです。

 

超話題の歌舞伎、

極付印度外伝「マハーバーラタ戦記」、

観に行ってとても楽しかったし、また観てみたいと思えたお芝居でした。

明日は、カレーを食べようかなあ〜

読んでくださりありがとう存じまする。

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