松竹株式会社が、1月20日に
4月から歌舞伎公演に休演日を設定すると、
公言したことが話題となりました。
いよいよ、歌舞伎界にも働き方改革が
やってきた!?
4月から歌舞伎公演に休演日が設定!
1月20日に発表した松竹の休演日設定に関する内容は、
以下の通りです。
2020年4月より、松竹株式会社製作の歌舞伎興行の内、
25日間の公演におきましては、
休演日を設定することにいたしました。
詳細につきましては、各劇場の公演情報をご確認くださいませ。
何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
松竹株式会社
*松竹サイト「歌舞伎美人」より
歌舞伎興行を一手に握る松竹がこのような発表をしたことは、
非常に画期的です。
これを機に、歌舞伎役者の働き方改革が
一気に進むのではないか、
期待も高まっているところです。
その背景として、
私は昨年の2つの事案を思い出しました。
2019年、休演した役者と公演があった
2019年、体調不良により
舞台を休演した歌舞伎役者は次の方々です。
1月12日 坂東竹三郎が体調不良のため、「壽 初春大歌舞伎」を休演。
代役は、中村梅花
5月10日 坂東楽善体調不良のため「團菊祭五月大歌舞伎」を休演
代役は、片岡市蔵、片岡亀蔵
6月3日 市川左團次が体調不良のため、博多座「六月博多座大歌舞伎」を休演。
代役は、尾上松緑、坂東彦三郎
*市川左團次は、こちらにも記事を書いていますので、よかったらお読みくださいね。
7月15日 市川海老蔵が体調不良のため、「七月大歌舞伎」を休演。
15日、16日、18日の夜の部は中止。
16日~18日の昼の部の代役は、市川右團次
外郎売を、幼い長男の堀越勸玄くんが務め切ったことが話題になりました。
*市川海老蔵休演については、こちらに書いていますので、よかったらお読みください。
9月 片岡松之助が体調不良のため、「9月秀山祭歌舞伎」を休演。
代役は、嵐橘三郎
9月16日 中村吉右衛門が体調不良のため、18日まで「9月秀山祭歌舞伎」を休演。
その間の代役は、尾上松緑、松本幸四郎
*中村吉右衛門休演については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね。
12月8日 尾上菊之助が公演中の怪我のため、新橋演舞場「風の谷のナウシカ」夜の部の公演を休演、中止。
翌日より、怪我の状態を勘案し若干の演出変更の上、公演再開。
*尾上菊之助休演については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね。
12月30日 坂田藤十郎が体調不良のため、大阪松竹座「壽初春大歌舞伎」を休演。
代役は中村扇雀
(2020年の公演)
12月の尾上菊之助は、怪我による休演なので、
体調不良というものではないんですけどね。
ここには書いていませんが、
休んでいた役者が舞台復帰という嬉しいニュースもあるんですよ。
それを喜ぶ、ファンの姿を見ると(私もだけど)、
やっぱり、役者さんには元気で舞台に立って欲しい、
という思いが募ります!
幸い、12月30日から休演している坂田藤十郎以外は、
皆、昨年中に舞台復帰を果たしています。
役者の仕事は重労働ですから、
それぞれ、体調管理にはとても気を使っているそうです。
それでも、お休みできる日があると、
ちょっとは安心です。
*役者の体調管理については、こちらにも書いています!
市川海老蔵がブログに書いた、歌舞伎役者の働き方改革
市川海老蔵が、7月11日に自身のブログに、
役者の体調管理を心配する記事を書きました。
そこには、「働きから改革」への
提言という意向も感じられます。
その一部を抜粋します。
根が役者なので
大半の方は懸命に一生懸命日々努めます。
風邪ひいていようと
声が出なくても
具合悪くても
場合によっては
歯医者さんや病院も行けない月が数カ月続くこともある、
これは良くない
そんな環境に自分なら耐えられても
次の世代
次の次の世代に
引きずる事は
果たしてどうなのか?
父もずっとでした、、
私は
変えないといけない、
そう思います。
歌舞伎界の働き方改革は、どうなるのか、
今後も注目です。
歌舞伎興行に休演日設定への声~ツイッターより~
でも、心配事もありまして、、、。
ツイッターには、賛成はもちろんですが、
色々な見方が流れていました。
歌舞伎興行に #休演日 ができました。
歴史的な改革だと思うし、
この事だけではなく、色々な改革が進むと良いなと思います。
全ては、
未来の歌舞伎の為に。 pic.twitter.com/nsjGaIeBi9— 市川蔦之助 (@IvyThe3rd) January 20, 2020
「働き方改革」
よく耳にする言葉でとても大事な事だと認識しています。気になる事が一つ。歌舞伎公演において我々演奏家(清元だけ?他のジャンルも?)は休演日が入るとその分お給料が減ります。AプロBプロCプロの様に分けられるとさらに減ります。つまり日給制度の人間にとっては死活問題なのです。— 清元 一太夫・柿澤 一 (@ichitayuu) January 16, 2020
歌舞伎の休演日問題:日当払いの演奏家の方や食堂、お土産やさんなどの営業補償は大丈夫なのかとか色々気になります。働き方改革と言っても役者さんは社員じゃないから中日にテレビとか別の仕事入れても松竹は止められないだろうし売れっ子ほど労働環境改善にはならない気がする。
— やじ (@yajimahn) January 20, 2020
賛成も懸念も様々あるようですが、
何もしなければ何も変わらない。
時代がぐんぐん流れを加速させている今、
伝統を未来にも引き継ぐのならば、
それなりの改革は必要だろうと思います。
賛否があるのはむしろよいことです。
これで終わりにしないで、
未来に歌舞伎を伝える、世界に歌舞伎を広げる、
その視点も持って、試行錯誤をしていって欲しいと思います。
読んでくださり、ありがとう存じまする。
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