歌舞伎座9月秀山祭、中村吉右衛門が体調不良のため、
休演というニュースが16日に流れ、
多くのファンが心配しているところです。
17日20時現在、18日の休演も発表されたところです。
中村吉右衛門、9月秀山祭歌舞伎を休演。その理由は?
歌舞伎座9月秀山祭歌舞伎で、
座頭として芝居を引っ張っていた中村吉右衛門。
16日に急遽流れたニュースが、
体調不良のため休演ということでした。
詳しいことはわからないなりに調べたところ、
*40度の発熱。
*病院で点滴治療後、自宅療養をしている。
*熱を押しても舞台に立ちたいとおっしゃっている。
*体調を見て舞台復帰を考えている。
*代役は、昼の部の「沼津」十兵衛役は松本幸四郎が、
夜の部「寺子屋」松王丸役は尾上松緑が引き続き務める。
公演自体を降板するということではないようなので、
体調を見ての舞台復帰の方向で静養していると
思われます。
「秀山祭」は、吉右衛門の養父である
初代中村吉右衛門の俳名「秀山」を冠した興行で、
今年で12回目を迎えます。
初代の功績をたたえ、芸の継承を志す興行として、
「命を懸けてこれまでやってきた。100歳まで続けたい。それが僕の天職、天命」
などと並々ならぬ意気込みを見せていました。
それだけに、ご本人の悔しさが慮られます。
*中村吉右衛門についてはこちらにも書いていますので、よかったらお読みください。
中村吉右衛門、代役の松本幸四郎、尾上松緑に賞賛の声
中村吉右衛門は、この秀山祭歌舞伎で、
昼の部は「沼津」の 呉服屋十兵衛役、
夜の部は「菅原伝授手習鑑 寺子屋」の 松王丸役を
好演していました。
私は、吉右衛門休演前日の15日に昼の部を観劇してきたばかり、
その、迫真に迫る演技に感動したところです。
*昼の部の感想については、こちらに書いていますので、よかったらお読みくださいね。
その翌日に、休演のニュース。
本当にびっくりしました。
この2役の代役として、
「沼津」十兵衛役を松本幸四郎が、
「寺子屋」松王丸役を尾上松緑が、務めています。
今回の布陣を見ると、
この2人は適役かと思います。
松本幸四郎は、父の松本白鸚、伯父の中村吉右衛門が演じる
十兵衛役を間近に見ており、その役の性格やしどころを、
肌身で感じ取っている役者です。
初役であり、また同じく昼の部の「幡随院長兵衛」の長兵衛役、
夜の部の「寺子屋」の源蔵役、「勧進帳」は弁慶と冨樫という、
かなりの大役をも務めているので、
演技よりもその体力の方が案じられます。
とはいえ、
秀山祭の意味を十分に理解し、
先輩の芸を吸収することに貪欲なので、
きっとやり切れると信じているところです。
尾上松緑は、松王丸役は今までも務めてきました。
とはいえ、音羽屋と播磨屋では、
芸風が違うところもあるとのこと。
しかし、播磨屋の型を変えずに演じたそうです。
そういうところに、松緑の義理堅さと、
先輩を敬い、舞台を第一に考える姿勢が垣間見え、
感動しているところです。
SNSに流れてくるコメントは、
幸四郎の十兵衛、松緑の松王丸、
ともに上出来ということで、
賞賛の声が多いです。
これからを背負う次代の幹部たちが、
大黒柱が抜けた後を、
しっかり代わって支えていることにも感動しています。
中村吉右衛門の代役に松本幸四郎&尾上松緑、幸四郎は初役も熱演 – SANSPO.COM https://t.co/hQu1VbkyuB @sanspocomさんから
— kabukist (@kabukist1) September 17, 2019
*秀山祭歌舞伎、夜の部についてはこちらにも書いていますので、よかったらお読みください。
今年、休演した役者と復活した役者
ちょっと話は逸れますが・・・。
恒例の役者も多い今、体調を崩して舞台をやむなく休演した役者は、
他にもいます。
今年だけでも
1月12日 坂東竹三郎が体調不良のため、「壽 初春大歌舞伎」を休演。
代役は、中村梅花
5月10日 坂東楽善体調不良のため「團菊祭五月大歌舞伎」を休演
代役は、片岡市蔵、片岡亀蔵
6月3日 市川左團次が体調不良のため、博多座「六月博多座大歌舞伎」を休演。
代役は、尾上松緑、坂東彦三郎
*市川左團次は、こちらにも記事を書いていますので、よかったらお読みくださいね。
7月15日 市川海老蔵が体調不良のため、「七月大歌舞伎」を休演。
15日、16日、18日の夜の部は中止。
16日~18日の昼の部の代役は、市川右團次
外郎売を、幼い長男の堀越勸玄くんが務め切ったことが話題になりました。
*市川海老蔵休演については、こちらに書いていますので、よかったらお読みください。
9月 片岡松之助が体調不良のため、「9月秀山祭歌舞伎」を休演。
代役は、嵐橘三郎
と、複数の役者が舞台途中で休演をしています。
代役を務める役者は、日頃から研鑽を積んでいるため、
急遽のお役もこなせるのだ、と
伝統芸能の強さを感じています。
ここに書かれた方は、ほぼ次の舞台では復帰されています。
一方、休演から復帰した方もいらっしゃいます。
片岡我當、澤村藤十郎(トークで)、中村福助などです。
それはとても嬉しいのですよ。
*復帰した役者については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね。
歌舞伎役者は重労働、市川海老蔵は働き方改革をと・・・。
歌舞伎役者の仕事は、大変な重労働だそうです。
昼夜通しの芝居のこともありますし、
1回幕を上げると、
千穐楽まで約25日間、休みなしです。
重い鬘や衣装、小道具を持ち、
全身を使っての訴える演技、劇場中に響く声、
生身の人間がこれだけのことをやるってすごいことだと
毎回思って感動しています。
こちらは、片岡孝太郎のブログです。
これを読むと、片岡仁左衛門が弁慶を演じることへの思いに加え、
高齢の役者が身を削って演技に打ち込む姿も描かれていました。
一部抜粋します。
そんな父ですから
弁慶終演後は毎回動けなくなる程
体力も気力も全力投球しています。
現白鸚のお兄さんでも数年前?
弁慶終演後花道から圧縮酸素を吸いながら
戻ってらっしゃるのを拝見した様な…
https://twitter.com/kbkreader/status/1173467894304387073
重労働ということで、
市川海老蔵が7月に「働き方改革」について
提言したことも記憶に新しいところです。
役者一人一人が、工夫しながらの体調管理をしているおかげで、
私たちは、素晴らしい舞台を観ることができているのを
忘れないようにしたいと思います。
今後は、大幹部の出番は貴重になっていくとも思います。
出来うる限り、劇場に足を運び、
しっかり、その演技を目に焼きつけたいものです。
*市川左團次休演と、歌舞伎役者の体調管理については、こちらにも書いています。よかったらお読みください。
中村吉右衛門、19日より舞台復帰!
中村吉右衛門が、19日より、昼夜の舞台に復帰するそうです。
松竹から、次のような発表がありました。
歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」の昼の部『沼津』(ぬまづ)の呉服屋十兵衛(ごふくやじゅうべえ)、夜の部『寺子屋』(てらこや)の松王丸(まつおうまる)に出演の中村吉右衛門は、体調不良のため、9月16日(月・祝)より舞台を休演しておりましたが、体調が回復し、明日9月19日(木)公演より舞台に復帰させていただくことになりました。
明日より、昼の部、夜の部とも下記の通りにて上演いたします。皆様には、多大なるご迷惑、ご心配をお掛けしましたこと、お詫び申し上げます。
■歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」
【9月19日(木)以降の公演】
※中村吉右衛門が復帰し、昼の部『沼津』、夜の部『寺子屋』ともに、通常通りの配役にて上演いたします。〜松竹サイトより引用〜
ひと安心ですね。
19日の昼の部「沼津」では、
花道から登場したおりには、
客席から「おかえりなさい!播磨屋」の掛け声とともに
大きな拍手が起きたそうです。
劇中の口上では、
「秀山祭でありながら、鬼のかく乱で3日間ほど休んでしまい、深く深くお詫び申し訳ありません」
と謝罪の言葉も口にしたそうです。
何はともあれ、お元気になられてよかったよかった。
また情報が入ったら追記していきますね。
読んでくださり、ありがとう存じまする。
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