2019年5月の歌舞伎座では「團菊祭」が催されます。
海老蔵最後の團菊祭でもあり、尾上丑之助襲名舞台でもあります。
歌舞伎関係者やファンの注目を浴びる「團菊祭」、
チケットの売れ行きも好評な様子です。
今日は、その「團菊祭」の見所として、尾上丑之助襲名を中心に紹介します。
「團菊祭」とはなんのこと?どう読むの?
「團菊祭」は、「だんぎくさい」と読みます。
歌舞伎役者である、市川團十郎の團と、尾上菊五郎の菊の文字を取り、
つけられた名前です。
明治20年4月26日、明治の劇聖と謳われた
九代目市川團十郎、五代目尾上菊五郎らが
当時の外相井上馨邸に明治天皇をお迎えし『勧進帳』を上演された事が、
歌舞伎の社会的地位が向上し、歌舞伎が近代化する大きなきっかけになったと言われています。
それも含めて、お二方の偉業を顕彰するために、
昭和11年に始まり、戦後は昭和33年に復活、
近年の歌舞伎座では、五月興行の恒例の催しとして上演されてきたものです。
2013年に十二代目市川團十郎が亡くなってからは、
歌舞伎座のこけら落としに合わせて、
十一代目市川海老蔵と團菊祭にゆかりの役者を集めての催しとして
上演されています。
そして、今年の目玉はなんといっても、
尾上丑之助襲名というイベントなのです。
注目は尾上菊五郎の孫・菊之助の長男である丑之助の襲名!
今年の2月27日に松竹から、
5月大歌舞伎に七代目尾上丑之助襲名を行うとの発表がありました。
音羽屋3代が揃う丑之助襲名
七代目尾上菊五郎が投手を務める音羽屋は、
歌舞伎の格付けでもかなり上位に位置する大きな一門です。
その、三代目の名まえが丑之助。
現在の菊五郎も五代目菊之助も、丑之助という名を通ってから
今の地位を築いています。
そういう意味からも、
菊之助の長男である、寺島和史くんが若干5歳5ヶ月で、
七代目尾上丑之助を襲名することは本当に大きな意味があることなのです。
菊五郎、音羽屋についてはこちらもお読みくださいね。
祖父尾上菊五郎と、父尾上菊之助の、丑之助襲名への思い
インタビューからは、祖父菊五郎と父菊之助の熱い想いが伝わります。
そのうちのいくつかを紹介します。
まず、父の菊之助から。
「私の初舞台と同じ『絵本牛若丸』が和史によって、皆様のお力で、
また上演できますこと、このようにうれしいことはございません」
と念願だった「絵本牛若丸」での丑之助襲名を殊の外喜んでいた様子です。
自分自身も、祖父の梅幸と父菊五郎を始め、
錚々たる先輩方に支えてもらいながら務めた初舞台、
それと同じ舞台で長男が襲名というのは本当に感無量だと思います。
「身近に父、岳父(吉右衛門)。
どんどん二人の芝居を見て育ってほしい。
そして古典の面白さ、奥深さを追求していってほしい」
と、大スターに囲まれた恵まれた環境で育ったメリットを、
存分に活かして欲しいという思いもあるようです。
何と言っても、和史くんのママは、
中村吉右衛門のお嬢さんですから、お家柄としては超一級ですね。
現在は、父自らお稽古を施しているようです。
続いて祖父菊五郎です。
「今のまま、まっすぐ育ってくれれば、まずよい」
と孫の成長を喜ぶ表情を見せています。
それとともに、伝統芸能である歌舞伎を、
次代を背負う若手に引き継いでいかなければならないお役目、
それを念頭に置き、
自分も教えられることは教えたいという話もしていました。
さらには、
歌舞伎は綿々と受け継がれながら発展してきていることにも触れ、
「歌舞伎に対する感謝、これは誰にも忘れてほしくないと思っております」
と歌舞伎への想いを大切にして欲しいことも加えていました。
可愛い孫が、今後は弟子にもなっていく、
そこは嬉しくもあり、ちょっと悲しくもありなのかなあと、
親子で師弟となる複雑な心境を、
私は重ねて見てしまいました。
*徹子の部屋に和史くんと菊之助が出演!
祝い幕にポスター発表、お祝いムード高まる歌舞伎座
丑之助襲名に合わせて、祝い幕を、
スタジオジブリの宮崎駿監督に書いていただいたそうです。
躍動感あふれる牛若丸と、どっしりとした弁慶が居並ぶ祝い幕、
これを見た時の和史くんの喜びようはとても大きかったと言います。
「これ僕?」
と、何度もきいたそうです。
そして、この弁慶の恩恵?で、
菊之助は、当初の予定だった御厩鬼三太役はなく、
武蔵坊弁慶を初役で勤めることにもなったのだそうです。
菊之助の弁慶?
かなり意外ですが、それも見どころの一つになりそうです。
ポスターも完成したとのことで、
すでに歌舞伎座には張り出されているようです。
牛若丸の衣装をつけ、化粧を施した和史くんが、
キリリとした表情でポーズをとるポスターです。
これがでちゃったら、
他の役者のポスターは霞んじゃいますよね。
5月に向けてのお祝いムードも期待も高まります。
丑之助初舞台となるのは「絵本牛若丸」
最後に、「絵本牛若丸」について触れましょう。
物語の舞台は、桜が満開の鞍馬山です。
鬼一方眼(中村吉右衛門)と吉岡鬼次郎(尾上菊五郎)に
付き添われて鞍馬山へやってきた牛若丸(尾上丑之助)。
源氏再興のため、奥州へ旅立つ牛若丸に
武蔵坊弁慶(尾上菊之助)が付き添うことになります。
そこに平家方の郎等が現れ、
源氏を根絶しようと襲いかかってくるのですが・・・
という筋書きのようです。
共演には、市川海老蔵や尾上松緑、市川左團次・・・
と豪華な面々が連なります。
お祝いムードいや高まる、魅力的な一幕になりそうです。
もちろん、私はチケット手配済みです。
新たなスターの門出を祝って、いっぱい拍手を送りたいです。
團菊祭については、今後もレポートをしていきますね。
今日も読んでくださり、ありがとう存じまする。
よかったら、平成最後の海老蔵公演もどうぞ
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