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南座牡丹燈籠(歌舞伎)の感想、上演時間、玉三郎と愛之助の熱演が見もの

観劇レポート
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京都南座で上演されている

「怪談牡丹燈籠」を観劇しました。

坂東玉三郎さん、片岡愛之助さんは、

最近共演が続いている顔合わせですが、

「牡丹燈籠」は初めてのご共演。

約2時間のお芝居をたっぷりと堪能しました。

https://twitter.com/kyotominamiza/status/1686985110900572160



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南座牡丹燈籠(ぼたんどうろう)のあらすじと配役

牡丹灯籠のあらすじ

浪人、萩原眞三郎に一目惚れしたお露は

恋がれ死にし、乳母のお米も後を追い自害してしまいます。

新三郎が、お露の菩提を弔っているところに

牡丹灯籠を下げたお米とお露がやってきます。

お露の父が嘘をついたというお米の言葉に

お露は恋しい新三郎とひと夜を過ごします。

しかし、

2人は幽霊で、

とり殺されることを恐れた新三郎は

家中にお札を貼ります。

お米は、新三郎の下男伴蔵に

お札を剥がすことを頼み、

伴蔵は女房のお峰の言葉の通り、

100両くれたら剥がすと約束します。

その通り、100両を手に入れた二人、

伴蔵がお札を剥がすと

お米とお露は新三郎の家に入り込み

取り殺してしまいます。

幽霊からもらった100両を元手に、

伴蔵夫婦は、郷里の栗橋に帰って

商いを始め、大成功を収めます。

穏やかに暮らしていたその先、

笹屋の酌婦お国に伴蔵が入れ込んでしまいます。

そんな折、

江戸での知り合いおろくが

お峰を頼ってきます。

お峰は、お禄を店におくことにします。

帰ってきた伴蔵に

お峰はお国のことを問いただします。

だんだんと言い合いが強くなり

出てけ!出ていくわ!

とヒートアップ、

しかし、今までお峰が尽くしてくれたことを

思い起こして仲直りをします。

が、そこに

お米が乗り移ったおろくが、

そしてお峰までお露の言葉を話し、

恐ろしくなった伴蔵は

二人を刺してしまうのです。

狂ったように夜道を走っていく伴蔵でした。

*牡丹灯籠の詳しいあらすじはこちらにも書いています。

南座の公演とはちょっと違いますが読んでみてくださいね。

牡丹燈籠(歌舞伎)のあらすじ、結末、作者、落語との違いは?
夏になると、怪談もののお芝居が見たくなりますよね。 歌舞伎の怪談ものでも有名なのが 「牡丹灯籠(ぼたんどうろう)」です。 幽霊が恋しい人を訪ねる、、あのお話。 ほとんどの人は、その幽霊登場場面しか ご存知ないかもしれませんが、 その先の、人...



牡丹灯籠の配役

伴蔵女房お峰 坂東 玉三郎

伴蔵     片岡 愛之助

萩原新三郎  喜多村 緑郎

お露     中村 玉朗

お梅     上村 吉太郎

馬子久蔵   坂東 功一

お国     河合 雪之丞

お六     中村 歌女之丞

乳母お米   上村 吉弥



京都南座牡丹灯籠の上演時間は?

南座の坂東玉三郎特別公演「怪談牡丹燈籠」は

全日14時からの1回公演です。

初日は8月3日(木)、千穐楽は27日(日)です。

休演日は9日(水)15日(火)22日(火)の3日間です。

公演のタイムスケジュールは以下の通りです。

第一幕 14時~15時5分
第二幕 15時25分~16時25分

幕間は20分なので、

時間的にお弁当を食べる余裕はなかったです。

お菓子やお茶を摘んだり

お土産を選んだり、

劇場見物をしたり、

そんな時間を楽しむといいと思いますよ。

私は、トイレと劇場散歩して

おやつを食べたら終わっちゃいました。



怪談牡丹燈籠(南座)の感想

坂東玉三郎特別公演と題された

「怪談牡丹灯籠」の感想です。

牡丹灯籠というと、

カランコロンという下駄の音と共に現れる

お露の幽霊と取り憑かれる新三郎のストーリーを

思い浮かべてしまいます。

が、歌舞伎の場合は、

こちらは前段で、

主人公は新三郎の下男夫婦

伴蔵とお峰なんです。

幽霊と交渉して100両を手に入れた二人が

その後辿った運命が

お芝居として描かれています。

原作が落語なので、

途中、笑える場面もたくさんあるんです。

シリアスな話なのに、おかしみがある、

これは落語原作のお芝居の長所ですね。

第一幕は、

幽霊と交渉する伴蔵夫婦の様子が

滑稽に描かれます。

ブルブル震え、腰を抜かしそうになりながらも

お酒の力に頼って交渉する伴蔵。

知恵はつけるけど

幽霊は怖いと押し入れに隠れてしまうお峰。

元々は悪い人たちじゃないんですよね。

ただ、貧しい生活の中で

ちょっとでも夢を見られたら、、、

そんな気持ちで100両って切り出したんだと思うのです。

 



道徳的には、

主人を裏切っていいのか?っていう場面ですが、

新三郎もお露と道を共にしたかったのかも、、と

思わせるのでね。

牡丹燈籠とともに、100両が降ってきた時の

2人のたまげ様は一幕目の見どころです。

玉三郎さんは

とても美しい女方ですが、

このお峰は、どこにでもいる市井の女性で、

女性ならではの感情の移り変わりを

細やかに演じていらっしゃいます。

この場面は、たまげた2人のおかしさが

想像だにしなかったことが現実とな武完驚きが、

後ろめたさとか恐ろしさを飛び越えて、

欲に突っ走る様子をリアルに感じさせる場面です。

たま様の

「手が震えて、、、、数えられない、、」

「ちゅうちゅうたこかいな、、、」

というセリフ、

なんであんなにおかしいんだろう?

普段の玉三郎さんとのギャップもあるのかもしれません。

驚きぶりに臨場感があるってことも

引き込まれる要因なのかもしれないですね。

 



二幕目は、打って変わって

大店の主人とお上さんになった伴蔵とお峰が

登場します。

あの貧乏ったらしい姿は微塵もありません。

でも、しっかり者のお峰は健在、

伴蔵の浮気の証拠を

馬子の久蔵を騙してうまく掴み取ります。

このやりとりも

観客はお峰の魂胆がわかっているので

ニヤリとしながら見られる1シーンです。

お峰は寂しかったんだと思います。

商売が成功して豊かになったけれど

伴蔵がその影響で女に入れ上げて

2人の交流も冷めてしまったんでしょうね。

貧乏暮らしの時は

喧嘩もしたけれど

結局はお互いを頼るしかなかったから、

その分強い絆を感じられていたと思うのです。

だけど、

豊かになったら男はそんな昔のことは

忘れて、目の前の欲望に飛びついちゃうんですね・・・。

まあ、器が小さい人が

大きな器を手に入れて自分を見失っている

とも思えるんですけどね。

正し、この女というのが

お露の父を手にかけた因縁のある女であるということは

このお芝居では明かされず、

お梅との関係も源次郎も登場しません。

単なる酌婦としての登場です。

ここを描かないのは時間の関係もあると思いますし、

伴蔵夫婦のエピソードとして

お芝居を完結させる意図もあったのだと思います。

 



事実を知ったお峰は

伴蔵を問い詰めて、

段々とそれがヒートアップしていきます。

お峰には、先も書いたように

貧乏な頃から尽くしてきた自分に対する関心を

伴蔵が失っていったことが悲しくて悔しかったんでしょう。

これは、女性の業ですよね。

冷めてしまった夫の気持ちを取り戻したい、

女としての幸せを手に入れたい、

そんなところからの

涙ながらの訴えもひしひしと伝わってきました。

対する伴蔵は、情けない男代表のようです。

結局はお峰にやり込められて

お国と別れるともいうのですが、

おろくという過去の自分を知る存在を

受け入れることができないんです。

昔も今も変わらない、今を生きるお峰と、

過去を切り捨て今だけを見たい伴蔵、

ここにも2人のすれ違いがあったのですね。

そんな心の隙につけ込むかのように

飛んできた牡丹燈籠、、、

おろくとお峰に

お米とお露の姿を見て伴蔵は錯乱します。

せっかく手に入れた幸せも

己の手で壊してしまう、

哀れな男の姿が最後には残りました。

以前見たお芝居とは

幕切れが違うのも演出ですね。

結局人は、自分が侵した罪からは逃れられない、

そんなことを感じた幕切れでした。

坂東玉三郎さんのお峰は貫禄たっぷりで

現実にこんな女性いるよなって思える存在でした。

伴蔵は初役の愛之助さん、

感情表現が多少過剰じゃないかって思う場面もありましたが、

その塩梅は今後お芝居を重ねる中で

磨かれていくのでしょうね。

松島屋の立役としての実績と実力をつけていく過程で

坂東玉三郎さんとの共演はすごく糧になられるだろうと推測しています。

松島屋の2枚目として

これからのお芝居に期待したいなとも思えました。

読んでくださり、ありがとう存じまする。



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