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東京国際映画祭特別上映「シネマ歌舞伎女殺油地獄」松本幸四郎が舞台挨拶に登場!

公演情報
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11月2日の東京国際映画祭で、特別上映作品である

「シネマ歌舞伎女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」の

舞台挨拶と特別上映が行われました。



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「シネマ歌舞伎女殺油地獄」のあらすじ

約300年前の実在の事件を基にした 若者の孤独と狂気の物語です。

近松門左衛門が描く、現代にも通じる若者の心理や親の情、

殺しの場面などみどころの多い世話物の名作です。

油屋を営む河内屋の次男与兵衛は、

放蕩三昧で喧嘩沙汰を起こしてばかりです。

借金の返済に困り、親からも金を巻き上げようとし、

さらに継父・徳兵衛や妹にまで手をあげる始末。

見かねた母・おさわが勘当を迫ると自棄を起こして家を飛び出すのだが、

借りた金の返済は迫り途方に暮れてしまいます。

あてもなく彷徨う与兵衛が向かったのは、

同業の油屋 豊嶋屋の女房お吉のもとでした。

一方、徳兵衛とおさわも、お吉を訪ね、

与兵衛を家に帰るよう諭してくれと涙ながらに頼み、

銭を預けて帰って行きます。

このやりとりを物陰で密かに聞いていた与兵衛は、

その親心に涙を流し、銭を受け取りますが、

借金額にはまだ程遠い。。。

もう親に迷惑はかけられないと思った与兵衛は、

お吉に不義になって金を貸してほしいと迫るが、

断られてしまいます。

金の無心をあきらめ、

それならば油を貸してほしいとお吉に頼む与兵衛。

背を向けたお吉に刃を向けるのです。

お吉を殺して店の金を奪った与兵衛は、

夜道を逃げていきます。

時を告げる鐘の音が響いたそのとき、

心にとりついた一瞬の闇が与兵衛を

狂気に駆り立てる――

その一瞬をお見逃しなく

十代目松本幸四郎襲名記念シネマ歌舞伎『女殺油地獄』予告篇
新・#幸四郎と#猿之助 が魅せる、若者の孤独と狂気の物語―あの衝撃の事件を未だかつてない鮮烈な映像で描く―!#女殺油地獄 作品詳細:

*本作品については、こちらにも書いていますのでよかったらお読みくださいね。

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今回のお芝居はここまでです。

2018年の7月に大阪松竹座で

上演された歌舞伎と新たに撮影した部分を

このシネマ歌舞伎という作品に

仕立てたものでした。

ちなみに後日談として、

与兵衛はお吉を殺して得た金で

またしても遊びまわります。

お吉の35日の通夜に豊島屋に、

何食わぬ顔をして現れるのです。

しかし、そこへ与兵衛手によって書かれた

血染めの紙片が落ちてきます。

それがお吉殺しの動かぬ証拠となり、

与兵衛は捕らえられるのです。

 



松本幸四郎、舞台挨拶で「歌舞伎の新たなジャンル」と作品をPR

主演の松本幸四郎が、舞台挨拶に登場しました。

アナウンサーの笠井信輔氏が、

幸四郎に質問をし、それに応える形で、

作品について説明をしていきました。

国際映画祭らしく、英語の通訳もあり、

そちらを聞くのもまた面白かったです。

ちなみに、この作品の英語タイトルは、

「Murder in a Hell of Oil」

この作品は、実際の舞台を撮影した部分と、

観客を入れずに舞台にカメラを置いて撮った部分を

組み合わせて仕上げたものだそうです。

オープニング、幕が開き観客の拍手とともに、

お芝居が始まるところは、

舞台を見ているかのような錯覚さえ感じました。

観客が入らなかったのは、

クライマックスの豊島屋の場、殺しの場面です。

カメラ3、4台を舞台に設置して、

2人の姿を撮影していったそうです。

これは、

与兵衛(幸四郎)とお吉(市川猿之助)の緊迫したシーンを表現するため、

息遣いや着物が擦れる音なども録音するため、

観客だけでなく、義太夫までも取りくという念の入れようです。

最後は、花道を駆けていく与兵衛を映してジ・エンド。

そこはまた舞台に戻り自然に拍手が湧き上がりました。

幸四郎は、

舞台から実際の豊島屋に入り込んだ気分になり、

また芝居へと戻ってくる、

そういう演出にもなっていると言っていました。

「与兵衛はしょーもない男、それを演じる時に心がけたことは?」と

いう質問には、

「僕もしょーもないと男だから、僕自身を演じている」

と答えて、会場を沸かせながらも、

「与兵衛は人間的に破綻しているが、それが魅力でもある。

遊ぶ時も、怒る時も、謝る時も、とにかく常に100%。

それを心がけて、全ての瞬間を与兵衛でいられるように気をつけた」と

役作りについて語っていましたよ。

最後に、シネマ歌舞伎については、

「シネマ歌舞伎は歌舞伎の新たなジャンル。

監督とシネマ歌舞伎の可能性について話し合ったものの

1割も形にできていない。

その歴史の始まりを楽しんでいただきたい」

と語り、

更には実際の舞台よりも面白い、

とまたしても笑いで挨拶をしめました。



「シネマ歌舞伎女殺油地獄」の感想

シネマ歌舞伎は、確かに新しいジャンルだというのが

まず感じていることです。

私は、

劇場に足を運び、遠目を凝らして

役者の姿や声から想像力を働かせ、

芝居の世界に入るのが好きなんです。

だから、それが映像になるとどうなのかな?

という印象はありました。

でも、観始めると、

グイグイ、スクリーンに引き込まれていきました。

遠目ではわからなかった、

役者の表情の小さな変化、声音を間近に捉えられたことで、

正に「目撃者」になっているような気分でした。

河内屋での親子の確執の場、

豊島屋での両親の心の吐露の場、

両親の口惜しさ、悲しさとどこか空虚な与兵衛が、

空回りしているもどかしさ、切なさを

ひしひしと感じることができました。

殺しの場面では、

カメラワークの効果が緊迫感をいや増して、

ストーリーを知っていてもハラハラしました。

一瞬でも見逃したくない、

役者の視線、表情、息遣い、、、・

最初は恐怖に怯えていた与兵衛。

それが快楽へと変化していく姿に、

破綻した人間が本能のまま生きている様子を

演じたいと幸四郎さんがおっしゃっていた通りの、

与兵衛の狂気と哀れがスクリーンから伝わってきました。

猿之助のお吉も

最後は母として子の名前を呼びながら逃れようとする姿が、

見ていて苦しくなりました。

大きく感情を表さないだけに、

その無念さも伝わってきました。

舞台ではそれほど感じなかったのですが、

シネマで観ると、このドラマは、

現代にも通ずるテーマがあると感じました。

人の業とは未来永劫、変わらないものなのかもしれないと

見終わった後に思いました。

歌舞伎は人間ドラマなのだとしみじみ思った作品です。

この「シネマ歌舞伎女殺油地獄」は、

11月8日から一般の映画館でも上映予定です。

読んでくださり、ありがとう存じまする。



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