10月28日、東京国際映画祭のオープニングセレモニーに、
歌舞伎役者松本幸四郎が出席し、レッドカーペットを歩く姿が
報じられました。
「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」が
シネマ歌舞伎としては初めて、
東京国際映画祭で上演されることになったのです。
シネマ歌舞伎とは、歌舞伎なの映画なの?
「シネマ歌舞伎」は、歌舞伎の舞台公演をHD高性能カメラで撮影し、
スクリーンで上映するという、
松竹が開発した、映画とは全く異なる新しい映像作品です。
「美」と「臨場感」に徹底的にこだわり、
劇場で生の歌舞伎を観ているかのような感覚を再現することを目指しているそうです。
開発を始めたのが、2003年春より。
2005年に第1作『野田版 鼠小僧』が公開されてから、
これまでに30作以上の作品を公開されています。
この開発に関心を示していたのが、
故十七代目中村勘三郎です。
第1作の「野田版 鼠小僧」は、
野田秀樹と中村勘三郎がタッグを組んだ歌舞伎ニュースタイルの作品、
今観ても新しくて古典的です。
そのシネマ歌舞伎のオススメの演目を、
毎月上映する試みとして、
月イチシネマ歌舞伎が行われています。
シネマ歌舞伎、おもしろそう~と思った方、
こちらの記事もお読みくださいね。
「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」の上映は、
11月8日(金)~28日(木)です。
シネマ歌舞伎 女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)とはどういう作品か
では、今回上映される作品
「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」について紹介します。
女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)のあらすじ
実在の事件を基にした 若者の孤独と狂気の物語です。
近松門左衛門が描く、現代にも通じる若者の心理や親の情、
殺しの場面などみどころの多い世話物の名作。
油屋を営む河内屋の次男与兵衛は、
放蕩三昧で喧嘩沙汰を起こしてばかりです。
借金の返済に困り、親からも金を巻き上げようとし、
さらに継父・徳兵衛や妹にまで手をあげる始末。
見かねた母・おさわが勘当を迫ると自棄を起こして家を飛び出すのだが、
借りた金の返済は迫り途方に暮れてしまいます。
あてもなく彷徨う与兵衛が向かったのは、
同業の油屋 豊嶋屋の女房お吉のもとだった。
一方、徳兵衛とおさわも、お吉を訪ね、
与兵衛を家に帰るよう諭してくれと涙ながらに頼み、
銭を預けて帰って行きます。
このやりとりを物陰で密かに聞いていた与兵衛は、
その親心に涙を流し、銭を受け取りますが、
借金額にはまだ程遠い。。。
もう親に迷惑はかけられないと思った与兵衛は、
お吉に不義になって金を貸してほしいと迫るが、
断られてしまいます。
金の無心をあきらめ、
それならば油を貸してほしいとお吉に頼む与兵衛。
心を鬼にして断るお吉に刃を向けるのです。
お吉を殺して店の金を奪った与兵衛は、
その金でまたしても遊びまわります。
お吉の35日の通夜に豊島屋に、
何食わぬ顔をして現れるのです。
しかし、そこへ与兵衛手によって書かれた
血染めの紙片が落ちてきます。
お吉殺しの動かぬ証拠と、
与兵衛は捕らえられるのです。
時を告げる鐘の音が響いたそのとき、
心にとりついた一瞬の闇が与兵衛を
狂気に駆り立てる――
その一瞬をお見逃しなく
さらに知りたい方はこちらをどうぞ
シネマ歌舞伎女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)の主な登場人物と配役
河内屋与兵衛(かわちやよへえ):松本 幸四郎
大坂本天満町の油屋河内屋の次男。世間でも評判の道楽者で、実の母親にも手を上げ、ついに勘当される。その陰で親の情に触れ改心のきっかけをつかむが、節季の夜に多額の借金を返さねばならず、追い込まれてお吉に借金を申し込んだ上、断られると最後は衝動的に殺してしまう。
お吉(おきち):市川 猿之助
河内屋の筋向いにある同業者の豊島屋の女房。乳飲み子をふくめ幼い三人の子の母。美人で気立てもよく、夫との仲も良いできた妻だが、与兵衛に親切にしたのがきっかけで最後には殺される憂き目を見る。
おかち:中村 壱太郎
徳兵衛とおさわの間に生まれた娘で、与兵衛の父親違いの妹。婿をとって河内屋を継ぐことになっているが、与兵衛が店を継げるように企んだ芝居に乗ってしまう。
小菊(こぎく):市川 高麗蔵
曽根崎新地の遊女(歌舞伎では芸者とされることが多い)。与兵衛の馴染。
おさわ:坂東 竹三郎
与兵衛の実母。武家の出身で先代徳兵衛の女房だったが、先代の没後に店と幼い二人の息子を守るため、番頭だった現在の徳兵衛と再婚した。与兵衛のあまりの非道ぶりに気丈に勘当を言い渡すが、息子を心配して与兵衛が立ち寄りそうな豊島屋に銭五百文を預けに行く。
豊嶋屋七左衛門(てしまやしちざえもん):中村 鴈治郎
豊島屋の主人でお吉の夫。お吉が与兵衛に親切にしたのを見て、嫉妬した様子を見せる。
河内屋徳兵衛(かわちやとくべえ):中村 歌六
河内屋の当主。温和で義理堅い性格。もとは先代の徳兵衛に仕えていた番頭で、先代没後に婿となり店を継いだ。先代生き写しの義理の息子の与兵衛を甘やかし、増長させてしまった。ついには実母おさわにまで手を上げた与兵衛の勘当に同意するが、やはり息子可愛さでおさわとは別に豊島屋に銭三百文を預けに行く。
主演の松本幸四郎、市川猿之助について
主役を演じる松本幸四郎と市川猿之助は、
実は同級生です。
2人のコンビによる舞台は数多く、
息のあった演技で観客を楽しませてくれています。
十代目松本幸四郎について
十代目松本幸四郎プロフィール
松本幸四郎 本名:藤間 照薫(ふじま てるまさ)
松本流三世家元:松本 錦升(まつもと きんしょう)
生年月日 1973年1月8日
出身地 東京
血液型 AB型
家系 父:二代目松本白鸚、母:藤間紀子、姉:松本紀保(女優)、妹:松たか子(女優)、
妻:藤間園子、子:八代目市川染五郎(本名:藤間斎)・松田美瑠(藤間薫子)
屋号 高麗屋
定紋 三ツ銀杏
身長 176cm
趣味 野球
初舞台 三代目松本金太郎 1979年 「任客春秋笠」(歌舞伎座)
襲名 七代目市川染五郎 1981年 「仮名手本忠臣蔵」7段目 大星力弥役・他(歌舞伎座)
十代目松本幸四郎 2018年 「勧進帳」武蔵坊弁慶役・他(歌舞伎座)
当たり役 「勧進帳」 武蔵坊弁慶役
「恋飛脚大和往来」亀屋忠兵衛役
「東海道中膝栗毛」弥次郎兵衛 など
現代劇・映画 「アマデウス」モーツァルト役・「陰陽師」安倍晴明役 など
歌舞伎だけではなく、現代劇もドラマも映画も、幅広く役を演じている方です。
それも2枚目役が多く、色悪や悪党を演じたらかなりハマります。
幹部役者として大きな舞台の座頭も期待されます。
息子の八代目市川染五郎は今をときめくプリンスとして大人気です。
詳しくはこちらもご覧くださいね。
市川染五郎が気になる方は、こちらもご覧くださいね。
父の松本白鸚については、こちらもご覧くださいね。
四代目市川猿之助について
四代目市川猿之助のプロフィール
四代目市川猿之助 本名:喜熨斗 孝彦(きのし たかひこ)
生年月日 1975年11月26日
血液型 O型
最終学歴 慶応大学文学部卒業
家系 父:市川段四郎、伯父:市川猿翁(三代目市川猿之助)、祖母:高杉早苗(女優)、従兄弟:市川中車(香川照之)
屋号 澤瀉屋
定紋 澤瀉
身長 161 cm
体重 61 kg
初お目見え 1980年「義経千本桜」安徳天皇役
襲名 二代目市川亀治郎 1983年「御目見得太閤記」禿役
四代目市川猿之助 2012年「義経千本桜」忠信実は源九郎狐役、「ヤマトタケル」ヤマトタケル役(新橋演舞場)
当たり役 「義経千本桜」忠信実は源九郎狐役
「かさね」腰元かさね役
「ヤマトタケル」ヤマトタケル役
「ワンピース」ルフィ役
スーパー歌舞伎の生みの親である三代目市川猿之助(現猿翁)は、
叔父に当たります。
その息子が市川中車でもある香川照之さんです。
つまり、二人は従兄弟同士なんですよ~。
詳しくはこちらもご覧くださいね。
*現在大ヒット中の
スーパー歌舞伎Ⅱ新版オグリについてはこちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね。
松本幸四郎、東京国際映画祭オープニングセレモニーにも出席
映画祭:東京国際映画祭が開幕 オープニングは「男はつらいよ お帰り 寅さん」[写真特集10/10]- 毎日新聞 https://t.co/Z3YLdBbz5H
— kabukist (@kabukist1) October 29, 2019
10月28日、東京国際映画祭のオープニングセレモニーに、
松本幸四郎が出席し、
紋付袴でレッドカーペットを歩きました。
会場からは、
「高麗屋!」の声もかかりました。
幸四郎は、同映画祭で上映される「女殺油地獄」について、
「この作品は非常にドラマ性の強い作品ですので、
そういう意味では1人ひとりの登場人物の繊細な表情の変化というのを感じていただける、
これはシネマ歌舞伎でないと、映画館の大スクリーンではないと感じることのできないもの。
新たな歌舞伎の見方が誕生しました」と
力強く語りました。
確かに予告動画では、
感情の変わり目が視線の動きで表現されていたり、
言葉にしない思いを表情が伝えていたり、
シネマだから、、、というシーンが見られました。
さらに映画ファンへ向け、
「シネマ歌舞伎によって歌舞伎の魅力、そして歌舞伎という演出の演劇、
ドラマというものを感じていただければ」
とメッセージも送っていました。
幸四郎さん、とっても嬉しそうでした。
意外と無邪気なところがおありなんですよね、
シネマ歌舞伎女殺油地獄は、
東京国際映画祭において特別上映作品として、
上映されます。
当日は、俳優(松本幸四郎)の舞台挨拶もある?
という話もあります。
上映日時 11月2日(土)14時50分(開場は14時30分)から
上映館 TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン2
チケット販売 一般2100円
オンラインサイトから購入できます。
上映に関する情報はこちらをご覧ください。
私も観に行きますよ!
そうしたら感想も追記しますね。
読んでくださり、ありがとう存じまする。
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