歌舞伎の「お祭り」は舞踊劇の一場面です。
華やかなまつりの情景と、かっこいい鳶頭(とびがしら)、
江戸の粋な風情が楽しめる人気の演目です。
歌舞伎「お祭り」は舞踊劇の一場面
歌舞伎で「お祭り」と言われているのは、
舞踊劇『再茲歌舞伎花轢』(またここにかぶきのはなだし)の
一場面のことです。
題材となっている、江戸山王祭とは、
赤坂の日枝神社の代表的な祭礼です。
これは、将軍も見物したことから、
神田明神の神田祭とともに、「天下祭り」と言われているそうです。
江戸時代に、
江戸城を守護すると言われていた
神田明神と日枝神社、
ここの祭は、一年交互に執り行われ、
江戸庶民の楽しみでもあったと言います。
この舞踊を支える音楽が清元です。
清元とは、浄瑠璃の一種(三味線の音楽に合わせて詞を語ること)で、
明るく軽やかなタッチで、お祭りを盛り上げます。
この歌詞に合わせて
登場人物が踊り、セリフを挟みながら、描く江戸の風情を
楽しむことができる演目なのです。
2019年9月秀山祭の様子
2020年1月日本の芸能より
歌舞伎「お祭り」のあらすじと登場人物
歌舞伎「お祭り」のあらすじ
赤坂日枝神社の山王祭は、
神田祭とともに一年交互に催される
江戸庶民が心待ちにしている盛大なお祭りです。
今日は、その祭礼の日。
町内は、屋台囃子が鳴り響き、
人々もいそいそと嬉しそう、
大層な賑わいぶりなのです。
そこへほろ酔い気分の鳶頭がやってきます。
あたりからは「待ってました」の声。
「待っていたとはありがてえ」と返し、
粋に踊り始めます。
いい気分の鳶頭は、
昔の馴染みの女の惚気話や、
都々逸などを聞かせながら、
粋な様子で踊り続けます。
そこに、大勢の若い者が打ち掛かってきますが、
それをあしらい、なおも祭りの賑わいを楽しむのでした。
歌舞伎「お祭り」の登場人物
登場人物は、その興行によって
いくつかのパターンが変わります。
鳶頭が単一で踊る場もあります。
芸者や、若い者が一緒に絡む場合もあります。
いずれにしろ、
鳶頭の舞の最中に、いらん輩が乱入するのが
よくあるパターンです。
ここ何年間の舞台を調べると、
芸者が主人公になった舞台もありました。
また、鳶頭に、名前がつくときは、
名前か屋号から一文字を当てているようです。
最近では、
中村梅玉が、鳶頭梅吉。
片岡仁左衛門が、鳶頭松吉と名乗っていました。
歌舞伎「お祭り」の名セリフ「待ってました!」「待っていたとは・・・」
歌舞伎「お祭り」と言えばの名セリフがあります。
それが、
「待ってました!」
「待っていたとはありがてえ」
のやりとりです。
通常、この「待ってました」を大向こうがかけ、
役者がそれに返す、という流れになっています。
大向こうとは、
3階席や幕見席から、
役者の登場、見得、台詞に合わせて声をかけ、
芝居を盛り上げている、歌舞伎応援団(?)の方達の事です。
それなりに流儀もあるようで、
単独でというよりも
会に所属して活動している方がほとんどだと思います。
その大向こうにとっても、
この演目は、かけ声が命のようなものです。
私は、このセリフ言ってみたいなあと
憧れてはいますが、
芝居をぶち壊しそうなので、心の中で言うようにしています!
コロナが収束して劇場が再開されたら、
この「お祭り」をぜひ上演していただきたいって思っています。
「待ってました~~!」
って心の中で叫びます!!
28日(日)録画決定!https://t.co/vz7jx6WAMM
— kabukist (@kabukist1) June 25, 2020
読んでくださり、ありがとう存じまする。
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