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土蜘蛛【歌舞伎】のあらすじ、膝丸、源頼光との関係は?

歌舞伎演目
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土蜘蛛(つちぐも)は歌舞伎の演目です。

前半のわけあり登場人物がしかける罠と後半の蜘蛛との激しい立ち回りが見どころの歌舞伎演目です。

元々は古代の民族の一種だったようですが、中世の英雄源頼光の伝説をもとに作られた舞踊劇です。

そのあらすじ、登場人物などを紹介します。



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土蜘蛛(つちぐも)【歌舞伎】とはどういう演目?

土蜘蛛は、能が原作です。

平家物語の中の、源頼光の土蜘蛛退治の話をもとにしています。

これは、1887年に5代目尾上菊五郎が、市川團十郎家の歌舞伎十八番に対抗して作ったという

新古演劇十種の1演目です。

新古演劇十種とは、菊五郎が創作した、妖怪変化の舞踊演目を集めた、

尾上菊五郎の家の芸になります。

他に、

・一つ家

・羅漢

・刑部姫

・古寺の猫

・茨木

・戻橋

・菊児童

・羽衣

・身替座禅

があります。

さて、この土蜘蛛ですが、中世に活躍した源頼光の

家宝の名刀膝丸を持っての土蜘蛛退治がストーリーの見せ場になっています。

土蜘蛛は、僧智籌 との二役を演じることが多く、

劇中の早替わりやその間をつなぐ狂言など、

見どころの多い演目です。



土蜘蛛【歌舞伎】の簡単なあらすじ

源頼光の館では、主人頼光が重い病に耽り、

それを心配する家臣らが色々と気を揉みながら世話をしています。

そこに、家臣の一人、平井保昌がお見舞いに訪れます。

病状が話ができるまでに回復した頼光が、

病にかかった顛末を保昌に話して聞かせます。

侍女の胡蝶は頼光に薬を運ぶ役目で、典薬の頭から下された薬を持ってきます。

頼光の求めに応じて、都の紅葉の様子を描いた舞を披露します。

にわかに、苦しむ頼光の傍に、一人の男が佇んでいます。

それは、比叡山より来た僧の智籌でした。

僧は、頼光の病平癒のための祈祷を始めます。

にわかに頼光のそばに近づく智籌の影が怪しいことに

太刀持ちの音若が気づき声をあげます。

智籌は、自分が土蜘の精であることを明かし、襲い掛かります。

頼光は、家宝の名刀膝丸で斬りつけると、なおも襲おうとする土蜘蛛も、

膝丸の威力に叶わず退散します。

そこへ駆けつけた保昌はじめ家臣たちと共に、頼光は土蜘の精を追うのでした。

頼光館の庭では、巫女や従者が土蜘退治にちなんだ踊りを披露します。

勇ましいというよりも滑稽なやり取りに緊張がほぐれます(間狂言)。

さて、頼光、保昌、四天王たちは土蜘の住処を突き止め

激しい戦いを繰り広げます。

日本を魔界にしようと目論む土蜘蛛は、

その手始めに頼光を襲ったことを白状します。

しかし、その妖力を振るうも最後は保昌らに斬り伏せられ最期を迎えるのでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

源頼光と土蜘の精の戦いは、ほかの物語にもその姿を見ることができます。

この「土蜘」は音羽屋のお家芸ということで、

土蜘蛛をお家代々の芸として大事に演じているそうです。

早替わり後の激しい戦いは、蜘蛛の糸や立ち回りが華やかで、

最後までドキドキしながら見られる演目だと思います。



土蜘蛛【歌舞伎】の登場人物

では、「土蜘」に登場する主な登場人物を紹介します。

比叡山の僧智籌/実は土蜘蛛の精(ひえいざんのそうちちゅう/つちぐものせい)

日本を魔界にすべく、源頼光の命を狙う。僧に姿を変え、襲おうとするが、正体を見破られ斬りつけられる。

源頼光(みなもとのよりみつ/らいこうとも読む)

中世の英雄。大江山の酒呑童子退治で知られる。原因不明の病にかかり臥せっているところを土蜘蛛に襲われるが・・・

平井保昌(ひらいやすまさ)

頼光の家来で見舞うところに僧に姿を変えた土蜘蛛に遭遇。共に退治に向かう。実在の人物。

渡辺源次綱(わたなべげんじつな)

頼光の四天王といわれる家臣の一人、鬼退治伝説では鬼の腕を斬り取った武将としても名高い。

坂田公時(さかたきんとき)

頼光の四天王といわれる家臣の一人。金太郎の成長した姿

碓井貞光(うすいさだみつ)

頼光の四天王といわれる家臣の一人。金太郎を見出した人物と言われる。

ト部季武(とべすえたけ)

頼光の四天王といわれる家臣の一人

音若(おとわか)

頼光の太刀持ち、土蜘蛛の正体に気づく

胡蝶(こちょう)

頼光に使える侍女。慰みに舞を見せる

 

史実に名を残す登場人物も多く、この話が昔の人には馴染み深いものだったんだろうなって想像します。

個人的には、頼光はイケメン役者が演じて欲しい役です。

 



土蜘蛛【歌舞伎】膝丸・源頼光の土蜘蛛退治伝説とは?

先にも書きましたが、この物語は、中世の英雄源頼光の伝説の一つとして語られることも多いです。

源頼光は実際に存在した人物で、土蜘伝説も確かに神話の中に見られますが、

両者の関係は定かではありません。

しかし、土蜘の話は物語や戯曲に取り入れるようになり、

いつからか妖怪として定着していったそうです。

「平家物語」の中には、「剣巻」で「山蜘蛛」という名で、

源氏に由来する「蜘蛛切り」という刀に由来した物語として知られるようになったそうです。

この芝居で登場する僧については、身長7尺(約2.1m)の怪僧として描かれ、

まさに妖怪物語にぴったりですね。

この中でも、頼光が膝丸げ斬りつけ、僧は退散したそうです。

翌日、頼光や四天王らが血痕を追いかけたところ、

北野神社裏手の塚にたどり着き、

そこには全長4尺(約1.2m)もの巨大な山蜘蛛がいたそうです。

そこでも膝丸の威力がものを言い、山蜘蛛を退治。

それ以来、膝丸は「蜘蛛切り丸」という異名もついたそうですよ。

源頼光といい、四天王といい、ちょーかっこいい伝説ですね。

そういういかにもあったような?

でも、創作のような?そんな物語は、

当時の人たちにとっては格好の芝居のテーマだったのでしょうね。

私は、妖怪ものは得意ではないのですが、

歌舞伎の「土蜘蛛」は楽しく見ることができます。

歌舞伎舞踊とスリリングな立ち回り、物語を楽しめる演目とおすすめします。

もちろん、音羽屋の芸でみたいですね~。

*音羽屋についてはこちらに書いてあります。

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*こちらは市川猿之助による「蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)」です。

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読んでくださり、ありがとう存じまする。



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