歌舞伎座12月大歌舞伎夜の部の感想!演目、主な配役、ちょっと詳しいあらすじ。ネタバレ注意!

歌舞伎座12月大歌舞伎の夜の部を観てきました。

若手の役者が力をつけ、目を惹く舞台に仕上がっていました。

感想を交えて紹介します。



歌舞伎座12月大歌舞伎夜の部の演目、主な配役とちょっと詳しいあらすじ

【夜の部 午後16時30分開演】

一、神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)福内鬼外 作  頓兵衛住家の場

渡し守頓兵衛 尾上 松緑

娘お舟    中村 梅枝

傾城うてな  中村 児太郎

下男六蔵   中村 萬太郎

新田義峯   坂東 亀蔵

六郷川の矢口の渡し。

渡し守の頓兵衛は、足利と新田の争いで

褒美の金欲しさに足利方の手先となり、

新田義興の溺死に加担した強欲者。

ここへ、義興の弟義峯が恋人である傾城うてなと訪れ、

偶然にも頓兵衛の家に一夜の宿を乞います。

頓兵衛の娘お舟は、気品あふれる義峯にひと目惚れ。

義峯に恋心を明かします。

一方、義峯の素性を知った頓兵衛は、

再び金目当てに、その命を狙おうとするのです。

皆が寝静まった頃に、

床下から刀で突き刺すと、

そこにいたのは身代わりとなったお舟でした。

瀕死の舟は、父に義峯を見逃すよう頼みますが、

そんな舟を蹴り上げ、

頓兵衛は後を追います。

お舟は、最後の力を振り絞り、

捕手の警戒を解くための太鼓を打ち鳴らすのです。

一方、頓兵衛は、

義興の霊が放った矢に射抜かれるのでした。

二、本朝白雪姫譚話(ほんちょうしらゆきひめものがたり)

グリム童話「白雪姫」より 竹柴潤一 脚本

坂東玉三郎 補綴 花柳壽應 演出・振付 花柳壽輔 演出・振付

白雪姫   坂東 玉三郎

鏡の精   中村 梅枝

野分の前  中村 児太郎

従者晴之進 坂東 彦三郎

家臣郷村新吾 中村 獅童

その昔、とある名家の奥方である野分の前が、

大層可愛らしい赤子を授かりました。

白雪姫の誕生を、皆喜びますが、

母親である野分の前だけはつれない様子。

白雪姫が美しくなるにつれ、

自分の美しさが衰えていくのではないか

疑心暗鬼になっていたのです。

なだめる局たちの言葉にも耳を貸そうとしない野分の前が、

何気なく奥殿の鏡に問いかけると、

鏡の精が現れてその美しさを讃えます。

これに気を良くした野分の前は、

いつまでも鏡に自分の美しさを尋ねるのでした。

白雪姫が16歳になり、さらに美しい姫に成長した時、

ついに鏡の精も白雪姫の方が美しくなったことを認めます。

野分の前は白雪姫をやり込めようと

鏡の精の提案を受け、琴の弾きくらべを行います。

しかし、琴の腕も野分の前が、

青ざめるほどの腕前でした。

姫を亡き者にしようと企み

家臣の郷村新吾に、

白雪姫をなきものにせよと命令します。

新吾は白雪姫を山中に連れ出し、

姫を手にかけようとするのですが、

そのあまりの美しさに心を打たれ、ことを為すことができません。

そのまま森の奥深く入っていった白雪姫は、

7人の妖精に救われ、

そこで一緒に暮らすことになりました。

白雪姫が亡くなったと報告を受けた野分の前は、

嬉々として、鏡の精に、

「一番美しいのは誰か」をたずねます。

白雪姫がまだ生きていること、

このままでは自分が一番の美女でいられないことから、

自ら手を下そうとするのです。

その企みにかかり、毒リンゴを食べた白雪姫は、

息が絶えてしまいます。

そのことを悼んだ7人の妖精が見守る中、

輝陽の皇子が現れます。

リンゴの呪いが解けた姫は、

輝陽の皇子に求められ、結婚することになりましたとさ。



歌舞伎座12月大歌舞伎夜の部の上演時間

夜の部の開始時刻は16時30分、途中幕間を挟んで、

終演時間は20時30分過ぎでした。

詳しいタイムスケジュールは以下の通りです。

開演 16時30分

一、神霊矢口渡 頓兵衛住家の場  

  16時30分~17時37分(1時間7分)

幕間 35分間

二、本朝白雪姫譚話 第一幕

  18時12分~19時4分(52分)

幕間 15分間

二、本朝白雪姫譚話 第二幕

  19時19分~20時27分(1時間8分)



歌舞伎座12月大歌舞伎夜の部の勝手にベスト3

ベスト1:中村梅枝と中村児太郎、若女形の活躍が光った!

中村梅枝と中村児太郎。

阿古屋に抜擢されたほどですから、

若いとはいえ、実力派の若女形です。

夜の部は、「神霊矢口渡」で、

娘お船役が中村梅枝、傾城うてな役が中村児太郎。

義峯を挟んで恋敵です。

立場も性格も違う2人をそれぞれ役の個性を

くっきりと演じ分けていました。

梅枝は、お舟の恋する娘のウキウキ感と、

命がけで守ろうとする思いの強さを振り幅大きく熱演。

児太郎は、艶っぽく、位の高い傾城を大きく演じました。

終盤の、息も絶え絶えになりながら、

お舟が太鼓を叩く場面は手に汗を握るほどハラハラしました。

その次の本朝白雪姫譚話でも、

中村児太郎が野分の前、中村梅枝が鏡の精を

好演しました。

詳しくは、後に書きますが、

正直いって、中村児太郎の野分の前が際立ちすぎて、

こちらが主役でも面白い、、、と思いながら

観ていたくらいです。

まあ、この2人が力をつけてくれると

歌舞伎も本当に面白くなります。

もっと、女形が活躍する演目が

上演されるんじゃないかしらと思うと、

ワクワクしてきます。

*中村梅枝については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね。

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*中村児太郎については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね。

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ベスト2:尾上松緑の頓兵衛の悪人ぶり、いや~な奴を好演

「神霊矢口渡」の頓兵衛、

本当にイヤな奴でした。

歌舞伎の役の中でも、悪人の筆頭として数えられるこの役、

ギョロ目、太い声の松緑が演じると、

生き生きとイヤな奴ぶりを発揮します。

欲のために、

娘の恋心も命も犠牲にする男。

頓兵衛が登場すると、

それまでのお舟の恋物語が一変して、

修羅場になります。

松緑にとっては初役ということですが、

役の心根をよく表現していると感じます。

繰り返しますが、本当にイヤな奴でした。笑

*尾上松緑については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね。

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ベスト3:ファンタジーの中で玉三郎、梅枝、児太郎、美の競演

「本朝白雪姫」、

これは女性が主役、

3人の女性の個性がぶつかり合うことで、

それぞれの味が引き立ちました。

白雪姫の玉三郎は、超越した美しさ。

名の通り、ふわふわとつかみどころがないお姫様。

野分の前は、メラメラと消えることのない熱い炎、

アグレッシブな美しさ。

鏡の精は、どこまでも透き通った冷たいガラスのよう、

無機質な美しさ。

嫉妬に燃える野分の前に対し、

淡々と無感情に冷たい言葉を放つ鏡の精のやり取りは、

対照的な美を重ね合わせて見るようで、

この2人のシーンが一番面白かったです。

最後、この二人がどうなるのか、

その結末が観たかったな。

豪華な衣装、舞台奥に透けて見える和楽器の競演、

子どもたちの歌と踊りなど、

ファンタジーな世界に和みました。

*坂東玉三郎については、こちらにも書いていますので、お読みくださいね。

当代一の女形、坂東玉三郎。 その美しさ、華やかさ、艶やかさ、舞台上ではひときわ光を放つ役者です。 ...



12月大歌舞伎夜の部は、

中村梅枝と中村児太郎のコンビに魅せられました。

坂東玉三郎に鍛えられているのだろうし、

同じ舞台に立つだけでも学ぶことは多いと思うし、

この2人にとって、この月の経験が、

今後の役者人生に大きな糧となる気がします。

歌舞伎の楽しみは、次から次へと尽きないなあ~。

昼の部の感想は、もうちょっと後になります。

*12月大歌舞伎全体についてはこちらにまとめているので、良かったらお読みくださいね。

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読んでくださり、ありがとう存じまする。