「十三代目市川團十郎白猿襲名記念市川海老蔵展」が、
8月21日(水)から日本橋高島屋8階イベントホールにて、
開催されています(9月8日まで)
昨日行ってきたので、そのレポートです。
市川海老蔵展~成田屋の歴史と團十郎の名前~
市川海老蔵は、2020年5月に、
十三代目市川團十郎白猿を襲名する予定です。
由緒ある成田屋を継ぐ歌舞伎役者として、
テレビや映画、舞台に立つ役者として、
家族を愛する一人の父親として、
様々な顔を見せる市川海老蔵と、
成田屋の歴史、お家芸などを貴重な資料から
見ることができる展覧会です。
初代の市川團十郎は、江戸時代に遡ります。
約360年その名を名乗った役者の様子は、
今は資料からしか、うかがい知ることしたできません。
この市川海老蔵展には、
錦絵や摺物など貴重な資料が展示され、
その歴史を伺うことができます。
また系図をたどり、12名の市川團十郎の存在を
知ることもできます。
市川海老蔵展の展示内容~パネル、衣装、映像、体験コーナーなど~
では、展示内容についてです
十一代目市川海老蔵の軌跡と新たな挑戦を知る
市川海老蔵は、1977年に、
当時の十代目市川海老蔵の長男として誕生し、
1983年に初舞台、
1985年に市川新之助として役者人生をスタートさせます。
その、幼い頃の写真や、
初お目見えの「源氏物語」での春宮を演じた時の映像、
新之助襲名舞台での「外郎売」の映像、
海老蔵襲名舞台での「暫」の映像が、
一部分ですが展示されています。
私は、幼い頃の海老蔵を知らないので、
この映像は食い入るように見てしまいました。
7月の歌舞伎座で、
長男の勸玄君との外郎売初共演を果たしているのですが、
その時に、「勸玄は天才」とおっしゃったことを
思い出しました。
近年、歌舞伎役者としては、
海外公演や自主公演などを通して
歌舞伎の認知を広げる一方、
映画、舞台など多彩な表現者としての
活躍も目覚ましい海老蔵です。
その一端を知る展示もありました。
*今年4月の「古典への誘い」については、こちらに書きましたので、よかったらお読みください。
歌舞伎十八番をパネル、衣装から知る
歌舞伎十八番とは、江戸時代の終わりに、
七代目市川團十郎により選定された
次のの十八種の市川家の芸のことをいいます。
「暫(しバラク)」「七つ面(ななつめん)」「象引(ぞうひき)」
「蛇柳(じゃやなぎ)」「鳴神(なるかみ)」「矢の根(やのね)」
「助六(すけろく)」「関羽(かんう)」「押し戻し(おしもどし)」
「嫐(うわなり)」「鎌髭(かまひげ)」「外郎売(ういろううり)」
「不動(ふどう)」「毛抜き(けぬき)」「不破(ふわ)」
「解脱(げだつ)」「勧進帳(かんじんちょう)」「景清(かげきよ)」
これらのうち、現在でも、
度々上演される人気演目もありますが、
内容が残っていないものもいくつかあります。
十二代目市川團十郎、十一代目市川海老蔵は、
これらの復活を試み、
近年、新しく蘇った作品もあるそうです。
会場には、
十八番の舞台写真や舞台画をパネルにしつらえたものと、
実際の衣装が展示されています。
衣装や隈取り鬘、小道具などが表現する、
独特の美しさを実感することができました。
*歌舞伎十八番については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みください。
歌舞伎を体験する
会場には、体験コーナーというものもありました。
「暫」で身につけている衣装などの重さを知る体験、
CGによる隈取りの体験、
楽屋のセット、などです。
さりげなく設えてあるので、
気づかず通り過ぎてしまわないよう、
ぜひチェックされるといいと思います。
楽屋のセットは、じっくり見てみたかったのですが、
立ち止まると他の人が見られないため、
ささっとしか見られませんでした。
それでも、その場の引き締まる空気感を
感じることはできました。
市川海老蔵のインタビュー映像から、見える覚悟と家族愛
来年の十三代目市川團十郎白猿襲名に関しての
インタビュー映像も見ることができます。
だいたい8分程度なのですが、
襲名への心持ち、家族についてを
忌憚なく語る姿や言葉が印象深く、
この展覧会でも心に残る体験となりました。
特に、「覚悟」を問われ、
「すでにできている」と、
「市川宗家に生まれた以上は、
この名を継ぐことは定められていることなので、
今更の覚悟ではない。」
「歌舞伎役者をしているということは、
その覚悟を持ってやっていること。」
という言葉にずんと胸を刺されたような気がしました。
市川海老蔵という姿は、
江戸時代から続く歌舞伎の伝統を受け継ぐ覚悟の表れでも
あるのでしょうね。
海老蔵のチャレンジや発言の数々に、
歌舞伎界をさらに発展させたいという
気持ちがさせていることなんだと、
その存在の重さをしみじみと思いました。
また、娘と息子に対する深い愛情、
家族3人の深い絆も感じることができます。
長女の麗禾ちゃんは、歌舞伎役者になりたい、
父のそばにいたい、という気持ちを持っているそうです。
この8月に4代目市川ぼたんを襲名し、
その夢をかなえる一歩を踏み出しています。
勸玄君は、遊びよりもお稽古が好きなのだそうです。
新之助襲名の話をした時も、
新之助よりも、海老蔵、團十郎がいいと言ったとか。
本当に大物なんだなあと感じます。
その2人の子を心より慈しみ、
育てる海老蔵の父としての姿も心に残るものでした。
市川海老蔵展、開催期間と開催場所
日本橋高島屋からスタートした
「十三代目市川團十郎白猿襲名記念 市川海老蔵展」は、
今後2020年3月まで5つの会場を回る予定だそうです。
その日程をこちらに紹介します。
①2019年8月21日(水)~9月8日(日)日本橋高島屋(東京)
②2019年9月11日(水)~9月23日(月)大阪高島屋(大阪)
③2019年10月16日(水)~10月28日(月)横浜高島屋(神奈川)
④2019年12月12日(水)~12月26日(木) 京都高島屋(京都)
⑤2020年1月4日(土)~1月15日(水)札幌大丸(北海道)
⑥2020年2月16日(日)~3月1日(日)JR名古屋タカシマヤ(愛知)
こちらの公式サイトからも展覧会の様子を知ることができます。
*市川海老蔵については、こちらにまとめ記事を書いていますので、よかったらお読みください。
今日も読んでくださり、ありがとうございました。
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