歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」夜の部の感想〜白鸚、猿之助、團子、勘九郎、七之助など豪華メンバーの熱演!〜

「壽 初春大歌舞伎」の夜の部を観劇してきました。

華やかで楽しくて、心温まるお芝居でした。

歌舞伎座は、お正月の飾りが、

日本の伝統を感じさせてくれます。

特別な気分を観劇とともに味わいましたよ!

では、夜の部の演目ごとに、感想とちょっと詳しいあらすじを

紹介します!

「壽 初春大歌舞伎」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

歌舞伎座が令和2年初日を迎えました。 「壽 初春大歌舞伎」の講演内容についてお伝えします。 1月も歌舞伎座に行こう! 私も...

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」夜の部の感想とちょっと詳しいあらすじ

【夜の部:午後4時半開演】

一、義経腰越状(よしつねこしごえじょう)五斗三番叟

義経腰越状 五斗三番叟の配役とちょっと詳しいあらすじ

五斗兵衛盛次 松本 白鴎

九郎判官義経 中村 芝翫

亀井六郎   市川 猿之助

錦戸太郎   松本 錦吾

伊達次郎   市川 男女蔵

泉三郎忠衡  中村 歌六

兄頼朝との関係が悪化するなか、

義経は悪臣の言葉にそそのかされ、遊興にうつつを抜かす日々。

その様子を案じた忠臣の亀井六郎が

雀踊りの奴たちに紛れて諫言するも、聞き入れられません。

そこで泉三郎が義経の機嫌を直すため、

日本一の音頭取りとして五斗兵衛を迎え入れます。

それを面白く思わない、悪臣の錦戸太郎と伊達次郎、

なんとかその策を潰そうと考えます。

この五斗兵衛、名軍師ながら、刀の目貫師として世を忍んでいるのですが、

実は大の酒好き。

そこで、2人は義経に謁見しにきた五斗兵衛を酔わせようと、

お酒を振る舞います。

最初は固辞していたものの、

ついに禁酒を破った五斗兵衛は大酔してしまいます。

義経の御前でも、酔態をさらし、

問いに答えることができず、怒らせてしまいます。

酔った五斗兵衛は、追い出しにかかる武田奴を相手に、

三番叟を踊るのでした。

義経腰越状 五斗三番叟の感想

五斗三番叟という副題の通り、

五斗兵衛が三番叟を踊るというお話。

本当は、軍師として義経に引き合わせるつもりが、

悪臣たちにお酒をすすめられ、

泥酔して、当の義経に呆れられるというストーリー。

でも、ストーリーよりも、

酔いっぷりや酔った後の軽妙な舞が面白いと

思いました。

松本白鸚は、顔はちょっと怖い。

だから、その白鴎演じる五斗兵衛がどんな酔態を見せるのかが

楽しみでした。

飲んでも、酔っても顔はやっぱり怖くて、

そこが酔っ払うというギャップが面白かったです。

歌六演じる泉三郎忠衡は、悪臣にたぶらかされる義経を案じる忠臣。

戦に備えて、五斗兵衛を軍師にと見抜いたはいいんですけど、

悪兄弟のために、その意を潰される、、、

でも、酔っていても刀の音でその本質を確かめる、こちらも策士。

ということで、役それぞれの策が入り乱れる心理戦なんだけど、

酔っ払っい踊りが場を緩めてくれるんですねー。

だからかな、私は、

策を弄してるつもりで実は裏をかかれてる単純な悪兄弟に、

心をくすぐられました。

なので、五斗さん、欲を言わせていただけば、

もそっと間抜けて見せてくれると

なお嬉しいなあなんて思いました。

*中村歌六については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね

歌舞伎座9月秀山祭は、3世中村歌六の追善公演も兼ねています。 現在の中村歌六は五代目、 先祖ゆかりの演目で好演を見せています。 ...

二、澤瀉十種の内 連獅子(れんじし)

河竹黙阿弥 作

澤瀉十種の内 連獅子の配役とちょっと詳しいあらすじ

狂言師右近後に親獅子の精 市川 猿之助

狂言師左近後に仔獅子の精 市川 團子

僧蓮念    中村 福之助

僧遍念    市川 男女蔵

霊地清涼山の麓にある石橋。

狂言師の右近と左近が石橋の由来や、

文殊菩薩の使いである霊獣獅子の親子の伝説を踊って見せます。

舞は獅子の子落とし伝説へ、

獅子はわが子を谷底に落とし、

這い上がってきた強い子だけを育てるという伝説を

舞で再現するのです。

父が子をおそろしく深い谷に子を蹴り落とし、

さらに、登ってくるのを何度も突き落とします。

しかし、心中ではその子を思う父、

川面に映ったお互いの影で、

親と子がそれぞれの存在に気付きます。

父の姿を見るや子は勇み立ち、高い岩をものともせず

一気に駆け上がっていくと、

それを迎える父との再会となります。

花道から獅子の親子が引っ込むと、

間狂言に移ります。

法華宗と浄土宗の僧が道連れになり、

清涼山を登る中、話がお互いの宗旨争いに発展します。

法華宗の僧が団扇太鼓を叩いてお題目「南無妙法蓮華経」を、

浄土宗の僧が叩き鉦(かね)を打って念仏「南無阿弥陀仏」を

繰り返し唱えるうちに、題目と念仏を取り違え、

折から吹きつける暴風に二人は慌てて逃げていきます。

勇壮な姿の親子の獅子の精が登場します。

親子は牡丹の花の匂いをかぎ、

狂いと呼ばれる激しい動きを見せるのです。

牡丹の枝を手に、戯れる獅子の様などを描き、

親子の息の合った様々な毛振りを見せます。

長い毛を豪快に振り、獅子の座についたところで幕がおります。

一般には、狂言が入る前の舞を前シテ、

後の舞を後シテと言います。

澤瀉十種の内 連獅子の感想

11月も、連獅子観たばかりなんです。

今月の澤瀉屋の型はそれとは大きく違いました。

前シテからかなり本気の舞踊でした。

猿之助の動きが、あまりにも滑らかで、

一糸の乱れも感じさせない、目が釘づけでした。

この方は、新しいことに取り組むパワーもすごいけど、

古典舞踊も半端なく上手な方だったことを、改めて思い知りました。

ついていく團子さん、激しい動きにも喰らいつく感じが、まさに仔獅子。

それを眺める親獅子は、心なしか笑みを浮かべているようにも見えました。

最後の毛振りは、親の偉大さを見せつけるよう、力みがないのに力強い。

必死の仔獅子とは、力の差が違いすぎる。

圧倒的な高みを見せる親、少しでも近くに駆け登ろうとする仔、

そこに愛といえるだろう心の交流も垣間見えた舞台でした。

市川團子にとっては、初めての連獅子。

相当、練習を積んだことが予想されます。

ちょっと見ない間に、背もグンと伸び、

今後、大人の役にも挑戦していくだろう頼もしさを、

獅子の舞からも感じました。

とても充実した舞台でした。

*市川猿之助、市川團子については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね

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三、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)

三島由紀夫 作・二世藤間勘祖 演出・振付

鰯賣戀曳網の配役とちょっと詳しいあらすじ

鰯賣猿源氏  中村 勘九郎

傾城蛍火実は丹鶴城の姫 中村 七之助

博労六郎左衛門 市川 男女蔵

庭男実は藪熊次郎太 中村 種之助

禿    中村 勘太郎(偶数日)

中村 長三郎(奇数日)

傾城春雨 市川 笑三郎

傾城薄雲 市川 笑也

亭主   市川 門之助

海老名なあみだぶつ 中村 東蔵

鰯売りの猿源氏は、

大名のみを相手にする蛍火という高い位の遊女に

一目惚れしてしまいました。

蛍火のことで頭がいっぱいで、

仕事も手につかないその様子を見かねた父親なあみだぶつは、

猿源氏を大名に仕立てて廓に送り出します。

大名と偽り、やっとの思いで蛍火に出会えた猿源氏。

余興に戦の話を頼まれ、青くなります。

なんとか、魚の合戦を作り上げ、

その場を逃れます。

しかし、憧れの蛍火を前に、

進まれるままに酒を飲み、

上機嫌となり酔いつぶれて寝入ってしまいます。

寝ながらも、いつもの鰯売りの呼び声が

寝言に出てしまった猿源氏。

それを蛍火は逃さず、問い詰めます。

苦し紛れにも自分は大名と言い張りシラを切る猿源氏。

ところが、蛍火は、わっと泣き伏してしまいます。

実は、蛍火は丹鶴状の姫君、

鰯売りの声に惚れ込んで、城を出たところ、

人攫いにさらわれ遊郭に売り飛ばされてしまったのです。

鰯売りに会いたかったのに、

会えたと思ったら別人、、、と

絶望した蛍火はいっそ死なせて、と刀を持ちます。

嬉しいやら驚くやらの猿源氏は、

真実を話し、一件落着・・・。

しかし、身請けするお金がありません。

そこへやってきたのが、

城主の命で姫を探しにきた次郎太。

次郎太は奴を捕まえ、

姫に迎えにきたと告げるのです。

それを聞いた姫は、

身請けのお金を次郎太に払わせ、

自分は、鰯売りの女房になるから、

父上と母上にそう伝えて欲しいと、

猿源氏と一緒に帰って行きます。

幸せいっぱいの、猿源氏と蛍火、

仲良く家路を急ぐのでした。

鰯賣戀曳網の感想

これは大人のファンタジー。

廓での傾城たちのやり取りからして、

おとぎの国のようでした。

その中でも一際輝くのが中村七之助演じる蛍火、

綺麗でどこか浮世離れした魅力がありました。

姫キャラですね。

この作品は、故中村勘三郎と坂東玉三郎のコンビでの上演が有名で、

中村勘九郎・中村七之助コンビの芝居についても、

勘三郎の演技を再現しているかのように見えます。

私はそのことを悪いこととは思っていません。

「型」をきっちりやって、その作品の本質を掴んでから、

自分の創意工夫を加えることも大切だと思うからです。

このお芝居の中で一番好きな場面は、

猿源氏の寝言から、もしやこの人の正体は鰯売りかも!?って

ときめいた、蛍火さんが、必死の否定にあって、、死ぬ~っと騒ぎだすくだり。

わちゃわちゃしているのですが、

純愛まっしぐらの蛍火さんの熱情がほとばしって、

微笑ましい気持ちになるのです。

もちろん、最後の引っ込み、花道での幸せそうなやり取りも心に残ります。

見終わった後に、ほんわかするお芝居は、滅多にないので、

お正月にこの作品を観られるのは嬉しいことです。

脇を固める、東蔵さんは海老名なあみだぶつは初役だそうですが、流石の貫禄。

笑也、笑三郎の傾城衆もいいし、男女蔵の馬喰もいい。

もちろん、禿の長三郎くんは、睨みが堂に入っててこれまたいい。

それにもまして特筆したいのが、種之助。

お役を細かいところまで演じているところに、役者の魂を感じました。

ついつい主役の2人を見てしまいますが、種之助の演技も注目してほしいです。

見た後に幸せな気持ちになること、うけあいます!

1月歌舞伎座の夜の部、

ぜひ観劇されることお勧めします。

*中村勘九郎、中村七之助については、こちらにも書いていますので、よかったらお読みくださいね

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1年の初めに、いいお芝居を見ると

幸せな気持ちになれます。

読んでくださり、ありがとう存じまする。