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團菊祭五月大歌舞伎、演目、内容、公演時間や感想も!尾上眞秀初舞台に團十郎も共演!

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團菊祭五月大歌舞伎2023が3年ぶりに上演されます。

2020年の五月が本来なら市川團十郎襲名披露公演だったので、

コロナで流れてから、「團菊祭」と名がつく公演は上演されていませんでした。

3年ぶりの團菊祭は尾上眞秀くんの襲名初舞台もあり、話題が尽きません。

公演情報や感想も一気に紹介します。




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團菊祭とは?読み方は?意味は?

團菊祭はだんぎくさいと読みます。

その名の通り、

團十郎さんのお家である市川家(成田屋)と

菊五郎さんのお家である尾上家(音羽屋)が

タッグを組んで公演を開催する特別公演です。

歌舞伎役者である、市川團十郎の團と、尾上菊五郎の菊の文字を取り、

つけられた名前です。

明治20年4月26日、明治の劇聖と謳われた

九代目市川團十郎、五代目尾上菊五郎らが

当時の外相井上馨邸に明治天皇をお迎えし『勧進帳』を上演された事が、

歌舞伎の社会的地位が向上し、歌舞伎が近代化する大きなきっかけになったと言われています。

それも含めて、お二方の偉業を顕彰するために、

昭和11年に始まり、戦後は昭和33年に復活、

近年の歌舞伎座では、五月興行の恒例の催しとして上演されてきたものです。

2013年に十二代目市川團十郎が亡くなってからは、

歌舞伎座のこけら落としに合わせて、

十一代目市川海老蔵と團菊祭にゆかりの役者を集めての催しとして

上演されています。

2019年は尾上丑之助くんの襲名披露に沸いた團菊祭。

2020年は市川團十郎の襲名披露と盛り上がったのですが、

残念なことに世界的なコロナウイルスの流行により、

歌舞伎公演も中止に追い込まれました。

その後、2022年の11月12月に、

市川團十郎襲名披露公演が行われたことは

まだまだ記憶に新しいですね。

2023年の團菊祭は、

10年ぶりに市川團十郎の名前が役者に並びます。

そして、尾上眞秀くんの襲名初舞台も行われるとあり、

いつもの團菊祭以上に注目を浴びているところです。



團菊祭5月大歌舞伎2023の演目、配役、あらすじは?

それでは、團菊祭五月歌舞伎公演の演目、配役と簡単なあらすじを紹介します。

昼の部 11時開演

一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)

【配役】

工藤左衛門祐経 中村 梅玉

曽我五郎時致  尾上 松也

曽我十郎祐成  尾上 右近

小林朝比奈   坂東 巳之助

化粧坂少将   坂東 新悟

八幡三郎    中村 莟玉

梶原平次景高  上村 吉之丞

近江小藤太   中村 亀鶴

梶原平三景時  大谷 桂三

鬼王新左衛門  大谷 友右衛門

大磯の虎    中村 魁春

若手ホープの尾上松也さんと尾上右近さんによる

曽我兄弟の共演が気になります!

化粧坂の少将と大磯の虎の年齢差も気になる笑

 

【簡単なあらすじ】

工藤祐経の館では、

名誉ある富士の巻狩りの総奉行に任じられた工藤が

祝宴を催しています。

そこへ、小林朝比奈の手引きによりやってきたのは、

曽我十郎と五郎の兄弟。

18年前に工藤の不意打ちにより

命を落とした父の仇を討とうと

はやる五郎は、工藤に詰め寄ります。

しかし、工藤はびくともしません。

大事な仕事を終えるまではと

狩場の手形を兄弟に与え、

そこで仇討ちの約束をするのでした。

二、若き日の信長(わかきひののぶなが)

十二世市川團十郎十年祭

大佛次郎 作・守屋多々志 美術原案

【配役】

織田上総之介信長 市川 團十郎

木下藤吉郎    市川 右團次

弥生       中村 児太郎

五郎右衛門    市川 男女蔵

甚左衛門     大谷 廣松

監物       市川 九團次

林美作守     片岡 市蔵

僧覚円      市川 斎入

林佐渡守     市村 家橘

平手中務政秀   中村 梅玉

市川團十郎さんのために書かれた作品

と言っても過言ではない、

成田屋ゆかりの演目。

先代の市川團十郎さんへの追善ですね。

 

【簡単なあらすじ】

尾張国を治める織田家を相続した信長は、

その傍若無人なふるまいからうつけ者と呼ばれています。

父の三回忌法要にも出ない信長の様子に

責任を感じたお守り役の平手中務政秀は、

死をもって信長をいさめようと自害。

残された信長は、自分の苦しみを理解してもらえず

中務に死なれた悔しさと淋しさを吐露します。

そこへ、今川方に寝返った者達が攻めてくるとの報せが入ります。

信長は、家臣の木下藤吉郎を呼び寄せます。

城下の家来たちは、いつ、信長が決起するのか

気を揉んで待っています。

どうやら籠城ではないかという説に、

家臣たちの心も穏やかではありません。

しかし、信長には考えがありました。

雷が鳴り、嵐となったその夜

信長は今川を討つために立ち上がります。

そこに集まったのは精鋭の家臣たち、

その中には、藤吉郎を始め、中務の3人の息子たちもいました。

 

三、音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)

今井豊茂 脚本・尾上菊五郎 演出

岩見重太郎狒々退治

【配役】

初代尾上眞秀初舞台

岩見重太郎   尾上 眞秀

弓矢八幡    尾上 菊五郎

長坂趙範    尾上 松緑

藤波御前    尾上 菊之助

大伴家茂    市川 團十郎

渋谿監物    坂東 彦三郎

趙範手下鷹造  坂東 亀蔵

腰元梅野    中村 梅枝

村の若い者萬兵衛 中村 萬太郎

同     光作 坂東 巳之助

同     佑蔵 尾上 右近

重臣布勢掃部  市川 團蔵

局高岡     中村 時蔵

重臣二上将監  坂東 楽善

尾上眞秀くん、初舞台です。

菊五郎おじいちゃま、またしてもデレデレになるかな?

音羽屋と縁のある役者さんたちが並び

お祝いの演目になりますね。

【簡単なあらすじ】

国守の祝いの宴が催される山里曲輪。

そこへ剣術指南役に連れられ一人の女童がやってきます。

国守のもとで奉公することになった女童は、

可憐な舞を披露し宴を盛り上げます。

ところがそこへ、大狒々(ひひ)に村を襲われ

困り果てた村人たちがやってきます。

話を聞いた女童は

自ら狒々退治に名乗りを挙げます。

驚く人々に、女童は自らの正体を明かします。

実の名は、岩見重太郎、

殺された父の仇を討つために

剣術修行をしていたのです。

村人の案内で大狒々の住処と思しき場へ出向いた重太郎。

そこにいたのは、

この地を我が物にしようと企む長坂趙範でした。

趙範は、呪術を使い、大狒々を誕生させ、

村を襲っていたのです。

大狒々、趙範に立ち向かう重太郎、

その時、滝の中から光が差して

弓矢八幡が現れました。

八幡は、重太郎に矢を渡し願いを叶えるように告げます。

八幡の力を借りた重太郎は、

見事大狒々と趙範を倒すのでした。

 

豪傑・岩見重太郎が諸国を巡り、

狒々や大蛇を退治したという伝説をもとにした作品です。

*尾上眞秀さんについてはこちらに詳しく書きました

尾上眞秀の父はフランス人、母は寺島しのぶ、学校はどこ?家系図に襲名初舞台の感想も!!
尾上眞秀さんは、歌舞伎の名門音羽屋の直系、尾上菊五郎さんのお孫さんです。 母親は寺島しのぶさん、父親はフランス人のローラン・グナシアさん 令和5年の5月に、いよいよ歌舞伎役者尾上眞秀として初舞台です。 その眞秀さんについて、初舞台の感想も含...

 



夜の部 16時開演

一、宮島のだんまり(みやじまのだんまり)

【配役】

傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎 中村 雀右衛門

畠山庄司重忠   中村 又五郎

典侍の局     中村 梅枝

悪七兵衛景清   中村 歌昇

相模五郎     中村 萬太郎

大江広元     尾上 右近

白拍子祇王    中村 種之助

御守殿おたき   中村 歌女之丞

浪越采女之助   中村 東蔵

平相国清盛    中村 歌六

 

演技派揃いの舞台です。

短いのがもったいない、、

【簡単なあらすじ】

海辺の厳島神社。

傾城浮舟太夫が、

いわくあり気な巻物を読みふけるところへ、

巻物を奪おうと近づく源氏の智将・畠山庄司重忠と大江広元。

さらに浮舟を捕えようと次々と人々がやってきます。

ついには平家一門を率いる平相国清盛も現れます。

暗闇の中で、お互いを探り合う内に

浮舟大夫は源氏の白旗を手に入れて

妖術を使い忽然と姿を消してしまいます。

実は、浮舟大夫の正体は盗賊袈裟太郎でした。

太郎は、手に入れた白旗を持ち

悠々と立ち去るのでした。

二、春をよぶ二月堂お水取り達陀(だったん)

萩原雪夫 作 ・守屋多々志 美術原案

【配役】

僧集慶   尾上 松緑

青衣の女人 中村 梅枝

幻想の集慶 尾上 左近

練行衆   片岡 市蔵

同     中村 松江

同     中村 歌昇

同     中村 萬太郎

同     坂東 巳之助

同     坂東 新悟

同     尾上 右近

同     大谷 廣太郎

同     中村 種之助

同     中村 児太郎

同     中村 鷹之資

同     中村 莟玉

同     中村 玉太郎

同     市村 橘太郎

同     上村 吉之丞

堂童子   坂東 亀蔵

 

尾上松緑さん、尾上左近さんの親子共演。

踊り上手な役者さんが多いので

楽しく見られそうです。

【簡単なあらすじ】

鎌倉時代。

奈良・東大寺の二月堂では、

修二会の法会が行われています。

法会を取り仕切る僧の集慶が

東大寺に所縁ある故人たちの名を記した過去帳を読み上げるところ、

どこからか青衣の女人が現れます。

実はこの女は、集慶のかつての恋人でした。

女人が、集慶への思慕の念を伝えると、

集慶も、彼女と過ごした美しく、甘く切ない日々を思い出します。

しかし、集慶は、その煩悩を断ち切ります。

僧たちはいよいよ行法のクライマックスに入ります。

大勢の修行僧らが

炎に照らされる中達陀の行法を勤めるのでした。

静と動のコントラストが美しい舞踊劇です。

 

三、梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)

河竹黙阿弥 作

【配役】

髪結新三    尾上 菊之助

弥太五郎源七  坂東 彦三郎

手代忠七    中村 萬太郎

お熊      中村 児太郎

車力善八    尾上 菊市郎

下剃勝奴    尾上 菊次

家主女房おかく 市村 萬次郎

家主長兵衛   山崎 権十郎

加賀屋藤兵衛  中村 錦之助

後家お常    中村 雀右衛門

 

尾上菊之助さんの髪結新三、

色悪な感じがいいですね。

家主は市川左團次さんが私の印象に残っているので

見たら泣いちゃうかも・・・

【簡単なあらすじ】

江戸の小悪党、髪結新三。

材木問屋の白子屋の一人娘のお熊と手代の忠七が

恋仲であることを知ると、

忠七を騙してお熊を誘拐し、

身代金をせしめようと企みます。

俠客の弥太五郎源七は

白子屋からの依頼でお熊を取り戻そうとしますが、

新三になじられ追い返されてしまう始末。

次にやってきた家主の長兵衛は、

老猾な掛け合いで新三をやり込めます。



團菊祭五月大歌舞伎の公演時間は?

團菊祭の公演時間です。

4月から、以前のような昼の部・夜の部の二部制に戻りました。

観劇の合間に、お弁当も食べられるように

幕間時間もたっぷり取られています。

上演日は、5月2日(火)〜27日(土)までで、

休演日が10日(水)17日(水)です。

それでは、上演時間は以下の表をご覧ください。

昼の部 11時開演
一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん) 11時〜11時47分

幕間35分間

二、若き日の信長(わかきひののぶなが) 12時22分〜13時47分

幕間30分間

三、音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ) 14時17分〜15時7分
夜の部 16時開演
一、宮島のだんまり(みやじまのだんまり) 16時〜16時22分

幕間25分間

二、春をよぶ二月堂お水取り達陀(だったん) 16時47分〜17時35分

幕間35分間

三、梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう) 18時10分〜20時38分

 

歌舞伎座團菊祭五月大歌舞伎の感想

5月2日(火)に初日を迎えた團菊祭。

ゴールデンウイークもあり、

盛り上がること必須ですね。

観劇した感想を紹介します。

團菊祭昼の部の感想

昼の部は、5月4日に観劇しました。

ゴールデンウイーク最中でもあり

客席はたくさんの人で埋まっていました。

3年ぶりの團菊祭でもあり、

市川團十郎10年祭、尾上眞秀さん初舞台ということで

賑わう歌舞伎座はコロナ前に戻ったかのようでした。

 

昼の部は演目が3つです。

1つ目は、「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」です。

これは曽我兄弟役の尾上松也さんと尾上右近さんの

共演が見どころの一つです。

お二人とも綺麗なので、まずそこにポイントです。

五郎は工藤への恨みを隠すことなく

全身で表すのですよね。

それを荒事の形で見せてくれました。

十郎の方は、恨みはありつつも

表にはださず、五郎を諌める役柄。

こちらは、和事のキャラなので

あくまでもはんなりと、上品にというのが大事なんです。

その点で言うと、和事の風合いは弱い印象です。

そして十郎にはもう少し色気が欲しい。

確か、大磯の虎は十郎の恋人という設定だったので、

今までの「対面」ではそれを匂わせる演出や素振りも

舞台に華を添えているなと思っていたのです。

今回、大磯の虎は中村魁春さんで、

それは見られませんでした。

化粧坂の少将は五郎といい仲、という設定もありますが、

こちらもそれは感じられませんでした。

中村梅玉さんの工藤は、重役然とした存在感が

舞台を引き締めていたなと感じます。

4日ということもあったのか、

バランスに欠けた感が否めないというのが正直な感想です。



2つ目の演目は、「若き日の信長」でした。

こちらは、市川團十郎さんの10年祭の記念演目という上演、

もうそんなになるのだ、、、と改めて不在を実感しました。

13代目市川團十郎さんは、容姿がカッコよく、目力もあるので

織田信長にはピッタリだなって思いました。

気になりつつも、観たことがないので、密かに楽しみにしていた演目でした。

全体的に、トーンは暗めでしたね。

苦悩する若者としての信長から、

大勝負に出ることを決意する一国の主人への変容を

いくつかのエピソードを交えて描いた

戦国青春ドラマ、のイメージでした。

憎々しい林美作守は片岡市蔵さんピッタリでした。

そして、命を賭して、

信長を一気に成長させた中務の爺は、

中村梅玉さんが懐の大きさを見せてくれました。

ちょっと爺すぎるので、

もう少し若々しくてもいいのになって気はしました。

弥生さん役の児太郎さんは、

どういう役柄なのかが掴みづらかったです。

この女性は、中務とともにキーパーソンだと思うのですが、

綺麗なだけで、ぼやっとした印象に見えてしまいました。

織田信長役の市川團十郎さんは、

適役と思いました。

さすが、成田屋のために書かれた芝居というだけあって

團十郎さんの魅力を引き出す物語です。

中務の爺との別れ、

それまでのちゃらんぽらんな対応との

対比も大きかったせいか、

信長の悲しみぶりが真に迫って感じられました。

このお芝居は、團十郎さんの魅力を観るためのものかもしれませんが、

そういう楽しみ方もいいですよね。

 

そして3つ目の演目が、超期待の尾上眞秀さん初舞台。

「音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)」、

これはやっぱり観たかったです。

そして、観て大正解でした!

とても明るくて楽しくて華やかな舞台でした。

共演の方もめっちゃ贅沢でした。

お殿様役に市川團十郎さん、その奥方に尾上菊之助さん。

これだけで、私は嬉しいのに加え、

敵役に尾上松緑さんと神様役に尾上菊五郎さん!!

指南役の坂東彦三郎さん、相変わらずのイケボでした。

この豪華な共演者たちも

みなさんお役がぴったり合っていてね。

團十郎さんが、意外なことに

穏やかなお殿様、慈愛深いお殿様がぴったりだったんですよ。

お祝いだから、こういう演出ができたのだと思いますが、

昔の三之助の時代を知っている私にとっては

とても嬉しいお顔ぶれなのです。

眞秀さんと菊之助さん、團十郎さんと一緒に舞う場面があり、

眼福だなとニンマリしました。

大狒々退治を願いにくる村人さんが

中村萬太郎さん、坂東巳之助さん、尾上右近さん、

というのも贅沢でした。

可愛い女童から若武者へのぶっ返りも

お祝いモードで可愛かったです。

後半は、若武者としての立ち回りも見事に見せてくれました。

尾上菊五郎さん(ひいま)との絡みも

心温まりました。

菊五郎さん、丑之助さんの初舞台の時は

結構デレデレだったのですが、

今回は、眞秀さん10歳ということもあってか

ちゃんと一人の役者として演技をしていたように見えました。

そうそう、

お祝い幕も話題ですよね。

色とりどりの薄い(ジョーゼットかな?)生地を

丸型にして縫い付けられたおしゃれなデザインが印象的でした。

尾上眞秀丈江 という文字は

お母様の寺島しのぶさんの筆だそうです。

みなさんの暖かな愛に包まれて

のびのびと演じる眞秀さん、

大物になりそうな予感もしました。



團菊祭夜の部の感想

夜の部は5月19日に観劇しました。

5階にある歌舞伎座ギャラリーで行われていた

12世市川團十郎展にも立ち寄って、

團十郎さんの面影を偲んできました。

夜の部の演目は3つです。

結論から言うと、大満足です。

時間があれば、お代わりする満足度です。

特に、達陀は動画配信でも観たいと思います。

はじめの演目は、宮島のだんまり(みやじまのだんまり)。

これは、ストーリーよりも

だんまりという暗闇で相手を探り合うという

歌舞伎独特の表現を楽しめる演目でした。

薄衣を取り巻く登場人物たちの出で立ちや隈取り、鬘など

それぞれのキャラクターの個性を生かしていて

一人一人を見ているだけでうっとりする美しさ、

古い言い方ですが、錦絵を見ているかのようでした。

昼の部の対面も、歌舞伎の様式が見られる演目ですが、

夜の部も1番目にこれを持ってきたというのが

構成として面白いと感じました。

 

次は、「春をよぶ二月堂お水取り達陀(だったん)」。

これが想像以上に面白くて、舞台に引き込まれました。

Twitterで評判は聞いていたので

楽しみにしていましたが、その上をいきましたね!

二月堂のお水取りの行法を描いているのですが、

修練僧の中でも代表格の集慶が

修行と煩悩の間で揺れ動く舞や女性とのやりとりが

幽玄の雰囲気を漂わせていました。

若き日の幻想の集慶を演じたのが

尾上松緑さんの息子さんの尾上左近さん。

うっとりする美しさ、

これは若い人にしか出せない爽やかな美。

梅枝さんとの絡みも

綺麗でこの世のものではない清らかさが感じられました。

後半の群舞は、迫力そのものでした。

歌舞伎にこういう舞があったとは、、、

奉納のために作られた舞踊ということですが、

シンプルなだけに身体の使い方や基礎的な所作が

できているかいないかで、舞のできに歴然と現れる。

やはり、巳之助さん、鷹之資さんは安定感がありました。

若手役者に混じってベテランの脇役さんたちも

キッチリ見せてくれました。

独特なリズムと、足打ち、

そしてキレの良い動きに惹きつけられ

誰を見たらいいのか目が回りそうでした。

これは、配信がでたら映像でおさらいしたいと思います。



 

最後の演目が「梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)」

通称「髪結新三(かみゆいしんざ)」です。

主人公の新三は髪結を生業にしているけど

本当は腕に墨のある小悪党。

このお役は、

粋で威勢の良さ、そしてちょっとお間抜けなおかしみも

併せ持った魅力的なチンピラです。

以前、菊之助さんが初役で演じられるときに

菊五郎さんから指導を受けるドキュメンタリーを

見たことがあります。

菊五郎さんのセリフ回しと菊之助さんのそれとは

同じ言葉でも、醸し出す空気感が違って

驚いたものでした。

菊之助さんは、まだ力が入っていると思いますが、

なかなかに魅力的な新三でした。

最初の場面、髪結の仕草は

こういう時にしか見られないので、ついガン見。

昔は、こうやって髪を整えていたんだなって

世話物のお芝居は、江戸の情緒を見せてくれるのが面白い。

江戸情緒といえば、

初カツオ売りが出てくるんですけど

この場面も私は好きなんです。

「かつおったい」て聞こえる売り文句と

いかにも江戸っ子らしい言葉使いと

カツオをおろす仕草もへえって見入っちゃいます。

もうちょっと自然だといいんだけどな。

そう、言いそびれましたが、

この演目だけは、

初めに語り部が物語の背景を伝えていました。

国立劇場ではよくやる手法です。

FFX歌舞伎から歌舞伎座に流れてきたお客様や

外国人観光客が多いからか、

初めての人にはわかりづらい人間関係を

細やかに説明してくれていました。

これに賛否はあるようですが、

私には不要ですけど、

初めての人には興味を持ってもらえるのではないかな

て思いました。

このお芝居の1番の見どころと思うのが、

大家さんが新三を言い負かす場面です。

先日亡くなられた市川左團次さんの

大家さん役が絶品だったんですよ。

今回は、河原崎権十郎さんがそのお役、

左團次さんを彷彿させるような言葉回しに

ちょっとだけほろりとしました。

でも、左團次さんよりもキツさがありましたね。

これも、こなれていくと、

あの飄々とした貫禄とケチさが増していきそうです。

刺青を見せさせ、それをビシリと叩きつつ

それをネタに新三に30両の取引で納得させるところ。

お金を15両、数え上げてあとはもらったよととぼけるところ、

なんともいえない二人のやりとりに

場内の人たちも惹きつけられていたんじゃないかな。

結構クスクス笑いが起きていましたもの。

もう一つ、掘り出し物と思ったのが、

勝奴の尾上菊次さん。

名題ではあっても、大きい役はしてこなかった

役者さんです。

それが、新三の手下として舞台では堂々とした演技、

今後も、どんなお役に出られるのかしらと

楽しみになりました。

背中に汗をかいていたのがちょっとね、、って感じでしたけど。

2時間20分という長丁場、

飽きてしまうかな?なんて思いは杞憂でした。

江戸に生きる人々の思いや暮らしを体験でき、

ストーリー展開が巧みなお芝居だと思います。

最後まで、楽しく観られました。

夜の部も、どの演目も素晴らしかった。

だんまりも、達陀も短いのが惜しいくらい。

その分、髪結新三の世界観にどっぷり浸れて

満足のゆく観劇でした。

 

ここまでお読みくださりありがとう存じまする。

2019年の團菊祭についてはこちらからお読みいただけます↓

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