PR

小鍛冶(歌舞伎)のあらすじと猿之助が魅せた4月歌舞伎公演の感想

観劇レポート
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

小鍛冶(こかじ)とは、元は能の演目でした。

これを舞踊劇に仕立てたもので、3代目市川猿之助さん(現2代目市川猿翁)により、

猿翁十種にも選定されています。

2021年の4月歌舞伎座公演では、4代目市川猿之助さんが市川中車さんと

24年ぶりにこの劇を上演することが話題となりました。

小鍛冶のあらすじや猿之助さん、中車さんが魅せた歌舞伎公演の感想を書いていきます。



スポンサーリンク

小鍛冶(こかじ)歌舞伎のあらすじ

一条天皇の言葉を受けた勅使の橘道成から、

剣を打つように命じられた刀匠として名高い三条小鍛冶宗近。

しかし、自分と同じだけの力を持つものがいないと難しい、

その命に応えられるかどうか悩む道成でした。

思い余って、氏神の稲荷神社に参拝します。

すると、そこに不思議な少年が現れ、

剣の物語などを語り、宗近を励まします。

そして、自らが剣の相槌を務めると約束するとまた山に消えていくのです。

宗近の工房では、

刀打ちの成功を巫女や弟子たちが祈願します。

そんな中、宗近がいよいよ鍛冶場に入り、

刀を打つ準備を始めると、

狐の姿をした稲荷明神の御神体が現れます。

「相槌を務める」と約束した少年は、

ご神体の仮の姿だったのです。

こうして、無事に刀を鍛え終えた宗近は、

橘道成に「小狐丸」と名付けたその剣を奉納するのでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

能が原作だそうですが、実話かも?

と言われる記録もあるそうです。

後述しますが、ここに登場する小鍛冶宗近は実在の人物で、

彼が打った太刀は現在でも残っているらしいですよ~



小鍛冶は猿翁十種の一番

先に、小鍛冶は、猿翁十種のうちの一番と書きました。

猿翁十種について、ここで少し説明します。

1964年(昭和39年)に、3代目市川猿之助によって、

祖父である2代目市川猿之助(初代市川猿翁)が創作し得意とした舞踊劇を十番

澤瀉屋のお家芸として選定しました。

その演目は、

・悪太郎(あくたろう)

・黒塚(くろづか)

・高野物狂(こうやものぐるい)

・小鍛冶(こかじ)

・独楽(こま)

・二人三番叟(ににんさんばそう)

・蚤取男(のみとりおとこ)

・花見奴(はなみやっこ)

・酔奴(よいやっこ)

・吉野山道行(よしのやまみちゆき)

となります。

悪太郎、黒塚。吉野山道行は時々上演されますね。

私にも馴染みがある演目です。

市川猿翁さん、市川猿之助さんの舞踊劇は、

身軽で斬新な振付に目が奪われます。

小鍛冶もそんな一番として、

澤瀉屋にとって大事な演目なんですね。

市川猿之助の「黒塚」、やっぱりいい!!4月大歌舞伎、一幕見観劇レポート
4月の歌舞伎座、一番観たかったのが、 「黒塚」です。 今日は、一幕見席で、「黒塚」観てきました。 先に言います。 これは、観て間違いない、いい舞台です。 26日(金)が千秋楽です。 気になる方のために、観劇レポートをお届けします。 (ads...



小鍛冶に出てくる小狐丸とは?

感想の前にちょっと豆情報。

小鍛冶で鍛え上げられ、奉納される刀の名を「小狐丸(こぎつねまる)」と言います。

実は、この物語に登場する刀鍛冶小鍛冶宗近は、

平安初期に実在した人物だそうです。

一条天皇の命により打ったとされる太刀が「小狐丸」です。

自分の弟子たちの中には、その相槌ができるものがおらず、

困り果てて稲荷明神に祈願したところ

気高い少年が現れ相槌を務めたという物語も残っているそうです。

そしてこの「小狐丸」も記録では、公家の九条家所蔵となっていたらしい。

残念ながら、現在の所在は不明ということですが、

宗近の手による「三日月宗近」という太刀が国立博物館に所蔵されているとのこと。

神話のような実話のような、ワクワクする話だなあって思います。

もし、その太刀を一見する機会があれば、ぜひ拝みにいきたいものです。

https://twitter.com/bunraku09/status/1379354439979565057



小鍛冶を猿之助と中車が舞う記念すべき舞台の感想と配役(令和3年4月歌舞伎座公演)

「小鍛冶(こかじ)」を4月5日に観劇しました。

この作品は、1978年の上演を最後に、

演じられてこなかったそうです。

24年ぶりの上演は、

4代目市川猿之助さん、市川中車さんが初役として演じる

ということでとても楽しみでした。

幕開けからとても厳かな雰囲気でした。

小鍛冶宗近を演じるのは、市川中車さんです。

普段のオーバーな演技や台詞回しとは

全く別人のようです。

舞踊劇なので、竹本や長唄により

物語の背景や登場人物の台詞が語られます。

神妙な面持ちで稲荷明神に参拝する宗近、本当に中車さん?

て思うほどに品がある姿にびっくりしました。

お稲荷様のなかから、 すーっと現れたのが童子姿の猿之助さん。

前髪を揃えた長い黒髪の童子は、

なんとも可愛く不思議な存在を醸し出していました。

静かで、軽やかな舞は猿之助さんのならではの滑らかな動きに

目を奪われました。

間に宗近の弟子や巫女たちのやりとり。

猿之助の芝居ではおなじみの、

市川笑三郎さん、市川笑也さん、市川猿弥さんらが

ユーモアのあるやりとり。

特に、猿弥さんの

「同じ打つならワクチン打ちたいものだわい・・」と

世相を風刺した一言に客席みんな笑い声。

それまで、不思議な空気の中、猿之助さんの舞をガン見していたのが

ちょっとほぐれました。

そして、壱太郎さん演じる巫女がまたお美しいこと。

ちょっと色っぽすぎない?

て思うほどの目に美しい華やかさ。

そんな一場にちょっと和んだところで、

いよいよ刀打ちの場面です。

神妙な面持ちの宗近が準備しているところへ、

出ました、出ましたよ~~~

精霊に扮した猿之助さん。

白い毛の鬘の上にちょこんと乗った狐の像が

印象的な出で立ちで登場です。

小刻みに足元を動かした複雑なステップに魅入っちゃいました。

黒塚では、バレエの動きを取り入れたステップが特徴的な舞があります。

そんな感じですが、

狐だからか、もっと軽やかで超越したイメージの踊りでした。

その二人が、トン、カン、トン、カンと

リズミカルに刀を打つ音も涼しげで、

ちょっとした仕草も神秘的で目が話せませんでした。

市川左團次さんの橘道成に刀を奉納して

去っていく精霊猿之助と舞台上の二人のポーズで幕がおりました。

異世界に迷い込んだ心持ちにさせる

厳かな雰囲気が漂う一幕でした。

舞踊劇は、場面の動きから、

情景や登場人物の心情を想像する楽しさがあります。

次に観るときは、もう少し舞や表情にも注目したいと思います。



市川猿之助の学歴・家系図・プロフィール、結婚しないのは本当?
市川猿之助、歌舞伎にテレビドラマに大活躍の人気役者です。 歌舞伎界切っての知性派、細部までこだわる演技で、 観客を魅了する芸は他に類を見ません。 2020年のテレビドラマ「半沢直樹」では、 強烈な印象の悪役を好演し、 歌舞伎を知らない人にも...
市川中車/香川照之の評判、息子は團子、いとこは猿之助、父市川猿翁との確執、妻との離婚を乗り越え歌舞伎役者への道のり
九代目市川中車、二代目市川猿翁の長男の本名は香川照之。 「半沢直樹」の大和田常務、カマキリ先生としての人気も高いです。 香川としてのテレビや映画での評判は高い、では、中車としての歌舞伎界の評判は? なぜ市川中車が46歳にして歌舞伎の道を選ん...

「小鍛冶」の配役は以下の通りです。

童子実は稲荷明神 市川猿之助

三条小鍛冶宗近  市川中車

巫女       中村壱太郎

弟子       市川笑三郎・市川笑也・市川猿弥・市川猿三郎

橘道成      市川左團次

X

千穐楽は4月28日です。

上映時間は11時から11時48分です。

24年ぶりの上演、しかも今をときめく澤瀉屋コンビが演じる

幽玄の舞台です。

テレビでの賑やかな姿しか知らない方にも

ぜひ観ていただけると歌舞伎役者のすごさがわかるんじゃないかなって思います。

読んでくださり、ありがとう存じまする。



コメント

タイトルとURLをコピーしました