月イチシネマ歌舞伎、今月は「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」を
1週間上映しています。
気になっていた作品でもあり、早速観に行ってきました。
今日は、その感想と「スーパー歌舞伎Ⅱワンピース」について
紹介します。
スーパー歌舞伎とはどういうもの?
三代目市川猿之助(現二代目市川猿翁)が、
歌舞伎のエンターテイメント性を徹底的に磨き上げ、
全く新たなアイディアを加えて創り上げた新形態の歌舞伎です。
明治以降の新歌舞伎が否定してきたいろいろな歌舞伎の演出手法、
「誇張された衣裳」「隈取」「見得」「正面芝居」「合方(音楽)」「ツケ」
といったものを積極的に取り入れています。
「宙乗り」「早替り」も加えながらも、セリフを現代語という
一見歌舞伎とは思えない手法を融合させ、
新たに作り上げたものなのです。
初演は、1986年の「ヤマトタケル」
当時は、「これは歌舞伎ではない」という多くの悪評が寄せられていたが、
新しい歌舞伎のスタイルとして、若者をはじめとして、
それまで歌舞伎に馴染みがなかった人も歌舞伎へ多く取り込んでいきました。
現代劇と古典を融合して作られたこのスーパー歌舞伎の登場は、
歌舞伎界にとっては、画期的な出来事だったと言えます。
「ヤマトタケル」以降も「リュウオー」「オグリ」「新・三国志」などが
次々と創作上演されました。
この題材に選ばれたのは、
中国の古典や日本の神話など、今までの歌舞伎にはなかったものです。
三代目猿之助は、「真に現代人の胸に迫る物語性」を掲げ、
これらを歌舞伎化したのです。
四代目市川猿之助は、そのポリシーを受け継ぎ、
「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)」と銘打って、
この「ワンピース」の大ヒットを飛ばしています。
超話題の「スーパー歌舞伎Ⅱ新版オグリ」はこちらです
国民的な人気マンガ「ONE PIECE」とは?
海賊王を夢見る少年モンキー・D・ルフィを主人公とする、
「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を巡る海洋冒険ロマン。
夢への冒険・仲間たちとの友情といったテーマを前面に掲げ、
バトルやギャグシーン、感動エピソードをメインとする
少年漫画の王道を行く物語として大人から子どもまで人気を博しています。
作者は、尾田栄一郎先生。
週刊少年ジャンプ(集英社)の1997年34号から連載が始まり、
2019年3月現在で単行本が第92巻まで観光されています。
麦わらの仲間とそれぞれの夢をかなえるために、
繰り広げる冒険物語からは、娯楽だけでなく、
人生に大切なものを学べるんですよね。
漫画だけではなく、テレビアニメにもなり、映画にもなり、
関連グッズも数多く販売されているので、
日本以外でも大人気。
その中から、スーパー歌舞伎として取り上げられたのは、
50巻~61巻に描かれた、「頂上戦争編」です。
シャボンディ諸島に立ち寄ったルフィ達は、
事件を起こして、仲間が散り散りになってしまいます。
その中で、兄のエースが囚われ処刑される危機にあると知り、
助けに向かいます。
そこで、海軍との戦いになり・・・と
壮絶なストーリーが繰り広げられるストーリーです。
シネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」の感想
はじめて見たスーパー歌舞伎ワンピース、その感想!
映画が始まる前に、
出演者である、坂東巳之助さんと中村隼人さんの
対談が流れます。
それを見ると、演出や監督、役者の皆さんが
知恵を出し合いながら作っていった作品だということがわかります。
ぜひ、この動画もご覧ください。
演目そのものは、実は初めて観ました。
オープニングからしばらくは少々面食らいました。
というのも、
日頃見慣れている歌舞伎にはない、
CGや照明効果や音楽、
現代語のセリフでお芝居が進行していったからです。
衣装やメイクの派手さや、
登場人物の所作はそれほど気にならなかったのですが、
台詞回しだけがどうも気になってしまいましたね。
観ているうちに引き込まれていったので最初だけですが。
大掛かりな舞台装置と、
早変わりに立ち回り、常に猛ダッシュの勢いで
ストーリーが進んでいきます。
水を使った立ち回りのシーン、
吹雪が舞うシーン、
宙乗りのシーンなど、
エンターテイメント感溢れる壮大な舞台です。
スーパー歌舞伎は、現代劇と古典劇との融合ですが、
土台は歌舞伎であり、
それを具現化していたのは、役者さん達です。
ということで、よかった役ベスト3をあげてみます。
スーパー歌舞伎ワンピース、よかった役者ベスト3
◎ボン・クレー
演じたのは坂東巳之助さん。
表情も動作も豊かで、おかまキャラ熱演でした。
「麦ちゃん」「ボンちゃん」と
ルフィとの絆も心温まるものでした。
ルフィ達を守るために、
体を張っての戦いぶりはかっこよかったです。
https://kabukist.com/minosuke-71
◎イワンコフ
この方は革命軍のリーダーで、やっぱりおかまキャラ。
演じたのは、浅野和之さん。
この方もとても存在感がありました。
踊りとかアクションのキレがいい、
歌舞伎役者さんじゃないけど、
歌舞伎の中に溶け込めている方だと思いました。
話題になった「スーパー歌舞伎Ⅱ新版オグリ」では、
閻魔大王を演じていらっしゃいます。
これも絶妙なんです。
演技の器の大きさを感じる役者さんです。
https://kabukist.com/asanokazuyuki-4303
◎白髭
エースの父で、海賊のリーダーでもある白髭。
演じたのは市川右近(現右團次)さん。
この方、そんなに背が高くないのですが、
とても大きく見えました。
歌舞伎の演目「義経千本桜」に
碇知盛という役があるのですが、
その役と重なります。
深手を受けながら、手下達を守ろうとする、
とても懐の大きな存在でした。
シネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」のキャストは?
では、「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」、
どんな方が演じたのかもお伝えします。
モンキー・D・ルフィ/女帝ボア・ハンコック/赤髪のシャンクス:市川 猿之助
エドワード・ニューゲート(白ひげ):市川 右團次
ロロノア・ゾロ/ボン・クレー/スクアード:坂東 巳之助
サンジ/イナズマ:中村 隼人
ナミ/サンダーソニア:市川 春猿
ジンベエ/マーシャル・D・ティーチ(黒ひげ):市川 猿弥
ニコ・ロビン/マリーゴールド:市川 笑也
ポートガス・D・エース:福士 誠治
元帥センゴク/エンポリオ・イワンコフ/シルバーズ・レイリー:浅野 和之
いくたびか、再演されている演目です。
シネマ歌舞伎は2016年の上演時とは、
違う配役での上演もあるようですね。
次は、ぜひ生の舞台で観たいと思います。
月イチシネマ歌舞伎は、5月17日(金)~23日(木)まで。
お早めに足をお運びくださいね。
今日も読んでくださり、ありがとう存じまする。
*2020年4月25日(土)から5月2日(土)まで、ニコ生チャンネルでの放映も決定しました。
詳しくはこちらをどうぞ。
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