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2月大歌舞伎 初世尾上辰之助第三十三回忌追善公演の見どころは?

公演情報
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2月2日に初日を迎えた、歌舞伎座の2月大歌舞伎。初世尾上辰之助の第三十三回忌追善公演でもある、この公演の見所を紹介します。



 

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見どころ1:初世尾上辰之助を偲ぶ演目

・初世尾上辰之助とはどんな役者だったのか?

1987年に40歳の若さで急逝した昭和時代の俳優、歌舞伎役者。

ここでちょっと豆知識

1946年10月26日、二代目尾上松緑の長男(本名:藤間亨)として生まれる。

1952年2月、歌舞伎座「伽羅先代萩」の鶴千代役で、初代尾上左近を名乗り初舞台。

1965年5月、歌舞伎座「寿曽我対面」の五郎、「君が代松竹梅」の松の君で、初代尾上辰之助を襲名。

同世代の四代目尾上菊之助(七代目尾上菊五郎)、六代目市川新之助(十二代目市川團十郎)とは、共演する機会も多く、1960年代後半は、「三之助」として人気を博した。

1986年、アルコール性肝炎により入院

1987年、肝硬変による食道静脈瘤破裂により死去、40歳

息子は三代目尾上松緑(藤間あらし)

日本舞踊の藤間流家元でもあった。

初世辰之助の代名詞のように言われるのが、

酒豪、豪胆な演技というものです。

実際に、お酒はかなり飲まれたようですが、

性格的にはとても繊細な方だったようで、

1980年に「リチャード三世」で共演した美輪明宏氏は、かつて、テレビ番組で

「お父さま(二代目松緑)は豪胆な方だったけど、辰之助さんは繊細な方だった。」

と述べたと言います。

・松緑が父、辰之助の思い出を振り返った言葉にぐっとくる

病に倒れた時も、息子の辰之助さんに病気の姿を見せたくないからか、

病室に入れなかったということです。

このことを、松緑さんは、

「『チューブに繋がれたような姿は絶対に見せたくない。

自分は退院するから、あらし(松緑)だけは来させるな』。と、

病室にも入れてもらえなかった。」と振り返っておっしゃってました。

そんな、松緑さんは幼い頃に観た、

初世辰之助さんの「蘭平物狂」が強く印象に残っているそうです。

「父の蘭平を見て、歌舞伎役者って格好いいなあって思いました。

子どもがスーパーヒーローを見るような感覚です。」

追善公演に向けて語った、松緑の言葉に、

父への想いを感じて、グッときてしまいました。

・初世尾上辰之助の当たり役をいえばこれでしょ!

豪胆な役者として知られた辰之助さん。

当たり役といえば次の役があがります。

*「蘭平物狂」ー供蘭平役

*「暗闇の丑松」ー暗闇の丑松役

*「勧進帳」ー弁慶役、冨樫役

*「義経千本桜」ーいがみの権太役

役者としては、体格の良さと動きのキレの良さが伴った、

華のある立ち所や明晰な口跡が魅力だったようです。

2月大歌舞伎では、息子の尾上松緑が、

このうちの「いがみの権太」を演じるのも楽しみです。



 

見どころ2:父である初世尾上辰之助の得意な演目に挑む尾上松緑、その心境を見る

2月大歌舞伎、父である初世尾上辰之助の追善公演では、

辰之助が得意とした、2役に挑みます。

その心境を次のように語っています。

*「義経千本桜」すし屋 いがみの権太役

「菊五郎の兄さんがなさっているのが、祖父(二世松緑)のとおりなので、一から稽古していただいて音羽屋型の権太を勉強したい。教わったとおりにやりたい」

「『義経千本桜』の三役の中では、権太が巣の自分に近い気がする。今回をスタートに、自分なりの権太を作っていけたらいい。権太は悪ぶっているけど、シャイでこれまでの親不孝を償わないとおいう気持ちがあり、その心境は自分にも近いところがあるので、それが舞台の上でも出ればいいな・・と。」

祖父の代からの型を学びつつ、今の自分に合った権太を、どう作るのかが注目です。

*「名月八幡祭」縮屋新助役

「まさか父の盟友だったお二人が出てくださるとは思わなかった。『俺がやるよ』と父が出てくるんじゃないかという顔ぶれで本当にありがたい。」

「父の新助の演じ方はストーカーまがいではなく、ニュートラルな田舎の商人が人生初めての恋をし、それが自分の中で消化し切れない、というやり方で演じていたと思うので、それを踏襲したい。」

松緑にとって思い出深い舞台で共演していた、三次の片岡仁左衛門と美代吉の坂東玉三郎が、今回共演者として連ねています。この二人に演出も任せ、リードしてもらいながら、どのような新助像を描くのかも注目です。



 

見どころ3:吉右衛門・菊五郎・玉三郎・仁左衛門・芝翫・・・舞台を盛り立てる豪華な役者

この公演になを連ねる役者の名を見ると・・・ジュルッと垂涎ものなのです。

中村吉右衛門、尾上菊五郎、中村玉三郎、片岡仁左衛門、

当代を代表する名優がずらり。

それに加えて安定した実力を誇る、

中村芝翫、中村梅玉、中村時蔵、中村雀右衛門、片岡孝太郎。

さらには躍進著しい、

尾上菊之助、中村梅枝、そして松緑の息子である尾上左近・・・。

これはほんの一部ですよ。

見なきゃ損っていう豪華な役者の競演です。

 

東京新聞劇評に、その賑わいを見る

2月15日の東京新聞に、

歌舞伎座2月大歌舞伎の劇評が掲載されています。

「『名月八幡祭』役者揃う」という題がついたこの評からは、

尾上松緑の奮闘とベテランの円熟した芸が混じり、

早逝した辰之助を偲ぶ舞台にふさわしい内容であることがうかがえます。

特に、タイトルにもなった夜の部の「名月八幡祭」では、

縮屋新助役の松緑について、

手堅くそつのない田舎の商人である新助が、惚れた女性に裏切られ身を滅ぼしていく様子を

好演していると褒めています。

共演の坂東玉三郎の芸者美代吉は傑作、

片岡仁左衛門も軽薄で自堕落な男を活写しているともあります。

また、「一谷嫩軍記の熊谷陣屋」で、熊谷を演じる吉右衛門へは当代随一という賛辞も見られます。

その他の役者も、役の味わいを十分に演じきっている様子が垣間見え、

これから鑑賞に行くkaburinは楽しみが倍増なのです。

歌舞伎研究家矢内賢二氏の劇評は、

東京新聞Webサイトからも拝読できるので、

ご一読されるとよいのではと思います。



 

2月大歌舞伎の演目と主な配役

では、気になる演目と主な配役をここで紹介いたします。

〈昼の部〉

1.「義経千本桜 すし屋」

いがみの権太  松緑

弥助      菊之助

実は三位中将維盛

鮨屋弥左衛門  團蔵

梶原平三景時  芝翫

 

2.「暗闇の丑松」

暗闇の丑松  菊五郎

女房お米   時蔵

四郎兵衛   左團次

3.「団子売り」

杵造     芝翫

お臼     孝太郎

〈夜の部〉

4.「熊谷陣屋」

熊谷直実   吉右衛門

藤の方    雀右衛門

源義経    菊之助

相模     魁春

5.「富年祝春駒」

工藤祐経  梅玉

曽我五郎  左近

6.「名月八幡祭」

 

縮屋新助  松緑

芸者美代吉 玉三郎

船頭三次  仁左衛門

2月2日(土)初日~26日(火)千穐楽

東京、東銀座歌舞伎座において上演

 

注目の舞台、私も楽しみ!!早く観に行きたいです!

今日も読んでくださり、ありがとう存じまする。

*参考:歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」

歌舞伎俳優名鑑

東京新聞

コメント

  1. […] 2月大歌舞伎 初世尾上辰之助第三十三回忌追善公演の見どころは?2月2日に初日を迎えた、歌舞伎座の2月大歌舞伎。初世尾上辰之助の第三十三回忌追善公演でもある、この公演の見所を紹介します。 見どこ…kabukist.com2019-02-16 11:24 […]

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