図夢(zoom)歌舞伎「忠臣蔵」〜オンラインで歌舞伎〜第1回・2回の視聴レポ・感想・評判などなど 7/4追記

図夢歌舞伎、世界初のオンライン歌舞伎が

6月27日に初日を開けました。

私は準備万端でライブ配信を見ました。

そして、いろいろ思うこともありました。

その後メディアやSNSの反響も興味深く拝見しました。

そういうことをつらつら書いていきます。



図夢歌舞伎、世界初の試みオンライン歌舞伎、第1回目開催されました

図夢歌舞伎は、歌舞伎役者松本幸四郎中心に、

構想、制作された、オンライン配信専用の歌舞伎です。

こういう試みは世界初だそうで、

劇場型公演がコロナウイルス問題によって困難な中、

考え出されたニュースタイル歌舞伎です。

上演作品は、歌舞伎の名作「仮名手本忠臣蔵」、

全11段からなる長編(通すとほぼ1日かかります)のお芝居を、

全5回、およそ3時間にまとめて上演することになっています。

第1回目配信が、6月27日(土)11時からでした。

芝居が30分、出演者トークが30分という構成、

視聴料は4700円。

四十七士をもじってこの値段がついたそうです。

ライブ視聴者はおよそ1100名、

これは歌舞伎座客席の半分強の人数となります。

アーカイブ配信が、当初は翌日の11時までだったところ、

諸々の事情により3日の11時までとなりました。

そういうことも含めて、

実際の配信の様子と感想を次に書いていきます。



図夢歌舞伎第1回目(6/27)の視聴レポートと私的感想、スタッフ紹介、評判など

図夢歌舞伎第1回目(6/27)の視聴レポート

私は、PCをテレビのモニターにつないで、

テレビ画面で視聴しました。

時間が近づくと、画面には定式幕(デジタルの)が映し出され、

幕に「忠臣蔵」の文字、

そして懐かしい柝の音で幕が開きました。

感無量でした、、、。

そして、現れたのが口上人形、

声は歌舞伎役者の市川猿弥です。

でも、あれ???

音が聞こえないんですよ。

嘘でしょ~と思って、

リモコンでマックスにして耳をすます、

しばらくしてやっと聞こえてきました。

そして序段、鶴岡八幡宮を背景に、

高師直(松本幸四郎)と顔世御前(中村壱太郎)、

言いよるいやらしいおじじと、

逃れたいと必死の若妻。

どうやら別の場所での撮影のようですが、

袖を引く、手紙を渡す、返すなども

2人の演技で同じ部隊にいるかのように見えました。

そして、

加古川本蔵(松本幸四郎)、主君桃井若狭之助が、

高師直に辱めを受けたと斬る気満々なのを苦慮するシーン。

これは、事前に収録したもののようで、

音声の大きさと質が微妙に違います。

この音の違いは、

収録部分とリモート部分が合わさる時にも

違和感として残りました。

下手に出て、とりなしを頼む本蔵に対し、

目録を見て途端に機嫌が良くなる強欲な師直。

両方とも松本幸四郎が演じていたのですが、

その演じ分けは見事だっただけに、

音が残念でした。

そして、いよいよ松の廊下の場面です。

高師直にカメラは密着、

賄賂をもらった、桃井若狭之助には平身低頭、

まさに廊下に頭を擦り付けてへつらう師直。

そこに現れる足元、塩冶判官です。

若狭之助にへいこらして面白くない師直は、

なんやかんやと難癖をつけます。

そして、顔世御前から届けられた付け文を見ると、

その鬱憤晴らしはさらにエスカレートするのです。

カメラは、師直にググッとよります。

これは、判官目線を意識しているとのことでした。

聞くに耐えない雑言を言い続ける師直、

肩を震わせながらじっと我慢をしていたものの、

「鮒大名」と言われ、

ついに堪忍袋の尾が切れます。

殿中で刀を抜くと、師直に斬りかかるのです。

止めに入った加古川本蔵、

そのことを後悔するセリフで幕がおりました。

その後着替えての役者のトーク。

これもリモートで行なっていたのですが、

初めは、声が揃わなくて、聞きづらかったです。

途中から市川猿弥がリモートから外れ、

中村壱太郎と同じ画面に収まってからは、

猿弥の爆笑トークも混じって楽しく聞くことができました。

トークからは、

お稽古が大変だったことと、

劇団ノーミーツさんの助力があったこと、

久しぶりの芝居で皆胸がいっぱいだったことが

語られました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後、音の問題は重く受け止められたようで、

その他の修正も併せ、改善したものが

19時ごろからアーカイブ配信となりました。

本来は翌日までの配信も、

3日まで延長となり、

その時点でできることを

迅速に精一杯やってくださった担当の方々には、

感謝の気持ちでいっぱいなのです。



図夢歌舞伎第1回目(6/27)の私的感想

すごく楽しみにしていたので、

観劇の時と同じように、

10分前にはセットして始まるのを待ちました。

定式幕がゆるゆると開いたときは、

うるうるするくらい感激していました。

だからこそね、、、

音が聞こえないのはショックでしたよ。

テストだったら仕方ないと思いますけど、

本番です。

4700円というチケット代を払ってのライブです。

音が聞こえない、

途中で止まる場面もありました。

環境のせいと言われたら仕方ないけど、

有料配信でこの不安定さはないでしょ~と

言いたい気持ちがあるのです。

途中で映ってはいけない人が映っちゃったり、

音のバランスが気になったりもあってね、

ものすご~~~く期待していただけに

そういう技術的な不具合は残念でした。

そして、そう思うこと自体、

歌舞伎ファンとしてはいけないことなのかなって

自分でもモヤモヤしていましたよ。

モヤモヤするけど、

よかったよかった、、、、と手放しで褒めていたら、

進化はないと思うので不満を先に書きました。

じゃあ次によかったことです。

この状況で、オンライン配信専用の新たな歌舞伎を作った

ってことはめちゃくちゃありがたいチャレンジです。

歌舞伎は、一つの舞台を作るのに、

ものすごく多くの行程や、多くの物品や、人の共同作業が必要です。

それらが困難だから、

芝居が上演できないんです。

それをなんとか打破しようとして作ったって意気込みは

素晴らしいことだと思います。

しかも、今回だけではなくて今後も通用するものを作るって意図じゃないですか。

400年の歴史を誇る伝統芸能が、果敢にも新たな技術を用いて、

今までとは違うスタイルで上演しようとしているのです。

ライブは、いくつか不具合がありそれは本当に残念でした。

アーカイブで見直したところ、だいぶ修正されていたので、

安心して見ることができました。

芝居自体は、登場人物が限られているものの、

歌舞伎の魅力が取り入れられていて

引き込まれる場面もありました。

欲を言えば欲を言いたいところはありますが(笑)、

限られたリソースであれだけの芝居が作れたのは

すごいことだと思います。

塩冶判官は、セリフはなくて表情と動作だけで、

憤り、悔しさなど、爆発寸前の感情を表現していました。

高師直は、本当に嫌なやつでした。

見ていて胸クソ(失礼)悪くなる、

そのくらいの熱演でした。

話題の通り、判官目線でのカメラワークは、

臨場感がありましたし、

一触即発の熱気が伝わってくるようでした。

口上人形も軽妙な語り口で、

芝居では見られなかったことを補ってくれました。

本当にお芝居はよかったんです。

だから、なおさら思うんですね。

400年続いた伝統の芸は、

テクノロジーよりも優っていたと。

どんな伝え方をしようと、

色褪せない強さを持っていると。

つまりのところ、

アイデアと芝居の力を伝えきれない技術面の問題と

お高い価格が、ブレーキ要因だったかなと感じています。

ライブ視聴者が1100人はちょっと少ないなあってことも思いました。

これ、金額がもう少し低かったら、

観客増えたと思うんですよ。

また、アーカイブも1週間延長だったら

さらに増えたと思うんですよ。

そこらへんは、役者、現場スタッフの問題ではないので、

制作の方達が検討していただければなあって思っています。

演出を担当した戸部さんのインスタグラム、

悔しさがにじみ出ていました。

でも、それは戸部さん一人が追うものじゃないだろうなって

思いました。



図夢歌舞伎第1回目、スタッフ紹介

閉演時、

テロップに流れた関係者のお名前に、

実は感動しました。

これだけの方達が、歌舞伎のひと作品に関わったんだなって

感無量でした。

ここで、紹介します。

後見:松本幸蔵・中村翫之・松本幸次郎

鳴り物:田中傳左衛門社中

田中傳左衛門

田中長十郎・田中傳四郎

田中傳十郎

柝:竹芝健

大道具:歌舞伎座舞台

小道具:藤浪小道具

衣装:松竹衣装・日本演劇衣装

かつら:東京演劇かつら

床山:東京鴨治床山・光峯床山

照明:歌舞伎座照明部

音響:松竹ショウビズスタジオ

錦絵:国立国会図書館

構成・演出:松本幸四郎

脚本:戸部和久

演出補:岡戸優太

配信協力:イープラス

技術協力:劇団ノーミーツ

制作:どこでも歌舞伎有志一同

製作・著作:松竹株式会社



図夢歌舞伎第1回目(6/27)の評判はどうだった?

評判は、メディア系とSNS系で若干色合いが違うように見えます。

まず、新聞・ウェブサイト・テレビの反応は、

「非常に良い」

という印象です。

特に、世界初の試み、松本幸四郎の意気込み、カメラワークによる臨場感、

などなど、

この取り組みに関する評価は高く、

また、構成や制作に関してもほとんどが好意的です。

6月30日に放映された日本テレビのニュース番組「news every」では、

制作の裏側も公開し、その試みの斬新さを紹介していました。

マスコミ側の報道は、製作者目線が強いと感じました。

SNSでは、

制作の戸部さんのインスタグラムに「悔しい初日」の言葉がありました。

反省の言葉が並ぶこのインスタには、

それを励ます声もあれば、批判的な声もありました。

つまりは、賛否どちらもあるのです。

素晴らしいと称える声ももちろん多いですが、

技術の不足、作品の出来と値段との折り合いが

つかないと考える人もいるなあと思います。

それが、疑問を投げかける声としてあるようです。

具体的には、

・人員をもっと揃えられないのか、

・音声や照明の課題、

・生にこだわる理由はあるのか、

・金額が高い、

というものだったと思います。

ファンは、その思いを応援したいからお金を払っています。

お布施という方もいます。

その上での賞賛と苦言があるということは、

今後それをどう生かすかが大事ということでしょう。

初めての挑戦には、失敗も非難もつきものです。

それ以上にがんばれとエールを送る人がいます。

その愛ある声に耳を傾けて、がんばってほしいと

私も思っています。



図夢歌舞伎、第2回 第四弾(7月4日(土))の視聴レポ&私的感想・制作スタッフ紹介

第二回 第四段目 7月4日(土)11時より配信

〈第二回配信 第四弾目の配役〉

・大星由良之助・塩冶判官:松本幸四郎

・大星力弥:市川染五郎

・口上人形:市川猿弥

〈第二回配信 第四弾目のあらすじ〉

殿中で刃傷沙汰を起こした塩谷判官は、

切腹と塩冶のお家は取り潰しの沙汰となります。

判官は、国家老の大星由良之助の到着を待ちながらも

腹を切ります。

そこへ到着した大星由良之助、

主君の無念のメッセージと形見の小刀を拝受します。

・・・・口上のチャット紹介・・・

城の受け渡しを目前に、力弥は足利の討手を相手に

ここで討ち死にをと決起はやる様子を見せます。

由良之助は、本当に恨むべきは、、と真意を語り、

城を明け渡すよう説得します。

そして、いつしか主君の仇を討つという覚悟を胸に秘め

城を後にするのでした。

〈第二回配信 第四弾目の視聴レポ&感想〉

第2回目を視聴しました。

第1回目の250%くらいのでき、

歌舞伎になってたことが、ただただ感動です。

第1回目は、

音声、分割した画面のバランス、などなど、

技術面での問題が視聴者側のストレスとして

不満が出てしまいました。

この後見るかどうか・・・という声もあったほどです。

でも、

今日、終わった後のツイッターを見る限りでは、

ほとんどの声が「満足」「また見たい」ということ。

もちろん、私も満足しました。

ライブを見て、アーカイブも見てしまいました。

多分もう一回見ると思います。

なぜ、そんなに満足度が高かったのか???

前回の課題を見事にクリアして、

完成度の高い作品に仕上げてくださったことが

何よりも大きかったと思います。

それがあったからこそ、

画面に集中することができました。

私の個人的ベスト3を紹介しましょう。

ベスト3:音楽と役者の演技のベストマッチ

今回、音声のストレスがなかったことは嬉しかった。

加えて、効果的な使い方も、

劇場にいるかのように思わせてくれました。

三味線がチンと入り、役者の所作、セリフが続く、

鐘の音が取り潰しの悲哀を盛り立てる。

場面場面の印象が強く刺さってくる感覚です。

幕引き後に、演出の戸部さんから、

「通さん場」の説明がありました。

判官蟄居から、切腹の場面、

途中観客を入れないようにしているのだそうです。

それは、静寂の中、

床を歩くすり足の音、衣擦れ、呼吸など、

密かな音に耳をすますことで、

判官の思いを、緊迫の時間をより味わうための

演出と感じました。

その醍醐味を味わうことができました。

ベスト2:分割画面で迫真の対面を演出

判官の切腹とともに由良之助が到着する場面、

図夢歌舞伎ならではの演出、

画面を大胆にカットして、映し出していました。

表情、足元、手元など、

多面的に見るインパクトは大きかったです。

目と目を交わし、無念を伝える判官と由良之助の

大クローズアップも、息を呑みました。

2人の悔しい思いや信頼感、

そんなものが画面から伝わってきました。

目の演技を、舞台で見ることはかないません。

これは、オンライン配信だからこその演出でしょう。

そしてそれは、大成功だったと思います。

ベスト1:城を去る由良之助の涙

最後、血気にはやる力弥を説得し、

城を後にする由良之助。

心の中には、亡君の無念を晴らす誓い、

それまでは死ねない、

武士としての恥辱を受けても、

生き延びて仇を討つ。

いやあ~~

どんな心境だったんだろうな、由良之助。

想像し難い重い心中を

どんどん小さくなっていく城の門と

由良之助の表情が語っていました。

幸四郎の頬を伝う涙に、ドッキリ・・・。

鬼気迫るとはこういうことか、

それを間近に見られるのも図夢歌舞伎ならではか、、、と

初めて、この歌舞伎のよさを実感した場面でした。

以上感想でした。

次は第三回、五・六段目となります。

それも絶対に見ますよ、楽しみにしています。

〈第二回配信 第四弾目のスタッフ紹介〉

後見:松本幸蔵・中村翫之・松本幸次郎

竹本:竹本東太夫・鶴澤慎次

長唄:鳥羽屋三右衛門社中

杵屋栄十郎・鳥羽屋里松

鳴り物:田中傳左衛門社中

田中傳左衛門

柝:竹芝健

大道具:歌舞伎座舞台

小道具:藤浪小道具

衣装:松竹衣装・日本演劇衣装

かつら:東京演劇かつら

床山:東京鴨治床山

照明:歌舞伎座照明部

錦絵:国立国会図書館

構成・演出:松本幸四郎

脚本:戸部和久

演出補:岡戸優太

撮影協力:

西森圭太郎・西山理彦・徳山武昇

録音・音響協力:松竹ショウビズスタジオ

配信協力:イープラス

技術協力:劇団ノーミーツ

制作:どこでも歌舞伎有志一同

製作・著作:松竹株式会社

*撮影協力が入っていますね。技術面の改善、力を入れたんだろうなあ。

本当に素晴らしかったです。拍手と感謝♫

図夢(ズーム)歌舞伎「忠臣蔵」第三回目以降の日程と配役

第3回 7月11日(土)11:00より(第五.六段)

・早野勘平:市川猿之助

・斧九定九郎:松本幸四郎

・女房おかる:中村壱太郎

・母おかや:上村吉弥

・百姓与市兵衛:松本高麗五郎

・口上人形:市川猿弥

第4回 7月18日(土)11:00より(第七段)

・寺岡平右衛門:松本幸四郎

・遊女おかる:中村雀右衛門

・口上人形:市川猿弥

第5回 7月25日(土)11:00より(第九・十一段目)

・大星由良之助/加古川本蔵:松本幸四郎

・戸無瀬:市川猿之助

・大星力弥:市川染五郎

・口上人形:市川猿弥

図夢歌舞伎と書いて、ズーム歌舞伎と読む。 歌舞伎役者松本幸四郎が、20年構想を得た新たな歌舞伎スタイルへ 挑戦を始めます。 ...

読んでくださりありがとう存じまする。

注:この記事の写真は、6月30日放映の「news every」によるものです。