七月大歌舞伎が初日を迎え、
大いに盛り上がっている今週、
今年の「秀山祭」の演目と主な配役が発表となりました。
九月も豪華な布陣が歌舞伎座を彩ります。
とても楽しみになってきました。
「秀山祭」とは初代中村吉右衛門の俳名にちなんだ歌舞伎公演
毎年、歌舞伎座の九月恒例となった「秀山祭」。
この「秀山」とは、
初代中村吉右衛門の俳名なのだそうです。
2006年に、この初代中村吉右衛門の
舞台に対する姿勢、歌舞伎に対する思い、役者の魂を受継ごうということから、
その生誕120年を機にスタートしたのだそうです。
演目では、初代吉右衛門の所縁の芝居を
上演することが多く、
二代目吉右衛門も、その当たり役を演じてきました。
初代吉右衛門には息子がおらず、お嬢さんだけ。
そのお嬢さんが、松本幸四郎に嫁ぐこととなった時、
息子を二人産んで、
一人は松本家の跡取り、
もう一人は、中村家の跡取りに、
と父に約束したそうです。
その通り、長男が現在の松本白鸚、
次男が二代目中村吉右衛門と、
両方のお家を存続させることができたということです。
初代吉右衛門の芸に倣うこの秀山祭、
中村吉右衛門とともに松本幸四郎が盛り上げるのは、
そういう縁もあったからなのですね。
歌舞伎座九月大歌舞伎「秀山祭」の演目と主な配役は?
三世中村歌六の100回忌追善狂言も
この公演の中で行われるようです。
歌舞伎役者それぞれの活躍で
大いに盛り上がりそうな予感がしています。
では、演目と主な配役の紹介です。
昼の部の演目と主な配役
河竹黙阿弥 作
一、極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)
「公平法問諍」
幡随院長兵衛 松本 幸四郎
水野十郎左衛門 尾上 松緑
唐犬権兵衛 中村 錦之助
長兵衛女房お時 中村 雀右衛門
二、お祭り(おまつり)
鳶頭 中村 梅玉
芸者 中村 魁春
三、沼津(ぬまづ)
三世中村歌六 百回忌追善狂言
伊賀越道中双六
呉服屋十兵衛 中村 吉右衛門
平作娘お米 中村 雀右衛門
池添孫八 中村 錦之助
旅人夫 中村 歌昇
旅人女房 中村 種之助
旅人倅 初お目見え:小川綜真(歌昇長男)
茶屋娘おくる 中村 米吉
荷持安兵衛 中村 又五郎
雲助平作 中村 歌六
夜の部の演目と主な配役
菅原伝授手習鑑
一、寺子屋(てらこや)
松王丸 中村 吉右衛門
園生の前 中村 福助
千代 尾上 菊之助
菅秀才 尾上 丑之助
戸浪 中村 児太郎
春藤玄蕃 中村 又五郎
武部源蔵 松本 幸四郎
二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶 片岡 仁左衛門(奇数日)
松本 幸四郎(偶数日)
源義経 片岡 孝太郎
富樫左衛門 松本 幸四郎(奇数日)
中村 錦之助(偶数日)
三、秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)
三世中村歌六 百回忌追善狂言
松浦鎮信 中村 歌六
大高源吾 中村 又五郎
お縫 中村 米吉
宝井其角 中村 東蔵
三世中村歌六といえば、
播磨屋(中村歌六家系と中村吉右衛門家系)、萬屋(中村時蔵家系)、中村屋(中村勘三郎家系)
と子孫がそれぞれのお家を存続させているのですが、
なぜか中村屋の名前が配役にないんです。
追善だから、ちょっとは見たかったなあ中村屋も。。
九月大歌舞伎勝手に見どころベスト3
この案内だけで、私が勝手に妄想したベスト3です。
ベスト1:子役の活躍に期待!
中村歌昇のご長男、小川綜真くんが初お目見え。
そして、先日襲名披露を終えた尾上丑之助くんも菅秀才役で登場。
まあ、おばちゃんとしては
何よりも子役を見るのが楽しみです。
うふふのふ
*中村歌昇については、こちらにも記事を書きましたので、
よかったらお読みくださいね。
*尾上丑之助襲名については、こちらにも記事を書きましたので、
よかったらお読みくださいね。
https://kabukist.com/post-441-441
ベスト2:吉右衛門の松王丸は必須!
寺子屋といったら松王丸。
多くの方が演じているお役です。
七月の歌舞伎鑑賞教室(国立劇場)でも、
この演目は行われている(尾上松緑が務めてます)ところ。
中村吉右衛門にとっては当たり役ともいえます。
役者の当たり役は見てて痛快です!
*中村吉右衛門については、こちらにも記事を書きましたので、
よかったらお読みくださいね。
https://kabukist.com/post-495-495
ベスト3:仁左衛門と幸四郎の日替わりの勧進帳は見もの!
「勧進帳」大好物です。
今回の弁慶は、片岡仁左衛門と松本幸四郎が日替わりで務めます。
冨樫役を、中村錦之助と松本幸四郎が日替わりで務めます。
どっちも見たい、どっちどっち~~
とジタバタしそうです。
*片岡仁左衛門については、こちらにも記事を書きましたので、
よかったらお読みくださいね。
*松本幸四郎については、こちらにも記事を書きましたので、
よかったらお読みくださいね。
https://kabukist.com/koushirou-215
ベスト3:中村歌六と米吉の親子共演!
渋~く脇を固める中村歌六と、
可愛い娘役には定評がある中村米吉親子。
六月の歌舞伎座に続いて、
九月も親子共演を果たします。
それも中村歌六の100回忌追善公演で、、、と思うと、
なんかスペシャルな感じがしちゃうんですよね~。
*中村米吉については、こちらにも記事を書きましたので、
よかったらお読みくださいね。
三世中村歌六についても知っておこう!
三世中村歌六についても豆知識。
明治時代の歌舞伎役者、俳名はなんと獅童なのですよ。
大阪で生まれ、上方では千両役者と言われた人気者。
しかし、新たな活動の地を求めて
江戸へ出てきます。
そこでは、型や芸風の違いから
なかなか芽が出ず苦労をするのですが、
ある芝居で、観客を魅了してから、
頭角を現していったそうです。
子が3人いて、
一人が初代中村吉右衛門、一人が三代目中村時蔵、
そしてもう一人が十七代目中村勘三郎となります。
なので、この方は今の歌舞伎になくてはならない
とても重要な存在の方なのです。
先月末に、当代歌六が施主を務め、
東京都台東区にある西徳寺で、百回忌の法要が行われました。
吉右衛門をはじめ、ゆかりの俳優たちが出席し、
ともに先人を偲んだそうです。
自身の襲名の際も、ここを訪れた中村歌六は、
この日も気持ちを改めた様子で手を合わせていたそうで、
9月の舞台への気合いも感じられますね。
三世中村歌六の歴史については、こちらの記事でも触れています。
よかったら読んでくださいね。
まだ七月、なのに九月の話題とは気が早いですが、
ここから役者さんたちスタッフさんたちの指揮もが始まるんだろうなあ
と思うと応援したくなってしまいます。
また、近づいたら最新情報を上げていくので、
楽しみにしていてくださいね。
読んでくださり、ありがとう存じまする。
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