歌舞伎座3月公演動画、4月17日(金)16時から26日(日)23時59分までYouTubeで無料配信されました。
全公演中止となりましたが、本来だったら見どころの多い演目、
人気役者の熱演を、歌舞伎座で観られるはずでした。
新型コロナウイルス問題により、観劇再開がおぼつかない今ですが、
YouTubeでその芝居を観ることができました。
歌舞伎座3月公演をYouTube(終了)で見る方法
歌舞伎座3月公演が期間限定の無料動画配信(終了)
歌舞伎座3月公演は、
松竹のYouTubeチャンネルから見られました。
期間限定のため、
4月17日(金)16時から、26日(日)23時59分まででした。
無観客の舞台でも役者はその技量を尽くして演じます。
歴史上初の試みでもあります。
自宅で歌舞伎観劇を楽しませていただきました。
歌舞伎座3月公演をYouTubeで見た
上演予定のお芝居ごとに
見られるように思います。
いつ何があっても観られるように、
チャンネル登録をしておきましょう!
松竹チャンネルはこちらから
三月大歌舞伎『雛祭り』
お雛様役の中村福助の動きに、
ついつい注目してしまいました。
左手を動かし、優美に佇む姿に安堵。
この舞踊劇は、お雛様たちが酒を呑んで
酔い、舞う場面がおもしろい。
5人囃子の中村歌昇の舞が見事でした。
短時間の舞台なので、スマホからちょくちょく観てました。
三月大歌舞伎通し狂言『新薄雪物語』
『新薄雪物語』「花見」
桜が満開の清水寺、
舞台がピンクに染まり、とても美しかったです。
腰元まがきと奴妻平の夫婦ならではのやり取りや、
初々しい薄雪姫と左衛門のやり取りに笑みがこぼれました。
妻平の立ち回り、
歌舞伎ならではの派手〜な趣向も
ワクワクしながら観ていました。
『新薄雪物語』「詮議」
この段は、
出演者がめちゃめちゃ豪華でした。
大膳の陰謀と知りつつも、
証拠がないため窮地に追い込まれていく幸先家と園部家。
観ていて息苦しくなるような場を、
中村梅玉の葛城民部がスカッとおさめてくれます。
捌きの醍醐味も味わえた場面でした。
この場は、
悪役の大膳以外は、苦虫を噛み潰したような表情。
だからこそ、次の場の3人笑いが生きるんだろうなあと
本の力に唸りました。
『新薄雪物語』「広間・合腹」
重々しい雰囲気から始まったこの段。
やはり、吉右衛門、仁左衛門の演技に
圧倒される思いで観ていました。
動画で見ると、表情がアップになるので、
役者がどれだけ細かい心理描写をしているのかが、
よくわかります。
この演技力があるからこそ、4階からでも、
心を動かされるんだろうなあと
歌舞伎の魅力をまたまた実感した芝居でした。
悲劇なんですが、
心に染みる親の情愛に切なくも温かみを感じます。
三月大歌舞伎『梶原平三誉石切』
松本白鸚の梶原は、
押しが強くて堂々とした感じでした。
三月大歌舞伎『高杯』
茶目っ気のある幸四郎の二郎冠者。
高足売りの亀鶴との、のほほんとしたやり取りも
面白かったです。
高足タップダンスも楽しい、
気持ちがぱあっと明るくなる舞台でした。
三月大歌舞伎『伊賀越道中双六』「沼津」
この芝居は、前半と後半の落差が大きいです。
笑いがこぼれる前半から、
涙無くしては観られない後半。
幸四郎の十兵衛は、これが本当の初役。
昨年の秀山祭で、急遽代役を演じ好評だったことが
頭をよぎります。
今回は、その時以上に役の作り込みができていたんじゃないかなと
思わせる台詞回しや、時々に見せる表情。
白鴎の鬼気迫る演技も合わせ、
引き込まれる舞台でした。
歌舞伎座3月公演情報:演目、主な配役、役者、かんたんあらすじについて
一、雛祭り(ひなまつり)について
【主な配役】
女雛 中村 福助
男雛 中村 芝翫
五人囃子 中村 歌昇
同 大谷 廣太郎
同 中村 種之助
同 中村 虎之介
左大臣 坂東 彌十郎
右大臣 中村 東蔵
【あらすじ】
心躍る桃の節句。
華やかに飾り付けられた雛壇は、目の覚めるような美しさです。
女雛、男雛をはじめ、左大臣、右大臣、そして官女、五人囃子の人形が動き出し、
なんとも雅やかに舞い始めます。
雛人形たちに魂が入り、ユーモアあふれる趣向で優雅に舞う、
弥生興行の幕開けにふさわしい舞踊劇です。
【出演役者について】
中村福助は、名役者である中村歌右衛門襲名を前に病に倒れ、
ただいまもリハビリしながら舞台に立っています。
動きは不自由ですが、
その品のある美しさは健在です。
坂東彌十郎は、脇を締める安定感あるベテラン役者。
スイスを愛するロマンチストな方、歌舞伎界一の長身でもあります。
二、通し狂言 新薄雪物語(しんうすゆきものがたり)
【主な配役】
花見
詮議
広間
合腹
幸崎伊賀守 中村 吉右衛門
葛城民部 中村 梅玉
秋月大膳 中村 歌六
腰元籬 中村 扇雀
奴妻平 中村 芝翫
薄雪姫 片岡 孝太郎
園部左衛門 松本 幸四郎
刎川兵蔵 中村 錦之助
団九郎 中村 又五郎
松ヶ枝 中村 雀右衛門
梅の方 中村 魁春
園部兵衛 片岡 仁左衛門
【あらすじ】
義太夫狂言の名作です。
陰謀に巻き込まれた若い男女を救うために、
その親が命をかけての行動に胸がつまされます。
詳しいあらすじは、こちらを参考にしてください。
https://kabukist.com/sinusuyuki-2847
【出演役者について】
中村吉右衛門は、人間国宝であり大らかな芸風に定評があります。
9月の秀山祭では、若手を指導する立場も努めます。
鬼平犯科帳でおなじみの方も多いでしょうね。
片岡仁左衛門も人間国宝、長身の2枚目。
旧名の片岡孝夫からのファンも多いです。
2月の伝説的な立ち役として人気も高いです。
中村梅玉は、先日襲名をした中村莟玉の師匠でもあります。
中村雀右衛門は女形、可愛らしい姫も気丈な女将も、
演じ分ける幅の広さが際立ちます。
三、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
鶴ヶ岡八幡社頭の場
【主な配役】
梶原平三景時 松本 白鸚
俣野五郎 中村 錦之助
梢 市川 高麗蔵
青貝師六郎太夫 松本 錦吾
大庭三郎 中村 芝翫
【あらすじ】
梶原平三景時ら平家方の武将たちが参詣する鎌倉の鶴ヶ岡八幡宮。
そこへ、源氏方の六郎太夫と娘の梢が、刀を売りにやって来ます。
刀の目利きを頼まれた景時は、稀代の名刀であると鑑定しますが、
その斬れ味を試すため、二人の罪人を重ねて斬る「二つ胴」を行うことにします。
ところが試し斬りに必要な死罪の囚人が一人足りず、
金の工面をしたい六郎太夫が自ら志願します。
試し斬りを請け負った梶原は、一気に刀を振り下ろしますが…。
【出演役者について】
松本白鸚は、ミュージカルや現代劇でも存在感を醸し出す役者です。
様式に則った豪快な演技は右に出る者はいないでしょう。
中村芝翫は、次を担う中堅の役者です。
夫人は三田寛子さん。
キレのいい舞踊も得意です。
二、高坏(たかつき)
久松一声 作
【主な配役】
次郎冠者 松本 幸四郎
【あらすじ】
桜が咲き誇る京の嵯峨野。
次郎冠者は、主人の大名某と太郎冠者とともに花見に出かけます。
大名から高坏を買ってくるように命じられた次郎冠者ですが、
高坏がどんなものかを知りません。
すると、そこへやってきた高足売に騙されて、
高足を高坏と思い込んで買ってしまい…。
酒に酔った次郎冠者が、
タップダンスのように下駄を踏み鳴らす場面は、
演者の技量が求められるみどころです。
三、沼津(ぬまづ) 伊賀越道中双六
【主な配役】
呉服屋十兵衛 松本 幸四郎
平作娘お米 片岡 孝太郎
池添孫八 坂東 彌十郎
雲助平作 松本 白鸚
【あらすじ】
東海道を旅する呉服屋十兵衛は、
沼津のはずれで出会った雲助の平作から頼み込まれ、
荷物を持たせます。
しかし、年老いた平作の足取りはおぼつかず、
挙げ句には怪我を負うので、
十兵衛が印籠の妙薬で手当てをします。
先を急ぐ十兵衛でしたが、平作の娘お米に一目惚れすると、
平作の家に立ち寄ることに。
その夜、お米が印籠を盗もうとしたことから、
十兵衛は驚くべき事実に気づくのです。
2019年9月にも歌舞伎座で上演されました。
https://kabukist.com/9gatuhiru-1431
【出演役者について】
松本幸四郎は、9月の秀山祭で中村吉右衛門の代役として「沼津」の平作を演じました。
開演1時間前に決まったということでしたが、見事な舞台を見せ喝采を浴びています。
これからの歌舞伎界を担う看板役者の一人として活躍が期待されています。
舞台は3月、世間は4月。
スケジュール帳の歌舞伎座公演にバツをつけた無念さ、
今も外出すらままならない我慢の時期です。
そんな時に、この舞台を無料で配信してくださった松竹株式会社に、
感謝の気持ちでいっぱいです。
その花のような舞台をじっくり楽しませていただきました。
次もあるといいなあ〜〜
読んでくださり、ありがとう存じまする。
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