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国立劇場新春歌舞伎『菊一座令和仇討』感想、あらすじ〜音羽屋・萬屋でワンチーム!

観劇レポート
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国立劇場の今年の新春歌舞伎は、

通し狂言『菊一座令和仇討(きくいちざれいわのあだうち)』です。

1月12日に観劇してきたので、その感想を紹介します。

華やかで、楽しくて、新春にふさわしい、

気持ちの良いお芝居でした。

公演期間は、1/3(金)~1/27(月)です。



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国立劇場令和2年初春歌舞伎公演『菊一座令和仇討』あらすじ

『菊一座令和仇討』配役

通し狂言 菊一座令和仇討(きくいちざれいわのあだうち) 四幕九場

                        国立劇場美術係=美術

幡随院長兵衛/寺西閑心実ハ蒲冠者範頼                         

尾上 菊五郎

三日月おせん実ハ佐々木の娘風折/頼朝御台政子御前       

中村 時蔵

笹野権三                 尾上 松緑

白井権八                 尾上 菊之助

大江志摩五郎/梶原源太景季 

                              坂東 彦三郎

江間小四郎義時/おせんの手下長蔵                                

坂東 亀蔵

権八妹おさい          中村 梅枝

大江千島之助/笹野の家来・岩木甚平                              

中村 萬太郎

権三妹八重梅          尾上 右近

万寿君源頼家          尾上 左近

同宿残月/判人さぼてんの源六/和田左衛門尉義盛         

片岡 亀蔵

今市屋善右衛門/秩父庄司重忠                                     

河原崎  権十郎

家主甚兵衛             坂東 楽善

『菊一座令和仇討』あらすじ

序 幕のあらすじ 

鎌倉金沢瀬戸明神の場飛石山古寺客殿の場六浦川堤の場

 

時は鎌倉時代。

執権・大江広元(おおえのひろもと)の家に伝わる重宝「陰陽(いんよう)の判」が紛失。

跡目相続の許可を得るためには、

その重宝を将軍家に献上しなければなりません。

武芸に優れた大江の家臣・笹野権三と白井権八は、

重宝詮議の依頼を受けます。

一方、広元の妾腹・志摩五郎が、

頼朝の弟・蒲冠者範頼(かばのかんじゃのりより)の力添えを得て、

御家横領を企てており、

その計略には、権三・権八各々の養父も加担していました。

権三と権八は、養父に諫言しますが聞き入れられず、

互いの養父を殺害します。

親の敵として互いに討たれようとする権三と権八の争いを、

大江家と懇意の俠客(きょうかく)・幡随院長兵衛が止めに入り、

重宝の詮議を最優先にすべきだと説得し、

権三と権八は分かれて詮議に向かいます。

 

二幕目のあらすじ 

朝比奈切通し福寿湯の場鈴ヶ森の場

 

「陰陽の判」は、志摩五郎の手の内にあるのですが、

湯屋で美しい女性おせんに気を取られているうちに、

盗まれてしまいます。

盗んだのは、おせんの手下の長蔵。

2人は、おせんの亭主である、

寺西関心に「陰陽の判」を手に入れるよう、

指図を受けていたのでした。

一方、鈴ヶ森では囚われた権八が

仕置きを受けることになりました。

義父殺害の科で、権八、権三は追われていたのですが、

瀕死の重傷を負いながらも権三は逃亡したのです。

そこへ、許嫁の八重梅が笹野の家臣の甚平とやってきます。

水盃を交わし最後の別れをする二人、

しかし、その陰で甚平が権八の縄をといたため、

権八は傷を負いながらも逃亡します。

江戸へ向かう道すがら、

暗闇の中で出会う、権八、権三、おせんたち。

その中で、謎の男が「陰陽の判」を手に入れます。

その男の正体は、寺西閑心でした。



三幕目のあらすじ

下谷山崎町寺西閑心宅の場 大音寺前三浦屋寮の場 元の寺西閑心宅の場

 

傷療治の名医として有名な閑心の許へ、

道中で負傷した権八が訪れ、

所持金がないがために居候をしています。

そこへ、家主が定助という男の治療を頼み、

定助も閑心の家へやってきます。

実は、この定助は権三で、権八と関心の家で

驚きの再会を果たします。

金毘羅大権現の守護であると、

御守りを見せる権八、

それと同じものをなぜか権三も持っていたのでした。

吉原の女衒、サボテンの源六が、

閑心の世話で遊女になった勝山が足抜けしたと

知らせに来ます。

あとが見つからず困っていた源六は、

鴨の調理をするため小袖を羽織り頭に手ぬぐいをした権八を見て、

女性と思い込み、

百両で売って欲しいと閑心に頼みます。

傷を治療するためのお金が欲しい権八と権三、

閑心が、権八を娘のお紫、定助をその婿と紹介し、

権八の、身売りを承諾します。

身を売った百両を、夫が手にするものだという定助でした。

 

吉原では、花魁小紫(おいらんこむらさき)を名乗った権八。

正体を隠すため、遊客を全て断っていました。

ある日、質屋の今市屋の主人の懐中に、

「陰陽の判」があることを知り、

手に入れることに成功します。

それを見せるために、権三のところへ行った権八。

その途中、妹のおさいに出会います。

遊女勝山とはおさいのことだったのです。

 

権三と権八が会っているところへ、

関心が現れます。

権八が手に入れた「陰陽の判」は偽物で、

本物は閑心の手の内にありました。

閑心の正体は、源頼朝を兄と呼ぶ蒲冠者範頼。

兄から幕府を奪おうという計画を持っていました。

それを諫言した源氏の忠臣佐々木秀義を殺害し、

密かに謀反を企んでいたのですが、

権八と権三の存在が邪魔になり、

「陰陽の判」を使って2人をおびき寄せ、

殺害するつもりだったのです。

治療のために服用させていた毒が権八と権三を苦しめる中、

閑心は、後始末をおせんと長蔵に預けて、

出陣の準備のために立ち去ります。

おせんは、2人を始末しようと持った刃で

長蔵を刺し、我が身をも刺し通します。

実は、おせんは佐々木秀義の長女風折、

そして権三・権八はその弟だったのです。

親の仇とは知らず、範頼の世話になったことを悔いたおせんは、

その罪滅ぼしのために自害し、

2人に傷を治す秘伝の薬を与えます。

回復した権三・権八は、範頼を打つ決意をします。

 

大詰のあらすじ

東海道三島宿敵討の場

 

範頼の企みを知った権三・権八は、

範頼を追い詰めます。

頼朝の御台政子御前、頼家など、

頼朝の軍勢が範頼を追い込み、

「陰陽の判」を取り戻します。

政子は

戦場で改めて本懐を遂げられるよう取り計らい、

それぞれは再会を誓い別れるのでした。

 



国立劇場令和2年初春歌舞伎公演『菊一座令和仇討』の感想

このお芝居の原作は、

鶴屋南北作の「御国入曽我中村」といい、

曽我物や幡随院長兵衛、笹野権三、三勝半七の

4つの世界がないまぜになっている物語だそうです。

しかし、複雑に絡み合いわかりづらいということもあり、

通し狂言化にあたり、大幅に修正されているようです。

その分、原作を知らなくても、

十分楽しめるエンターテイメントに仕上がっているなあというのが

全体を通しての感想です。

ベスト1:物語に込められたワンチームの意味

原作の補綴(ほてい)に際して、

芝居のタイトルも、『菊一座令和仇討』に変更。

ここに込められているのが、

令和の時代の初芝居を、

近年国立劇場の初春興行を務めている

菊五郎を中心とする一座による、

仇討ちの物語、という意味だそうです。

その意味にふさわしく、

物語の鍵を握る人物に尾上菊五郎、

仇討ちを誓う兄弟に尾上松緑と尾上菊之助、ともに音羽屋。

それを助ける女性に中村時蔵、中村梅枝、尾上右近、萬屋&音羽屋。

悪事に加担する小悪党に坂東彦三郎、坂東亀三郎、ともに音羽屋。

音羽屋と萬屋の精鋭が一堂に集まり見せてくれたこの芝居、

まさにワンチームというにぴったりの

まとまりのある舞台でした。

音羽屋の層の厚さ、手堅さをも実感しました。



ベスト2:松緑・菊之助・彦三郎・梅枝・右近など期待の役者の見どころ十分

座長の尾上菊五郎は、3役それぞれが違う役どころ。

それらを微細に演じ分け、全く違う人物として浮かび上がらせていて、

さすが~~名役者だわ!って思いました。

仇討ちをめざす義兄弟(実はホントの兄弟)に、

尾上松緑と、尾上菊之助。

この2人が両花道から登場するのですが、

どっちを見ようか迷うくらい存在感がありました。

特に、尾上菊之助の女形は絶品なので

女装して花魁になっているという設定が、

ファンには嬉しい(イケメンと美女、目の保養)ところです。

中村時蔵のおさいも流石の貫禄、

アダっぽくって姐さん味が滲み出ていました。

中村梅枝、尾上右近は、

年々実力も人気も高まっている期待の若手です。

情のある女性を品よく演じていてよかったです。

坂東彦三郎演じる、ちょっとコケティッシュな小悪党は、

生き生きとしていて楽しそう。

憎めないキャラクターです。

声の良さは変わらず、一緒に観た人が、

「あの声のいい人は誰!?」って気にしていました。

声変わりかな、少年から青年へと変化を遂げる尾上左近を

観られたのも嬉しかったです。

全部紹介しきれないけど、

ベテランから若手まで巧者揃いの一座の芝居は、

どこを切り取っても見所満載です。

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ベスト3:両花道を使った演出で客席と舞台が近づいた

客席に両花道という演出は、

舞台が近づいた印象を感じました。

国立劇場は、芝居が見やすい作りになっているので、

どの席からでも、全体をほぼ見ることができるのが

嬉しい劇場です。

だから、2本の花道に登場する役者の姿も、

舞台と同様にずっと目で追うことができます。

あっちでも、こっちでも、芝居をしている、

その真っ只中にいる感覚を味わうことができました。

特に最後は、3方に人気役者がずらりと並び、

それぞれの口上。

ググッときましたよ~。

他では味わえない感覚なので、それを体験するだけでも、

価値がある舞台です。

もちろん、芝居もいいから、よりおすすめしますよ。

 

おまけ:笑える場面が多かった。

序幕の化け物退治の様子から、二幕目の湯屋でのやり取り、

ギャグがかな~り、盛り込まれていて笑えます。

笑うところに福きたり、

明るく笑える場面があるのは、嬉しいです。

あなたは、いくつ拾えるか、

数えてみてください。

私が行った時は、まだ新春飾りがあり、

初春気分も味わえました。

明るく楽しい場面が多いお芝居。

令和の時代も、チームワークで悲願を達成!

そんな気持ちになれるスカッと気持ちよいお芝居です。

千秋楽は27日(月)です。

ぜひ、足を運んでくださいね~。

読んでくださり、ありがとう存じまする。



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